SUPER EIGHT・安田章大が明かす、病気を経て変化した「アイドル観」「人生観」

SUPER EIGHTの安田章大が8月25日(月)から8月28日(木)、J-WAVEにゲスト出演した。病気を経て変化したアイドル観や、9月11日(木)に発売となる写真集『DOWN TO EARTH』の撮影秘話など、仕事から私生活、考え方に至るまでたっぷりと語った。

安田が登場したのは、クリス智子がお届けする『TALK TO NEIGHBORS』。この番組は毎週ひと組、クリスがいま声を届けたい人を迎える30分のトークプログラムだ。

病気を経て「ありのままに生きようと、もがき始めた」

安田章大は1984年生まれ、兵庫県出身。2024年にデビュー20周年を迎えたSUPER EIGHTのメンバーとして活動しながら、俳優としてさまざまな作品に出演している。自身の誕生日となる9月11日(木)には、約5年ぶりとなる写真集『DOWN TO EARTH』(講談社)を発売する。

安田章大「DOWN TO EARTH」/講談社

クリス:『DOWN TO EARTH』というタイトルには、どんな思いが込められていますか?

安田:この写真集のコンセプト自体が自分自身、本当に飾らず、ありのままに写る必要があるし、生きていこうっていう思いが自分の中にあって。それは、自分の過去の病気を経てではあるんですけど、だから写真を撮るコンセプトとして、僕が普段していることをLA(ロサンゼルス)で住んでやっているならこんなことをするだろう、っていうことばかりを並べてみました。

クリス:2017年に脳腫瘍を患い、そのあと2020年に写真集『LIFE IS』(マガジンハウス)を出されていて、そちらは北海道・根室で撮影されています。そして、今回の『DOWN TO EARTH』とつながります。この2冊はどちらも「自分自身の人生」とか「人間とは」「自分とは」などとすごく向き合われているように感じました。

安田:そうですね。病気をしてから「自分の人生とはなんぞや?」とか「生き方はこれでいいのか?」とか「いままで作ってきたかたちがアイドルとして正解なのか」っていうところに自問自答していく時間が多かったので。『LIFE IS』を撮影するときには、岡田 敦さんという写真家を僕からオファーして一緒に撮りたいとお願いしました。岡田さんは自傷行為をされてきた方々とずっと向き合ってきて綴った本を出されたりして、その後にも『I am』(赤々舎)という写真集を出されていて、その方に「僕の人生を撮ってほしい」と思ってオファーをして。

クリス:そうでしたか。

安田:岡田さんは根室市の無人島・ユルリ島で野生の馬の写真を撮り続けている方でもあり、生と死が混在するところに近い場所というのが根室じゃないのかってお話いただいて撮りました。

「生と死」をテーマにした『LIFE IS』について、安田は制作時に葛藤があったと振り返る。

安田:脳腫瘍の病気をしてから1年ちょっと経って、今度はてんかんも起きて亡くなりかけて。そこからありのままに生きようと、もがき始めたんでしょうね。まだ葛藤中とか模索中が続くなかで、自分が病気のことですぐに発表もできなかったし、そこから4、5年くらいは怒ったり泣いたりわめき散らしたりを家でひとりでやり続けていたので、そのままを表現して生きると死ぬを表現できたらいいなっていうので。そのときに生まれているエネルギーって、そのときに撮らなかったら消えていくものだと思うので、アートを残そうということを岡田さんとの合言葉で作ったのが『LIFE IS』でした。

クリス:それは、生と死を俯瞰して見ていたってことですよね。

安田:俯瞰してましたね。あとは、『DOWN TO EARTH』もそうですけど、自分自身の体験とか経験とか持っているエネルギーみたいなものを表現することによって、誰かがこれをエネルギーとして使ってくれるのではないか、みたいなことを感じていたので、時代に残す必要があるんじゃないかなって。

写真に映るのは「ありのままに生きる姿」

写真集『DOWN TO EARTH』のタイトルは、撮影を終えたあとに生まれたものだと安田は明かす。

クリス:最初にタイトルがなかったっていうのが、わかるような気がします。もし、LAに住んでいたらどうなのか、生きていることを向こうで楽しんでみたらどうなのかっていう感じがするんです。

安田:コンセプトはそのとおりで、極端に聞こえるかもしれないですけど、生活場所は日本に置く必要がなくて、グループのために日本に帰ってくるでいいんじゃないっていうふうに思っていて。自分が向かいたい場所に向かって、でも守らなきゃいけないものはちゃんと守って、大切にする人は泣かさないように大切にして。だけど、いつ死ぬかわからないし、明日死んでるかもしれないんだったら自分の生きたいように生きて、人を納得させるっていうのがいいんじゃないかなっていうふうに思っていて。ありのままに生きてるのがたまたまLAだったらこうなった、っていう写真たちの集まりって感じかもしれないですね。

クリス:なるほど。

安田:なので、公開している写真でアボカドをふたつ食べてビールを飲んでる写真があるんですけど、これ朝8時とか9時くらいだったんですよね。

安田:僕、朝からお酒を飲む人で、写真集の撮影でもたくさん飲んでます。

クリス:これも素のままでね。

安田:そうです。何も隠さずにして、なんなら写真のレタッチもほぼ入ってないんです。「それもしてほしくない」って言って。そのままで写さないと、特にこんなふうに撮ってる写真集だから意味がなくなってきちゃうので。

クリス:好きな場所だからLAで撮られたんですか?

安田:LAって、アメリカンドリームって言われるようなものが転がってるひとつの場所でもあると思うんですけど、自分で自分の道を作るうえで、いままでは大きな事務所の力のおかげでいろんな仕事をさせていただいたりとかあったと思うんですけど、これから41歳になりますけど、自分が0歳に戻る感覚なんですね。いまはもう一度、自分のことを自分で成長させるために、と考えたときに、LAでたとえばオーディションを受けて、自分でアメリカの映画の役を勝ち取ってみるとか。そういうことを考えたときに、もしかしたら夢が転がってる場所なのかもなって。音楽もしかりなんですけど、路上ライブをして、とある方に目が留まればその人からお話が広がるかもしれないし。特にクリエイターとかが至るところにいますから。

「アイドル」に感じる変化

長年グループとして、またソロとして活動してきた安田にとって、それぞれに注ぐエネルギーは異なるのだろうか。クリスが尋ねた。

安田:昔は、ソロとグループは分けたような考え方だったと思います。グループ内ではグループのバランスというのがあるでしょうし、人間関係、キャラクターの見え方っていうのもあるだろうし。いまも心がけてはいますけど、それでも1回しかない人生であるからこそ、グループ内とグループ外の個人をなるべく分けないようなかたちにするようになりましたね。

クリス:時間も体も使うのは自分ですからね。

安田:そのままでいることによって愛してもらえる率とか割合が上がるなって思いました。だから、そんなかたちにたどり着いたのかなって。

クリス:アイドルでいるということについて、いまはどんなお考えを持っていますか?

安田:すごく便利ですね。たくさんの方がアイドルという視点だけで目を向けてくださるし、そのうえで「どういうことを発言するんだろう」「どういう行動を起こすんだろう」と見てもらえることが、イコール便利っていうことだと思うんですね。あと“広告塔”になれるので、自分が伝えたいことをそのまま伝えれば、変な受け取り方をする方もいるにしても、広がってくれる。いままでアイドルというのは、誰かにとっての都合のいいもの、それこそ便利であったほうがいいものだった。でも、そこを乗り越えて、「おいおい、どこに行くんだ。その背中」って思うような、ありのままに生きていた背中が、いつの間にかすさまじくたくましく、かっこよくて、ついていきたくなってしまったな……というようなものが、僕が思う本当のアイドルの姿なんだなというふうに感情が変わったんです。過去といまのアイドルというもの自体がかなり変わりましたね。偶像から実像に変わったことが、大きな違いかもしれないです。

安田は、数年間にわたり「アイドルがこんなに“らしく”真っすぐ生きていいの?」と、追いかけてくれるファンに戸惑いが生じている様子を見てきたと語る。

安田:でも、その姿を見続けてくれた人、僕のことをまだ好きでいつづけてくださる方は、ここ近年、逆に尊敬したり励みになったり生き方の参考になったり、と言ってくれるようになってきたんです。誰かが「自分の人生は間違ってる」って言ったとしても、自分が「生き方を間違ってない」って背中をさすってあげられれば、誰かの背中もいつかさすってあげることができるんだな、っていうことにたどり着いた感じです。

クリス:でも、その(変化があった)数年はまあまあですよね。

安田:仲のいい友だちと決別したりもありましたし、いま戻ってきた仲間もいれば、離れて行った仲間も。世の中には命がなくなるとかに目を向けられない人もたくさんいて、あと言葉にしていることを耳にしたくない人もたくさんいるんですよね。それを僕は口にして行動に起こしてきた分、ハレーションっていうものは起きてきたので、それをおびえずに恐れずに届けてきたいまって感じですかね。

クリス:また新しい責任も加わった感じですかね。

安田:そうですね。責任と覚悟っていうのは、いまこの生き方をするうえですごく必要なんだなって思っています。

クリス智子がお届けする『TALK TO NEIGHBORS』は、J-WAVEで月曜〜木曜の13時よりオンエア。ポッドキャストでも配信中。
番組情報
TALK TO NEIGHBORS
月・火・水・木曜
13:00-13:30

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