
麻布台ヒルズ ギャラリーで開催中の「高畑勲展―日本のアニメーションを作った男。」に注目した。
この内容をお届けしたのは、8月6日(水)放送のJ-WAVE『PEOPLE’S ROASTERY』(ナビゲーター:長井優希乃)の「MORI BUILDING GO NEXT TOKYO」。東京でいま、知りたい、見たい、行きたい、感じたい、さまざまなトピックスを紹介するコーナーだ。
高畑 勲は日本を代表するアニメーション映画監督。1970年代に『パンダコパンダ』『アルプスの少女ハイジ』『赤毛のアン』などの演出・監督を担当。1985年にスタジオジブリの設立に参加し、『平成狸合戦ぽんぽこ』『ホーホケキョ となりの山田くん』『かぐや姫の物語』などを手がけた。
風間:高畑さんは東京大学仏文学科を出ておられるんですけども、東映動画(現・東映アニメーション)に入られて、『太陽の王子 ホルスの大冒険』(1968年公開)という映画を作られるんですね。そこからさまざまなキャリアが始まっていくのですが、高畑さんがどういう作品をどういう流れで作っていったのかがわかる展覧会になっています。たとえば、1990年代の作品でいえば『おもひでぽろぽろ』や『平成狸合戦ぽんぽこ』があります。これらが、どんな視点で作られていったのか、日本人の暮らしとはどういうものかを丁寧に観察し、その“生活”をアニメーションとして丁寧に紡いでいったことがよくわかる展覧会になっています。
「高畑勲展―日本のアニメーションを作った男。」の企画は、スタジオジブリ学芸室の田中千義が担当している。
風間:田中さんは、実際に高畑さんと一緒にアニメーション制作をされた方です。そのため、高畑さんのことをよく理解したうえで展覧会を作られていることが、伝わるのではないかと思います。
長井:展示では、高畑さんの思考が見えてくるようなメモがたくさんあります。セル画も豊富に展示されていて、アニメーションの登場人物をどのようにレイアウトしていったのかを辿ることができました。また、登場人物の思考の流れを時系列で丁寧に書き込んだ資料もあり、チームワークによってアニメーション作品が作られていることが、よく伝わってくる展示になっています。
風間:『火垂るの墓』の展示をするにあたり、企画側でいろいろと話をしました。単純に反戦を訴えるような映画ではないので、その部分に気をつけて展示をしていこうという話が大本にありました。『火垂るの墓』の基本コンセプトは反戦ではなく、人間とはどんなふうに生きているのか、コミュニケーションがどれだけ大事なのかを重視していたというお話があります。
『火垂るの墓』では、兄妹がそれまで世話になっていた家を出て、ふたりだけで暮らそうとする。しかし、幼いふたりにとって自立して生きていくのは困難で、他者の助けがなければ生き延びることはできない。劇中では、そうしたなかで人とのコミュニケーションを諦めてしまう様子が描かれている。
風間:実は『火垂るの墓』は、人と人とのつながりを断ち切らないことの大切さ、コミュニケーションができなかったときのやるせなさが浮き彫りになっている作品なんです。映像を通して、コミュニケーションや人との対話の大切さを、あらためて見つめ直してほしいと思いました。
長井:『火垂るの墓』は戦時下で親を喪って、どうにかふたりで生き抜こうとした兄妹の姿を描いた映画ですけども、人間の生と死の話なので、私たちの話でもあるなと思います。この作品が日本に残っているのはすごく大切なことだなと感じます。日本のNetflixでも配信がスタートしましたし、テレビでも7年ぶりに放送されることが決定しています(※記事公開日である8月15日にテレビで放送された)。ぜひ、作品を観たあとでも展覧会を訪ねてほしいと風間さんはおっしゃっていました。
最後に、風間さんは「真剣にものづくりをされている方にぜひ来ていただきたいです」と呼びかける。
風間:高畑 勲さんは、いまのアニメーションを作ってきた方だと思っています。フランス映画『やぶにらみの暴君』を若いころに観て、「自分の思想を映像に託して作ることができるんだ」と感動して、アニメーションの世界に入っていきました。高畑さんご自身が周りの方を感化するようなアニメーションを常に走り続けて作っておられるので、特にクリエイター、ものづくりをされている方は、食い入るように高畑さんの世界をご覧になられていますね。ぜひ、この機会に見に来ていただきたいです。
「高畑勲展―日本のアニメーションを作った男。」の詳細は公式サイトまで。
J-WAVE『PEOPLE'S ROASTERY』のコーナー「MORI BUILDING GO NEXT TOKYOでは、東京を楽しむさまざまなトピックスを紹介。放送は月曜~木曜の13時45分ごろから。
この内容をお届けしたのは、8月6日(水)放送のJ-WAVE『PEOPLE’S ROASTERY』(ナビゲーター:長井優希乃)の「MORI BUILDING GO NEXT TOKYO」。東京でいま、知りたい、見たい、行きたい、感じたい、さまざまなトピックスを紹介するコーナーだ。
高畑 勲が歩んだ軌跡を作品を通して振り返り
「高畑勲展―日本のアニメーションを作った男。」が、麻布台ヒルズ ギャラリーで6月27日~9月15日(月・祝)の期間、開催中だ。8月7日(水)の「MORI BUILDING GO NEXT TOKYO」には、同展をプロデュースした、森ビル株式会社の風間美希さんがコメント出演。展示の詳細や見どころを語った。高畑 勲は日本を代表するアニメーション映画監督。1970年代に『パンダコパンダ』『アルプスの少女ハイジ』『赤毛のアン』などの演出・監督を担当。1985年にスタジオジブリの設立に参加し、『平成狸合戦ぽんぽこ』『ホーホケキョ となりの山田くん』『かぐや姫の物語』などを手がけた。
風間:高畑さんは東京大学仏文学科を出ておられるんですけども、東映動画(現・東映アニメーション)に入られて、『太陽の王子 ホルスの大冒険』(1968年公開)という映画を作られるんですね。そこからさまざまなキャリアが始まっていくのですが、高畑さんがどういう作品をどういう流れで作っていったのかがわかる展覧会になっています。たとえば、1990年代の作品でいえば『おもひでぽろぽろ』や『平成狸合戦ぽんぽこ』があります。これらが、どんな視点で作られていったのか、日本人の暮らしとはどういうものかを丁寧に観察し、その“生活”をアニメーションとして丁寧に紡いでいったことがよくわかる展覧会になっています。
「高畑勲展―日本のアニメーションを作った男。」の企画は、スタジオジブリ学芸室の田中千義が担当している。
風間:田中さんは、実際に高畑さんと一緒にアニメーション制作をされた方です。そのため、高畑さんのことをよく理解したうえで展覧会を作られていることが、伝わるのではないかと思います。
長井:展示では、高畑さんの思考が見えてくるようなメモがたくさんあります。セル画も豊富に展示されていて、アニメーションの登場人物をどのようにレイアウトしていったのかを辿ることができました。また、登場人物の思考の流れを時系列で丁寧に書き込んだ資料もあり、チームワークによってアニメーション作品が作られていることが、よく伝わってくる展示になっています。
『火垂るの墓』で伝えたかったことを展示でも反映
2025年は高畑の生誕90周年という節目であり、太平洋戦争の終戦から80年を迎える年でもある。こうした背景から、1988年公開の監督作品『火垂るの墓』にフォーカスした資料も展示されている。風間:『火垂るの墓』の展示をするにあたり、企画側でいろいろと話をしました。単純に反戦を訴えるような映画ではないので、その部分に気をつけて展示をしていこうという話が大本にありました。『火垂るの墓』の基本コンセプトは反戦ではなく、人間とはどんなふうに生きているのか、コミュニケーションがどれだけ大事なのかを重視していたというお話があります。
『火垂るの墓』では、兄妹がそれまで世話になっていた家を出て、ふたりだけで暮らそうとする。しかし、幼いふたりにとって自立して生きていくのは困難で、他者の助けがなければ生き延びることはできない。劇中では、そうしたなかで人とのコミュニケーションを諦めてしまう様子が描かれている。
風間:実は『火垂るの墓』は、人と人とのつながりを断ち切らないことの大切さ、コミュニケーションができなかったときのやるせなさが浮き彫りになっている作品なんです。映像を通して、コミュニケーションや人との対話の大切さを、あらためて見つめ直してほしいと思いました。
長井:『火垂るの墓』は戦時下で親を喪って、どうにかふたりで生き抜こうとした兄妹の姿を描いた映画ですけども、人間の生と死の話なので、私たちの話でもあるなと思います。この作品が日本に残っているのはすごく大切なことだなと感じます。日本のNetflixでも配信がスタートしましたし、テレビでも7年ぶりに放送されることが決定しています(※記事公開日である8月15日にテレビで放送された)。ぜひ、作品を観たあとでも展覧会を訪ねてほしいと風間さんはおっしゃっていました。
最後に、風間さんは「真剣にものづくりをされている方にぜひ来ていただきたいです」と呼びかける。
風間:高畑 勲さんは、いまのアニメーションを作ってきた方だと思っています。フランス映画『やぶにらみの暴君』を若いころに観て、「自分の思想を映像に託して作ることができるんだ」と感動して、アニメーションの世界に入っていきました。高畑さんご自身が周りの方を感化するようなアニメーションを常に走り続けて作っておられるので、特にクリエイター、ものづくりをされている方は、食い入るように高畑さんの世界をご覧になられていますね。ぜひ、この機会に見に来ていただきたいです。
「高畑勲展―日本のアニメーションを作った男。」の詳細は公式サイトまで。
J-WAVE『PEOPLE'S ROASTERY』のコーナー「MORI BUILDING GO NEXT TOKYOでは、東京を楽しむさまざまなトピックスを紹介。放送は月曜~木曜の13時45分ごろから。
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