韓国で600年続く「南大門市場」で味わいたいグルメは…パワー溢れるソウルの旅へ

2019年にJ-WAVEのアジア専門音楽番組として誕生した『MUSIX ASIA』が、2023年春から、アジアの国々への「イメージトリップ」に誘う新プログラム『RINREI ASIAN SOUNDSCAPE』(毎週金曜 24:00~24:30)へとリニューアル。毎回アジアの様々な国をフィーチャーし、その土地の人々や文化などとの触れ合いをストーリーに仕立て、音楽とともにお届けする。

旅の水先案内人となるナビゲーターは、『MUSIX ASIA』に引き続き、シンガポールに縁を持つ俳優・金沢雅美が務める。5月26日の放送で訪れた旅先は、韓国の首都「ソウル」。ここでは、金沢の語りで展開された空想旅行の模様と、イマジネーションの旅に彩(いろどり)を添えた楽曲と併せてテキスト形式にて紹介する。

【これまでのイメージトリップはコチラ】

<ナビゲーターの金沢雅美>


ソウル屈指のパワースポット・昌徳宮

羽田空港から2時間半。イマジネーションの旅は、仁川国際空港に降り立つところから始まる。空港鉄道でソウル市内に到着後、最初に訪れたのは「昌徳宮」。1405年、李氏朝鮮第3代国王・太宗が景福宮の離宮として創建させたこの建物は、朝鮮王朝で最も長く王が住んだ王宮だ。

華やかな李氏朝鮮時代の名残を宿すその意匠・造形美……。王朝の栄華を残しているものの、荘厳で華美ではないところが何とも趣深い。また、正門の敦化門は、門そのものの美しさもさることながら、その奥に見える鷹峰山や北漢山といった雄大な山々の景観も見事で、思わず息を呑む。

昌徳宮の中心に位置する正殿・仁政殿では、公式の儀式が執り行われていた。チマチョゴリを着て撮影している観光客らしき人たちの姿を目にしながら、ゆっくりと王宮内を歩く。

王宮巡りで目を引くのは、梁や壁などの色遣い。富を表す黄色、福を祈る青、真実の白、魔よけの赤、知恵の黒。それら5つの色「五方色」で描かれた様々な模様からは、特別なエネルギーを感じずにはいられない。

「色に宿る力と信仰心が見えるようだ」

そんなソウル有数のパワースポットである昌徳宮への観光を終えると同時に流れるのは、TWICEの「MOONLIGHT SUNRISE」。幻想的なムードたっぷりのイントロが、王宮探訪を終えたばかりの心地よい浮遊感とシンクロする。

商店で見かけた仮面劇のお面にホッコリ

朝鮮王朝の香りのするお土産を探しに、仁寺洞へとやってきた。ここは王朝時代から芸術のメッカとして、絵師や職人が暮らした街。仁寺洞通りを中心に迷路のような路地が張り巡らされていて、伝統工芸品を現代にうまく活かした品物の店が立ち並ぶ。

まず見かけたのは、国産の楮でつくる上質な紙「韓紙」の老舗や、伝統模様を刺繍した小物の販売店。王室で使われていた白磁のレプリカや、柔らかな色調が特徴の布「ポジャギ」などが置かれた店もある。中には、2022年にユネスコ無形文化遺産に登録された伝統仮面劇「タルチュム」のお面を取り扱ったお面屋も。壁に掛けられた木彫りのお面の群れがこちらを向いてニッコリとほほえみかけている。

「ユーモラスな面持ちにこちらの表情もほころぶ」

そんなホッコリする午後のひと時を表すように、韓国の男性歌手兼ラッパー・DPR LIVEのミディアムナンバー「JASMIN」がかかり、優しくスローなリズムを響かせる。

100以上の劇場がひしめく活気ある街

地下鉄4号線の恵化駅(ヘファ駅)。地上に上がる階段には、ミュージカルのポスターがびっしりと貼られていた。かつてソウル大学があり、学生街として発展してきたことから、大学路(テハンノ)という名が付いたこの街は、現在、小劇場からロングラン公演の大劇場まで100を超える劇場がひしめく。韓国ミュージカルの街であり、演劇の聖地だ。

日本で公演のチケットは予約して買うことが多いが、この街ではブラリと訪れ、ポスターをチェックしたり、配られるチラシの中からお気に入りを探したりする。

どこからともなく聴こえる祭囃子……。駅近くの、公演案内センターもあるマロニエ公園では、ストリートパフォーマンスが行われていた。

役者を目指す学生が集い、若手作家の作品も多く上映される大学路。6人組ボーイズグループ・BTOBの楽曲「わかるようでわからない」が流れれば、夢見る若者たちの瑞々しい熱気の中を、爽やかなメロディと歌声が通り過ぎていく。

南大門市場では太刀魚料理に舌鼓

舞台を鑑賞した後に覚える心地良い高揚感。朝、シャワーを浴びながら昨夜の余韻に浸っていると、ふと本日最初の予定が思いつく。

「朝食は市場でいただくことにしよう」

ここ南大門市場は、食料品はもちろん、ありとあらゆる生活雑貨がそろう。600年前からソウル市民の生活を支えてきた伝統あるマーケットだ。

この市場には2大グルメストリートが存在する。一つは、韓国式手打ち麺「カルグクス」の店が軒を連ねるカルグクス通り。狭い通りを歩けば、元気な呼び込みに負けてしまいそうになる。しかし、「今日は、もう一つの太刀魚通りで朝食をとると決めていた」と意志は固い。

日本でも太刀魚はお馴染みの魚だが、専門店街があるのは韓国ならでは。ある店では外に並べた小鍋で、太刀魚を大根などと甘辛く煮た料理「カルチジョリム」を調理していて、その匂いが堪らなく食欲を誘う。

「朝から元気をもらえそうだ」

そんな心のつぶやきとともに流れるのは、韓国の女性シンガーYERIN BAEKの楽曲「ANITIFREEZE」。優しく少し切ないメロディが、イメージトリップの終わりを告げる。

(構成=小島浩平)
番組情報
RINREI ASIAN SOUNDSCAPE
金曜
24:00-24:30

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