
いきものがかりの水野良樹と松下奈緒がJ-WAVEで対談。水野が、音楽を始めたきっかけや、いきものがかりの結成、大ヒット曲『ありがとう』の制作を振り返り、人生の分岐点について語った。
ふたりがトークを展開したのは、10月3日(金)からスタートしたJ-WAVEの新番組『KENEDIX CROSSROADS』(ナビゲーター:松下奈緒)。毎月ひとりのゲストを迎え、成功の背景にある「決断」「迷い」「出会い」を掘り下げながら、「人生の分岐点」について語り合う30分。音楽とともに、ライフデザインのヒントを届けていく。
【関連記事】松下奈緒が語る、大杉 漣や神田正輝などの先輩から学んだこと。“壁の乗り越え方”も聞いた
番組では、毎週月曜7時に再編集版ポッドキャストを配信中。
ここでは、初回放送となる10月3日(金)のオンエア内容をテキストで紹介する。
松下:音楽を始めたのはどんなきっかけだったんですか?
水野:今日、運命かなって思ったんですけど、僕が初めて人前で歌ったのは小学校6年生のお別れ会だったんです。体育館で卒業生がお世話になった先生とか友だちたちに出し物をするっていう会で、僕は弾き語りをしたんです。そこで歌ったのがMr.Childrenの『CROSS ROAD』だったんです。
松下:ええー!
水野:それがいわゆる初舞台というか、人前に立った経験でした。小学生で弾き語りをする子って当時はなかなかいなかったので、あまり僕は目立つタイプの子ではなかったから「あいつがこんなことやってる」みたいな。初恋のアキコちゃんが「よかったよ」って言ってくれました(笑)。いまから考えるとそれがまさしく分岐点というか。
松下:そこがまず「音楽っていいな」って思えるきっかけだったというか。
水野:自分の武器だなって。
松下:アキコちゃんも覚えてますかね。きっと喜んでますよ。
その後も、水野はピアノとアコースティックギターを学んだという。
松下:そこから、いきものがかりを結成されるわけですけど。
水野:高校に上がったときに帰宅部になったんですよ。そうしたら、もうひとりだけ帰宅部のやつがいて。それがのちに、いきものがかりのメンバーになる山下穂尊くんでした。山下くんは小・中・高校と一緒で、小・中ではそんなに仲がよくなかったはずなのに、帰り道が一緒になっちゃうんで、一瞬、間違えて仲よくなっちゃったんです(笑)。
松下:そんなノリだったんですか(笑)。
水野:それで何もすることないな、暇だなってしているときに、ちょうどデビューされたころのゆずさんにハマっていた山下が「路上ライブって面白そうだぞ」と。カラオケ行くにもお金がかかるけど、「路上ライブは親戚のおじさんが持ってるギターを貸してもらったらできるからやってみようぜ」ってなったんです。それで「グループ名どうしようか?」ってなったときに山下くんが思い出して、それほど接点はなかったんですけど「水やんとは小学1年のときに一緒に生き物係やってたんだよ」って言い始めて。「なんだそれ?」「いや、金魚にエサをあげてたんだよ」って言われて、そうしたら通信簿を見たら本当に「生き物係をがんばりました」って書いてあったんですよ。それがふたりの唯一の接点だったので「グループ名にしよう」っていうのが結成のきっかけですね。
山下と結成した、いきものがかり。その後、ボーカルを担当する吉岡聖恵が参加することとなる。
水野:結成から半年後かな。だんだん飽きてくるんですよ。当時の路上ライブは、みんなゆずさんのまねをして男の子ふたり組ばかりで、みんなモテたいって顔をしてるから恥ずかしくなってきて(笑)。地元では女の子との混合チームみたいなのがいなかったから、「真ん中に歌のうまい子を入れたら人が集まるんじゃない?」と思って探してたら、同級生の妹に歌のうまい子がいると。「吉岡君の妹はボイスレッスンに通ってるらしい」って。それで山下くんに言って、吉岡君の妹を誘いました。
松下:当時からプロデュース力がすごい。
水野:いやいや。田舎の高校生の友だちづくりみたいな感じでしたね。
松下は『ゲゲゲの女房』放送当時を振り返りながら、「『ありがとう』は私も大好きで、本当によく聴いていた1曲です。何度、この曲に助けられたかわかりません」と心境を述べる。さらに「いまでもイントロを聴くとウルウルしてしまうんです」とも付け加えた。
松下:『ありがとう』って、どういうきっかけで生まれたんですか?
水野:「朝ドラの主題歌が決まりました。『ゲゲゲの女房』という作品です」と言われて。本当にプレッシャーだったんですよ。当時のいきものがかりって、たくさん曲を出して、さらに大きくみたいな時期で、そのなかで朝ドラっていう長い期間流れ続ける曲なので、どうやって書いたらいんだろうって。しかもけっこう忙しい時期で、書けなくなってた時期だったんです。
松下:そうなんですか。
水野:正直、何を書いていいかわからなくて、白紙になるくらいの。レコーディングしても自信がなくて、実は『ありがとう』は完成に至るまでにカットされたCメロがあったりとか、いろんな変遷があってここにたどり着いて。しかも「ありがとう」って、ど真ん中の言葉を使ったので、平たい曲になってしまったんじゃないかって思ってたんですけど、当時、全県ツアーで47都道府県をまわっていて『ゲゲゲの女房』が放送されていて、会場が進めば進むほど『ありがとう』に対する反応が変わっていくんです。会場のみなさんが『ゲゲゲの女房』をご覧になられているので、どんどん曲に対する思い入れが増していって、「これがヒットするってことか」みたいな。ドラマを通して浸透していく、いままでやった曲のなかではたどったことがないストーリーでした。
その年末、いきものがかりは『ありがとう』で『NHK紅白歌合戦』に出場した。
水野:『ゲゲゲの女房』を作っていたみなさんが控室にいて。
松下:俳優さんたちがズラッと並んで。
水野:自分たちもたどってきた道があって、たどり着いた紅白の舞台で、ドラマのみなさんもこのドラマを届けてきて国民的なものになって、それを背負ってきた最後に一緒になってる感動がすごくて忘れられないですね。
松下:「ありがとう」って誰しもが言う言葉だし、日常にあふれてるけど、この曲は本当にいろんな想いが込められてるんじゃないかなって。シンプルな「ありがとう」以上のものを感じる「ありがとう」だったんですよね。
水野:いろんな人が込めてくれましたよね。松下さんもそうだし。
松下:曲自体はどれくらいの期間で制作されたんですか?
水野:2、3週間だったと思います。
松下:早い!
水野:それはいつもの感じでしたけど……いや、でもできなくてつらかったな、本当に。わからなかった。判断できなくなっちゃってて、どれがいいんだろうって。でも、スタジオでディレクターだけが「これはいいぞ。もしかしたら曲として、とてつもなく長い時間聴かれるかもしれないから」って信じてくれて。
松下:そのとおりになった1曲ですよね。
松下:とにかく歌詞がすごい。
水野:大丈夫でした?
松下:この歌詞の女の人みたいに生きたいと思っちゃいました。主人公が絶対に水野さんのなかにいるんだなって手に取るように見えたし。
また、いきものがかりが4月にリリースした11枚目のオリジナルアルバム『あそび』では、松下とのコラボレーション楽曲『遠くへいけるよ meets 松下奈緒』も収録。6月からスタートしたツアーの大阪公演には松下がゲスト出演した。
松下:タイトルで「meets」っていうのもうれしい。フィーチャリングでもコラボでもなく「meets」って一緒にやってる感がすごくて。
水野:レコーディング楽しかったですよね。ピアノを弾いていただいてる横で、なぜか僕らふたりが踊っちゃって(笑)。
松下:それをガラス越しに見えて、うれしいって思って。
水野:すごく曲を華やかにしていただきました。
松下:「録ります」って言って録ったときよりも、全部録り終えたあとに記念にもう1回やったときがいちばんよかったですよね(笑)。
水野:リラックスしてね。
松下:まさに“あそび”の一環でやらせていただいた印象がありましたね。
水野:大阪公演にも来てくださって。
松下:大好きなみなさんと一緒に、大好きな曲をやれるってこんなに楽しいんだって。
水野:空気が変わる感じがあって。松下さんが入って笑顔でいてくれることによって、バンドメンバーもみんなハッピーな気持ちになるというか。
松下:めちゃくちゃ緊張してたんですよ。
水野:本当ですか? そんな感じなかったですよ。
松下:会場もボルテージが最高潮のなかに、ぴょこって出ていく緊張感。でも、ライブって楽しいなって。
水野:そうですよね。
松下:それを本当に実感できる瞬間でした。
第2回となる10月10日(金)の放送では、人見知りだという水野良樹さんが、ソロ活動HIROBAを始めた理由について語り合います。
いきものがかりの最新情報はオフィシャルサイトまで。なお、水野はJ-WAVE『Samsung SSD CREATOR'S NOTE』(毎週土曜 21:00-21:54)のナビゲーターを担当している。
毎月ひとりのゲストを迎え、「人生の分岐点」について語り合うJ-WAVE『KENEDIX CROSSROADS』は毎週金曜24時30分からオンエア。
ふたりがトークを展開したのは、10月3日(金)からスタートしたJ-WAVEの新番組『KENEDIX CROSSROADS』(ナビゲーター:松下奈緒)。毎月ひとりのゲストを迎え、成功の背景にある「決断」「迷い」「出会い」を掘り下げながら、「人生の分岐点」について語り合う30分。音楽とともに、ライフデザインのヒントを届けていく。
【関連記事】松下奈緒が語る、大杉 漣や神田正輝などの先輩から学んだこと。“壁の乗り越え方”も聞いた
番組では、毎週月曜7時に再編集版ポッドキャストを配信中。
ここでは、初回放送となる10月3日(金)のオンエア内容をテキストで紹介する。
小学生で初舞台「ひとつの分岐点だった」
J-WAVE『KENEDIX CROSSROADS』では毎月ひとりのゲストを迎え、そのゲストの「人生の分岐点」にスポットを当てていく。今回は「ミュージシャン・水野良樹のクロスロード(分岐点)」をテーマにナビゲーターの松下奈緒とトークを展開した。松下:音楽を始めたのはどんなきっかけだったんですか?
水野:今日、運命かなって思ったんですけど、僕が初めて人前で歌ったのは小学校6年生のお別れ会だったんです。体育館で卒業生がお世話になった先生とか友だちたちに出し物をするっていう会で、僕は弾き語りをしたんです。そこで歌ったのがMr.Childrenの『CROSS ROAD』だったんです。
松下:ええー!
Mr.Children 「CROSS ROAD」 MUSIC VIDEO
松下:そこがまず「音楽っていいな」って思えるきっかけだったというか。
水野:自分の武器だなって。
松下:アキコちゃんも覚えてますかね。きっと喜んでますよ。
その後も、水野はピアノとアコースティックギターを学んだという。
松下:そこから、いきものがかりを結成されるわけですけど。
水野:高校に上がったときに帰宅部になったんですよ。そうしたら、もうひとりだけ帰宅部のやつがいて。それがのちに、いきものがかりのメンバーになる山下穂尊くんでした。山下くんは小・中・高校と一緒で、小・中ではそんなに仲がよくなかったはずなのに、帰り道が一緒になっちゃうんで、一瞬、間違えて仲よくなっちゃったんです(笑)。
松下:そんなノリだったんですか(笑)。
水野:それで何もすることないな、暇だなってしているときに、ちょうどデビューされたころのゆずさんにハマっていた山下が「路上ライブって面白そうだぞ」と。カラオケ行くにもお金がかかるけど、「路上ライブは親戚のおじさんが持ってるギターを貸してもらったらできるからやってみようぜ」ってなったんです。それで「グループ名どうしようか?」ってなったときに山下くんが思い出して、それほど接点はなかったんですけど「水やんとは小学1年のときに一緒に生き物係やってたんだよ」って言い始めて。「なんだそれ?」「いや、金魚にエサをあげてたんだよ」って言われて、そうしたら通信簿を見たら本当に「生き物係をがんばりました」って書いてあったんですよ。それがふたりの唯一の接点だったので「グループ名にしよう」っていうのが結成のきっかけですね。
山下と結成した、いきものがかり。その後、ボーカルを担当する吉岡聖恵が参加することとなる。
水野:結成から半年後かな。だんだん飽きてくるんですよ。当時の路上ライブは、みんなゆずさんのまねをして男の子ふたり組ばかりで、みんなモテたいって顔をしてるから恥ずかしくなってきて(笑)。地元では女の子との混合チームみたいなのがいなかったから、「真ん中に歌のうまい子を入れたら人が集まるんじゃない?」と思って探してたら、同級生の妹に歌のうまい子がいると。「吉岡君の妹はボイスレッスンに通ってるらしい」って。それで山下くんに言って、吉岡君の妹を誘いました。
松下:当時からプロデュース力がすごい。
水野:いやいや。田舎の高校生の友だちづくりみたいな感じでしたね。
いままでたどったことのないストーリーだった
松下は「これまでのいろんな人生の分岐点にはいきものがかりの音楽があった」と話す。松下が出演した2008年の映画『砂時計』では、いきものがかりが主題歌『帰りたくなったよ』を担当。松下がヒロインを演じた2010年放送のNHK連続テレビ小説『ゲゲゲの女房』では、いきものがかりの『ありがとう』が主題歌となるなど、松下と水野はさまざまな場面で接点を持ってきた。いきものがかり 『ありがとう』Music Video
松下:『ありがとう』って、どういうきっかけで生まれたんですか?
水野:「朝ドラの主題歌が決まりました。『ゲゲゲの女房』という作品です」と言われて。本当にプレッシャーだったんですよ。当時のいきものがかりって、たくさん曲を出して、さらに大きくみたいな時期で、そのなかで朝ドラっていう長い期間流れ続ける曲なので、どうやって書いたらいんだろうって。しかもけっこう忙しい時期で、書けなくなってた時期だったんです。
松下:そうなんですか。
水野:正直、何を書いていいかわからなくて、白紙になるくらいの。レコーディングしても自信がなくて、実は『ありがとう』は完成に至るまでにカットされたCメロがあったりとか、いろんな変遷があってここにたどり着いて。しかも「ありがとう」って、ど真ん中の言葉を使ったので、平たい曲になってしまったんじゃないかって思ってたんですけど、当時、全県ツアーで47都道府県をまわっていて『ゲゲゲの女房』が放送されていて、会場が進めば進むほど『ありがとう』に対する反応が変わっていくんです。会場のみなさんが『ゲゲゲの女房』をご覧になられているので、どんどん曲に対する思い入れが増していって、「これがヒットするってことか」みたいな。ドラマを通して浸透していく、いままでやった曲のなかではたどったことがないストーリーでした。
その年末、いきものがかりは『ありがとう』で『NHK紅白歌合戦』に出場した。
水野:『ゲゲゲの女房』を作っていたみなさんが控室にいて。
松下:俳優さんたちがズラッと並んで。
水野:自分たちもたどってきた道があって、たどり着いた紅白の舞台で、ドラマのみなさんもこのドラマを届けてきて国民的なものになって、それを背負ってきた最後に一緒になってる感動がすごくて忘れられないですね。
松下:「ありがとう」って誰しもが言う言葉だし、日常にあふれてるけど、この曲は本当にいろんな想いが込められてるんじゃないかなって。シンプルな「ありがとう」以上のものを感じる「ありがとう」だったんですよね。
水野:いろんな人が込めてくれましたよね。松下さんもそうだし。
松下:曲自体はどれくらいの期間で制作されたんですか?
水野:2、3週間だったと思います。
松下:早い!
水野:それはいつもの感じでしたけど……いや、でもできなくてつらかったな、本当に。わからなかった。判断できなくなっちゃってて、どれがいいんだろうって。でも、スタジオでディレクターだけが「これはいいぞ。もしかしたら曲として、とてつもなく長い時間聴かれるかもしれないから」って信じてくれて。
松下:そのとおりになった1曲ですよね。
「曲の主人公が浮かんでくる」水野の楽曲
いろいろな場面で交わってきたふたり。松下が2024年にリリースした9枚目のオリジナルアルバム『souNds!』では、松下の念願が叶い、水野が書き下ろした楽曲『きらりら feat.山村隆太 (flumpool)』も収録されている。きらりら
水野:大丈夫でした?
松下:この歌詞の女の人みたいに生きたいと思っちゃいました。主人公が絶対に水野さんのなかにいるんだなって手に取るように見えたし。
また、いきものがかりが4月にリリースした11枚目のオリジナルアルバム『あそび』では、松下とのコラボレーション楽曲『遠くへいけるよ meets 松下奈緒』も収録。6月からスタートしたツアーの大阪公演には松下がゲスト出演した。
松下:タイトルで「meets」っていうのもうれしい。フィーチャリングでもコラボでもなく「meets」って一緒にやってる感がすごくて。
水野:レコーディング楽しかったですよね。ピアノを弾いていただいてる横で、なぜか僕らふたりが踊っちゃって(笑)。
松下:それをガラス越しに見えて、うれしいって思って。
水野:すごく曲を華やかにしていただきました。
松下:「録ります」って言って録ったときよりも、全部録り終えたあとに記念にもう1回やったときがいちばんよかったですよね(笑)。
水野:リラックスしてね。
松下:まさに“あそび”の一環でやらせていただいた印象がありましたね。
水野:大阪公演にも来てくださって。
松下:大好きなみなさんと一緒に、大好きな曲をやれるってこんなに楽しいんだって。
水野:空気が変わる感じがあって。松下さんが入って笑顔でいてくれることによって、バンドメンバーもみんなハッピーな気持ちになるというか。
松下:めちゃくちゃ緊張してたんですよ。
水野:本当ですか? そんな感じなかったですよ。
松下:会場もボルテージが最高潮のなかに、ぴょこって出ていく緊張感。でも、ライブって楽しいなって。
水野:そうですよね。
松下:それを本当に実感できる瞬間でした。
第2回となる10月10日(金)の放送では、人見知りだという水野良樹さんが、ソロ活動HIROBAを始めた理由について語り合います。
オンエア内容は10月17日(金)28時ごろまで、radikoのタイムフリー機能で楽しめる。
毎月ひとりのゲストを迎え、「人生の分岐点」について語り合うJ-WAVE『KENEDIX CROSSROADS』は毎週金曜24時30分からオンエア。
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松下奈緒