大河『べらぼう』も話題の水沢林太郎、芸能界に入って「正しくいよう」と学んだ経験とは?

俳優の水沢林太郎が、出演した映画『この夏の星を見る』への想いや、芸能界へ入ったきっかけなどを語った。

水沢が登場したのは、7月4日(金)放送のJ-WAVE『START LINE』(ナビゲーター:長谷川ミラ)のコーナー「AWESOME COLORS」だ。

史上最年少で、メンズノンノ専属モデルに

埼玉県出身の水沢は2003年生まれ。14歳でドラマ『奥様は、取り扱い注意』で俳優デビューし、16歳のときには「第34回メンズノンノモデルオーディション」で、当時史上最年少で専属モデルの座を射止めた。俳優として数々の話題作に出演し、現在放送中のNHKドラマ『べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜』では大河に初挑戦。

さらに、7月4日(金)より公開の、直木賞作家・辻村深月の青春小説を原作とした映画『この夏の星を見る』にも出演している。

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映画「この夏の星を見る」| 本予告 2025年7月4日(金)公開

まず、番組ナビゲーターの長谷川は、水沢に「芸能の仕事を始めたきっかけ」を訊いた。

水沢:きっかけは本当に大したことではないのですが、中学2年生のときに成長期で服が全部着られなくなったんです。身長が15センチくらい伸びて着られる服がなくなったときに、僕のなかでは「たくさん服を着続けていたい=モデル」だったので、父親に「モデルがやりたいんだけど」と話をして、事務所を探すことになりました。

長谷川:では、最初はモデルさんになりたくて?

水沢:はい。でも、モデルにそれほど熱量があったわけではなく、ただ洋服が着たかっただけなんですけど……。

長谷川:その後、坂口健太郎さんや成田 凌さん、宮沢氷魚さんなども輩出し、「トップモデル、人気俳優への登竜門」とも言われている『MEN'S NON-NO』のオーディションに、史上最年少で選ばれました。この感想は、いかがですか?

水沢:普通のお芝居のオーディションと同じ感覚でしたし、そもそも募集年齢は18歳くらいからで僕は2歳満たしていなかったので、落ちるものだと思っていました。そうしたら、なぜだか受かってしまいまして(笑)。だから正直びっくりしましたし、どうしていいかわかんなかったですね。そのときは「モデルはもういいや」とも思っていたので、戸惑いだらけでした。

「正しくいよう」と思うようになったきっかけ

順風満帆な芸能生活の始まりように聞こえるが、その若さゆえに学ぶことも多かったそうだ。

長谷川:そこから、芸能の見え方や想像する将来、考え方も変わっていきましたか?

水沢:いやぁ……。いまになっていろいろな言葉を使ってお伝えすることはできますけど、当時は本当に何も考えていなかったので、これといって何か大きくしたいこともなかったですね。でも18歳からは、ある程度考えるようになりました。

長谷川:それは、何かきっかけがあったのですか?

水沢:それまで、ずっと尖っていたんですよ(笑)。いまはありがたいことに、それまでお世話になっている方々に「若かったから」って許してもらえていますが、メンズノンノに入って、尖っていたものをボコボコに折られたので「大人になろう」と思ったのはそこからですね。

長谷川:ボコボコ話、気になります(笑)。

水沢:いろいろな方に正しく導いていただきました。いまもお世話になっている方がいるんですけど、当時は挨拶もできなかったですし、態度も悪かったですし、先輩にタメ口だったとかもあり、その方には「はじめまして」の段階で面と向かって真正面から怒られました。

長谷川:モデル業界は、上下関係が意外と厳しいんですよね。

水沢:そうなんですよね。こっぴどく怒られて「あらためなければ使ってもらえなくなるんじゃないか」という怖さを感じてからは、「正しくいよう」と思うようになりました。

長谷川:そこからお仕事に対しても考え方が変わっていきましたか?

水沢:そうですね。そこからはいただく役の責任感も変わってきたので、それも含めて(考え方が)変わったかなとは思っています。

「ファッションも音楽も何もかも、父親の影響が大きい」

番組では、水沢に事前にアンケートに回答してもらった。「最近ハマっていること」への彼の回答は「麦焼酎を飲むこと」と「月に1度、ちょっといいビールを飲むこと」だという。

長谷川:ビール自体はいつも飲んでいるのでしょうか?

水沢:けっこう飲みますが、特別感のあるビールがあって、「月1回にしよう」と決めて飲んでいます。ただ、「この日」と決めているわけではなく、なんとなく「今日、頑張ったかな」っていう日の夜に必ず1杯だけ飲もうと思って、今年から始めました。

長谷川:麦焼酎はけっこう飲むと。

水沢:家でソーダ割りにして飲みます。そんなに強くはないのですが、ひとりで飲むのが好きなんです

長谷川:「ひとりで」というところに何かこだわりがあるんですか?

水沢:ひとりのほうが気楽ですし、気持ちよく酔っぱらえるのがひとりのときなんです。どうしても人より数倍気をつかってしまう性格なので、ひとりのほうが何も気負わず、ふざけられるというか……。大熱唱もできるし。

長谷川:何を歌うんですか?

水沢:『上を向いて歩こう』ですかね(笑)。

長谷川:本当に22歳ですか(笑)?

水沢:父親の影響ですね。

長谷川:先ほど、芸能界に入る際にご相談されたのもお父様だという話がありましたが、けっこうお父様の存在が大きかったり、影響があったりするのでしょうか?

水沢:僕にいちばん近い大人が父と母だけだったので、ファッションも音楽も何もかも、父親の影響が大きいと思います。

長谷川:どんなお父様なのでしょう?

水沢:礼儀も含めて、白黒はっきりする厳しい人です。

長谷川:でも、礼儀はあまりできていなかったんですよね(笑)?

水沢:はい。だから、家ではウソをついていました。だいぶ隠していましたけど、その裏でボコボコにされていたので、父の言うことは合っていたと思います。いまはそこが正しくできている気がするので、感謝しかないです。

長谷川:麦焼酎も、お父様が好きなのですか?

水沢:違います。父親はお酒を一滴も飲まないので。そこは母親の影響ですね。母親はだいぶ強い肝臓を持っているようなので(笑)。ちょっとした遺伝かもしれないです。

いろんな世代で語り合える─話題の映画に出演

映画『この夏の星を見る』に出演している水沢。同名小説を映画化したこの作品は、新型コロナウイルスが蔓延した2020年を舞台に、全国の中高生がリモート会議を駆使して、天体観測をする競技「スターキャッチコンテスト」に挑む物語を描く。

桜田ひよりが演じる主演・溪本亜紗の同級生・飯塚凛久を演じる水沢に、長谷川は映画の感想を語る。

長谷川:2020年、私は新卒1年目にあたる年齢だったので、周りの話を聞いていても「働く現場がどうなのか」という話題ばかりでした。学生たちがどうだったのかはニュースやSNSなどでしか見ていなかったので、「こういう学生生活だったのかな」と想像しながら(映画を)見ていました。(このころの学生たちは)ある意味「かわいそうな世代」と言われたり、「青春は密」という言葉があったりしましたが、映画を観て「そうじゃないよ」と。その世代の子たちにとっては、それが彼らの“青春”や“正解”であって、「私たちが正解で、コロナ禍の青春が正解じゃない」というわけではないという意思も感じました。公開されたいまの、水沢さんの率直な感想も教えていただけますか?

水沢:(コロナ禍は)みんな通ってきている道で、みんなが同じ時間軸を生きていたので「ようやく届けることができた」という、すごく不思議な気持ちです。また、いまこうして感想をいただけたことも含め、いろいろな方がいろいろな考えと言葉で感想を伝えてくださるのが、すごくありがたいです。僕個人が感じるこの映画の魅力はそこで、いろんな言葉でいろんな世代が話してくれることが、きっとこの映画をさらに届けるエンジンになると思っています。僕の演じる凛久という役はなかなかにしんどくて、正直、抱えても抱えても抱えきれないものが多かったんですよ。僕の生活と凛久の生活は真逆だったので、完成しても引きずる部分がありましたし、反対に完成して報われる部分も多かったので、みなさんの言葉がいま僕を救ってくれている部分があります。

長谷川:コロナは、全世界の全員が体験した大きな出来事でしたが、いま思えば「不思議な時期だったよね」と振り返れると思います。映画を観ていて「学生は苦しかったな」と思いましたし、どんな世代の方も「当たり前じゃない」ということに気づいて、感じるものが変わってくるような作品でした。水沢さんご自身は、コロナ禍のときは高校生でしたが、役とご自身が全然違ったというお話がありました。そこはどのように埋めていきましたか?

水沢:原作を読み漁ったり、台本を何度も読み返したり、監督に相談もしました。「スタッフさんがコロナのときに何をしていたのか」という話もヒントになったので、役に対して僕ひとりでできたことは少なくて、みなさんのおかげで作り上げられたものかなと思っています。凛久は、コロナに対していちばん日常的な感覚を持っている男の子だったので、みなさんにもっとも近い存在だと思って演じていました。

最後に、長谷川が「今後の目標」を訊くと、水沢は「僕にできる範囲で『モデル・俳優を通して何かを届けられればいい』という思いを持って活動していきたい」と、力強く語った。

映画『この夏の星を見る』の詳細は、公式サイトまで。また、J-WAVEは同作とのコラボレーションで、ポッドキャスト『ハラカド天文部』をお届け中。監督・山元環と脚本家の森野マッシュがホストを務め、映画に関係するゲストはもちろん、宇宙や天文に関係する幅広いゲストを迎えて、全ての映画ファン、宇宙・天文ファンに向けて配信している。主演・桜田ひよりのゲスト回も公開されたばかりだ。





映画プロデューサー・松井俊之さんも登場。「次の時代を担う若い才能に、ちゃんとした場を提供する」という、同作を制作した際の心境を語る場面も。監督・山元環、脚本家の森野マッシュなど新進気鋭のクリエイターが生み出したみずみずしさも、同作の魅力のひとつだ。

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『START LINE』のコーナー「AWESOME COLORS」では、自分らしく輝くゲストをお迎え。放送は毎週金曜の17時30分ごろから。
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2025年7月11日28時59分まで

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番組情報
START LINE
毎週金曜
16:30-20:00

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