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オーロラの正体って? 「人類が火星に行く未来」はやってくる? 井桁弘恵が研究者から学ぶ

オーロラの正体って? 「人類が火星に行く未来」はやってくる? 井桁弘恵が研究者から学ぶ

「オーロラ」ができる仕組みや「宇宙天気予報」の必要性について、宇宙空間物理学を専門とする片岡龍峰さんが語った。

片岡さんが登場したのは、井桁弘恵が「チーフ」としてナビゲートする、J-WAVEの番組『LOGISTEED TOMOLAB.~TOMORROW LABORATORY』(通称、トモラボ)。私たちの周りにある森羅万象を「イシュー(テーマ)」にして、各界で活躍する「フェロー」を毎週ゲストに迎えながら、明日が豊かになるヒントを探すプログラムだ。

ここでは、片岡さんをフェローとして迎え、「オーロラ」について研究した3月22日(土)の放送の一部をテキストで紹介する。なお、番組の内容はポッドキャストでも配信中だ。

ポッドキャストページはこちら。

オーロラとは宇宙の発光

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本番組では、毎回グラレコで内容を解説している

片岡さんは東北大学で博士号を取得したあと、情報通信研究機構、NASAゴダード宇宙飛行センターなどを経て、国立極地研究所の准教授に就任。2008年にはJAXAの宇宙飛行士選抜試験にも挑戦。現在はオーロラの解明や宇宙天気予報の研究を進めている。今年になって初めてオーロラを観たという井桁に、片岡さんはまずオーロラがどのような現象なのかを説明した。

片岡:オーロラは、宇宙で光っている現象です。雲の上で光っているのは想像がつくと思いますが、かなり遠くて、宇宙空間が発光しているんです。宇宙空間というと、国際宇宙ステーションで船外活動をしたり、宇宙服を着ていたりする真空の世界だと思うじゃないですか。でも、発光するものがあるんです。真空だけど、ギリギリまだ真空じゃない、そういうところで発光する現象がオーロラです。

井桁:成層圏などがありますが、それでいうとどこになるのでしょうか。

片岡:飛行機が飛んでいるのが、成層圏のいちばん下のところです。成層圏というのは、(地上から)20キロから50キロぐらいかな。50キロより上は中間圏です。そのあたりからは空気がものすごく薄くなっていって、普通の空気ではなくなっています。オーロラの素になっている酸素原子が宇宙からくるエネルギーを受け止めると、オーロラの色が発光します。そういう非常に希薄な空気のかけらみたいなものが、オーロラとして見える現象です。

井桁:おもに発光している光というのは、中間圏で起きた光が届いているということですか?

片岡:80キロまでが中間圏という名前で、それより上の熱圏という、高さ100キロぐらいのところで発光しています。筋模様もオーロラの特徴です。

井桁:シャワーのような。

片岡:それが「磁場」です。地球は磁石みたいに磁場を帯びている星です。磁場は人間には見えないし、触れられないですよね。だけど、オーロラを通して人間は磁場を見ることができます。

磁気嵐で発電所がストップ

2024年5月には日本でもオーロラが観測されたことがニュースとなった。これには地球の磁場が乱れる「磁気嵐」と呼ばれる現象が関わっており、場合によっては人の生活に大きな影響を与えることがあるという。

片岡:人間の使っている高度な技術というのが時代とともに変わっていきます。どんどん宇宙環境の乱れに敏感になっていっているので、人間がすごく高度なことをしているがゆえに、宇宙空間の影響を極大期(編集部注:太陽の活動が極めて活発になる時期)ではなくても受けるとか、そういうことはあります。オーロラは電気的な現象なので、地上の発電所を破壊する可能性があったり、いろいろな主要都市が一気に停電したりとか、そういう恐ろしいことが起こる可能性もあります。ただ、(日本でも観測された)2024年5月ぐらいの規模だと、まだ大丈夫です。これよりも一段大きな磁気嵐が起こった1989年3月は有名で、6時間くらい発電所が停電してしまいました。

井桁:ええ……。

片岡:3月のカナダで寒いのに6時間電源が使えないということは、実際に起こりました。その10倍ぐらいの規模の磁気嵐が起こることもわかっていて。

井桁:それは今後ですか?

片岡:そうです。いちばん最近「ヤバい磁気嵐」が起こったことが知られているのは、1859年9月です。そのときはまだ、みんな電気を使っていませんでした。かろうじてジブリの映画に出てくる、電信ですね。ムスカ大佐が通信するときに「ツーツツツ」とやっている、あのネットワークが1859年にあったようで、通信がうまくいかない、ということが起きました。電源を抜くとちゃんと通信できるとか、通信局が火事になったという記録が残っています。

井桁:では、いま、この現代でそういうことが起きると、どういう影響が出るのでしょうか。

片岡:電気がなくなるのがいちばん恐ろしいことです。発電所があちこちでストップする影響で、いろいろなまずいことになる。経済的な試算も出ていて、とんでもない額の災害が起こり得るということになっています。確率は非常に低いのですが、いつかかならず起こります。なので、対策をしなければいけません。電力会社は全力で、そんな大きな電気的な乱れが起きても大丈夫なように改造をしています。1989年3月みたいなことが起こっても、大丈夫です。

井桁:もう対策はされているんですね。

片岡:でも起こってみないと、完全に大丈夫かどうかは(わからない)。まだ不安は残ります。あまりコストをかけずに対策はできるので、できることはどんどんやっておくということです。

宇宙天気予報の必要性

宇宙天気予報とは、太陽の活動などによって地球近くで発生するさまざまな自然現象が、人工衛星や通信インフラなどの活動にどのような影響を与える可能性があるかを予測するもの。片岡さんはその方法や必要性について語った。

片岡:太陽風を測定している宇宙機がいます。太陽風が速いとか遅いとか、磁場が強いといったことをもとに、地球の北極や南極では(オーロラの)輪がどれぐらい大きくなったり、輪がどんなふうに崩れたり、明るくなったり暗くなったり小さくなったりするのかと。当てたいのはオーロラの輪の地球規模の分布。それを宇宙天気予報のオーロラ予報として研究しています。

井桁:それはなんのために? 観光地のためではないですよね。

片岡:半分観光地のためでしょうか(笑)。

井桁:だとしたら私も知りたかったです(笑)。

片岡:いろいろなところで、そのようなオーロラ予報を発表しているサイトがあります。なので、その精度を上げる研究をしています。

井桁:太陽風やオーロラの予測をすることは、どういうところに応用されていくのでしょうか。

片岡:半分観光に役立てられるという話でしたが、役に立つのは自明なんです。宇宙の乱れによる災害級の問題というのが、今後続々と発生してくることは明らかだと思います。そういうときに、オーロラの輪がどこまで広がるのか(予測する)。輪の直下というのは停電しやすいんです。あと、オーロラ活動の原因になっているのは直接的には太陽風といわれる、太陽からのプラズマの流れです。それとは別のかたちで、放射線の強い流れが発生したりします。宇宙空間では複雑なことが起こっていて、オーロラ活動と放射線の活動というのは若干違う仕組みで同時進行していきます。それがどんなふうに同時進行していくか、というのをちゃんと理解する必要があります。

宇宙天気予報の研究は宇宙での活動にも必要になってくるそう。

片岡:月での被ばく、あと何時間シェルターにいなければいけないかとか。今後、火星に人が行けば同じことですね。あとはそこに配置したロボットたちがいつセーフモードに入って、というのも同じことです。おもには、オーロラ活動もそうですが、放射線の予報というのもあって。オーロラに比べると放射線の予報は一段ちょっと難しい。少し難易度の低い問題や、少し難易度の高い問題を一緒に研究して組み合わせたり、1回ばらしてみたりと試行錯誤しています。

井桁:ほかの分野ではどのようなことをされているのでしょうか。

片岡:スマホもそうですが、インターネットも人工衛星を使った通信に頼っていたりもします。オーロラの光っている電離層というものの上に人工衛星があります。ネットワークを使っている私たちは地上にいます。オーロラのあたりが乱れると通信ができなくなったり、一時的に途絶するようなこともあります。宇宙天気でいちばんユーザー数を考えて深刻なのは、通信です。メジャーなのは急に通信ができなくなる、ネットが使えなくなるといったことです。

井桁:そういうことも、宇宙天気を研究することで予測や対策ができるようになるんですね。

火星に人類が行く未来へ向けて

片岡さんは宇宙天気や宇宙開発の今後について語った。

片岡:10年、30年後の未来になってくると、月や火星に人が行ったり活動したりする時代がくると思います。たぶん私たちが生きているなかで、いちばん衝撃的な事件のひとつになるのは「火星に誰かが行った」ということ。

井桁:近いうちにありそうですか?

片岡:ありそうですよね。月へ旅行に行く人が出てくるとか。月は3日で行けるから旅行レベルですが、火星は年単位になるのでグレートジャーニー、何年か住んでまた戻るというような、そういう活動になってくると思います。少し先の未来に必須の技術が宇宙天気予報になってきますので、やはり(必要なのは)精度を上げる、リードタイムを上げるといういまの地道な活動ですよね。

片岡さんは今後の研究が宇宙旅行の安全につながると語った。

片岡:AIアシストが必ず絡んできます。使えるデータはなんでも使う。現状の監視もたくさんセンサーを太陽系のなかに配置して、わかるようにしておく。それを前提にして、「少し先の何日後には、月では地下にいてください」といった、高度なオペレーションができるようになると思います。

井桁:より宇宙天気が実用的に重要視されるようになってくると。

片岡:近場の宇宙環境のプラズマの爆発がオーロラとして見えているわけですが、一部の人が月や火星に行ったりすることが現実化した際、そういう宇宙環境をちゃんと理解したうえで予測できているか、ということが重要になると思います。いまやっていることが段々と高度化していって、本当に月に旅行している人が「よかった。いまは安心して行けるタイミングだから行こう」と、なるだろうと思います。

J-WAVE『LOGISTEED TOMOLAB.~TOMORROW LABORATORY』は毎週土曜20時からオンエア。公式サイトでは、オンエア内容を「グラレコ(グラフィックレコーディング)」でわかりやすくまとめている。

・番組サイト
https://www.j-wave.co.jp/original/tomolab/

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2025年3月29日28時59分まで

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番組情報
LOGISTEED TOMOLAB. TOMORROW LABORATORY
毎週土曜
20:00-20:54