演出家で、バンド・yahyelのメンバーでもある山田健人が、話題になっている2本のミュージックビデオを“言語化”した。
この内容をお届けしたのは、5月8日(金)放送のJ-WAVE『THE PLAYBACK』(ナビゲーター:山田健人)。ミュージシャン、演出家の山田が、MVなどさまざまな“見る”を言語化するプログラムだ。
番組は、Spotifyなどのポッドキャストでも聴くことができる。オンエアの翌金曜に配信中だ。
・ポッドキャストページ
山田:Lady GagaやDoechiiの話はよくラジオでさせてもらっているので、「ついにここで」という感じですね。監督を務めたのはParris Goebelです。Justin Bieberの『Sorry』やRihannaが出演した「Super Bowl LVII Halftime Show」の振り付けでも知られる、世界的コレオグラファーですね。いわゆるダンス、振付師さんが監督を務めているかたちです。Lady Gagaで言うと、近年は『Abracadabra』という作品がありました。その作品でもLady Gaga本人と共同監督を務めています。ダンス的な振り付けというか、映像的な部分だったり、文化的部分の理解度がかなり高い方とお見受けしています。
山田は『RUNWAY』のMVの構成について解説していった。
山田:いくつかのシーンというかセットというか、シチュエーションがあって。それがストーリーでつながっていくというよりは、音楽の気持ちよさ、ハウシーな音のテンポに合わせて入り乱れながら編集されている感じなので、「大きな流れ」という感じでもないんです。メインセットっぽく見えるようなのが1、2個あって、1個が白と黒のストライプ、ボーダーで床だったり、壁だったりが全部、埋め尽くされている空間みたいな。わりとあれは広い空間ですね、スタジオセットみたいなのがあって。そこにニューヨークのメトロポリタン美術館で行われている「メットガラ」みたいな、いわゆるファッションの祭典のような雰囲気で、GagaとDoechiiだけじゃなくて大勢のダンサーたちが色とりどりのファッションをしている。リリックに「ダンスフロア」「ファッションショー」という言葉があり、それを体現するように、いわゆるファッションショーのような空間のなかで。これは別のシーンかな、まさに楽曲のタイトルにあるランウェイそのものを表現するような空間です。
続いて、映像内のファッションについても注目した。
山田:Doechiiのラップパートがあって、そこでは全身黒に、顔とかも覆われているようなキラキラのスタッズがつきまくっていて。これは1個1個の衣装もすごいよなと。かなり文化的な理解もないとできないという前提だし、あとコストとか時間ですよね。どれを見ても一点ものみたいな、このために作った感じの衣装ばかりです。ランウェイみたいなカットで言うと本人ら、GagaとDoechiiがふたりで1個の服を着ている感じかな。ふたりで大きなジャケットを一緒に着て、カメラの手前に向かって歩いてくるみたいなカットがあったりします。
ダンスの内容についても山田は解説をしていった。
山田:ヴォーギングだったり、ワッキングだったりという動きが多用されている節があります。ヴォーギングとワッキングはわりと、印象的には近しいダンスの表現で。まさにこの作品にピッタリな振りではあると思います。そういうものがいっぱい入っていて、ダンスだけでもかなり見ごたえがあるのに、個性豊かなみなさんがやっているという。Gagaさんの表現のなかにやっぱりそういう文化的な背景も含めた多様さというのがずっとあって。そこに、それこそ最近Doechiiという新星がここ数年で現れて。どちらもやはり、本人のダンスも含めた大人数のダンサーたちとのパフォーマンスなんかでもよく注目されているから、このふたりがこういう作品で組む必然性は感じました。
山田:フランスのプロデューサー・Surkinによる、映像連動プロジェクト・GENER8ION。Surkinのいわゆるコラボレーションプロジェクトみたいなイメージがあります。4年前ぐらいに突如、この世に生まれたGENER8IONというまだまだ謎の多いプロジェクトでもあります。それに今回、スウェーデンのラッパー・Yung Leanが入ってきました。4月24日にリリースされた2曲入りのシングル『STORM』というのが発表され、そのMVです。このMVは(監督が)Romain Gavrasですね。この人はマジで最強なんだよな。
山田は「2034年」という映像の設定にも注目しつつ解説をしていった。
山田:世界のパンデミックの渦中という頃に、『Neo Surf』という楽曲を070 Shakeというラッパーが入ったかたちでリリースされたMVを僕も当時観ました。あれはかなり衝撃度が高かったというか、すごくディストピアンで荒廃した2034年かなんかの設定のMVでした。世界がちょっと終末っぽい、そこにいる若者たちみたいな感じなんです。画作りというか、画のパンチがとてつもなくて。ロケ地のパワーというのもありましたね。
Romain Gavrasという監督は、近年ではNetflixの『ATHENA』というNetflixオリジナル映画の監督でもあって、それがまたすごいのよ。冒頭の10分ぐらいだったかな、これはNetflix入っている方はぜひ観てもらいたいです。
GENER8IONの『STORM』の映像はさながら、映画のような内容になっているという。
山田:振付師で映画『サスペリア』の振り付けで知られるDamien Jaletという振付師が組んだ、ちょっとダンサブルな動きも取り入れられた、MVだけど短編映画的な作品ですよね。この『STORM』というのが、そもそもⅠとⅡという楽曲に分かれています。MVは1個になっていて、前半がⅠで後半がⅡかなという感じの構成ですね。またもや舞台は2034年で、これは一緒なんだな。なにかあるんだろうね、彼らのノリのなかに「2034」というテーマが。とにかくちょっとした未来にイギリスの男子寄宿学校のなかで、制服姿の少年たちが集まって来て。Yung Lean本人も生徒のひとりとして登場します。年齢的にもちょっと浮いている感じというか、異物感のあるかたちで存在しているというか。前半はまさに男子校のノリと言っていいのかな? 学校内での暴力っぽい要素とか、悪ふざけだったりが中心になっていて。カースト感もあるような、ちょっと過激な部分もある描写と言っていいかな。
映像ではYung Leanが少年たちを率いるような存在、リーダーシップのある“ワル”として描かれているという。
山田:学校のなかを荒らしたり、けっこう悪いことをしたりしている。それをしていくことで、羨望のまなざしを向けられたりもしていて。全体的にはきれいな学園ものというか、不穏なんですけど。秩序が乱れて崩れていくような描写というかね。そういう感じが続いていって、「どうなるんだ」と思ったら『STORM Ⅱ』に変わると、映像はかなりダンス軸になっていきます。このカットが特に話題ということなんですが、クラスの集合写真みたいな、ひな壇に整列していて。そこにYung Leanがタバコを吸いながら行くんですよ。平然とそのなかでタバコを吸っちゃってるんですよ、ワルだから。その中心にいて、しかもひとりだけブレザーも着てなくて、ワイシャツだけみたいな感じなんですけど。後半の音に合わせて、とてつもないスキルを持ったダンサーの少年たち、それがいわゆる群舞というか大人数で踊る感じで。すごく長いカットで、望遠レンズでズームでゆっくり寄ったり引いたりを繰り返しながら、少年たちの集団心理や暴力性みたいなものを描いている。それを言葉とかではなく動きだけで語るようなカットです。
山田はダンスシーンにぜひ注目してほしいと語る。
山田:すごいですね、かっこいいよね。単純に画的にかっこいいし。こういう表現自体はあると思いますが、MVの構成も含めてこのタイミングでやるということで、話題になっている節も感じたかな。すごくいいカットです。あと、リアル感もあるんだよね。全体を通して随所に音が入っているというか。短編映画みたいに、MVなんだけどいわゆるカットのなかのアクションの音とかもがっつり入っていて。すごく臨場感があって「短編映画かな?」と。映画のように観られる感じの作品で、全体で7分ぐらいかな。まさに後半のズームというか、集団でダンスするシーンは見どころの1個なので、ぜひ観てもらいたいなと思っています。
J-WAVE『THE PLAYBACK』は演出家・山田健人が、音だけの世界=「ラジオ」でその頭の中に浮かんでいる世界や作品について言語化していく。放送は毎週金曜の深夜26時から。
この内容をお届けしたのは、5月8日(金)放送のJ-WAVE『THE PLAYBACK』(ナビゲーター:山田健人)。ミュージシャン、演出家の山田が、MVなどさまざまな“見る”を言語化するプログラムだ。
番組は、Spotifyなどのポッドキャストでも聴くことができる。オンエアの翌金曜に配信中だ。
・ポッドキャストページ
Lady Gaga&Doechii『RUNWAY』
まず、山田は映画『プラダを着た悪魔2』のサントラに収録されているLady Gaga & Doechii『RUNWAY』のMVをセレクトした。Lady Gaga, Doechii - RUNWAY (Official Music Video)
Lady Gaga - Abracadabra (Official Music Video)
山田:いくつかのシーンというかセットというか、シチュエーションがあって。それがストーリーでつながっていくというよりは、音楽の気持ちよさ、ハウシーな音のテンポに合わせて入り乱れながら編集されている感じなので、「大きな流れ」という感じでもないんです。メインセットっぽく見えるようなのが1、2個あって、1個が白と黒のストライプ、ボーダーで床だったり、壁だったりが全部、埋め尽くされている空間みたいな。わりとあれは広い空間ですね、スタジオセットみたいなのがあって。そこにニューヨークのメトロポリタン美術館で行われている「メットガラ」みたいな、いわゆるファッションの祭典のような雰囲気で、GagaとDoechiiだけじゃなくて大勢のダンサーたちが色とりどりのファッションをしている。リリックに「ダンスフロア」「ファッションショー」という言葉があり、それを体現するように、いわゆるファッションショーのような空間のなかで。これは別のシーンかな、まさに楽曲のタイトルにあるランウェイそのものを表現するような空間です。
続いて、映像内のファッションについても注目した。
山田:Doechiiのラップパートがあって、そこでは全身黒に、顔とかも覆われているようなキラキラのスタッズがつきまくっていて。これは1個1個の衣装もすごいよなと。かなり文化的な理解もないとできないという前提だし、あとコストとか時間ですよね。どれを見ても一点ものみたいな、このために作った感じの衣装ばかりです。ランウェイみたいなカットで言うと本人ら、GagaとDoechiiがふたりで1個の服を着ている感じかな。ふたりで大きなジャケットを一緒に着て、カメラの手前に向かって歩いてくるみたいなカットがあったりします。
ダンスの内容についても山田は解説をしていった。
山田:ヴォーギングだったり、ワッキングだったりという動きが多用されている節があります。ヴォーギングとワッキングはわりと、印象的には近しいダンスの表現で。まさにこの作品にピッタリな振りではあると思います。そういうものがいっぱい入っていて、ダンスだけでもかなり見ごたえがあるのに、個性豊かなみなさんがやっているという。Gagaさんの表現のなかにやっぱりそういう文化的な背景も含めた多様さというのがずっとあって。そこに、それこそ最近Doechiiという新星がここ数年で現れて。どちらもやはり、本人のダンスも含めた大人数のダンサーたちとのパフォーマンスなんかでもよく注目されているから、このふたりがこういう作品で組む必然性は感じました。
GENER8ION『STORM』
2本目のMVとして、山田はGENER8ION『STORM』をセレクトした。GENER8ION - STORM starring Yung Lean
山田は「2034年」という映像の設定にも注目しつつ解説をしていった。
山田:世界のパンデミックの渦中という頃に、『Neo Surf』という楽曲を070 Shakeというラッパーが入ったかたちでリリースされたMVを僕も当時観ました。あれはかなり衝撃度が高かったというか、すごくディストピアンで荒廃した2034年かなんかの設定のMVでした。世界がちょっと終末っぽい、そこにいる若者たちみたいな感じなんです。画作りというか、画のパンチがとてつもなくて。ロケ地のパワーというのもありましたね。
GENER8ION, 070 Shake - Neo Surf
ATHENA directed by Romain Gavras | Official Trailer | Netflix
山田:振付師で映画『サスペリア』の振り付けで知られるDamien Jaletという振付師が組んだ、ちょっとダンサブルな動きも取り入れられた、MVだけど短編映画的な作品ですよね。この『STORM』というのが、そもそもⅠとⅡという楽曲に分かれています。MVは1個になっていて、前半がⅠで後半がⅡかなという感じの構成ですね。またもや舞台は2034年で、これは一緒なんだな。なにかあるんだろうね、彼らのノリのなかに「2034」というテーマが。とにかくちょっとした未来にイギリスの男子寄宿学校のなかで、制服姿の少年たちが集まって来て。Yung Lean本人も生徒のひとりとして登場します。年齢的にもちょっと浮いている感じというか、異物感のあるかたちで存在しているというか。前半はまさに男子校のノリと言っていいのかな? 学校内での暴力っぽい要素とか、悪ふざけだったりが中心になっていて。カースト感もあるような、ちょっと過激な部分もある描写と言っていいかな。
映像ではYung Leanが少年たちを率いるような存在、リーダーシップのある“ワル”として描かれているという。
山田:学校のなかを荒らしたり、けっこう悪いことをしたりしている。それをしていくことで、羨望のまなざしを向けられたりもしていて。全体的にはきれいな学園ものというか、不穏なんですけど。秩序が乱れて崩れていくような描写というかね。そういう感じが続いていって、「どうなるんだ」と思ったら『STORM Ⅱ』に変わると、映像はかなりダンス軸になっていきます。このカットが特に話題ということなんですが、クラスの集合写真みたいな、ひな壇に整列していて。そこにYung Leanがタバコを吸いながら行くんですよ。平然とそのなかでタバコを吸っちゃってるんですよ、ワルだから。その中心にいて、しかもひとりだけブレザーも着てなくて、ワイシャツだけみたいな感じなんですけど。後半の音に合わせて、とてつもないスキルを持ったダンサーの少年たち、それがいわゆる群舞というか大人数で踊る感じで。すごく長いカットで、望遠レンズでズームでゆっくり寄ったり引いたりを繰り返しながら、少年たちの集団心理や暴力性みたいなものを描いている。それを言葉とかではなく動きだけで語るようなカットです。
山田はダンスシーンにぜひ注目してほしいと語る。
山田:すごいですね、かっこいいよね。単純に画的にかっこいいし。こういう表現自体はあると思いますが、MVの構成も含めてこのタイミングでやるということで、話題になっている節も感じたかな。すごくいいカットです。あと、リアル感もあるんだよね。全体を通して随所に音が入っているというか。短編映画みたいに、MVなんだけどいわゆるカットのなかのアクションの音とかもがっつり入っていて。すごく臨場感があって「短編映画かな?」と。映画のように観られる感じの作品で、全体で7分ぐらいかな。まさに後半のズームというか、集団でダンスするシーンは見どころの1個なので、ぜひ観てもらいたいなと思っています。
J-WAVE『THE PLAYBACK』は演出家・山田健人が、音だけの世界=「ラジオ」でその頭の中に浮かんでいる世界や作品について言語化していく。放送は毎週金曜の深夜26時から。
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2025年5月15日28時59分まで
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番組情報
- THE PLAYBACK
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毎週金曜26:00-26:30