災害時に役立つ「メリノウールの服」とは? 防災士の資格を持つ「ほぼ日刊イトイ新聞」のメンバーが気づきを語る

「ほぼ日刊イトイ新聞」のメンバー・佐藤泰那さんが、災害時に役立つウェアやアウトドア用品を紹介した。

佐藤さんが登場したのは、3月11日(火)放送のJ-WAVE『PEOPLE’S ROASTERY』(ナビゲーター:長井優希乃)のコーナー「MY FIELD NOTE」。多彩なゲストとのトーク、世界のミュージックシーンから集めた心地よい音楽をお届けするコーナーだ。

能登半島地震で実感した地域交流の重要性

「ほぼ日刊イトイ新聞」のメンバーである佐藤泰那さんは、アウトドアコミュニティKUKKAを主宰し、防災士の資格も持つ。また、2024年に発生した能登半島地震以降、何度も能登に足を運び、取材を行うなど、活動は多岐にわたる。今回は、佐藤さんにアウトドアの視点から防災情報を訊いた。

長井:まずは、どのように被災地と関わってきたのか、あらためてお聞かせいただけますか?

佐藤:2024年2月頃から月に一度ぐらい、奥能登といわれる、石川県珠洲、輪島、能登町に通わせていただいています。そこで出会ったご縁のなかで、自分たちに何ができるかを考えてきました。

長井:継続して通われていて、感じることはどんなことでしょう?

佐藤:いちばん感じたのは、復旧までの道のりがとてつもなく長いということです。電気やガスが使えるようになっても、水道が使えなかったり下水道が機能しなかったりするところが多くて、いろいろな苦労を強いられているところを見ました。

長井:インフラがなかなか復旧しないということは、現地に足を運んでいるからこそ見えてくる現実なんだなと思います。

佐藤:そうですね。近い地区であっても状況が全然違っていたりして、井戸から水が出る家に頼ったりしています。能登の方たちは震災が起きる前から声をかけあったりとか、顔が見える関係のなかで暮らしてきていて、そういう方たちだからこそ乗り越えられるものはあるなって思うんです。

長井:人との繋がりって大事ですよね。

防災士は“助けられる人”から“助ける人”になれる資格

能登の現状を知っていくなかで、佐藤さんは防災の重要性をあらためて実感し、防災士の資格取得に至ったという。

長井:泰那さんは2024年に防災士の資格を取られたんですよね。それは能登に行かれたことがきっかけですか?

佐藤:そうですね。能登島に行かせていただいたときに、震災で家が崩れてしまったりいろんなことがあっても、「暮らしている景色のなかに食べられるものがいっぱい見えるから安心できる」というようなお話を聞いたりもしたんです。顔が見える関係とか生活のなかに食べられるものがあるとか、東京で暮らしている自分にはまったくないものだなって感じたんですね。通い続けるなかで、明日は我が身だとあらためて感じ、自分にできることってなんだろうと考えたくなったので、防災士の資格を取ってみようと思いました。

防災士とは、“自助”“共助”“協働”を原則として、社会のさまざまな場で防災力を高める活動が期待され、そのための十分な意識と一定の知識・技能を修得したことを、日本防災士機構が認証した人を指す。

・自助
自分の命は自分で守る。

・共助
地域・職場で助け合い、被害拡大を防ぐ。

・協働
市民、企業、自治体、防災機関等が協力して活動する。
日本防災士機構より)

佐藤:資格を取ったからといって何かができるわけではないですが、“助けられる人”から“助ける人”になる資格かなと、自分なりに解釈しています。

長井:防災士の資格は誰でも取得できるものなのでしょうか?

佐藤:はい。日本各地で試験は開催されているので、自分に合うタイミングで受けることができます。

長井:防災士の資格を取って変わったことはありますか?

佐藤:災害が起きたときにどうするか、家族や職場の同僚と話すようになりました。災害が起きたときに不安だと思うことは、家庭ごとにそれぞれありますよね。そういう事情を知れることって、こういう機会がなければなかなかないんですよ。いざというときに気を遣い合えるというか、助け合う一歩になるなと感じております。

災害時は都市部だからこその危険もある

都市部での生活は、隣人や地域住人との繋がりが希薄になりがちだ。そうした状況下での防災の備えでは、どういった点を意識すればいいのだろう?

佐藤:たくさんあるんですが、私が防災士の勉強をするなかでいちばんハッとさせられたのは、「都市には交通渋滞がつきもの」ということなんですね。震災が起こり、人が過密した状況のなかで一気に逃げるとなると、群衆事故のようなことが起きる可能性があります。また、渋滞によって救急や消防の車両が通れなくなるといった、都市だからこそ起こりうることがあります。職場で震災が起きたら、そこから3日間は移動しなくてもいいような備えが必要だということも学びました。

長井:都市だからこその想像力が必要ですね。お話を聞いて、3日間のコンタクトレンズは毎日持ち歩いたほうがいいなって思いました。すごく小さなことだけど、大事ですよね?

佐藤:大事です! 人によって(備えは)全然違いますからね。

防災に役立つアウトドアグッズを紹介

佐藤さんは能登に通うなかでアウトドアの体験が防災にも役立つと再認識したという。

佐藤:登山でテント泊をするというような、変わり続ける自然の環境のなかで衣食住を整えることは、いざというときのための訓練にもなっていると改めて思いました。先ほどコンタクトレンズのお話がありましたけども、何に快適さを感じるかは人によって大きく違うんです。もちろん、絶対に備えなければいけないベースはありますけども、長期戦になっていくなかで何が自分を満たしてくれるかって、意外とキャンプの経験を通して知ることができるんです。そういった精神的なものもすごく大事なんじゃないかなと思いました。

スタジオには佐藤が用意した、いざというときに役立つアウトドアアイテムが並んだ。

佐藤:たとえば、勤務先で3日間ほど過ごさないといけない状況を想定します。真夏の暑い時期にお風呂に入れなくて着替えられない、場合によっては冷房も使えないかもしれない状況だと、メリノウールの服がとても役立ちます。

長井:なぜメリノウールが有用なんでしょうか?

佐藤:メリノウールには天然の消臭機能があるんです。私はタスマニアのロングトレイルを歩いたときにメリノウールを5日間着続けたんですけど、臭いが気になりませんでした。汗をかいて濡れたときにちょっと発熱しながら乾いていく機能もあるので、汗冷えも防いでくれます。体を冷やす心配がないので、寒い状況でも暑い状況でも体を快適な状態に保ってくれます。 続けて佐藤は、寝袋の下に敷くスリーピングマットを紹介。

長井:すごく小さなマットレスですね! くるくる巻くと1枚の上着を持っているぐらいの大きさになります。

佐藤:500ミリリットルのペットボトルふたつ分ぐらいの大きさですね。

長井:これはどうやって使うんでしょう?

佐藤:こちらは空気を入れるエアータイプです。

長井:口で膨らませることもできるけど、ポンプでも空気を送れるんですね。

佐藤:そうなんです。標高が高いところで息を吹き込むとクラッとするんですね。また、呼気によって水分が中に入ってしまうから、長持ちさせるうえでもポンプを使ったほうがいいです。

長井:ポンプ、一見すると普通の袋なんですよ。そこにアタッチメントが付いていて、袋を膨らませたり縮めたりすることで空気が入ります。機能としては火起こしで使う“ふいご”に似ていますね。

お手軽調理でストックもしやすい非常食に注目

佐藤は防災備蓄用として活用できる、モンベルのアウトドア用食品『リゾッタ』を紹介。

佐藤:避難所で炊き出しを食べていたり、余震が続くといった状況が落ち着いたとき、自分のペースで温かいものを食べられたらほっとしますよね。モンベルさんが出されている『リゾッタ』というドライフードがあるんですけども、お湯を入れて3分(水の場合は5分)で作れます。

長井:保存にも便利ですし軽いですから、何個かストックしたいですね。

佐藤:量もちゃんとありますので、味変ができるものも持っておくといいかもしれません。

長井:お湯を沸かすガスバーナーも収納性が高いですし、リュックを背負って登山することを前提に考えられた作りですね。だからこそ、防災バッグに入れておくと省スペースでいいですね。

J-WAVE『PEOPLE'S ROASTERY』のコーナー「MY FIELD NOTE」では、曜日別で登場するゲストがリスナーの好奇心を刺激する。放送は月曜~木曜の14時ごろから。
radikoで聴く
2025年3月18日28時59分まで

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番組情報
PEOPLE'S ROASTERY
月・火・水・木曜
13:30-16:00

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