MONO NO AWAREの玉置周啓(Vo/Gt)が「一生歩ける甲州街道」をテーマに曲をセレクトした。
玉置が登場したのは、8月10日(木)に放送されたJ-WAVEの番組『GRAND MARQUEE』(ナビゲーター:タカノシンヤ、Celeina Ann)のワンコーナー「RADIO ENSEMBLE」。東京のある街、ある商店街、ある路線……セレクターたちが東京のある場面をイメージした選曲をお届けするコーナーだ。
玉置:以前、甲州街道沿いに住んでいたのもあって、金がないときは新宿から最寄りの駅まで歩いたり、そうでなくても楽曲を作るときに自分の最寄から調布方面に向かって歩くことも多くて。たぶん、東京に住み始めてから一番この足で踏みしめた道路が甲州街道だったのではないかと思いまして、このテーマにしました。では、そんな「一生歩ける甲州街道」をテーマにまずは1曲ご紹介します。
玉置はLantern Paradeの『甲州街道はもう夏なのさ』をセレクトした。
玉置:この曲は甲州街道沿いに住んでいたころのルームメイトの友人がしきりに、夏というか梅雨あたりからかけ続けていた“我が家のヒットソング”というような曲で、これを聴かずには歩けなくなるぐらいの年もあったぐらいです。だから甲州街道といったらまず最初にこの曲があがります。夏の曲なんでしょうけど、晴れやかすぎないというか寂しい、夏なのに予定がなくて2人して家にいるとき、ルーメイトの友人がかけているようなわびしさもあって、そういうところが僕の趣味にハマった曲です。
玉置:続いて2曲目です。この曲もルームメイトの友人がよくかけていて、それで知ったミュージシャンなんですが、Sky Mataという北海道の宅録ミュージシャンがいるそうなんです。音源も2枚ぐらいしかまだ出していない感じなんですが、とにかく1曲1曲が短い。1分から2分程度の、北海道だからなのかわかりませんが、とてつもなく寂しい、涼しい音像の曲が詰まっているアルバムが出ていまして、そこからお気に入りの1曲をかけたいと思います。
玉置はSky Mataの『Cinnamon Raisin』とKumagusuの『ツリメの』をセレクトした。
玉置:性格的に「夏なのに涼しい曲」というのが僕のテーマのなかでありまして。それは甲州街道にうっそうと生えている街路樹がそうさせるのかわかりませんが、このKumagusuの『ツリメの』という曲は、なんですかね? Kumagusuというバンドがそもそも、なんだかヤンチャな大人の世界。見たことのない混沌とした黒い世界みたいなのを書いている大人っぽいバンドなんです。それに憧れているというのも(選曲の理由として)あります。
また、「悲しい夏の思い出」も蘇るのだとか。
玉置:以前、甲州街道から三鷹まで「曲ができるまで歩こう」って、10キロ近く歩いたことがあるんです。途中のコンビニで黒いヴェルファイアが止まっていて、運転席と助手席からしきりに弁当のパックのカラが投げられているところを目撃してしまって。「もうこいつらとっちめてやろう」と思って、ゆっくり車に近づいていきました。そのころには弁当パックが左右に3パックぐらいずつは重なっている状態だったんですけど、それを踏みしめながら運転席まで近づいて顔を見たら「スーパーユーチューバー」みたいな見た目のお兄さんが2人乗っていたんです。あり得ないぐらい高らかな笑い声を発していたので、僕はすべての戦意を喪失してしまって、落ちている弁当パックを1人で拾い集めてコンビニに捨てに行ったという悲しい夏の思い出があるんですが、それを彷彿をさせる曲なので紹介しました。
玉置:続いてはTaiko Super Kicksという人たちの曲を紹介します。この曲は『波』というアルバムに収録されています。もともと好きだったんですが、この『火遊び』という曲が刺さったのは、甲州街道沿いに同居人たちとコンビニに酒を買いに行ったり、それこそ花火をしに行ったりした夜があったんです。子どものころはあんなにお出かけしたり花火をみんなでしたりするのが楽しかったのに、コンビニで花火を買って公園に行くころにはもう、なんか飽きちゃっている。花火をやって、最後に線香花火をみんなでやって終わるんだろうな、というのを予感しながら公園に行っている。その取り返しがつかないところにまできちゃったのかもしれないな、というような孤独感というか。同居人といて楽しいのになんか寂しいという、そういうのを的確に表した曲だなと思って。1回聴いてから昼も夜も散歩しながら聴くようになった曲です。
玉置はTaiko Super Kicksの『火遊び』をセレクトした。
玉置:甲州街道でなくてもよかったかもしれませんが、自分が音楽を聴くときというのは、座って家で聴くというよりは歩きながら聴くということが多いんだな、というのをこの企画をいただいてから考えるようになりました。だいたい僕が歩くときというのは、気分的に満足しているときというよりは、すごくうら寂しいとか、不満があるとか、不安だという、ちょっと心が揺れているときにすることなんだなという風に思い直しました。
そんなことを考えながら選んだ5曲目は、RCサクセションの『甲州街道はもう秋なのさ』。
玉置:たまたま友人が「甲州街道と言えば『甲州街道はもう秋なのさ』でしょ」という話をしまして、それも同居人だったんです。RCサクセションを恥ずかしながらあまり聴いたことがなかったんですが、これを初めて聴いて、1曲目の『甲州街道はもう夏なのさ』が少し寂しく感じられたのは、この曲が元だったからなんだなと。明らかにオマージュ元だからだなということがよくわかる感じでした。歌詞も途中から忌野清志郎の悲しいんだか楽しいんだかわからない、割れているみたいな声で歌うというのがすごく響きました。実は夏だろうとこういう寂しい曲が、僕がああいう大通りをときにはイヤホンの音量を車の排気音に負かされて「聴こえないな」と思いながら歩くあの時間にピッタリだったのかもしれない、と思って選びました。
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東京のある街、ある商店街、ある路線。セレクターたちが東京のある場面をイメージした選曲をお届けするコーナー「RADIO ENSEMBLE」の放送は、毎週月曜日から木曜日の17時台から。
玉置が登場したのは、8月10日(木)に放送されたJ-WAVEの番組『GRAND MARQUEE』(ナビゲーター:タカノシンヤ、Celeina Ann)のワンコーナー「RADIO ENSEMBLE」。東京のある街、ある商店街、ある路線……セレクターたちが東京のある場面をイメージした選曲をお届けするコーナーだ。
一番踏みしめた道路
玉置はまず甲州街道をテーマに選んだ理由について語った。玉置:以前、甲州街道沿いに住んでいたのもあって、金がないときは新宿から最寄りの駅まで歩いたり、そうでなくても楽曲を作るときに自分の最寄から調布方面に向かって歩くことも多くて。たぶん、東京に住み始めてから一番この足で踏みしめた道路が甲州街道だったのではないかと思いまして、このテーマにしました。では、そんな「一生歩ける甲州街道」をテーマにまずは1曲ご紹介します。
玉置はLantern Paradeの『甲州街道はもう夏なのさ』をセレクトした。
玉置:この曲は甲州街道沿いに住んでいたころのルームメイトの友人がしきりに、夏というか梅雨あたりからかけ続けていた“我が家のヒットソング”というような曲で、これを聴かずには歩けなくなるぐらいの年もあったぐらいです。だから甲州街道といったらまず最初にこの曲があがります。夏の曲なんでしょうけど、晴れやかすぎないというか寂しい、夏なのに予定がなくて2人して家にいるとき、ルーメイトの友人がかけているようなわびしさもあって、そういうところが僕の趣味にハマった曲です。
夏の日の思い出
玉置は選曲のコンセプトを語っていった。玉置:続いて2曲目です。この曲もルームメイトの友人がよくかけていて、それで知ったミュージシャンなんですが、Sky Mataという北海道の宅録ミュージシャンがいるそうなんです。音源も2枚ぐらいしかまだ出していない感じなんですが、とにかく1曲1曲が短い。1分から2分程度の、北海道だからなのかわかりませんが、とてつもなく寂しい、涼しい音像の曲が詰まっているアルバムが出ていまして、そこからお気に入りの1曲をかけたいと思います。
玉置はSky Mataの『Cinnamon Raisin』とKumagusuの『ツリメの』をセレクトした。
玉置:性格的に「夏なのに涼しい曲」というのが僕のテーマのなかでありまして。それは甲州街道にうっそうと生えている街路樹がそうさせるのかわかりませんが、このKumagusuの『ツリメの』という曲は、なんですかね? Kumagusuというバンドがそもそも、なんだかヤンチャな大人の世界。見たことのない混沌とした黒い世界みたいなのを書いている大人っぽいバンドなんです。それに憧れているというのも(選曲の理由として)あります。
また、「悲しい夏の思い出」も蘇るのだとか。
玉置:以前、甲州街道から三鷹まで「曲ができるまで歩こう」って、10キロ近く歩いたことがあるんです。途中のコンビニで黒いヴェルファイアが止まっていて、運転席と助手席からしきりに弁当のパックのカラが投げられているところを目撃してしまって。「もうこいつらとっちめてやろう」と思って、ゆっくり車に近づいていきました。そのころには弁当パックが左右に3パックぐらいずつは重なっている状態だったんですけど、それを踏みしめながら運転席まで近づいて顔を見たら「スーパーユーチューバー」みたいな見た目のお兄さんが2人乗っていたんです。あり得ないぐらい高らかな笑い声を発していたので、僕はすべての戦意を喪失してしまって、落ちている弁当パックを1人で拾い集めてコンビニに捨てに行ったという悲しい夏の思い出があるんですが、それを彷彿をさせる曲なので紹介しました。
心が揺れているときに
玉置は自身があえて甲州街道で音楽を聴く理由について語った。玉置:続いてはTaiko Super Kicksという人たちの曲を紹介します。この曲は『波』というアルバムに収録されています。もともと好きだったんですが、この『火遊び』という曲が刺さったのは、甲州街道沿いに同居人たちとコンビニに酒を買いに行ったり、それこそ花火をしに行ったりした夜があったんです。子どものころはあんなにお出かけしたり花火をみんなでしたりするのが楽しかったのに、コンビニで花火を買って公園に行くころにはもう、なんか飽きちゃっている。花火をやって、最後に線香花火をみんなでやって終わるんだろうな、というのを予感しながら公園に行っている。その取り返しがつかないところにまできちゃったのかもしれないな、というような孤独感というか。同居人といて楽しいのになんか寂しいという、そういうのを的確に表した曲だなと思って。1回聴いてから昼も夜も散歩しながら聴くようになった曲です。
玉置はTaiko Super Kicksの『火遊び』をセレクトした。
玉置:甲州街道でなくてもよかったかもしれませんが、自分が音楽を聴くときというのは、座って家で聴くというよりは歩きながら聴くということが多いんだな、というのをこの企画をいただいてから考えるようになりました。だいたい僕が歩くときというのは、気分的に満足しているときというよりは、すごくうら寂しいとか、不満があるとか、不安だという、ちょっと心が揺れているときにすることなんだなという風に思い直しました。
そんなことを考えながら選んだ5曲目は、RCサクセションの『甲州街道はもう秋なのさ』。
玉置:たまたま友人が「甲州街道と言えば『甲州街道はもう秋なのさ』でしょ」という話をしまして、それも同居人だったんです。RCサクセションを恥ずかしながらあまり聴いたことがなかったんですが、これを初めて聴いて、1曲目の『甲州街道はもう夏なのさ』が少し寂しく感じられたのは、この曲が元だったからなんだなと。明らかにオマージュ元だからだなということがよくわかる感じでした。歌詞も途中から忌野清志郎の悲しいんだか楽しいんだかわからない、割れているみたいな声で歌うというのがすごく響きました。実は夏だろうとこういう寂しい曲が、僕がああいう大通りをときにはイヤホンの音量を車の排気音に負かされて「聴こえないな」と思いながら歩くあの時間にピッタリだったのかもしれない、と思って選びました。
MONO NO AWAREの最新情報は、公式サイトまで。
東京のある街、ある商店街、ある路線。セレクターたちが東京のある場面をイメージした選曲をお届けするコーナー「RADIO ENSEMBLE」の放送は、毎週月曜日から木曜日の17時台から。
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2023年8月17日28時59分まで
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番組情報
- GRAND MARQUEE
-
月・火・水・木曜16:00-19:00