アジカンやRADWIMPSの衝撃。King Gnu・新井和輝、ベースに熱中した青春を明かす

King Gnuのベーシスト・新井和輝が、ベースを始めるきっかけや、2人の師匠との出会いを語った。

このトークが繰り広げられたのは、J-WAVEで放送中の番組『SAPPORO BEER OTOAJITO』(ナビゲーター:クリス・ペプラー)。ビールを飲みながら、クリスとゲストが音楽談議を繰り広げる番組だ。オンエアは12月16日(土)。

King Gnuは11月に4年ぶりとなるニューアルバム『THE GREATEST UNKNOWN』をリリースした。

この番組では、ゲストがビールに合う“おみや”を紹介する。新井はチーズを持参し、ビールとともに楽しんだ。

初めて買ったCDはアジカン

東京都福生市出身の新井は、この街にある老舗のライブハウス「チキンシャック」が音楽人生に欠かせない存在だったと語る。

新井:そこが毎週木曜日に無料でセッションをやってたんですよね。そこで同世代の「森は生きている」っていうバンドのフロントだった岡田拓郎くんとか、今一緒にやってる君島大空ってギタリストとか、一緒に入り浸ってたので、まず僕のキャリアの始めというか、音楽人生の最初に「チキンシャック」は欠かせないですね。

そんな新井がベースを始めたのは14歳の誕生日だったという。

新井:当時、中学校でアコギブームがあったんですね。で、僕の友だちがアコギ持ってて、ギター持ってるやつもいて、「バンドやろうぜ」って言い始めて。僕は何もやってなかったので、「じゃあ俺はベースか」って。余りものだったので。今でもあのシチュエーションは覚えてますけど、あの友だちの一言がなかったら音楽をやってないかもしれないですね。でもドラマーがいなかったので、あんまりバンドっぽいことはできず。結局、中学のうちは人に発表する場はなく、友だちの家に小さいアンプを持ち寄って、そのときは邦楽が好きだったので、ASIAN KUNG-FU GENERATIONの曲のスコアブックを買ってきて、みんなで練習したり。『遥か彼方』って曲です。

ASIAN KUNG-FU GENERATION『遥か彼方』

クリス:初めて買ったCDもアジカン(ASIAN KUNG-FU GENERATION)なんですか?

新井:そうです。『遥か彼方』が1曲目の『崩壊アンプリファー』っていうミニアルバムで。この曲がベースで始まっているので、その印象が強くて。もともとベースを始める前からアジカンがずっと好きで。それこそ小学生のときから好きでしたね。

衝撃を受けたRADWIMPSの曲

新井はベースにのめり込むようになったきっかけの曲として、RADWIMPSの4枚目のアルバム『RADWIMPS 4〜おかずのごはん〜』に収録の『遠恋』を紹介した。

RADWIMPSの『遠恋』

新井:ベースソロが途中で入ってたりして、それで初めてスラップっていうものに触れるんですよね。何だこれはって当時、衝撃を受けて。そこから、これをやりたいって。この曲は指弾きも必要だしスラップも必要なので、その2つをやり始めたってところから、どんどんハマっていって、同時にもともとストイック気質だったのががっちり合わさって、黙々と練習するようになっちゃいました。

クリス:ベースをやるにあたって、ストイックに勉強したほうですか?

新井:そうですね。高校のときがピークで。いちばん先生にドン引きされたのは、高校の修学旅行が沖縄だったんですけど、そこにベースを持って行って。そのときの吹奏楽部の先生に「長いこと教師をやってるけど、沖縄にまでベースを持って来たやつはお前が初めてだな」とか言われて。

クリス:それは沖縄で練習するために持って行ったと。

新井:とにかくベースに触れない日を作りたくなくて。毎日何かしらで触らないとって。

【亀田誠治×新井和輝】ありとあらゆる時間をベースの演奏につぎ込んでいた時代を振り返る

エレキベース、ウッドベースの師匠

新井はエレキベースの師匠に、日野JINO賢二、ウッドベースの師匠に河上 修をそれぞれあげた。

クリス:いわゆるエレキとウッドの巨匠というか。

新井:すごく濃い先生たちに習ってきてますね。順序で言うと、高校・大学くらいが日野さん。大学くらいから今までは河上さんって感じで。

クリス:それって、どうやって弟子になるの?

新井:2人とも違うパターンだったんですけど、僕がいわゆるジャズみたいな世界にのめり込み始めたのが高校2年生くらいで、そのときによく通い詰めてたライブバーみたいなところに、日野さんがライブで出る回があって。僕は『ベース・マガジン』を読みあさっていたので、「あっ、『ベース・マガジン』に出てる人が今度出るじゃん」ってことで観に行ったんです。そしたら日野さんのプレイがヤバすぎて。そこから日野さんのライブの追っかけみたいに行くようになって、日野さんも覚えてくれて。でも、日野さんのライブは観るのにお金がかかるから「ちょっと学割とかあったら……」みたいなことを直談判しに行ったんですよ。そしたら「そんなの俺に言ってくれたら学割にするから」って。「でもそれより、俺のアシスタントになったら、いつでもどこでもタダで俺のライブが観られるよ。そこにマネージャーいるから訊いてごらん」って言われて、話を聞きに行って。

その翌日に突然、日野のマネージャーから「急遽アシスタントが来られなくなったから、今日、阿佐ヶ谷に来ないか」と電話がかかってきたと当時を振り返る。

クリス:いわゆるローディーですか。

新井:そうです。それで「行きます!」って言ったのが最初ですね。

クリス:河上さんはどうやって出会ったんですか?

新井:高校時代から僕が福生市のほうで世話になってたギターのおじさんがいて、その方が元プロの方で。高校卒業するときに「ウッドベースとかもやっておいたほうがいいよ。俺の知り合いに素晴らしい人がいるから紹介するね」って紹介してくれたのが河上さんでした。

クリス:へえ。

新井:それで河上さんの家に行って、「ウッドベースは大体こんなものだから」って弾いてもらったときに、うわーって鳥肌が立って。これは縁だなと思って入門して。河上さんのほうは最初はお金を払ってレッスンに通うみたいなタイプだったんですけど、当時、河上さんは内弟子を採用している方だったんですね。それで僕も内弟子にしてもらえませんかってレッスンのときに言ったら「お前なら明日からでもいいよ。楽器だけ持ってこい。あとは全部俺が用意するから」って。家に住まわせる弟子なので、それなりのジャッジメントがあったと思うんです。それが大学4年生のときでした。

クリス:そこからプロって感じですか?

新井:そこから今度は河上さんのローディーもやるようになって、演奏でお金をもらいながら、パン屋のバイトとかもしながら、みたいな感じでしたね。

今のKing Gnuは「4人でいるときの感じがすごくいい」

King Gnuは11月に4年ぶりとなるニューアルバム『THE GREATEST UNKNOWN』をリリースした。

クリス:今回はじっくりできたほうですか、それとも忙しさのなかをぬってできたアルバムですか。

新井:両方ですかね。やっぱりある程度の時間の制約があるなかで、最大限おのおのが向き合えたんじゃないかなっていうアルバムになってるので、消化不良感みたいなのはまったくないですね。

クリス:今はノリにノッてて、メンバー全員がバンドとして活性されているから、いいものがどんどん出てくる時期のような気がします。

新井:そうかもしれないですね。4人でいるときの感じがすごくいいんですよね。前から悪いことはなかったんですけど、最近ことさら流れてる空気がグッドなんですよね。他のメンバーがどう感じてるかはわからないですけど、僕はすごく楽しくやれたなって。

クリス:今までのアルバムと違うところとか進化したところってあります?

新井:1枚目の『Tokyo Rendez-Vous』の感覚に回帰したアルバムっていうのが肌感ではあって。『Tokyo Rendez-Vous』だと僕がベースを弾いてない曲もあったりして、ちょっと打ち込みの曲も多いはずなんです。それってもともと常田(大希)が持ってるフィールドの1つで、そこに帰っていこうというか。King Gnuってもともとバンドだけど、いわゆるフィジカルなバンドだけでもないよね、僕らのよさはって。そこをもう1度見つめ直してそこに回帰していく感じだったので。4年の時間があったので、フィジカルな曲はフィジカルな曲なんですけど、フィジカルじゃない打ち込みライクな曲もすごくKing Gnuとしてちゃんとやれてるなって。かといってライブでできないかっていうと、今リハしてるんですけど、そうでもなくて、意外とライブはライブでめっちゃいい感じになってるので楽しみですね。

King Gnuは2024年1月から全国5大ドームツアー「King Gnu Dome Tour『THE GREATEST UNKNOWN』」を開催する。

クリス:いわゆるバンド形態でこの規模のツアーってすごいですよね。

新井:バンド史上最速らしくて。「King Gnuすげえ」っていうのを、僕らがいちばん近くで観てるお客さんみたいな感じというか。

クリス:自分たちの進化を俯瞰できるってすごいことですよね。

King Gnuの最新情報は、公式サイトまで。

番組の公式サイトに過去ゲストのトーク内容をアーカイブ。オンエアで扱った音楽の情報も掲載している。

・過去ゲストのアーカイブページ
https://www.j-wave.co.jp/original/otoajito/archives.html

『SAPPORO BEER OTOAJITO』では、毎週さまざまなゲストを迎えてお酒を飲みながら音楽トークを繰り広げる。放送は毎週土曜18時から。
radikoで聴く
2023年12月23日28時59分まで

PC・スマホアプリ「radiko.jpプレミアム」(有料)なら、日本全国どこにいてもJ-WAVEが楽しめます。番組放送後1週間は「radiko.jpタイムフリー」機能で聴き直せます。

番組情報
SAPPORO BEER OTOAJITO
毎週土曜
18:00-18:54

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