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祖父は原爆投下に関わった――映像作家が考える“戦争と平和”をジョン・カビラが訊く

祖父は原爆投下に関わった――映像作家が考える“戦争と平和”をジョン・カビラが訊く

J-WAVEが2025年8月15日(金)にオンエアしたJ-WAVE『~JK RADIO~ TOKYO UNITED』(ナビゲーター:ジョン・カビラ)が、第63回ギャラクシー賞ラジオ部門選奨を受賞しました。映像作家で平和活動を行うアリ・ビーザーさんが、広島と長崎に原爆を投下した米軍の爆撃機、両方に搭乗した唯一の人物である祖父・ジェイコブ・ビーザーさんについて語りました。ここではオンエアの模様をテキストで紹介します。(J-WAVE NEWS編集部/2026年6月)

アリさんが登場した『~JK RADIO~ TOKYO UNITED』では、“QUEST FOR PEACE”と題し、戦後80年の節目にさまざまな話題をピックアップした。

広島、長崎の両地への原爆投下に立ち会った、祖父の記録

アリさんの父方の祖父でレーダー技師だったジェイコブ・ビーザー氏は、1945年8月、広島と長崎に原爆を投下した米軍の爆撃機、両方に搭乗した唯一の人物として知られている。また、母方の祖父も在米被爆女性と親交があったことから、アリさんは被爆者やその家族へのインタビュー、デジタルストーリーによる平和の啓発活動を積極的に行っている。

そんな彼に、まずは祖父のジェイコブ氏に関する思い出や、受け継いだものを語ってもらった。

アリ:祖父は何事も記録して保管する性格で、インタビューやスピーチなどもすべて残っていました。祖父の亡きあとも、私は何年にもわたって祖父の経験を読み、聞き、その思いをつなぎ合わせてきました。その記録のなかには原子爆弾の製造を手伝い、起爆装置を開発した日々や、エンジニアとして非常に分析的なメモ、実際に爆弾が投下されたときのことも残っていたんです。そのなかでは「原爆のキノコ雲は、海辺で砂と水を蹴り上げた際に広がるうず巻きのようだった」「地面が沸騰しているように見えた」と描写していました。そして、長崎の原爆投下後には「こんなことは二度と起こらないでほしい」との祈りも綴られていました。

広島、そして長崎に原爆を投下した両方の爆撃機に搭乗した、ただひとりの人物だったジェイコブ氏。「もし、再度指令が下ったらもう一度やっていましたか?」「罪悪感や後悔はありますか?」という厳しい質問には、どう答えてきたのだろうか。

アリ:長崎の原爆のあとに「二度と起きないように」と願ったものの、もし3回目や4回目の任務があったとしたら、祖父は「その任務に参加しただろう」と言っているのです。でも、祖父は自分がしたことを誇りに思っていたわけではなく、「戦争という行為に、誇らしい瞬間はない」という言葉も残しています。しかし、私は同時に、祖父が後悔していたとも思えません。というのも、祖父は当時のあの背景で、自分の飛行機が爆弾を投下することで「戦争を終わらせることができる」と、固く信じていたからなんです。80年後のいま、私たちはさまざまな情報を得て、よりよい決断をしたり、実際に何が起こっているかをきちんと理解したりすることができるようになりました。たとえば、もしアメリカが降伏の条件をもっと明確にしていれば、侵攻や原爆を必要としなかっただろうと、いまなら理解できます。もし外交にもっと重点を置いて、お互いの文化を理解するためにもう少し時間を費やしていれば、違う結果になっていたということですよね。しかし、祖父たちは当時の価値観で「自分たちがしなければならない」と感じたことを遂行したのだと思います。ですから、私はその世代の人たちを責めることはできません。

ジェイコブ・ビーザーを祖父に持つ自分だからこそ開かれた扉

原爆に深い関わりのある家庭に育ったアリさんは、2011年に奨学金を得て来日。そこから日本とアメリカを何度も行き来し、14年間にわたって多くの被爆者の方々の証言をまとめている。彼がこの活動をスタートしようと思った大きなきっかけは、何だったのだろうか。

アリ:2010年に、広島と長崎の「二重被爆者」である山口 彊(つとむ)さんについての本が出版されたのですが、その本のなかにいくつか不正確な情報が含まれていたんです。なぜ、誰かが真実でない物語を語るのかが、私には理解できませんでした。「誰かが真実の物語を語らなければ、伝えなければならない」「もし、それを誰も語らないのなら、私がやらなければならない」と感じたんです。原爆の双方(キノコ雲の上と下)の立場を知る家族に生まれた、私がやらなければならないと思いました。

ジョン:ちなみに、アリさんがこのミッションを始めたのは2011年のこと。奨学金を得て来日が決まったのは、東日本大震災が起きた当日、3月11日だったという事実にも、日本との深い関係を感じたそうです。そして、広島平和記念資料館や長崎原爆資料館に連絡を取り、英語をしゃべることができる被爆者を紹介してもらい、話を聞いてきたアリさん。さらに、広島と長崎の二重被爆者である山口 彊さんの孫、原田小鈴さんと出会い、交流を重ね『「キノコ雲」の上と下の物語 孫たちの葛藤と軌跡』(朝日新聞出版)という本も出版されています。

アリ:2013年ごろ、最初に小鈴さんのお母さんと会って対話を重ね、お互いの家族の物語を共有することになったんです。そんななかで、娘さんの原田小鈴さんとも出会いましたが、すぐに友だちになれたわけではありませんでした。小鈴さんには小鈴さんなりの葛藤があり、きっと最初はためらっていらっしゃったと思います。私の祖父がしたことを考えれば、当たり前ですよね。そして、その壁を乗り越えるのは本当に難しいことだったと思います。でも、彼女は私を友人として受け入れてくれたんです。いまでは一緒に本を書き、ドキュメンタリー映像作品にも取り組んでいます。いわば、歴史の両サイドに立つ私たちが友人になれたという事実を思えば「誰もが友情を育むことは可能だ」とも思うようになりました。

ジョン:この交流活動によってアリさんが学んだことは、どのようなことなのでしょうか。

アリ:本当にいろいろ学びました。「人生を学んでいる」という感じですね。まずは忍耐、そして許しの大切さを学びます。ほかにも恩返しをすることや、与えられた機会を他の人たちのために最大限に活用すること、さらに「これが二度と起こってはならない」ということ。核戦争は想像を絶するものですが、私が話を聞いてきた方々は、それを実際に目撃したのです。もちろん、私は実際には経験していなくて、話を聞いてまとめるだけなので、きれいごとの世界かもしれません。しかし、「そこで実際に何が起こったのか」という事実をしっかり伝えることが、役目だと思っています。もちろん、私より優れた方はたくさんいらっしゃいますが、祖父がジェイコブ・ビーザーだったからこそ、私には多くの扉が開かれてきました。そして、その扉の先に飛び込むためには、じゅうぶんな強さと学ぶことがたくさんあると感じています。

【番組情報】 番組名:『~JK RADIO~ TOKYO UNITED』
放送日時:毎週金曜 9時-11時30分
オフィシャルサイト:https://www.j-wave.co.jp/original/tokyounited/

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番組情報
~JK RADIO~ TOKYO UNITED
毎週金曜
9:00-11:30

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