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日本の音楽のファンを増やしたい! 国内最大規模の国際音楽賞「MUSIC AWARDS JAPAN」舞台裏を実行委員長が語る

日本の音楽のファンを増やしたい! 国内最大規模の国際音楽賞「MUSIC AWARDS JAPAN」舞台裏を実行委員長が語る

国内最大規模の国際音楽賞「MUSIC AWARDS JAPAN 2025」が5月21日(水)、22日(木)に開催された。実行委員長・野村達矢さんが、アワードの舞台裏や思いを語った。

野村さんが登場したのは、8月3日(日)放送のJ-WAVE『SAISON CARD TOKIO HOT 100』(ナビゲーター:クリス・ペプラー)のコーナー「MUSIC DON DON」。日本・世界の音楽シーンを支えるその筋のキーパーソンに“ドンドン”話を聞くコーナーだ。

受賞曲の再生回数がグンと伸びた

「MUSIC AWARDS JAPAN」は、今年新設された「世界とつながり、音楽の未来を灯す。」をコンセプトとした国内最大規模の国際音楽賞。日本をはじめ、アジアの音楽を世界に発信し、日本の音楽をグローバルに誇れるカルチャーにするとともに、海外アーティストの日本市場への進出を促進。その目的のために、日本の音楽業界主要5団体が集結した。

Grand Ceremony [授賞式] | MUSIC AWARDS JAPAN 2025

クリス:振り返ってみて、いまの心境はいかがですか?

野村:2年がかりくらいで取り組みに関わってきたんですけど、本当に大変な苦労の連続だったので、終わったあとは放心状態でしたね。疲れました。ただ、すごく評判というかリアクションもよくて、音楽ファンの人々や参加していただけたアーティストのみなさまにも喜んでいただけましたので、本当にやりがいがあったなと感じています。

クリス:日本の音楽業界主要5団体をまとめるのも大変だったんじゃないですか?

野村:大変でしたね。コロナが明けて、音楽を聴く状況がストリーミングに急激に変わっていって、そういったなかで日本の音楽が世界で聴けるっていうような可能性が急に広がったんですよね。そういうことを踏まえて、もっと日本の音楽業界がひとつになって世界に向かって行きましょうという機運が高まりました。日本の音楽業界それぞれが頑張っていましたし、ひとつになるっていうのがなかったんですが、この機会に結集して世界に向けて日本の音楽を発信していきましょうということでこういう取り組みに変わっていったんですね。

野村さんは、このアワードで「想像以上の反響をもらった」と続ける。

野村:あと、うれしかったのは今回の賞にノミネートされたり、最終的に大賞を獲った楽曲やアーティストの方々の再生回数がグンと伸びて。そういったところに成果がダイレクトにつながっていったことも大きく僕らのなかにフィードバックされてきたので、そういったことを見るとうれしいなって思っていますね。

Billboard JAPANの調べによると、国内では受賞楽曲のストリーミング数は平均31パーセント、パフォーマンス楽曲は平均49パーセント増加。海外市場では受賞楽曲が平均14パーセント、パフォーマンス楽曲が31パーセント増加したと報告している。

クリス:やったかいがありましたね。

野村:目標は達成できたかなって感じですね。ただ、来年、再来年と続けていきたいものではあるので、これが30パーセントじゃなくて40、50、100パーセントという伸びができるようにしていきたいなと思いますね。

音楽の裾野を広げていくことも目標だった

クリスは、野村さんが実行委員長として実際にどんな役割を果たしたのか、尋ねた。

クリス:いろんな意見をまとめる役なのか、意見を出すほうなのか。

野村:両方でしたね。最終的に今回は62部門になりましたけども、どういう部門を作っていくのかっていう設計から始まって、その時点で僕は携わっていましたし、その他、このアワードにたどり着くためにいろんなイベントがあったり、会場の設営や周辺イベント、あと放送メディアとのやり取りもありました。当然、ブッキングする出演者の方々とのやり取りもありましたし、そういったところとは場面場面で関わっていたり、まとめていったりっていう。両方で参加させてもらいましたね。

クリス:全62部門を決めるのって、めちゃくちゃ難しくないですか?

野村:大変でしたね。でも、アメリカのグラミー賞は100部門くらいありますからね。そういった部分では、ひとつ、グラミー賞はお手本にしましたから、もっと増やしてもいいかなとも思ったりしていたんですけど、投票していただくっていうところでは62ってけっこうな数になってくるので、今回はこれくらいかなって感じでしたね。

結果的に、62部門のなかにはさまざまなジャンルの音楽が含まれることになった。

野村:主要なものだけじゃなくてマイナーなジャンルであったり、音楽の裾野を広げていくこともひとつ我々の目標というかミッションでもあったので、そういった普段、日の目を見ないジャンルだったり音楽だったり楽曲だったりアーティストの方々にもちゃんと注目がいくようにっていう立て付けにしていきたいなっていうことで、広く62部門というジャンルを設定しました。

クリス:裏方さんへの賞もたくさんありましたよね。

野村:まだまだそういった賞も創設していきたいなと思っています。そういった方々にもちゃんとフォーカスがあたるようにしていきたいという思いがありますね。

古い楽曲もチャートインしている状況を具現化したかった

2日間にわたりロームシアター京都で開催された「MUSIC AWARDS JAPAN 2025」の受賞式は、豪華な出演者や演出で大きな話題を集めた。

MUSIC AWARDS JAPAN 2025 Highlights Reel

受賞式のオープニングショーでは、さまざまなアーティストが参加した、イエロー・マジック・オーケストラの『RYDEEN』のマッシュアップ版『RYDEEN REBOOT』が披露された。

オープニングショー 「RYDEEN REBOOT」 YMO | MUSIC AWARDS JAPAN 2025

クリス:このアーティストはどうやって選出したんですか?

野村:これはみんなで意見を交わしながら選出しました。「MUSIC AWARDS JAPAN」自体のシンボルアーツとしてYMOを選ばせていただいて。YMOは80年代のアーティストですけど、日本から世界に向けて発信して影響を与えたアーティストというところで、今回の「MUSIC AWARDS JAPAN」のあり方とYMOがリンクするなと思って、『RYDEEN』をオープニング楽曲に選ばせていただきました。『RYDEEN』自体に、いまとつながるアーティストが参加していくことで過去といまの音楽がつながって、それが世界に発信されるイメージでしたね。ロケーション場所も主に京都を使ったので、日本の文化の発信地である京都を舞台にして『RYDEEN』にみんなが参加して作っていきました。

開催から2カ月あまり経ったいま、野村さんはこのアワードをどう受け止めているのだろうか。

野村:なにせ1回目でしたし、手探りのなかでやっていきました。投票方法であったり、62部門のカテゴリーの作り方であったり、大賞楽曲の条件みたいな部分、通常のアワードだとおそらくその1年間にリリースされたものが大賞楽曲になるんですけど、今回はあえて1年間にチャートインした楽曲にしたんです。だから古い楽曲も入ってきた。これはストリーミング時代になってからの特徴なんです。ストリーミングになって古い楽曲もチャートインしている状況をちゃんと具現化したいなと思って、その年のリリース楽曲だけじゃない楽曲も大賞楽曲にしていったところで、結果的には「古い楽曲が多いんじゃないの?」ってこともおっしゃっている方も多かったので、来年はそこらへんのチューニングをしていこうかなと考えています。

クリス:それって、裏を返せば話題曲ってことですよね。

野村:そうなんです。ロングヒットしているっていうカテゴリーを作るのもありなのかなって。

日本の音楽ファンになってもらえるようなムーブメントに

野村さんはこれまで、BUMP OF CHICKEN、サカナクション、KANA-BOON、THE ORAL CIGARETTES、The fin.など、さまざまなアーティストを仕掛けてきた。

クリス:日本の音楽を世界に発信する取り組みをされているなかで、今後どんな夢を持たれていますか?

野村:日本の音楽は、ボーカルを聴かせるアーティストからロックバンドもあるし、ヒップホップもあるし、多彩なジャンルで活躍していて、才能があるアーティストもたくさんいますので、もっとそういうところを海外の人たちに聴いていただきたいと思います。また、先ほど話にも出ましたけど、過去の楽曲でももっと世界で広めて聴いていただけるような楽曲ってあったはずですし。シティポップなんかがそういう現象で掘り起こされて日本の80年代の音楽が聴かれるような現象もありましたけど、そういうことも含めて多彩な楽曲を海外の方々に聴いてほしいなってすごく思いますね。それがひとつのジャパン・ファンというか。日本の音楽のファンになってもらえるようなムーブメントになっていくといいなと思います。

クリス:最近、日本人アーティストの海外進出がめまぐるしいですが、K-POPとは違うJ-POP的な方向性はどうお考えですか?

野村:最初の取りかかりは、オタクカルチャーにひも付いていると思いますね。アニメであったり、ボーカロイドもひとつのきっかけになっていたりとか、ゲームだったりとか。そういったところから広がっていくきっかけになっているのが多いですけど、それがどんどん浸透していくことによって、今度は日本のカルチャーそのものに興味を持ってもらう。それが広くなってJ-POPにつながっていくみたいな構図ができるといいなと考えています。

「MUSIC AWARDS JAPAN 2025」の詳細は公式サイトまで。

『SAISON CARD TOKIO HOT 100』ではさまざまなデータをもとに、世界の音楽シーンからJ-WAVEが厳選した100曲をカウントダウン。放送は毎週日曜の13時から。

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番組情報
SAISON CARD TOKIO HOT 100
毎週日曜
13:00-16:54

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