フジロックという文化をコンビニから広めていく─話題のコラボの裏側をデザイナー・落合宏理に聞く

提供:株式会社ファミリーマート

昨年、大きな話題を呼んだ「FUJI ROCK FESTIVAL」(以下、フジロック)×コンビニエンスウェアのコラボレーションの第二弾が今年も展開される。

コンビニエンスウェアとは、ファミリーマートとファッションデザイナーの落合宏理との共同開発のもと、「いい素材、いい技術、いいデザイン。」のコンセプトを掲げて展開しているファミリーマートオリジナルアパレルブランド。今年のフジロックでは、どんなアイテムが展開されるのか、落合宏理へのインタビューからフジロック’24コラボアイテムの魅力を掘り下げていく。

聞き手を務めたのは、J-WAVE『GRAND MARQUEE』のナビゲーターであり、音楽家・広告クリエイターのタカノシンヤとシンガーソングライターのセレイナ・アン。

『GRAND MARQUEE』では毎週水曜日、ナビゲーターであるセレイナとタカノシンヤというフジロック準備中のふたりがお送りする、フジロックとのコラボ企画をオンエア中だ。

100軒以上のコンビニを回り、実際に話を聞いた

タカノシンヤ(以下、タカノ):コンビニエンスウェア自体がスタートしたのは2021年。ここ数年、話題を集めてきましたよね。このプロジェクトのきっかけから教えていただけますか?

落合宏理(以下、落合): 4年前にファミリーマートさんから「コンビニで洋服を販売する文化を作りたい」というオファーをいただいて、プロジェクトがスタートしました。自分も洋服屋をやっている中で、コンビニという大きな規模感に対して、新たな文化を生み出す可能性に立ち会えることはすごくチャレンジングで、純粋におもしろいなと思ったんです。そこで、すぐ「やりたい」とお返事させていただきました。

<落合宏理(おちあい・ひろみち)◎ファッションデザイナー。東京都出身。文化服装学院アパレルデザイン科メンズデザインコース卒業。2007年に「FACETASM」(ファセッタズム)を創業。2016年に第34回 毎日ファッション大賞で大賞を受賞。リオ五輪閉会式で「フラッグハンドオーバーセレモニー」の衣装製作を手がけたほか、パリ・メンズ・ファッションウィークにてコレクション発表を続けるなど国内外で活躍。2021年から、ファミリーマートの「コンビニエンスウェア」のクリエイティブディレクターに就任。>

タカノ:個人的に印象的なお話があって。落合さんはこのプロジェクトに立ち上げにあたって、100軒以上のコンビニを実際に回ってお話を聞かれたんですよね?

落合:自分は洋服のデザイナーとしてパリや海外を訪れたり、さまざまなコラボレーションをしたりといった経験はありますが、洋服を販売したことのない場所、ましてやコンビニでブランドを始めるというのは未知の世界でした。加盟店やオーナーの方たちに構えてほしくないと思い、まずは直接、お話をして信用・信頼をしてもらうことが重要だと思いました。目と目を合わせて「自分たちは本当に新しい文化を作りたい」と伝えることが大切で、そこに僕の名前や肩書き、これまでのキャリアは関係ない。信用していただくために、まず会いに行ったんです。

タカノ:購入される方や使用される方のことを考えるということはあると思うんですが、販売される方のことも考えて、なおかつご自身の足を使ってお話を聞きに行くというところに感銘を受けて、そのエピソードが印象深かったんです。コンビニエンスウェアに対する熱い思いを感じます。

<タカノシンヤ◎音楽家、広告クリエイターなど多方面で活動し、2022年から『GRAND MARQUEE』ナビゲーターに就任。マルチな才能を活かし、音楽ユニット「Frasco」では作詞・作曲・アレンジのほか、企画等も担当している。>

「絶対に自分たちのコラボアイテムで埋め尽くしたい」

タカノ:そんな落合さんはフジロックとのコラボレーションも手掛けられています。

セレイナ・アン(以下、セレイナ):フジロックとのコラボレーションは昨年からスタートしました。最初にこのお話が来た際は、どんな心境でしたか?

<Celeina Ann(セレイナ・アン)シンガーソングライター。Netflixアニメ「キャロル&チューズデイ」主題歌アーティスト、チューズデイのシンガーボイスを担当し話題を呼び、アジアを中心にライブを精力的に行うなど海外での人気も獲得している。2023年より『GRAND MARQUEE』をナビゲート。>

落合:実はコンビニエンスウェアを始めた当初、どういったブランドになりたいかをプレゼンさせていただいて、そのとき「こういうイベントとコラボした方がいい」といちばん最初に挙げたイベントがフジロックだったんです。世界一クリーンなロックフェスと言われていることも含めて、今コンビニがコラボするのには絶対いいイベントだと思っていたんですよね。そんなことをずっと言い続けていたら、お話が舞い込んできて、絶対にやろうと。

コラボするにあたり、2022年にフジロックに下見に行ったら、コンビニエンスウェアの靴下をみんな履いてくれていて。それを見たときに、「来年は絶対に自分たちのコラボアイテムで埋め尽くしたい」という気持ちが芽生え、どんどん情熱が加速していきました。いいプロジェクトになったと自負しています。

普段履きにもピッタリなデザインが魅力

タカノ:今日は、そんなフジロック×コンビニエンスウェアのコラボアイテムが手元にあるんですよ!

<※7月9日(火)から順次発売。店舗によっては取り扱いがない場合あり>

セレイナ:今年のコラボレーションでは、ラインソックス、今治タオルハンカチ、今治マフラータオルの3型が展開されるわけですが、パッケージから可愛いですよね。コンビニエンスウェアならでは!

タカノ:パッケージの裏側には、フジロックのロゴも入っていますね。

落合:全国約16,300店舗で販売されるので、フジロックをご存じない方もたくさんいらっしゃると思います。そこで、デザインとしてはフジロックに馴染みがない方でも使いたくなるもの。例えば靴下なら、これを履いて外に出たいという気持ちを持ってもらえるような、そんなイメージでデザインはしました。

セレイナ:今回のデザインのカラーリングはどのあたりから着想を得られたんですか?

落合:フジロックとのコラボですから、オフィシャルのイメージビジュアルのカラーをベースにそこから色味を強くしたり、もっとハッピーになれたらいいなと自分なりに考えて蛍光色を入れたり……という感じでカラーを決めています。

セレイナ:靴下もかわいいですけど、私はこのマフラータオルに汗を拭かれたいです!

落合:あはは(笑)。マフラータオルは、昨年も販売していて大人気商品でした。やっぱり、マフラーサイズのタオルはフェスにピッタリで、頭に巻く人もいれば、日焼け対策でマフラーみたいに巻く人もいる。フジロックではコンビニエンスウェアのブースを設けているんですが、すぐに完売してしまって。追加するくらいの売れ行きでしたね。

タカノ:僕は、昨年今治タオルハンカチを2枚購入して、今も愛用しているんですけど、すごくいいんですよ! 普段使いにも最適というか。

落合:今治タオルハンカチはコンビニエンスウェアのレギュラー商品なんですけど、いろんな柄ができるので、僕は「メディア」だと思っているんです。この小さな四角形の中で、さまざまなコラボレーションやロゴではなく柄を落とし込んで色で伝えるということをやっていて。タオルですから、フジロックを知らない人でも持って楽しめるものをイメージしてデザインしています。

タカノ:ハンカチはメディア! 


セレイナ:私、気になっていることがあるんですけど、コンビニエンスウェアの特徴でもあるこのパッケージには、販売する側の陳列のしやすさなども考えているんですか?

落合:それには、2つの理由があって。1つは、コンビニで物を売るって24時間365日、いろいろな人が行き交い、電気も当たりっぱなしということもあり商品にとってはハードな環境なんです。だから、フルパッケージしたいという思いがありました。もう11つはデザイン性のある袋であれば、再利用していただけるかなと思っていて。例えば、携帯のコードを収納したりだとか。使いやすいから使うことで、エコに繋がるのはいいことだなと。そういう側面から、捨てさせないパッケージに行きつきました。

フジロックという文化を広めるアイテムでもある

タカノ:ちなみに、「コンビニエンスウェアでフジロックとコラボすること」と「落合さんのブランド・FACETASMでフジロックとコラボすること」では異なった発想になりますか?

落合:ぜんぜん違いますね。僕のブランドでコラボする場合だと、ユーザーの中にフジロックを知っている方がけっこういると思うんです。でも、コンビニエンスウェアで日本中に商品を置くと、知らない方の方が多いなと思っていて。そういった人たちに「かわいい」、「元気が出る」と思っていただけるデザインの先に、フジロックという世界一クリーンなロックフェスがあるということを認知していただくのが、すごくいいなと思うんです。文化が広がるというのかな。子どもたちがこの靴下を履いてフジロックという存在を知ったり、お父さんやお母さんが「フジロックに行ったことがあるんだよ」と語りかけてくれたり、といったコミュニケーションのツールになってほしいなと思います。基本的には、フジロックをリスペクトしながら、フジロックを知ってもらいたい、宣伝したいという気持ちが大きいですね。だって、フジロックって素晴らしいじゃないですか!

セレイナ:フジロックの思い出を連れて帰れるというもいいなと思います。フジロックでもちろん履いて、帰ったあとも家で履いて。そうすることで思い出にも浸れるし、落合さんがおっしゃったように、思い出の共有というか、会話のスタート地点になるという意味で、すごく素敵なコラボレーションだと思います。

<靴下には「FUJI ROCK FESTIVAL ‘24」のポイントが入り、思い出のアイテムになる>

タカノ:コンビニエンスウェアへの反響を受けて、気づきのようなものはありましたか?

落合:コンビニエンスウェアは、デザインのコミュニケーションだと思っていて。例えば靴下は、1月〜2月に「春を感じてもらいたいな」と思って若草色や桜のような色のものをリリースすると、それがベーシックな色より売れたりするんです。自分の中でもチャレンジングな色味ではあるんですけど、ちゃんとデザインを介してお客様とのコミュニケーションをとったり意味を考えた色だと、しっかり反響となって返ってくる。もちろん無難な色も必要だけど、作り手が思いを込めると、チャレンジングな色でも購入してくれるんですよね。そういうフィードバックがおもしろい。全国約16,300店舗、1日に約1500万人利用するコンビニだからこそ、人と人との繋がりを、商品で感じることができる。だからSNSなんていらないなと思う。ダイレクトにデザインを伝えることができるのは大きいし、そういったストーリーを常に作っています。

タカノ:僕もJ-WAVEがある六本木ヒルズに通うときに、毎日ファミリーマートに寄るんです。毎日使う場所であり、自然と目にするものだから、きっと消費者も無意識のうちに、シーズナリティに沿って物事を選んでいることはあるかもしれないですよね。

落合:なんとなく通って、心が少し動いてくれたら、それは正解で。そういうことが、コンビニエンスウェアでやれたらいいなといつも思っています。

タカノ:フジロックとのコラボで、さらにユーザー層も広がったんじゃないですか?

落合:やっぱり、地域の盛り上がり方ってあるじゃないですか。苗場の方たちがすごく喜んでくれたのはすごく大きいですよね。今回のフジロックコラボは全国展開されますけど、例えば東京限定でジャイアンツ、広島限定でカープとか、そういう地域密着ということも広がっていっていると思うので、各地でコンビニエンスウェアが受け入れられているのかなと思います。

タカノ:今後、コンビニエンスウェアはどのように進化していくのでしょう?

落合:全国展開して3年ぐらい。今まで洋服をコンビニで売るという文化が全くない中で大きく認知されたなと思っています。前例がないところからスタートしたので、今後も進化というより、ずっとチャレンジしていきたい。その先に、進化と言われる何かがあるのかなと思っています。ファミリーマートは洋服のブランドを持っている唯一のコンビニですから、新しい文化を作る中でチャレンジを続けて、進化していきたいですね。

タカノ:今回、お話を聞いて、落合さんの優しさを感じました。人の心に寄り添うというか、人が何を考えているのかをすごく考えてる方なんだなと、改めて思いました。コンビニってすごく身近なものだけど、ファミリーマートのコンビニエンスウェアが置かれてる一角って、すごくスタイリッシュでかっこよくて。そのかっこよさとあたたかさ、そして親近感がブレンドされた感じのバランスのちょうどよさが、素晴らしいなと感じました!

落合:嬉しいです。ありがとうございます。

セレイナ:今日、落合さんのお話聞いて、改めてファミリーマートに行ってコンビニエンスウェアをまじまじと見つめたくなりましたね! 今回ご紹介したアイテムは、全国のファミリーマートで7月9日から順次店頭に並びますので、皆さんお楽しみに。

(構成=笹谷淳介、撮影=竹内洋平)

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