imaseが明かす、松任谷由実との共作の裏側。かっこよさを感じた“大人な返し”とは?

imaseがJ-WAVEに登場し、TENDRE&田中シェンと街や創作について語り合った。松任谷由実と共作した楽曲『文通』の制作秘話も明かした。

imaseが登場したのは、7月19日(土)放送のJ-WAVE『KDDI LINKSCAPE』(ナビゲーター:TENDRE、田中シェン)のコーナー「CONNECTORS AVENUE」。番組は、Spotifyなどのポッドキャストでも聴くことができる。

・ポッドキャストページ

【J-WAVE NEWS編集部より】
imaseさんは現在、体調不良のため活動を休止されています。本出演は活動休止前に収録されたものです。一日も早いご回復をスタッフ一同願っております。

もともとはスポーツ少年だった

imaseは2022年にリリースされた『NIGHT DANCER』の海外でのヒットも記憶に新しいが、ほかにも多数の楽曲を発表。タイアップやコラボレーションも含めると、2024年から2025年5月までのおよそ1年半で21曲をリリースしている。

TENDRE:そんなimaseさんの共創(きょうそう)でつながる力について、訊いていこうと思います。まずはimaseさんと街とのつながりですが、好きな街はありますか?

imase:僕は岐阜県出身なのですが、岐阜に美濃加茂市という場所がありまして。高校時代に友だちとよく遊んでいた場所で、青春時代を過ごした場所です。僕は外で遊ぶのが好きで、よくスポーツもしていたので、フットサルや草野球、スケボー、ボウリングなど、ここで過ごしていました。自分のいちばんの思い出の街と言っても過言じゃないです。

TENDRE:生まれも育ちも、という感じ?

imase:ほぼここですね。

TENDRE:いま大人になったimase視点で言うと「こういう街だな」というイメージはありますか?

imase:田舎なんですが、東京に出てくるまでは自分のなかでは都会だと思っていて(笑)。

TENDRE:遊ぶスポットは、どういうところがあったんですか?

imase:美濃加茂に川があって。その川付近にも公園があったりして、開けた場所が多かったので、スポーツをするにも適していました。

TENDRE:かなりアクティブだったんですね。

imase:運動は得意なほうで、小学校から高校までサッカーをやっていて、中学校まではプロサッカー選手を目指していました。音楽をやるよりも自分の夢はずっとプロサッカー選手で、そのぐらいスポーツは得意で好きでした。

田中:意外です。

TENDRE:ちなみに、地元の友だちはいまでもよく会ったりするんですか?

imase:仲いいですね。それこそ岐阜の近くでライブをするときは、みんな遊びに来てくれたり、地元に帰ってもみんなで一緒に美濃加茂で遊んでいます。いつまでも仲よくしてくれるのが、すごくいいなと思います。

田中:うれしいですよね。

TENDRE:サッカーしていた友だちが、いまや音楽のライブを応援しに来てくれているんですね。

imase:ライブ中はめちゃめちゃ盛り上げてくれて、一緒に楽しんでくれます。素直に一緒に喜んでくれるというか。楽曲が出たときにも「あれ聴いたよ」「CMで聴いたよ」「街中で観たよ」と連絡をくれたりして、優しい友だちだなと思います。

TENDRE:ほかに気になっている街はありますか?

imase:京都がすごく気になっていて。岐阜にいたときは、車で2時間ぐらいで行ける場所だったので、地元の友だちと行ったりしていました。鴨川が見えるあたりとか、ああいう風情のある街並みってすごく素敵だなと。日本特有な感じがするじゃないですか。そういうところにいると落ち着くし、気持ちが安らぐなと思って。

TENDRE:京都旅行もそのうち行きたいですね。

imase:時間を作ってゆっくり行ってみたいですね。そういう場所でこもって制作とかもしてみたいなと思います。

TENDRE:そもそも歌詞とかはどういうタイミングで書くんですか?

imase:おうちでひたすら歌詞を考えるときは考えるし、移動時間中に時間があるときも小まめに考えたりします。

田中:サッカー少年から音楽に転向したきっかけは?

imase:20歳のときに友だちがアコギを購入したんです。歌うのは昔から好きだったんですが、それまで特に音楽でなにかしたいとかは思っていなくて。ただ、アコギで弾いている友だちを見て最初は弾き語りから始めたいなと思い、ギターを購入したのがスタートです。

田中:すぐに弾けるようになったんですか?

imase:いや、全然。いまも全然弾けないですけど(笑)。

TENDRE:いやいや。そうか、それがスタートだったんですね。

田中:勝手に、アプリとかで作っているのかと思っていました。

imase:制作はそれこそアプリというか、パソコン上で作っています。

田中:それも独学で、YouTubeとか観ながら?

imase:YouTubeでほかの人のを参考にしながら作っていました。

TENDRE:ChatGPTとかもそうだけど、いまは情報の探り方はめちゃくちゃ広いですよね。情報の収集の仕方はめちゃくちゃ多用だから、すごく面白いなと思います。

imase:しかも海外のトラックメイカーの人の作り方とか、いろいろな国のやり方、トレンドもすぐにわかるので、いい時代に始めたなと思います。

タイアップのときに意識する「バランス感」

番組ではimaseの『ミスター・ムーンライト』をオンエア。7月11日にリリースされた同曲はテレビアニメ『ホテル・インヒューマンズ』(テレビ東京系列)のオープニングテーマになっている。

【imase】ミスター・ムーンライト(MV)

TENDRE:アレンジがめちゃくちゃいい感じですね。これはどういうふうに楽曲を作られたのでしょうか。

imase:1年半前とか、けっこう前に制作した楽曲です。『ホテル・インヒューマンズ』は、ホテルにいろいろな殺し屋が来て、そのためにいろいろなものを調達したり、手助けをしてあげるという物語なんです。一見、内容だけ聞いたら怖いストーリーなのかなと思いますが、読んでみるとタッチも含めて、華やかで美しい作品になっていて。だから、楽曲もそういった意味では華やかにしたいなと思って、デモの段階からブラスとかは入れていました。それを今回はアレンジャーの久保田真悟(Jazzin'park)さんという、いつも一緒にやっている方がいるんですが、さらにブラッシュアップして華やかにしてくださって。素敵な楽曲になりました。

TENDRE:イメージが全部つながっている感じがあります。音に現れているというか。タイアップのときは、普段どういう意識を持って作ることが多いですか?

imase:もちろんタイアップ先の方と話し合うというのもありますが、寄せる部分と、自分の「やりたいな」とそのとき思っていることのバランスを意識しています。このときはジャジーなセクションを作ったりとか、ブラスとか、そういったものをやってみたかったので。ほかの楽曲もそこのバランス感を意識して作っていますね。

TENDRE:そこのバランスがimaseってすごくいい塩梅だと思いました。メロディの泳ぎ方とか「こういうのやりたいんだろうな」というところと、音の華やかさと派手さだったりとか、そこのバランスが毎回面白いなと思って聴いています。

imase:いやあ、うれしいです。ありがとうございます。

松任谷由実との楽曲制作は「あえて打ち合わせなし」

ここからはimaseの「共創でつながる力」について話を訊くことに。テーマに沿った印象的な曲を尋ねると、imaseは『NIGHT DANCER』をピックアップした。

【imase】NIGHT DANCER(MV)

imase:『NIGHT DANCER』は自分のアーティスト人生にとっても、転機になった楽曲ですし、人とのつながりによってすごく広まった曲だなと感じています。この楽曲はHoodie famさんというダンスグループがダンスの振り付けを考えてくださって、SNSでいろいろなアーティストの方やインフルエンサーの方が踊ったり、広めてくださって。あとは歌ってくださったりして、それによってすごく広まっていったなと感じています。

TENDRE:多方面に広がっているなとわかったときの心情は、どんな感じでしたか?

imase:全然、現実味がなかったですね。それこそ『NIGHT DANCER』をリリースしたタイミングではまだ岐阜にいました。岐阜のすごく田舎に住んでいたので、まだ当時はライブとかもやっていなくて。だから、お客さんの反応というか、生の反応も全然わからない。SNSとかで楽曲が伸びているのは見て感じられるけど、そういった意味では当時は全然、実感が湧きませんでした。

TENDRE:初ライブがいつですか?

imase:2年前の3月です。

TENDRE:そのときに得たもので、いまでも生きているものはありますか?

imase:そうですね。いまもみんなで一緒に作っている感じというのはありますし、ライブのやり方や見せ方とか、まったくわからない状況からのスタートだったので。そういうのをいろいろ教えていただいたりしたのが、いまの自分につながっているなと感じます。

TENDRE:そして最近、心躍ったコラボレーションがあったんですよね?

imase:ユーミン(松任谷由実)さんとの楽曲制作が、本当に心躍りました。ユーミンさんと一緒に『文通』という楽曲を共作させていただいて。この制作のスタイルが面白くて「あえて打ち合わせなしで始めましょう」みたいなことから始まりました。

【imase×松任谷由実】文通(MV)

TENDRE:それはセッションから始めましょうみたいなことですか?

imase:顔合わせすることなく、自分からまずデモをお送りするようなかたちで作り始めました。緊張するわけですよ、どういう反応がユーミンさんから返ってくるのかもわからないし。でもただ、そういう制作の仕方はやったことがなかったし、逆に面白いなと思って。ユーミンさんにちょっと訊きたいことをAメロの歌詞で訊いちゃおうみたいなことを思って。

曲のAメロ部分でユーミンに訊きたいことを綴ったimaseだったが、返ってきた歌詞の冒頭は「教えない」という内容。そんな「大人な返し」にかっこよさを感じたという。メロディについては、曲先行で作っていったそう。

imase:『文通』も最初、ユーミンさんとやるときに「ボサノヴァがいいな」と思っていたんです。ユーミンさんもボサノヴァの楽曲を出しているし、自分の声にも合うかなと思って。最初に楽器なのかドラムなのかで軽いトラックを作ってから「こういうジャンルやりたいな」と決めてからメロを乗せることが最近は多いですが、メロ先行で作る曲もいいなと思ったりします。

TENDRE:これはたぶん、特にいま思う人が多い気がする。トラックミュージック、いわゆるビートを最初に作って。ラッパーとかの場合はそこに乗っけるのが主流だったりするんですけど、歌って情報量がそもそもめちゃくちゃ多いから。歌がよかったら、逆にトラックはなんでもめちゃくちゃかっこよくなるんです。

imase:たしかに、メロがよかったら。

TENDRE:という感覚はすごく自分自身もあって。そういう流れ、ありますよね。

imaseの最新情報は公式サイトまで。

imaseプロフィール
岐阜出身、24歳の新世代男性アーティスト。音楽活動開始1年足らずでTikTokで楽曲をバイラルさせ2021年12月にメジャーデビュー。「NIGHT DANCER」は韓国配信サイト“Melon”でJ-POP初のTOP20入りを果たし、SpotifyバイラルチャートTOP50に48の国と地域でランクインするなど世界各国でもバイラル。「第65回 輝く!日本レコード大賞」にて優秀作品賞を受賞し、韓国で開催されたMMA 2023、CCMA 2023に日本人アーティストとして初出演、初受賞を果たすなど国内外で活躍の場を広げ続けている。 2024年5月には待望の初アルバム『凡才』をリリース。同年、初のアジアツアーと東名阪ホールツアーを完遂。2025年4月からは初の全国ホールツアー、7月には初の日本武道館公演を開催。

人、街、そして、音楽やカルチャーでつながる「ワクワクする未来」を描くプログラム『KDDI LINKSCAPE』は毎週土曜16時からオンエア。
番組情報
KDDI LINKSCAPE
毎週土曜
16:00-16:54

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