株式会社AGRIKO 代表取締役で、俳優、J-WAVEナビゲーターとしても活躍する小林涼子が、農業に触れたことで変化した価値観について語った。
小林が登場したのは、J-WAVE『SEVEN BANK GLOBAL BUSINESS CHARGE』(ナビゲーター:西脇資哲)。週替わりのゲストを招き、いま必要な知識や感性、起業へのモチベーションをシェアする番組だ。ここでは、7月14日(月)のオンエア内容をテキストで紹介する。
番組は、Spotifyなどのポッドキャストでも聴くことができる。
・ポッドキャストページ
俳優として、さまざまなドラマやCMなどに出演する傍ら、起業家としても活動する小林に、西脇は「『メイン(の仕事)はどちらか?』と訊かれたら、どんなふうに答えますか?」と質問する。
小林:「半々です」と、お伝えしています。どちらも「100パーセント、全力を振り絞って投球中!」というところでございます。
西脇:俳優としては、子役でデビューなさったのですよね。これはご自身の希望ですか?
小林:4歳のころに幼稚園の同級生が(芸能活動を)やっていたから、「私も!」くらいの軽いノリでした。両親のおかげで、そういったところでキャリアをスタートできました。
西脇:その際、同級生のお友だちをご覧になってどう思ったのでしょう?
小林:「かわいいお洋服を着てる、いいなぁ!」みたいな(笑)。
西脇:羨ましかったんですね。
小林:そうですね。「演技をしたい」とか「表に出たい」というよりは、「楽しそうだな」という気持ちでしたね。
西脇:実際に子役としてスタートした際には、「楽しそうだな」という思いは味わえましたか?
小林:もちろん、楽しい部分もありました。でも子どもなので、現場とかで夜遅くまでかかったり、長く立っていないといけなかったりすると、疲れてぐずったりすることもあるんですよね。そういうときに、母に「やりたかったんでしょ?」「お仕事だから」と言われて、“お仕事”というものについて、怒られたりもしながら学んでいきました。もちろん、厳しさもあったけれど、それはそれで、私のなかの「楽しい」に入っていましたね。
小林:20代、思うようなキャリアを描けず頑張れば頑張るほど焦ってしまい、少し疲れてしまったときに、それを見ていた両親から「新潟、行ってみない?」と、農業に誘われたんです。
西脇:リフレッシュも兼ねてということでしょうね。ご家族からそういう提案があった際に、小林さんはどう思いましたか?
小林:「え、農業?」って(笑)。当時は、俳優業に生きる「何か」技術的なものを身につけていく感覚というか、ロールプレイングのような「これをやれば、何かうまくできるんじゃないか」みたいなものを追い求めていたんですけど、農業ってそれとは全然違う価値軸だったので……。
西脇:それまで、農業の経験はないですよね?
小林:食育がすごく豊かな家庭だったので、いちご狩りに行ったり、たけのこを掘ったりとか、家族の旅行として行ったことはあります。それがいまのようなキャリアを築いてくれるとは思っていませんでしたし、まして焦って溺れそうな自分にとって、急に提案された農業というのはあまりにも遠い存在でした。
西脇:そう思って行った場所では、具体的にどのようなお手伝いをしましたか?
小林:「え、農業?」となっている私に対して、新潟の方々はすごく優しくて、「稲刈り機に乗ってみるか」「田んぼで田植え機に乗ってみるか」といった提案をしてくれて、「ちょっと面白いかも?」と思いました。私に何ができるかというと、たいしたことはできませんから、横で苗箱を洗ったり、(田んぼの)端のほうの機械が入れないような細い道に、手で苗を植えていったりというお手伝いをしていました。
西脇:それでも、かなりリフレッシュできたんじゃないですか?
小林:埋まっていなかったところを植えていったときの達成感というか、すごいですよね。「きれいに植えられた!」という気持ちになりましたし、単純に作業に没頭するというのはすごく気持ちのいい経験でした。
農業を通し、自身の心情に生じた変化を、小林は次のように語る。
小林:最初は「農業?」と驚きましたし、私はそのとき農業に対する知識がなかったので、稲と芝の違いもわからないくらいでした(笑)。でも、緑の草だと思っていたものがお米になっていくって、すごいですよね。また、1年に1回の収穫を目指して、みんながこれだけ努力をしているということ、そして収穫したあとのお米のおいしさといったら本当に! その達成感に魅せられて、「楽しい」と思うようになっていきました。
西脇:稲刈りや田植えをすると、手も体も汚れますし、非常に疲れます。また、稲刈りだと稲が顔に当たるなどの嫌な感じもありますよね。そういったマイナスの面は、どう捉えましたか?
小林:東京と新潟はすごく価値観が違っていて、最初は東京の価値観に染まっている私なので、やはり「おっと……」という気持ちもあったんですけど、「土の気持ちよさ」みたいなものに段々気づきました。そうやっていくうちに、自分の凝り固まっていた東京での価値観というのは、決してそれだけが正解ではなくて、「新潟の価値観」というものもあるんだなと(考えられるようになりました)。そして、新潟の人たちが私の東京の価値観を怒らずに受け入れてくれて「そういう価値観もあるけど、新潟にはこういう価値観もあるよ」と教えてくれたのもあり、どんどん私自身がほぐれていったような気がしました。
西脇:そうしたご自身の価値観の変化は、当時なさっていた俳優業にうまくフィードバックできましたか?
小林:そうですね。すごく焦って、「とにかく何でも!」みたいなところから、農繁期に稲作をやることで、ある種、「お米を作れば食べられるんだ」という安心感みたいなものはベースとして生まれたと思います。また、「最悪、すべてを失ったとしても、ここに来てお米を作れば、私は生きていける」というような、底力みたいなものを与えてくれましたね。
西脇:私も昔、「田畑があれば、まあ生きていけるから、何があってもここに戻ってきていいよ」と、言われたことがあります。
小林:素敵な言葉ですね!
西脇:「そういう場所なんだな」と思ったのを、思い出しますね。
小林:ビジネスも、俳優業もそうですけど、「もっともっと!!」と思えば思うほど、疲れてしまう瞬間って必ずあると思います。その瞬間に、「ここに戻れば……」と立ち帰れる場所を持つことは、私だけじゃなく、すべての人にとって必要なのではないかと思いました。
小林涼子の最新情報はオフィシャルサイトまで。
J-WAVE『SEVEN BANK GLOBAL BUSINESS CHARGE』では、社会にイノベーションを起こしている企業のリーダーをお迎えし、ビジネスマインドをチャージしていく。放送は月曜~木曜の21時45分から。
番組は、Spotifyなどのポッドキャストでも聴くことができる。
・ポッドキャストページ
小林が登場したのは、J-WAVE『SEVEN BANK GLOBAL BUSINESS CHARGE』(ナビゲーター:西脇資哲)。週替わりのゲストを招き、いま必要な知識や感性、起業へのモチベーションをシェアする番組だ。ここでは、7月14日(月)のオンエア内容をテキストで紹介する。
番組は、Spotifyなどのポッドキャストでも聴くことができる。
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「楽しそう!」好奇心から4歳で芸能界へ
J-WAVEで毎週日曜6時より放送中の番組『EARLY GLORY』のナビゲーターを担当している小林涼子は、農業や福祉、食を通じて環境デザインを展開する株式会社AGRIKOの代表取締役も務めている。俳優として、さまざまなドラマやCMなどに出演する傍ら、起業家としても活動する小林に、西脇は「『メイン(の仕事)はどちらか?』と訊かれたら、どんなふうに答えますか?」と質問する。
小林:「半々です」と、お伝えしています。どちらも「100パーセント、全力を振り絞って投球中!」というところでございます。
西脇:俳優としては、子役でデビューなさったのですよね。これはご自身の希望ですか?
小林:4歳のころに幼稚園の同級生が(芸能活動を)やっていたから、「私も!」くらいの軽いノリでした。両親のおかげで、そういったところでキャリアをスタートできました。
西脇:その際、同級生のお友だちをご覧になってどう思ったのでしょう?
小林:「かわいいお洋服を着てる、いいなぁ!」みたいな(笑)。
西脇:羨ましかったんですね。
小林:そうですね。「演技をしたい」とか「表に出たい」というよりは、「楽しそうだな」という気持ちでしたね。
西脇:実際に子役としてスタートした際には、「楽しそうだな」という思いは味わえましたか?
小林:もちろん、楽しい部分もありました。でも子どもなので、現場とかで夜遅くまでかかったり、長く立っていないといけなかったりすると、疲れてぐずったりすることもあるんですよね。そういうときに、母に「やりたかったんでしょ?」「お仕事だから」と言われて、“お仕事”というものについて、怒られたりもしながら学んでいきました。もちろん、厳しさもあったけれど、それはそれで、私のなかの「楽しい」に入っていましたね。
家族で行った新潟の農業体験で生じた心の変化
俳優として10代20代を駆け抜けた小林は、どのようなタイミングやきっかけがあり、現在の事業につながる“農業”に出会ったのだろうか。小林:20代、思うようなキャリアを描けず頑張れば頑張るほど焦ってしまい、少し疲れてしまったときに、それを見ていた両親から「新潟、行ってみない?」と、農業に誘われたんです。
西脇:リフレッシュも兼ねてということでしょうね。ご家族からそういう提案があった際に、小林さんはどう思いましたか?
小林:「え、農業?」って(笑)。当時は、俳優業に生きる「何か」技術的なものを身につけていく感覚というか、ロールプレイングのような「これをやれば、何かうまくできるんじゃないか」みたいなものを追い求めていたんですけど、農業ってそれとは全然違う価値軸だったので……。
西脇:それまで、農業の経験はないですよね?
小林:食育がすごく豊かな家庭だったので、いちご狩りに行ったり、たけのこを掘ったりとか、家族の旅行として行ったことはあります。それがいまのようなキャリアを築いてくれるとは思っていませんでしたし、まして焦って溺れそうな自分にとって、急に提案された農業というのはあまりにも遠い存在でした。
西脇:そう思って行った場所では、具体的にどのようなお手伝いをしましたか?
小林:「え、農業?」となっている私に対して、新潟の方々はすごく優しくて、「稲刈り機に乗ってみるか」「田んぼで田植え機に乗ってみるか」といった提案をしてくれて、「ちょっと面白いかも?」と思いました。私に何ができるかというと、たいしたことはできませんから、横で苗箱を洗ったり、(田んぼの)端のほうの機械が入れないような細い道に、手で苗を植えていったりというお手伝いをしていました。
西脇:それでも、かなりリフレッシュできたんじゃないですか?
小林:埋まっていなかったところを植えていったときの達成感というか、すごいですよね。「きれいに植えられた!」という気持ちになりましたし、単純に作業に没頭するというのはすごく気持ちのいい経験でした。
農業を通し、自身の心情に生じた変化を、小林は次のように語る。
小林:最初は「農業?」と驚きましたし、私はそのとき農業に対する知識がなかったので、稲と芝の違いもわからないくらいでした(笑)。でも、緑の草だと思っていたものがお米になっていくって、すごいですよね。また、1年に1回の収穫を目指して、みんながこれだけ努力をしているということ、そして収穫したあとのお米のおいしさといったら本当に! その達成感に魅せられて、「楽しい」と思うようになっていきました。
新潟の土と人々が、心をほぐしてくれた
小林は、農業ならではの大変さをどう乗り越えていったのだろうか。西脇:稲刈りや田植えをすると、手も体も汚れますし、非常に疲れます。また、稲刈りだと稲が顔に当たるなどの嫌な感じもありますよね。そういったマイナスの面は、どう捉えましたか?
小林:東京と新潟はすごく価値観が違っていて、最初は東京の価値観に染まっている私なので、やはり「おっと……」という気持ちもあったんですけど、「土の気持ちよさ」みたいなものに段々気づきました。そうやっていくうちに、自分の凝り固まっていた東京での価値観というのは、決してそれだけが正解ではなくて、「新潟の価値観」というものもあるんだなと(考えられるようになりました)。そして、新潟の人たちが私の東京の価値観を怒らずに受け入れてくれて「そういう価値観もあるけど、新潟にはこういう価値観もあるよ」と教えてくれたのもあり、どんどん私自身がほぐれていったような気がしました。
西脇:そうしたご自身の価値観の変化は、当時なさっていた俳優業にうまくフィードバックできましたか?
小林:そうですね。すごく焦って、「とにかく何でも!」みたいなところから、農繁期に稲作をやることで、ある種、「お米を作れば食べられるんだ」という安心感みたいなものはベースとして生まれたと思います。また、「最悪、すべてを失ったとしても、ここに来てお米を作れば、私は生きていける」というような、底力みたいなものを与えてくれましたね。
西脇:私も昔、「田畑があれば、まあ生きていけるから、何があってもここに戻ってきていいよ」と、言われたことがあります。
小林:素敵な言葉ですね!
西脇:「そういう場所なんだな」と思ったのを、思い出しますね。
小林:ビジネスも、俳優業もそうですけど、「もっともっと!!」と思えば思うほど、疲れてしまう瞬間って必ずあると思います。その瞬間に、「ここに戻れば……」と立ち帰れる場所を持つことは、私だけじゃなく、すべての人にとって必要なのではないかと思いました。
小林涼子の最新情報はオフィシャルサイトまで。
J-WAVE『SEVEN BANK GLOBAL BUSINESS CHARGE』では、社会にイノベーションを起こしている企業のリーダーをお迎えし、ビジネスマインドをチャージしていく。放送は月曜~木曜の21時45分から。
番組は、Spotifyなどのポッドキャストでも聴くことができる。
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