俳優の吉岡里帆が、主演を務めた映画『アイスクリームフィーバー』や、自身の芸能人生のターニングポイントを語った。
吉岡が登場したのは、J-WAVEで放送中&ポッドキャスト配信中の番組『VOICE OF FOOD ~AJI NA FUKUONSEI~』。フードエッセイストの平野紗季子が、毎週異なる食 (メニュー) をテーマに様々なトークを繰り広げていく。この記事は、7月7日(金)のオンエアをテキスト化したもの。
同番組はポッドキャストでも楽しめる。
平野:観させていただいたんですけど、本当にすばらしい映画でした。せっかく暑いなかお越しいただいたので、アイスでも食べながらやらないかなと。
吉岡:この番組、幸せすぎない? アイスを食べながらラジオをしていいんですか?
平野:いいんだよ(笑)。ということで、平野が世界一愛している東京・阿佐ヶ谷の「ジェラテリアSINCERITA(シンチェリータ)」さんのジェラートです。
吉岡:やったー! 色がかわいい。
平野:こちらは一言で言うと誠実。
吉岡:一番好きな言葉。
平野:季節の果実をピュレとかじゃなくてフレッシュな状態から。実際に果実が届いて、それをイチから仕込んで手作りしているジェラート屋さんです。私は果実のzipファイルという風に呼んでいます。お店に行くとこれからジェラートになるフルーツがゴロゴロ転がっているというか。そういうフルーツの香り高さ、なめらかさ、繊細な味わい全部込めたアイスに今日、来ていただいています。まずこれが「メルノワ」というナッツとハチミツです。
吉岡:わあ、おいしそう。
平野:これが「西表(いりおもて)パイン」。
吉岡:名前もいいですね。
平野:これが「完熟南高梅」。
吉岡:もう香りがただよってきてる。
平野:これが「塩キャラメル」で、これが「プラム」。好きなのを選んでくれたまえ。
吉岡:南高梅とか珍しいですね。
平野:甘酸っぱくておいしくて、ファンも多いです。
吉岡:けっこうプラムが好きで、丸かじりをするんです。プラムと南高梅は絶対に味見したいかな。あ、すごくフレッシュな香りがします。みずみずしさと「さっきまで僕、木にいました」みたいな。
平野:果実だったころの思い出がまだ生きているでしょ。
吉岡:いただきます。
一口食べた吉岡は、「まって! なにこれ。とんでもないことが起きています」と、その味を絶賛。
吉岡:紗季子さんの「世界一」って一番信頼できるワードだと思います。私にとっても世界一になった。すごくおいしい。
平野:2人ともプラムですね。本当においしいよね。
吉岡:プラム好きとしては皮も愛してくれる感じがすごくうれしい。
平野:まさに。職人の方自身が果実の色味や味わいに心を動かして、それをアイスに閉じ込めたいという気持ちで作っていて、それがめっちゃ伝わってこないですか?
吉岡:本当に伝わる。紗季子さんがおすすめしてくれる子たちって、みんな想いの深さがすごいんです。「君だけのために生まれた」みたいな、そういう子たちを教えてくれるから。
平野:そうかも。本当に愛しているかどうかって、食べたら伝わりますよね。
吉岡:伝わる。私はアイスは普段あまりたくさんは食べないんです。ちょっとした罪悪感もあるから。でもこれ、罪悪感がゼロです。
平野:ジェラートなので、アイスクリームよりもちょっと乳脂肪分が低いかな。混じりけのない感じで作っているから、本当にフレッシュ。カロリーゼロとは言わないけど(笑)。
平野:映画を観ていても、めっちゃアイスを食べたくなりました。
吉岡:うれしいです。劇中でもアイスを食べさせたり、本人が食べたりしていますけど(笑)。印象的なシーンにアイスが使われているので、みなさんもたぶんアイスが食べたくなると思うな。
平野:そうだよね。この映画は一言で言うとどんな物語?
吉岡:私が台本を読んで一番感じたのは、出会ったことですべての溝が埋まるような、そういう運命的な人と人との出会いみたいなところが一番グッときたし、大事にしたいなと思ったところです。自分もそういう経験があって。すべてが完成した人間じゃないって、きっといろいろな人が思ってると思うんですけど、完全じゃない自分を埋めてくれるのは他人だったりするという。
平野:確かに主人公の常田菜摘さんは、ある種そこに欠けたものがあって、人と出会って少しだけ前に進んだり少し変われたりするのが、私もすごく美しいなと思った。
吉岡:そこが伝われば……。ディテール的には、アートディレクターさん(※「れもんらいふ」の千原徹也)が監督されているのもあって、俳優さんやモデルさん、シンガーというキャラクターの強い女性たちが出ていて、そういう側面がフィーチャーされがちなんだけど、けっこう普遍的なテーマを扱っているのかなと。
平野:それが一番響いたかも。私のなかでは、菜摘さんが大切な人になり得る人にアイスをカウンター越しに手渡しするときに、一瞬指先が触れる、あの指先がたまらなかった。
吉岡:わかりやすい恋とかじゃなくて、よくわからないけど心が動いてしまって止められない感じとかが、そういう(指先が触れる瞬間のような)細かいところに出るようにすごしていたから、うれしいです。
平野:そうやって人が出会うことによって、それは永遠ではないかもしれないけど、その人と一瞬関われたことで良きほうに導かれていく、みたいことってあると思います。
吉岡:ターニングポイントはたくさんあるんですけど、芸能人生においては、私は自分が悪役を演じたときがそうかも。
平野:へー! そうなんだ。
吉岡:自分と相容れないものとか理解できないものをやったときに、人間に対する愛情の幅がすごく広がったというか。自分だけが信じている価値観とか、自分だけが好んでいるものだけではなくて、あらゆるものを愛したいし知りたいと思えたというか。
平野:人間として1歩前に進まれている。
吉岡:全然そんなことないです(笑)。
平野:私たちって本来は1つの人生を1度きりしか生きることがかなわなくて。かなわないからこそ、そのために物語があるというか。物語を読むうちは誰かの人生を一瞬だけなぞることができるし、知らない人生のあり方に触れられたりすると思うんです。役者さんはまさに誰かの人生を生きる、ということなわけで。その時間が人生にどのようなものをもたらすのかなと。
吉岡:撮影期間が長いとより一層深く役のこと、作品のことを考えてすごすので、無視できないというか。その世界に住んでいる人のこととか価値観とかが、本当にエッセンスになって体に溶け込んでくる感じ。自分自身と全然違う人間だとしても、自分のなかに取り込まれていくような感じがします。不思議な感じ。「一部」という感じ。
平野:たくさんの一部を伴って生きているんですね。
吉岡:だから面白いなと思う。「この状況でこの子はこういうことを思って、いろいろな選択をするんだな」とか「私だったらこうするけどな」みたいな、アドバイザーみたいな気持ちになるときもあるし(笑)。
平野:カウンセラー的な。
吉岡:不器用な役だと「守りたい」という気持ちになって、魅力的に演じたいなと思ったりもします。自分よりも人間レベルが高い人を演じていると「こんな聖人になれないんだけど」みたいな。
平野:「そこで許せるんだ」みたいな。
吉岡:そうそう、やきもきして。でもちょっとずつ近づきたいと願ったり。友だちとかに近いのかも。もっと仲よくなりたい親友みたいな。
平野:知りたいし、わかりたい。里帆ちゃんの表現で他者と向き合った瞬間に「この画面越しの2人は本当の気持ちが通い合っているんだな」みたいなことを思えるような、里帆ちゃんの意思のある眼差しがすごく好きで。そういった表現は簡単なことではないと思いますが、どうやってそれを成立させているんだろうな、みたいなのは気になります。
吉岡:人生で出会える人って限られていると思います。でも出会えた時点で本当に奇跡じゃないですか。だから粗末にしたくないというか。この出会いを大事に温めたいという感じがしています。
平野:そういう誠実さみたいなことが、最終的にお芝居をするときにも表れてくるという。
吉岡:自分だとよくわからないんですけど。たぶん技術とか見せ方とかもあると思いますが、最終的にはその心がだだ漏れているかどうかみたいなのが、私は勝手に大事なのかなと思うので、そういう気持ちになれるような心を育んでいきたい、みたいな気持ちです。
吉岡:映画『アイスクリームフィーバー』は、川上未映子さんの原作小説『アイスクリーム熱』から膨らんでいって、そして本当に才能豊かなキャストたち、いろいろな方が出演されています。みなさんのいろいろなフレーバーによってキラキラとした映画になっていると思います。ぜひ味わいに来てください。
平野:行きます! そして帰りにSINCERITAのアイスを食べに行ったりしてね。
吉岡:いいですね、最高。
平野:最高のアイス日和をすごしていただきたいと思います。
吉岡は7月14日(金)オンエアの同番組にも引き続きゲスト出演。平野紗季子に「グミ岡里帆」と呼ばれるほどグミが大好きな吉岡が、お気に入りのグミを紹介。J-WAVEおよびPodcastで楽しめる。
・「味な副音声 ~voice of food」公式サイト
https://spinear.com/shows/aji-na-fukuonsei/
吉岡が登場したのは、J-WAVEで放送中&ポッドキャスト配信中の番組『VOICE OF FOOD ~AJI NA FUKUONSEI~』。フードエッセイストの平野紗季子が、毎週異なる食 (メニュー) をテーマに様々なトークを繰り広げていく。この記事は、7月7日(金)のオンエアをテキスト化したもの。
同番組はポッドキャストでも楽しめる。
絶品!「世界一愛しているアイス」
吉岡は7月14日(金)公開の映画『アイスクリームフィーバー』で主演を務めている。映画にちなんで平野はこの日、アイスを用意していた。7/14(金)公開『アイスクリームフィーバー』<第2弾予告編>
吉岡:この番組、幸せすぎない? アイスを食べながらラジオをしていいんですか?
平野:いいんだよ(笑)。ということで、平野が世界一愛している東京・阿佐ヶ谷の「ジェラテリアSINCERITA(シンチェリータ)」さんのジェラートです。
吉岡:やったー! 色がかわいい。
平野:こちらは一言で言うと誠実。
吉岡:一番好きな言葉。
平野:季節の果実をピュレとかじゃなくてフレッシュな状態から。実際に果実が届いて、それをイチから仕込んで手作りしているジェラート屋さんです。私は果実のzipファイルという風に呼んでいます。お店に行くとこれからジェラートになるフルーツがゴロゴロ転がっているというか。そういうフルーツの香り高さ、なめらかさ、繊細な味わい全部込めたアイスに今日、来ていただいています。まずこれが「メルノワ」というナッツとハチミツです。
吉岡:わあ、おいしそう。
平野:これが「西表(いりおもて)パイン」。
吉岡:名前もいいですね。
平野:これが「完熟南高梅」。
吉岡:もう香りがただよってきてる。
平野:これが「塩キャラメル」で、これが「プラム」。好きなのを選んでくれたまえ。
吉岡:南高梅とか珍しいですね。
平野:甘酸っぱくておいしくて、ファンも多いです。
吉岡:けっこうプラムが好きで、丸かじりをするんです。プラムと南高梅は絶対に味見したいかな。あ、すごくフレッシュな香りがします。みずみずしさと「さっきまで僕、木にいました」みたいな。
平野:果実だったころの思い出がまだ生きているでしょ。
吉岡:いただきます。
一口食べた吉岡は、「まって! なにこれ。とんでもないことが起きています」と、その味を絶賛。
吉岡:紗季子さんの「世界一」って一番信頼できるワードだと思います。私にとっても世界一になった。すごくおいしい。
平野:2人ともプラムですね。本当においしいよね。
吉岡:プラム好きとしては皮も愛してくれる感じがすごくうれしい。
平野:まさに。職人の方自身が果実の色味や味わいに心を動かして、それをアイスに閉じ込めたいという気持ちで作っていて、それがめっちゃ伝わってこないですか?
吉岡:本当に伝わる。紗季子さんがおすすめしてくれる子たちって、みんな想いの深さがすごいんです。「君だけのために生まれた」みたいな、そういう子たちを教えてくれるから。
平野:そうかも。本当に愛しているかどうかって、食べたら伝わりますよね。
吉岡:伝わる。私はアイスは普段あまりたくさんは食べないんです。ちょっとした罪悪感もあるから。でもこれ、罪悪感がゼロです。
平野:ジェラートなので、アイスクリームよりもちょっと乳脂肪分が低いかな。混じりけのない感じで作っているから、本当にフレッシュ。カロリーゼロとは言わないけど(笑)。
『アイスクリームフィーバー』が描く美しさ
続いて2人は映画『アイスクリームフィーバー』について語り合った。平野:映画を観ていても、めっちゃアイスを食べたくなりました。
吉岡:うれしいです。劇中でもアイスを食べさせたり、本人が食べたりしていますけど(笑)。印象的なシーンにアイスが使われているので、みなさんもたぶんアイスが食べたくなると思うな。
平野:そうだよね。この映画は一言で言うとどんな物語?
吉岡:私が台本を読んで一番感じたのは、出会ったことですべての溝が埋まるような、そういう運命的な人と人との出会いみたいなところが一番グッときたし、大事にしたいなと思ったところです。自分もそういう経験があって。すべてが完成した人間じゃないって、きっといろいろな人が思ってると思うんですけど、完全じゃない自分を埋めてくれるのは他人だったりするという。
平野:確かに主人公の常田菜摘さんは、ある種そこに欠けたものがあって、人と出会って少しだけ前に進んだり少し変われたりするのが、私もすごく美しいなと思った。
吉岡:そこが伝われば……。ディテール的には、アートディレクターさん(※「れもんらいふ」の千原徹也)が監督されているのもあって、俳優さんやモデルさん、シンガーというキャラクターの強い女性たちが出ていて、そういう側面がフィーチャーされがちなんだけど、けっこう普遍的なテーマを扱っているのかなと。
平野:それが一番響いたかも。私のなかでは、菜摘さんが大切な人になり得る人にアイスをカウンター越しに手渡しするときに、一瞬指先が触れる、あの指先がたまらなかった。
吉岡:わかりやすい恋とかじゃなくて、よくわからないけど心が動いてしまって止められない感じとかが、そういう(指先が触れる瞬間のような)細かいところに出るようにすごしていたから、うれしいです。
平野:そうやって人が出会うことによって、それは永遠ではないかもしれないけど、その人と一瞬関われたことで良きほうに導かれていく、みたいことってあると思います。
「悪役」を演じて、人への愛情の幅がすごく広がった
吉岡は自身の芸能人生のターニングポイントとなった事柄について語った。吉岡:ターニングポイントはたくさんあるんですけど、芸能人生においては、私は自分が悪役を演じたときがそうかも。
平野:へー! そうなんだ。
吉岡:自分と相容れないものとか理解できないものをやったときに、人間に対する愛情の幅がすごく広がったというか。自分だけが信じている価値観とか、自分だけが好んでいるものだけではなくて、あらゆるものを愛したいし知りたいと思えたというか。
平野:人間として1歩前に進まれている。
吉岡:全然そんなことないです(笑)。
平野:私たちって本来は1つの人生を1度きりしか生きることがかなわなくて。かなわないからこそ、そのために物語があるというか。物語を読むうちは誰かの人生を一瞬だけなぞることができるし、知らない人生のあり方に触れられたりすると思うんです。役者さんはまさに誰かの人生を生きる、ということなわけで。その時間が人生にどのようなものをもたらすのかなと。
吉岡:撮影期間が長いとより一層深く役のこと、作品のことを考えてすごすので、無視できないというか。その世界に住んでいる人のこととか価値観とかが、本当にエッセンスになって体に溶け込んでくる感じ。自分自身と全然違う人間だとしても、自分のなかに取り込まれていくような感じがします。不思議な感じ。「一部」という感じ。
平野:たくさんの一部を伴って生きているんですね。
吉岡:だから面白いなと思う。「この状況でこの子はこういうことを思って、いろいろな選択をするんだな」とか「私だったらこうするけどな」みたいな、アドバイザーみたいな気持ちになるときもあるし(笑)。
平野:カウンセラー的な。
吉岡:不器用な役だと「守りたい」という気持ちになって、魅力的に演じたいなと思ったりもします。自分よりも人間レベルが高い人を演じていると「こんな聖人になれないんだけど」みたいな。
平野:「そこで許せるんだ」みたいな。
吉岡:そうそう、やきもきして。でもちょっとずつ近づきたいと願ったり。友だちとかに近いのかも。もっと仲よくなりたい親友みたいな。
平野:知りたいし、わかりたい。里帆ちゃんの表現で他者と向き合った瞬間に「この画面越しの2人は本当の気持ちが通い合っているんだな」みたいなことを思えるような、里帆ちゃんの意思のある眼差しがすごく好きで。そういった表現は簡単なことではないと思いますが、どうやってそれを成立させているんだろうな、みたいなのは気になります。
吉岡:人生で出会える人って限られていると思います。でも出会えた時点で本当に奇跡じゃないですか。だから粗末にしたくないというか。この出会いを大事に温めたいという感じがしています。
平野:そういう誠実さみたいなことが、最終的にお芝居をするときにも表れてくるという。
吉岡:自分だとよくわからないんですけど。たぶん技術とか見せ方とかもあると思いますが、最終的にはその心がだだ漏れているかどうかみたいなのが、私は勝手に大事なのかなと思うので、そういう気持ちになれるような心を育んでいきたい、みたいな気持ちです。
リスナーに向けてメッセージ
吉岡は最後に、リスナーに向けてメッセージを贈った。吉岡:映画『アイスクリームフィーバー』は、川上未映子さんの原作小説『アイスクリーム熱』から膨らんでいって、そして本当に才能豊かなキャストたち、いろいろな方が出演されています。みなさんのいろいろなフレーバーによってキラキラとした映画になっていると思います。ぜひ味わいに来てください。
平野:行きます! そして帰りにSINCERITAのアイスを食べに行ったりしてね。
吉岡:いいですね、最高。
平野:最高のアイス日和をすごしていただきたいと思います。
吉岡は7月14日(金)オンエアの同番組にも引き続きゲスト出演。平野紗季子に「グミ岡里帆」と呼ばれるほどグミが大好きな吉岡が、お気に入りのグミを紹介。J-WAVEおよびPodcastで楽しめる。
・「味な副音声 ~voice of food」公式サイト
https://spinear.com/shows/aji-na-fukuonsei/
番組情報
- VOICE OF FOOD ~AJI NA FUKUONSEI~
-
毎週金曜24:30-25:00