「Apple50年、その革新性と未来」をテーマにAppleの歴史を振り返りながら、これからの未来を想像した。
この内容をお届けしたのは、3月30日(月)放送のJ-WAVE『MIDDAY LOUNGE』(ナビゲーター:ハリー杉山)の「PICK OF THE DAY」。各曜日のナビゲーターの個性に特化した特集をお届けするコーナーだ。
『MIDDAY LOUNGE』はグローバルなルーツを持つ国際色豊かなナビゲーターたちが、リスナーと一緒に「新しい自分、新しい世界と出会う」3時間の生放送プログラムだ。ナビゲーターは、月曜 ハリー杉山、火曜 市川紗椰、水曜 クリス・ペプラー、木曜 ジョン・カビラが日替わりで担当している。
ハリー:林さんは、1976年4月1日にスティーブ・ジョブズら3人によってカリフォルニア州のガレージで創業されたAppleを、1990年から取材されているんですよね。
林:プロとして取材を始めたのは1990年ですが、実際には中学生くらいのときに「Apple II」が登場していて、そこから見ています。なので、実質はさらに10年くらい前から見ていることになりますね。
ハリー:Appleの歴史を振り返ると、創業期にApple IIを発売し、個人向けコンピューター市場で大成功を収めました。株式が公開されたのは1980年だったんですね。
林:そうですね。アメリカの大学に行っていたのですが、歴史の授業で「フォード・モーター以来の急成長企業」として取り上げられていたんです。この時代からすでに有名でした。
ハリー:そうだったんですか。その4年後、1984年に初代マッキントッシュを発売します。それまで一部の人だけが使う高額なデバイスだったコンピューターを、個人が使うデジタルツールへと変えた存在でしたよね。ただ、売上は期待ほど伸びず、ジョブズはCEOによって会社を追われてしまいます。
林:自分が作った会社を追放されるんですね。その後、10年間、ジョブズ不在の時代が続きます。私がプロとして取材を始めたころは、まさにその時期でした。ジョブズは辞めるときに「これからパソコン業界は暗黒時代に入る」と言っていたんですが、結果的にこの10年間に出た製品は、あまり歴史に残っていないものが多いんですね。まさに暗黒時代になってしまった印象です。
1996年、スティーブ・ジョブズがAppleに復帰する。そこからわずか15年で、倒産寸前にあった同社を世界有数の企業へと押し上げた。その過程でAppleは、「iPod」「iPhone」「iPad」といった革新的な製品を次々と世に送り出す。これにより、同社は単なるパソコンメーカーの枠を超え、デジタル家電やメディア分野にまで事業領域を拡張していった。
ハリー:Appleにとっての転換点ですけども、ジョブズの存在が大きいのでしょうか?
林:そうですね。当時は本当に倒産寸前で、ライバルだったマイクロソフトのビル・ゲイツから資金援助を受けるなど、できることは何でもやりました。さらに驚くべきことに、当時数十あったMacの製品をジョブズが一度すべてゼロにしたんです。そこからリスタートして、「本当に必要なコンピューターは4種類だけだ」として「iMac」「iBook」「Power Mac」「PowerBook」を作ったんですね。
ハリー:それは何年ですか?
林:iMacを発表したのが1998年ですね。
ハリー:Appleの魅力の鍵はどこにあると思いますか?
林:多くのコンピューターメーカーは、基本的にテクノロジー企業だと思うんですよ。新しいCPUが出れば、それを使って性能や価格で勝負する製品を作る。一方でAppleは、「普通の人が使いたくなるにはどうすればいいか」を最初から考えているんです。
ハリー:なるほど。
林:Apple IIのすごい点を紹介しますね。当時、他のメーカーのコンピューターは、金属の箱の中にスイッチが50個ほど付いていて、オン・オフにより光の点灯で、暗号を読み解くように何が行われているか解読していました。一方で、Apple IIは家庭のテレビにつなげば文字入力ができたんですよ。その後のマッキントッシュも同じです。それまでのコンピューターはコマンドを覚えて入力する必要がありましたが、Macはマウスとメニューで操作できる。すべてのコマンドがメニューという形で表示されるので「初めての人でも20分で使えるコンピューター」でした。
ハリー:極めてユーザーフレンドリーなところが、今なお引き継がれているAppleの魅力なんですね。
林:Appleでは技術者だけでなく、心理学者や人類学者なども開発に関わらせています。どうすればより使いやすくなるかを、ずっとやってきているんですね。
ハリー:そこまで含めて設計しているんですね。面白いです!
林:まずは初代Macintoshですね。先ほども話したとおり、コマンドを覚えて入力しないと使えなかったコンピューターをそうしなくても使えるようにしました。それに加えて、マウス操作と「What you see is what you get」(見たままが得られる)、いわゆるWYSIWYGの概念を導入しました。それまで雑誌のレイアウトを作るには「何ポイントの文字で」といった命令を入力する必要がありましたが、Macでは画面上でレイアウトすれば、そのまま印刷されるんです。これが非常に大きかったです。
ハリー:かなり楽になりますね。
林:今では当たり前のDTP(デスクトップパブリッシング)ですが、これが登場する前は手作業でした。人によってはグーテンベルク以来の出版革命とも言っているほどで、誰でも雑誌を作れる時代を切り拓いたんです。当時はインターネットもない時代ですから、本や雑誌の影響力は大きいわけです。それを誰でも簡単にかっこいい雑誌を作れるようにしたという、大革命が起きました。
ハリー:続いては、初代iPodについて伺います。音楽好きにとっては画期的な存在でしたよね。
林:そうですね。初代Macのあと、Appleは浮き沈みがありジョブズ不在の時代もありましたが、復帰後に復調の兆しが見えました。ただ、2000年ごろには再び勢いが鈍っていたんです。当時は「これからはパソコンではなくガジェットの時代」と言われていましたが、そのなかで音楽プレイヤーとして登場したのがiPodです。
ここで林さんは、iPodが登場する以前の市場シェアについて話し、iPodがいかにその状況を変えたかを説明した。
林:Apple製品を使っていたのは、本当に理解のある一部の人たちだけだったんです。何パーセントの人たちが使っていたかというと、日本は異常に高くて10何パーセントありましたが、世界全体では3パーセントとかそんな感じだったんですよ。
ハリー:なるほど。
林:なので、Appleがどれだけいい製品を作っても3パーセントの人にしか見てもらえなかった。それが2001年、9.11のテロの直後にiPodを発表したら、Windowsユーザーから「あれほしい!」と大きな話題になって。当初、ジョブズは「Windowsユーザー向けには出さない」と言っていたのが、あまりにも評判がよかったので2002年にWindowsにも対応して、ここから残りの97パーセントもターゲットになったんです。これで、Appleブランドが100パーセントの人たちに届けられる状況になりました。iPodはもともと、Macのアクセサリーとして登場した製品ですが、Appleストアに行くとiPodのアクセサリーとしてMacを売っていたなんていう時期もあったぐらいで(笑)。
林:ジョブズが「革命的な製品がすべてを変える」と語って発表したのがiPhoneです。小さな手のひらに収まるサイズで、iPodの機能とインターネット端末などすべてを盛り込んだアイテムでした。
ハリー:ちなみに、林さんご自身はどのiPhoneがいちばん印象に残っていますか?
林:私は「iPhone 4」ですね。2010年に登場したモデルで、ジョブズが関わった最後の完成度の高い製品のひとつです。どこから見てもバランスが非常にいい製品で、日本人デザイナーの西堀 晋さんも深く関わっていると言われています。
ハリー:この先のiPhoneについてはどう見ていますか? 50周年モデルの噂もありますよね。
林:Appleは常にいろんなことを実験的にやっている会社なので、試作品の情報が出回ることも多く、すべてが製品化されるわけではありません。噂に振り回されすぎると本質が見えなくなることもあります(笑)。方向性としてはある程度、確立されていますが、これから重要なのはやはりAIを機能としてどう組み込むかだと思います。
ハリー:最後に、次の50年のAppleにどんな期待を持っていますか?
林:これからはAIが人類を超えるのではないかと言われる時代になりますが、Appleは一貫して人間中心のものづくりをしてきました。人類の文化を豊かにし、人類を前に進める存在であり続けてほしいですね。ディストピアではなく、よりよい未来へ導く存在であってほしいです。
ハリー:常に人間ファーストですね。これからどんな時代、どんな風景を、私たちはAppleを通して見ることができるのでしょうか。
J-WAVE『MIDDAY LOUNGE』のコーナー「PICK OF THE DAY」は、それぞれのナビゲーターの個性に特化した特集をお届けする。放送は月曜~木曜の15時25分ごろから。
この内容をお届けしたのは、3月30日(月)放送のJ-WAVE『MIDDAY LOUNGE』(ナビゲーター:ハリー杉山)の「PICK OF THE DAY」。各曜日のナビゲーターの個性に特化した特集をお届けするコーナーだ。
『MIDDAY LOUNGE』はグローバルなルーツを持つ国際色豊かなナビゲーターたちが、リスナーと一緒に「新しい自分、新しい世界と出会う」3時間の生放送プログラムだ。ナビゲーターは、月曜 ハリー杉山、火曜 市川紗椰、水曜 クリス・ペプラー、木曜 ジョン・カビラが日替わりで担当している。
倒産寸前のAppleを復活させたスティーブ・ジョブズの功績
2026年4月1日でAppleは創業50周年。カリフォルニア州のガレージから始まった同社は、その後、世界を大きく変える存在へと成長した。今回はスタジオにITジャーナリストの林 信行さんを迎えて、Appleの歴史を振り返りながら世界に与えたインパクトを整理しながら、これからの未来について話を伺った。ハリー:林さんは、1976年4月1日にスティーブ・ジョブズら3人によってカリフォルニア州のガレージで創業されたAppleを、1990年から取材されているんですよね。
林:プロとして取材を始めたのは1990年ですが、実際には中学生くらいのときに「Apple II」が登場していて、そこから見ています。なので、実質はさらに10年くらい前から見ていることになりますね。
ハリー:Appleの歴史を振り返ると、創業期にApple IIを発売し、個人向けコンピューター市場で大成功を収めました。株式が公開されたのは1980年だったんですね。
林:そうですね。アメリカの大学に行っていたのですが、歴史の授業で「フォード・モーター以来の急成長企業」として取り上げられていたんです。この時代からすでに有名でした。
ハリー:そうだったんですか。その4年後、1984年に初代マッキントッシュを発売します。それまで一部の人だけが使う高額なデバイスだったコンピューターを、個人が使うデジタルツールへと変えた存在でしたよね。ただ、売上は期待ほど伸びず、ジョブズはCEOによって会社を追われてしまいます。
林:自分が作った会社を追放されるんですね。その後、10年間、ジョブズ不在の時代が続きます。私がプロとして取材を始めたころは、まさにその時期でした。ジョブズは辞めるときに「これからパソコン業界は暗黒時代に入る」と言っていたんですが、結果的にこの10年間に出た製品は、あまり歴史に残っていないものが多いんですね。まさに暗黒時代になってしまった印象です。
1996年、スティーブ・ジョブズがAppleに復帰する。そこからわずか15年で、倒産寸前にあった同社を世界有数の企業へと押し上げた。その過程でAppleは、「iPod」「iPhone」「iPad」といった革新的な製品を次々と世に送り出す。これにより、同社は単なるパソコンメーカーの枠を超え、デジタル家電やメディア分野にまで事業領域を拡張していった。
ハリー:Appleにとっての転換点ですけども、ジョブズの存在が大きいのでしょうか?
林:そうですね。当時は本当に倒産寸前で、ライバルだったマイクロソフトのビル・ゲイツから資金援助を受けるなど、できることは何でもやりました。さらに驚くべきことに、当時数十あったMacの製品をジョブズが一度すべてゼロにしたんです。そこからリスタートして、「本当に必要なコンピューターは4種類だけだ」として「iMac」「iBook」「Power Mac」「PowerBook」を作ったんですね。
ハリー:それは何年ですか?
林:iMacを発表したのが1998年ですね。
Appleの強みは徹底したユーザーフレンドリー
トップ企業へと成長を遂げ、今なお人々の心を動かし続けているApple。林さんは、その背景には他のコンピューターメーカーとは異なる企業理念があると指摘する。ハリー:Appleの魅力の鍵はどこにあると思いますか?
林:多くのコンピューターメーカーは、基本的にテクノロジー企業だと思うんですよ。新しいCPUが出れば、それを使って性能や価格で勝負する製品を作る。一方でAppleは、「普通の人が使いたくなるにはどうすればいいか」を最初から考えているんです。
ハリー:なるほど。
林:Apple IIのすごい点を紹介しますね。当時、他のメーカーのコンピューターは、金属の箱の中にスイッチが50個ほど付いていて、オン・オフにより光の点灯で、暗号を読み解くように何が行われているか解読していました。一方で、Apple IIは家庭のテレビにつなげば文字入力ができたんですよ。その後のマッキントッシュも同じです。それまでのコンピューターはコマンドを覚えて入力する必要がありましたが、Macはマウスとメニューで操作できる。すべてのコマンドがメニューという形で表示されるので「初めての人でも20分で使えるコンピューター」でした。
ハリー:極めてユーザーフレンドリーなところが、今なお引き継がれているAppleの魅力なんですね。
林:Appleでは技術者だけでなく、心理学者や人類学者なども開発に関わらせています。どうすればより使いやすくなるかを、ずっとやってきているんですね。
ハリー:そこまで含めて設計しているんですね。面白いです!
全世界のPCユーザーに衝撃を与えたiPod
林さんはAppleの歴史を振り返りながら、大きな転換点となった同社のプロダクトを解説した。スタジオには、
— MIDDAY LOUNGE(J-WAVE 81.3FM) (@middaylounge813) March 30, 2026
Apple製品たちが!!
この中に皆さんが使ったことのある
Apple製品ありますか???#ML813 #jwave pic.twitter.com/ZSFjVLqXJV
ハリー:かなり楽になりますね。
林:今では当たり前のDTP(デスクトップパブリッシング)ですが、これが登場する前は手作業でした。人によってはグーテンベルク以来の出版革命とも言っているほどで、誰でも雑誌を作れる時代を切り拓いたんです。当時はインターネットもない時代ですから、本や雑誌の影響力は大きいわけです。それを誰でも簡単にかっこいい雑誌を作れるようにしたという、大革命が起きました。
ハリー:続いては、初代iPodについて伺います。音楽好きにとっては画期的な存在でしたよね。
林:そうですね。初代Macのあと、Appleは浮き沈みがありジョブズ不在の時代もありましたが、復帰後に復調の兆しが見えました。ただ、2000年ごろには再び勢いが鈍っていたんです。当時は「これからはパソコンではなくガジェットの時代」と言われていましたが、そのなかで音楽プレイヤーとして登場したのがiPodです。
ここで林さんは、iPodが登場する以前の市場シェアについて話し、iPodがいかにその状況を変えたかを説明した。
林:Apple製品を使っていたのは、本当に理解のある一部の人たちだけだったんです。何パーセントの人たちが使っていたかというと、日本は異常に高くて10何パーセントありましたが、世界全体では3パーセントとかそんな感じだったんですよ。
ハリー:なるほど。
林:なので、Appleがどれだけいい製品を作っても3パーセントの人にしか見てもらえなかった。それが2001年、9.11のテロの直後にiPodを発表したら、Windowsユーザーから「あれほしい!」と大きな話題になって。当初、ジョブズは「Windowsユーザー向けには出さない」と言っていたのが、あまりにも評判がよかったので2002年にWindowsにも対応して、ここから残りの97パーセントもターゲットになったんです。これで、Appleブランドが100パーセントの人たちに届けられる状況になりました。iPodはもともと、Macのアクセサリーとして登場した製品ですが、Appleストアに行くとiPodのアクセサリーとしてMacを売っていたなんていう時期もあったぐらいで(笑)。
次の50年にAppleが目指す未来は?
2007年、初代「iPhone」が登場。同年1月、ラスベガスで「CES」(Consumer Electronics Show)が開催される時期に合わせ、サンフランシスコでスティーブ・ジョブズが発表した。林:ジョブズが「革命的な製品がすべてを変える」と語って発表したのがiPhoneです。小さな手のひらに収まるサイズで、iPodの機能とインターネット端末などすべてを盛り込んだアイテムでした。
ハリー:ちなみに、林さんご自身はどのiPhoneがいちばん印象に残っていますか?
林:私は「iPhone 4」ですね。2010年に登場したモデルで、ジョブズが関わった最後の完成度の高い製品のひとつです。どこから見てもバランスが非常にいい製品で、日本人デザイナーの西堀 晋さんも深く関わっていると言われています。
ハリー:この先のiPhoneについてはどう見ていますか? 50周年モデルの噂もありますよね。
林:Appleは常にいろんなことを実験的にやっている会社なので、試作品の情報が出回ることも多く、すべてが製品化されるわけではありません。噂に振り回されすぎると本質が見えなくなることもあります(笑)。方向性としてはある程度、確立されていますが、これから重要なのはやはりAIを機能としてどう組み込むかだと思います。
ハリー:最後に、次の50年のAppleにどんな期待を持っていますか?
林:これからはAIが人類を超えるのではないかと言われる時代になりますが、Appleは一貫して人間中心のものづくりをしてきました。人類の文化を豊かにし、人類を前に進める存在であり続けてほしいですね。ディストピアではなく、よりよい未来へ導く存在であってほしいです。
ハリー:常に人間ファーストですね。これからどんな時代、どんな風景を、私たちはAppleを通して見ることができるのでしょうか。
J-WAVE『MIDDAY LOUNGE』のコーナー「PICK OF THE DAY」は、それぞれのナビゲーターの個性に特化した特集をお届けする。放送は月曜~木曜の15時25分ごろから。
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番組情報
- MIDDAY LOUNGE
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月・火・水・木曜13:30-16:30
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月曜:ハリー杉山 火曜:市川紗椰 水曜:クリス・ペプラー 木曜:ジョン・カビラ
