日々の充実がその顔つきから見て取れる。2月9日公開の映画『一月の声に歓びを刻め』に出演する、前田敦子。プライベートでは5歳になる息子を育てるシングルマザーだ。「今は無敵モード」「全然迷いがない」。力強い言葉が自然とこぼれる前田が明かす、葛藤した過去と出産を経てガラッと変化した人生観とは?
インタビュー後編では、前田の可愛い5歳になる息子の心を鷲掴みにする、“まさか!?”な交友関係も聞かせてくれた。
【前編】前田敦子、「性暴力と心の傷」という難題に挑む映画で…リアリティのある芝居はどう生まれたのか?
役者になりたいという夢を私が見つけたのはAKB48が始まりです。オーディションに受かってアイドルを経験していく中で、AKBは自分が将来何をやりたいのかを真剣に考えさせてくれるきっかけを与えてくれた場所でした。AKB卒業後は役者になりたいと長く願っていた状況もありましたが、今になってやっと落ち着いて役者業に向き合えているのかな?と思っています。
──落ち着いて役者業に向き合えるようになったきっかけとは?
出産の経験もそうですし、事務所から独立したというのも私に大きな変化を与えてくれました。それ以前はどこか現状維持でいいのかもしれないと思っていたところがあって。でもその「まあ、いいか……」は満足から来たものではなく、どこか諦めに近いニュアンスのものでした。ところが出産を経験してみると「あれ? どうして私は『まあ、いいか……』なんて思っていたの? 未来を生きていく子を目の前にして、なぜ自分を諦めているの?」と考えるようになったんです。
──まさにターニングポイントですね!
ぬるま湯状態の自分に対して発破をかけてくれたのは、AKB時代から大親友の衣装デザイナー・茅野しのぶです。彼女は助言がとてもうまい人で、いまだに私がダメになったときに唯一おしりを叩いてくれる人。そんなしのぶが「あっちゃん、『まあ、いいか……』じゃないよ! 私は何かを諦めているあっちゃんを見たくない。そんな考えはもったいない!」と叱ってくれました。そしていろいろと考えた結果たどり着いた答えが、独立して一からやってみようということでした。そこに辿り着くまでは葛藤を抱えたモヤモヤ期だったので、あのタイミングで出産してよかったと思うし、もしあのときに出産を経験していなかったら、真剣に将来を考えることすらなかっただろうし、今やっている役者という仕事も全うできていなかったかもしれません。
5歳になる息子は私の仕事のことは理解していて、幼稚園のお友だちから「〇〇君のママはアイドルだったんでしょ? 『推しの子』の星野アイと同じだったんでしょ?」と言われてビックリしたことがあります。どうやらうちの息子がお友だちに「ママ、元アイドルだから」などと教えていたようです(笑)。
──息子さんは敦子ママが誇らしいのでしょうね~!
最近は会ったことのある同業者の顔を覚え始めていて、たかみな(高橋みなみ)の親友のクロちゃんのことが大好きです。たかみなと遊んだときにクロちゃんも一緒にいたので息子に会わせてみたら、そこからドはまりして、今ではクロちゃんと動画でメッセージのやりとりをしています。
──幼子の心をも掴むクロちゃんのオールマイティぶりに驚かされます!
クロちゃんは本当に子どもが好きで、遊んでいる息子を見ていてもそれはわかります。クロちゃんは優しく相手をしてくれて、息子から「クロちゃんハゲているの?」と聞かれると「ハゲてないしん。毛根が死んでいるだけだしん」と丁寧に教えていました(笑)。息子のために一発芸を盛り込んだ動画をたかみな経由で送ってくれたときは、なぜか寝起きで声ガラガラ……。でもそれが子どもに大ウケしたりして。クロちゃんは相手に合わせることができる人なので、子どもにも動物にも好かれるらしいです。「その長所をもっと出していかないの?」とたかみなが聞いていたんですが、クロちゃんは「どうせウソだと思われるからやらないしん」と乗り気じゃなくて(笑)。楽しそうな人たちに囲まれて、息子も幸せです。
──息子さんは芸能界に興味はありそうですか?
これは表に出る仕事をしている人の子どもあるあるらしいのですが、うちの息子は恥ずかしがり屋タイプ。幼稚園のお遊戯会でも照れ隠しなのかずっとヘラヘラしていました。ほかの皆はちゃんとやっているのにセリフを爆笑しながら言ったりして、ひょうきん者みたいになっていました。恥ずかしさが先にあるので、表に出ることへの興味は今のところはなさそうです。
ありがたいことに土日はお休みという生活スタイルを取らせてもらっているので、金曜日の夜と土曜日の夜は子どもと2人で夜更かしOKにして、一緒にレゴを作ったりして遊んでいます。日曜日になると、次の日私は仕事で息子も幼稚園に行くので「また一週間頑張ろうぜ!」と言い合ってそれぞれ月曜日の準備をします。2人で家にいるときに私が「宿題」と言うと、台本を読むなどの仕事を意味してることを理解してくれているので、息子は目の前で一人静かに遊んでくれます。息子の成長に伴ってそのようなメリハリの効いた生活リズムができるようになってすごくやりやすい。今は無敵モードかもしれません(笑)。
──前田さんの顔つきからも日々の充実が伺えます!新年2024年の抱負を教えてください!
楽しくやっていきたいですね。苦しいことは、若い頃に十分やれたかなと思っていて。詳細の発表はこれからですが、先々に楽しそうなお仕事も待っているんです。子どもを見ても思いますが、人生楽しんだ者勝ちだなって。苦しみながら何かを生み出すというのは今の時代的にも合っていないと思いますし、観客にもおのずとその空気は伝わるもの。心身ともにハッピーな環境でハッピーな作品に携わり、ハッピーなままで仕事を続けることが出来たら嬉しいです。子どもとは相変わらず楽しい毎日を送ることができれば、それで十分です。
<取材・撮影=石井隼人、ヘアメイク:高橋里帆(HappyStar)/スタイリング:有本祐輔(7回の裏)>
■作品情報
『一月の声に歓びを刻め』
2月9日(金)テアトル新宿ほか全国公開
出演:前田敦子、カルーセル麻紀、哀川翔
坂東龍汰、片岡礼子、宇野祥平
原田龍二、松本妃代、とよた真帆
脚本・監督:三島有紀子
公式サイト:https://ichikoe.com/
© bouquet garni films
■衣装クレジット
・トップス、スカート
ともにGANNI /ガニー
・ピアス
Rieuk / リューク
・リング
ブランイリス トーキョー
インタビュー後編では、前田の可愛い5歳になる息子の心を鷲掴みにする、“まさか!?”な交友関係も聞かせてくれた。
【前編】前田敦子、「性暴力と心の傷」という難題に挑む映画で…リアリティのある芝居はどう生まれたのか?
転機は親友の発言「何かを諦めているあっちゃんを見たくない」
──前田さんはAKB48から出発して、今では俳優業が堅調ですね!役者になりたいという夢を私が見つけたのはAKB48が始まりです。オーディションに受かってアイドルを経験していく中で、AKBは自分が将来何をやりたいのかを真剣に考えさせてくれるきっかけを与えてくれた場所でした。AKB卒業後は役者になりたいと長く願っていた状況もありましたが、今になってやっと落ち着いて役者業に向き合えているのかな?と思っています。
──落ち着いて役者業に向き合えるようになったきっかけとは?
出産の経験もそうですし、事務所から独立したというのも私に大きな変化を与えてくれました。それ以前はどこか現状維持でいいのかもしれないと思っていたところがあって。でもその「まあ、いいか……」は満足から来たものではなく、どこか諦めに近いニュアンスのものでした。ところが出産を経験してみると「あれ? どうして私は『まあ、いいか……』なんて思っていたの? 未来を生きていく子を目の前にして、なぜ自分を諦めているの?」と考えるようになったんです。
──まさにターニングポイントですね!
ぬるま湯状態の自分に対して発破をかけてくれたのは、AKB時代から大親友の衣装デザイナー・茅野しのぶです。彼女は助言がとてもうまい人で、いまだに私がダメになったときに唯一おしりを叩いてくれる人。そんなしのぶが「あっちゃん、『まあ、いいか……』じゃないよ! 私は何かを諦めているあっちゃんを見たくない。そんな考えはもったいない!」と叱ってくれました。そしていろいろと考えた結果たどり着いた答えが、独立して一からやってみようということでした。そこに辿り着くまでは葛藤を抱えたモヤモヤ期だったので、あのタイミングで出産してよかったと思うし、もしあのときに出産を経験していなかったら、真剣に将来を考えることすらなかっただろうし、今やっている役者という仕事も全うできていなかったかもしれません。
「〇〇君のママはアイドルだったんでしょ?」息子との日々
──そのとき生まれた息子さんも5歳に。息子さんは前田さんがどのような仕事をされているのか理解していますか?5歳になる息子は私の仕事のことは理解していて、幼稚園のお友だちから「〇〇君のママはアイドルだったんでしょ? 『推しの子』の星野アイと同じだったんでしょ?」と言われてビックリしたことがあります。どうやらうちの息子がお友だちに「ママ、元アイドルだから」などと教えていたようです(笑)。
──息子さんは敦子ママが誇らしいのでしょうね~!
最近は会ったことのある同業者の顔を覚え始めていて、たかみな(高橋みなみ)の親友のクロちゃんのことが大好きです。たかみなと遊んだときにクロちゃんも一緒にいたので息子に会わせてみたら、そこからドはまりして、今ではクロちゃんと動画でメッセージのやりとりをしています。
──幼子の心をも掴むクロちゃんのオールマイティぶりに驚かされます!
クロちゃんは本当に子どもが好きで、遊んでいる息子を見ていてもそれはわかります。クロちゃんは優しく相手をしてくれて、息子から「クロちゃんハゲているの?」と聞かれると「ハゲてないしん。毛根が死んでいるだけだしん」と丁寧に教えていました(笑)。息子のために一発芸を盛り込んだ動画をたかみな経由で送ってくれたときは、なぜか寝起きで声ガラガラ……。でもそれが子どもに大ウケしたりして。クロちゃんは相手に合わせることができる人なので、子どもにも動物にも好かれるらしいです。「その長所をもっと出していかないの?」とたかみなが聞いていたんですが、クロちゃんは「どうせウソだと思われるからやらないしん」と乗り気じゃなくて(笑)。楽しそうな人たちに囲まれて、息子も幸せです。
──息子さんは芸能界に興味はありそうですか?
これは表に出る仕事をしている人の子どもあるあるらしいのですが、うちの息子は恥ずかしがり屋タイプ。幼稚園のお遊戯会でも照れ隠しなのかずっとヘラヘラしていました。ほかの皆はちゃんとやっているのにセリフを爆笑しながら言ったりして、ひょうきん者みたいになっていました。恥ずかしさが先にあるので、表に出ることへの興味は今のところはなさそうです。
息子も仕事を理解「今は無敵モードかも」
──仕事と育児の両立はいかがですか?ありがたいことに土日はお休みという生活スタイルを取らせてもらっているので、金曜日の夜と土曜日の夜は子どもと2人で夜更かしOKにして、一緒にレゴを作ったりして遊んでいます。日曜日になると、次の日私は仕事で息子も幼稚園に行くので「また一週間頑張ろうぜ!」と言い合ってそれぞれ月曜日の準備をします。2人で家にいるときに私が「宿題」と言うと、台本を読むなどの仕事を意味してることを理解してくれているので、息子は目の前で一人静かに遊んでくれます。息子の成長に伴ってそのようなメリハリの効いた生活リズムができるようになってすごくやりやすい。今は無敵モードかもしれません(笑)。
──前田さんの顔つきからも日々の充実が伺えます!新年2024年の抱負を教えてください!
楽しくやっていきたいですね。苦しいことは、若い頃に十分やれたかなと思っていて。詳細の発表はこれからですが、先々に楽しそうなお仕事も待っているんです。子どもを見ても思いますが、人生楽しんだ者勝ちだなって。苦しみながら何かを生み出すというのは今の時代的にも合っていないと思いますし、観客にもおのずとその空気は伝わるもの。心身ともにハッピーな環境でハッピーな作品に携わり、ハッピーなままで仕事を続けることが出来たら嬉しいです。子どもとは相変わらず楽しい毎日を送ることができれば、それで十分です。
<取材・撮影=石井隼人、ヘアメイク:高橋里帆(HappyStar)/スタイリング:有本祐輔(7回の裏)>
■作品情報
『一月の声に歓びを刻め』
2月9日(金)テアトル新宿ほか全国公開
出演:前田敦子、カルーセル麻紀、哀川翔
坂東龍汰、片岡礼子、宇野祥平
原田龍二、松本妃代、とよた真帆
脚本・監督:三島有紀子
公式サイト:https://ichikoe.com/
© bouquet garni films
■衣装クレジット
・トップス、スカート
ともにGANNI /ガニー
・ピアス
Rieuk / リューク
・リング
ブランイリス トーキョー