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ラッパー・Skaai「ヒップホップの批評家は大事な存在」 その理由は?

ラッパー・Skaai「ヒップホップの批評家は大事な存在」 その理由は?

ラッパーのSkaaiが、「アティチュード」や「楽曲のフロウ」「ヒップホップの批評性」など今後の番組で取り上げたいテーマを語った。

Skaaiが登場したのは、自身がナビゲーターを務めるJ-WAVEで放送中の番組『FOOTNOTE』。ヒップホップ、そして音楽を軸にさまざまな角度から感性を刺激するプログラムだ。ここでは4月8日(土)のオンエア内容をテキストで紹介する。

「お前はヒップホップじゃない」ってどんなこと?

今回は、先週から始まったこの番組でSkaaiがこれから話したいテーマについて語ることに。Skaaiはまず「アティチュード」をあげた。

Skaai:これはゲストを呼んでしゃべりたいなって思うんです。ラッパーやアーティストって、けっこう一挙手一投足が大事になってくると思うんですよね。アーティストの世界は誰が何を言うかの世界だと思うので、どういうアーティストがどういう音源を出したり、例えばSNSでこういう失言をしたみたいなのって全てアティチュードとしてリスナーに直接刺さると思うんですよね。そういうのが自分もアーティストをしながら大事だなって思う点でもあるので、その点について話したいなと思っています。

ヒップホップ界で定期的に盛り上がる「お前はヒップホップじゃない」「俺はヒップホップだ」という内容にも迫っていきたいとSkaaiは語る。

Skaai:ヒップホップってなんだろうかって。ヒップホップの世界でアーティストをするっていうのはどういうものなんだろうか。そもそもヒップホップって定義づけする必要があるものなのか。そういうところまで踏み込めたらすごく僕としてはうれしいことだし、自分がヒップホップの世界に足を踏み入れる時点ですでに考えていたので、ゲストを呼んで深く話していけたらいいなと思っています。

また、考え方や概念も重要だが「例えばどういう音源を出してどういうミュージックビデオを出して、どういうファッションをしてるかって話もすごく重要になってくると思う」とSkaaiは続ける。

Skaai:自分がただのリスナーだったとき、ヒップホップオタクだったときは「今日のエイサップ・ロッキーが履いてる靴アツいじゃん」みたいなのって誰しもがあったと思うんです。そういうのって全部その人の印象に関わってくると思うので、そういうところも全部含めて話したいと思いますし、特に最近はアーティストがめちゃくちゃ多いじゃないですか。だからけっこうみんなミュージックビデオとか出すけど、特出してヤバいミュージックビデオって少ないというか。こいつマジでヤバかったなっていうミュージックビデオって狂ってたりするじゃないですか。狂ってないと特出できないというか。そういうのも含めて時代感みたいなことも話せていけたらなって思っています。

ファッションとか二の次だった

Skaaiはこの番組で「ファッション」にも深く迫っていきたいと語る。

Skaai:めちゃくちゃファッションに疎いんですよ。僕は総合大学に行って、大学院に進むにつれて「勉強」とか「研究」がすごく大事に思えてきて、ファッションとか二の次、三の次みたいな。メガネとかも一生同じものを使ってるみたいな、そんなタイプだったんですよね。中学生から履いていたパンツをずっと履いてるような感じだったんですけど、さすがにカメラの前に立つならちょっと同じ服は着れないなと思って(笑)。だからラップを始めてからやっとビーニーをかぶり始めたみたいな。そういう履くもの・かぶるもの、全部気をつけようとか。そういうのがあって、最初はビーニーとメガネをキャラクターとして定着させようという思いがあったんですよね。自分が2022年に音源で出した『BEANIE』っていうEPは、タイトルからして、俺にはビーニーしかない、Skaaiと言えばビーニーっていうイメージを定着させようと思って付けたタイトルです。



Skaai:それくらいファッションと自分のアーティストみたいなものはすごく密接につながっていたので、ファッションについても話したいと思います。特に自分が着ていこうと思うというか、タッグで着ていこうと思っているファッションブランドも実はあって、それもすごくいい関係性でやってるので、そのブランドの人たちを呼んで、必ずしもヒップホップの文脈だけで終わらないというか。ファッションがどういう業界で、ヒップホップのストリート性とどうつながるのか、そこら辺もあわせて話したいと思いますし、日本のファッションと海外のファッションの違いなどすごく面白い話ができるんじゃないかなと思っています。

どんな人間でもその人にしかない言葉が必ずある

Skaaiは「楽曲のフロウ」も気になるようで、今後番組で取り上げたいテーマだと言う。

Skaai:Skaaiのフロウってみんなどんな印象を持ってるのかなって思うんですよね。Skaaiのラップを聴いたことのない人はぜひチェックしてほしいんですけど、僕自身はパーカッシヴというかドラム的なラップをするタイプだなと思っていて。だからドラムを聴いてると刺激をもらうことが多いんですよ。特にジャズのドラム。例えばスティーヴ・スミスとか、本当に狂ったようなドラムソロを聴いていると「負けた」って思っちゃうことがたまにあるんですよね(笑)。それくらいどうしてもドラム的になっちゃうっていうのがちょっとあって。そういう意味で僕のラップを聴いてみるとすごく面白いんじゃないかなって思います。

またSkaaiは、リリックやワードチョイスに焦点を当てて考えてみても面白そうと話す。

Skaai:世界的に評価の高いラッパーってそいつが何を言ってるのかがたぶんいちばん評価されている、フロウ以上に評価されている気がしていて。こいつがどういう生い立ちで、どういう環境でいま音楽活動をしているのか、普段どんなことを感じているのかってすべて言葉に表れると思うんですよね。そういうのがヤバいフロウの上に乗っかってるっていう。ワードチョイス、これはどんな人間でもその人にしかない言葉が必ずあると思うんです。自分の言語っていうか。それをどう音楽で昇華できてるか。そこら辺も考えながら話せたら楽しいかなと思っています。僕は言語で言うと3カ国語程度話せるので、日本語と英語と韓国語それぞれのワードのハネ方の違いというか、そこら辺も改めて考えてみたいなと思ったし、それもラジオで話せたらめちゃくちゃ楽しそうだなって思っています。

アーティストの主観と客観のいいバランスは?

ヒップホップにおける批評性も関心を寄せるテーマだとSkaaiは言及する。

Skaai:アーティストって主観でものをしゃべる人種だと思うんですけど、主観と客観のいいバランスについても考えたほうがいいんじゃないかってすごく思っていて。僕はそもそも主観で始めた人間ではなくて、歌い始める前はライターとしてやってもいたし、相棒のJohn と一緒にYouTubeの『ゲツマニぱん工場』ってチャンネルでしっかりその楽曲を聴いてみるっていう、批評家というか、客観的に音楽をみてみるっていうのをやっていたので、ちょうどいい感じで主観と客観のバランスを考えているところというか、体験しているところなんですよね。

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Skaai:自分がアーティストとしてすごく思うのが、力強く点を打つ作業はアーティストがやるべきなんだけど、点を線にしたり点を面と捉えたりするのは批評家がいないと成り立たないなって思うというか。批評家っていう存在をヒップホップのプレイヤーは毛嫌いするところもあると思うんですけど、その存在って本当に大切だよなってすごく思うんですよね。たとえば自分と沿わないかたちで解釈されたらすごく嫌だけど、それ以上にうまく解釈してくれたらいいわけで、その批評家っていう存在をすごく大事だなと思っていて。逆にアーティストも主観だけじゃなくて客観的な批評性を持って、主観的でいるそのポーズみたいなものはけっこう必要な気がしているんですよ。だからこの批評性についてもゲストを招いて話せたらいいなと思っています。

Skaaiは他にも「ヒップホップとポップ」や「日本ヒップホップと韓国ヒップホップ」なども今後取り上げたいテーマだと語り、「考えるなかでいろんな気付きがあると思うし、自分の楽曲にもいい意味で影響がくるんじゃないかなと思っている」と期待に胸を膨らませた。

FOOTNOTE』は毎週土曜 24:00-25:00オンエア。Skaaiの最新情報は、オフィシャルTwitterまで。

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