2019年にJ-WAVEのアジア専門音楽番組として誕生した『MUSIX ASIA』が、2023年春から、アジアの国々への「イメージトリップ」に誘う新プログラム『RINREI ASIAN SOUNDSCAPE』(毎週金曜 24:00~24:30)へとリニューアル。毎回アジアの様々な国をフィーチャーし、その土地の人々や文化などとの触れ合いをストーリーに仕立て、音楽とともにお届けする。
旅の水先案内人となるナビゲーターは、『MUSIX ASIA』に引き続き、シンガポールに縁を持つ俳優・金沢雅美が務める。4月28日の放送で訪れた旅先は、台湾の首都「台北」。ここでは、金沢の語りで展開された空想旅行の模様と、イマジネーションの旅に彩(いろどり)を添えた楽曲と併せてテキスト形式にて紹介する。
【これまでのイメージトリップはコチラ】
「国は違っても、この窓の一つ一つに、それぞれの暮らしがある」
金沢がそんなことを思っているうちに、わずか20分で今回の旅のスタート地点である「龍山寺駅」に到着。龍山寺は、創建約280年の歴史を誇る台北最古の寺院であり、100以上の神様が祀られた“最強のパワースポット”でもある。
サッカーコート1面分の広さの敷地には、ご本尊を祀った本殿のほか、前殿、鐘楼、後殿、太鼓楼があり、渡り廊下でつながっている。本殿の天井には、生命の生まれ変わり“輪廻”を表す細やかな細工が施され、その荘厳な美しさは圧巻だ。
境内を見て回っていると、何やら「カチカチ」と音がする。これは、おみくじを引く人たちが三日月形の赤い木片を地面に投げつけている音だ。これも台湾流の参拝時における作法の一つというから、やはり異国の文化はおもしろい。
参拝を終え、風情ある門前町を歩く。賑わう街の活気に触れれば自然とパワーが漲り、「龍山寺のご利益は、即効性があるのかもしれない」と気分は上々に。そんな金沢の弾むような心を表現するかのように、男性シンガー・蕭秉治によるポップな曲調の楽曲「外人」が流れる。
この日のお目当ては「客家花布」の問屋。客家花布は、鮮やかなピンクや黄色、水色の生地に大きな牡丹が描かれた花布で、レトロチックな柄と色合いが特徴だ。かつて日本統治時代の影響を受けた背景もあってか、どこか大正ロマンを感じさせる。この色彩豊かな生地を手に取れば、自然と活用方法が頭に浮かぶ。
「ポーチや小物入れにしたらきっと可愛いだろう。たまにはこういうカラフルなものを身につけるのも新鮮かもしれない」
店を埋め尽くす花布。金沢が「満開の牡丹に包まれたように、明るい気持ちになった」と温かみのある声で語れば、台湾人女性歌手・張惠妹の楽曲「最愛的人傷我最深」がかかり、彩のある歌声を響かせる。
「やっぱり人気のある占い師さんは鑑定待ちかぁ。ここはせっかく来たのだから、待つことにしよう」
待ち時間の間に聞こえてくるのは、地下街に静かに響く若い女性たちの声。占いを終えた人は、一様に明るい表情で地下街を後にする。そんな女性客を横目で見ていると、ついに順番が回ってきた。
「おっ、前の人の鑑定が終わったらしい。次は、私の番だ」。そう金沢が言うと、台湾を拠点に活動するR&Bシンガー・ジュリア・ウーの楽曲「IDFK」がかかり、甘美な歌声をしっとりと聴かせる。
こんな思い付きから来訪したのは、迪化街にある「南街得意」。ここは、築100年以上の町屋をリノベーションした茶藝館(台湾茶の飲める専門店)だ。聞こえてくるのは、多くの人がくつろぎ、ティータイムを楽しんでいる声。ランプ、古い電話やソロバン、茶箪笥などアンティークな調度類が飾られた店内は、昔の暮らしを想起させる。
お茶は、茶葉の入った小瓶で香りを確かめてから選ぶ。また、お茶請けは、台湾の昔ながらの茶菓子や、ドライフルーツ、ナッツなどの中からお茶に合ったものを選んでくれる。
お茶を一口飲むと、金沢は「うーん…。フルーティーな香りの緑茶」とほっと一息。日本の落雁のようなお菓子に舌鼓を打ちつつ、「しばらくここで優雅にティータイムだ」と、台北の午後を満喫すれば、台湾のインディーズ系ロックバンド・蘇打緑のバラードナンバー「無眠」が旅のエンディングテーマとして優しい音色を奏でる。
(構成=小島浩平)
旅の水先案内人となるナビゲーターは、『MUSIX ASIA』に引き続き、シンガポールに縁を持つ俳優・金沢雅美が務める。4月28日の放送で訪れた旅先は、台湾の首都「台北」。ここでは、金沢の語りで展開された空想旅行の模様と、イマジネーションの旅に彩(いろどり)を添えた楽曲と併せてテキスト形式にて紹介する。
【これまでのイメージトリップはコチラ】
<ナビゲーターの金沢雅美>
台北最古の寺院「龍山寺」が旅のスタート地点
羽田空港からおよそ4時間。イマジネーションの旅は、台北松山空港に降り立つところから始まる。台北市内までは、“台北メトロ”と呼ばれる地下鉄「台北捷運」で移動。車内では、日本の地下鉄と変わらない電車の走行音に、耳馴染みのない中国語での話し声が混ざり合う。車窓に目をやれば、車や人が行き交う都会の風景が流れていく。「国は違っても、この窓の一つ一つに、それぞれの暮らしがある」
金沢がそんなことを思っているうちに、わずか20分で今回の旅のスタート地点である「龍山寺駅」に到着。龍山寺は、創建約280年の歴史を誇る台北最古の寺院であり、100以上の神様が祀られた“最強のパワースポット”でもある。
境内を見て回っていると、何やら「カチカチ」と音がする。これは、おみくじを引く人たちが三日月形の赤い木片を地面に投げつけている音だ。これも台湾流の参拝時における作法の一つというから、やはり異国の文化はおもしろい。
参拝を終え、風情ある門前町を歩く。賑わう街の活気に触れれば自然とパワーが漲り、「龍山寺のご利益は、即効性があるのかもしれない」と気分は上々に。そんな金沢の弾むような心を表現するかのように、男性シンガー・蕭秉治によるポップな曲調の楽曲「外人」が流れる。
迪化街では、色鮮やかな「客家花布」に一目惚れ
次に散策するのは、19世紀に起源を持つ台湾最古の問屋街「迪化街」。通りには、漢方薬や茶葉、フカヒレの乾物などさまざまな店が軒を連ねる。「ポーチや小物入れにしたらきっと可愛いだろう。たまにはこういうカラフルなものを身につけるのも新鮮かもしれない」
店を埋め尽くす花布。金沢が「満開の牡丹に包まれたように、明るい気持ちになった」と温かみのある声で語れば、台湾人女性歌手・張惠妹の楽曲「最愛的人傷我最深」がかかり、彩のある歌声を響かせる。
手相から米粒占いまで…さまざまな占い師がいる「占い横丁」
迪化街から2キロほど東へ。たどり着いたのは、三国志にも登場する武将・関羽を祀る行天宮近くの地下道にある「占い横丁」。手相から面相、四柱推命、住宅風水、果ては米粒占いまで。金沢は掲げられた看板の中から、自分好みの占い師を探すことにしたのだが……。「やっぱり人気のある占い師さんは鑑定待ちかぁ。ここはせっかく来たのだから、待つことにしよう」
待ち時間の間に聞こえてくるのは、地下街に静かに響く若い女性たちの声。占いを終えた人は、一様に明るい表情で地下街を後にする。そんな女性客を横目で見ていると、ついに順番が回ってきた。
「おっ、前の人の鑑定が終わったらしい。次は、私の番だ」。そう金沢が言うと、台湾を拠点に活動するR&Bシンガー・ジュリア・ウーの楽曲「IDFK」がかかり、甘美な歌声をしっとりと聴かせる。
人気の茶藝館「南街得意」で過ごす優雅なティータイム
「お茶の名産地である台湾を訪れたらやはり本場のお茶をいただきたい」こんな思い付きから来訪したのは、迪化街にある「南街得意」。ここは、築100年以上の町屋をリノベーションした茶藝館(台湾茶の飲める専門店)だ。聞こえてくるのは、多くの人がくつろぎ、ティータイムを楽しんでいる声。ランプ、古い電話やソロバン、茶箪笥などアンティークな調度類が飾られた店内は、昔の暮らしを想起させる。
お茶は、茶葉の入った小瓶で香りを確かめてから選ぶ。また、お茶請けは、台湾の昔ながらの茶菓子や、ドライフルーツ、ナッツなどの中からお茶に合ったものを選んでくれる。
お茶を一口飲むと、金沢は「うーん…。フルーティーな香りの緑茶」とほっと一息。日本の落雁のようなお菓子に舌鼓を打ちつつ、「しばらくここで優雅にティータイムだ」と、台北の午後を満喫すれば、台湾のインディーズ系ロックバンド・蘇打緑のバラードナンバー「無眠」が旅のエンディングテーマとして優しい音色を奏でる。
(構成=小島浩平)
番組情報
- RINREI ASIAN SOUNDSCAPE
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金曜24:00-24:30