社会起業家集団ボーダレス・ジャパンの小野悠希さんが、電力業界に参入した理由を解説し、日本のエネルギー問題について語った。
小野さんが登場したのは、J-WAVEで放送中の番組『START LINE』(ナビゲーター:長谷川ミラ)のワンコーナー「AWESOME COLORS」。ここでは、6月3日(金)のオンエアをテキストで紹介する。
小野:最初は環境問題より、社会問題全般に興味を持ちました。最初のきっかけは、大学生の夏休みにバックパッカーをしたことでした。たまたま仲のいい先輩も海外にいたので合流することになったのですが、その方がたまたまボーダレス・ジャパンの内定者だったんですね。ミャンマーとバングラデシュに事業があり、そちらを見学することになりました。
長谷川:すごい!
小野:当時、ソーシャルビジネスや社会問題ってまったく知らない領域だったんですが、ミャンマーで女性起業家の方と知り合ったんですね。日本で生活をしていたら絶対に出会わないような方でした。ミャンマーの地元の方々のために、自分の人生を懸けて社会問題を解決しようしている人がいることに衝撃を受けました。今まで私が行動する軸は「面白そうかどうか」だけだったんですけども、そこからだんだんと「誰のために・何のためになるのか」が自然と軸になっていきました。
長谷川:「誰のため・何のため」は、普通だったらなかなか考えられないことだと思いますよ。
小野:逆に考えないと気持ち悪くなっちゃったんですよね(笑)。
長谷川:素敵。
小野:でも、そのときはまだ環境問題にはたどり着いていませんでした。
小野さんは、スウェーデンの環境活動家であるグレタ・トゥーンベリさんの活動に感銘を受け、環境問題に向き合うようになったそうだ。
小野:恥ずかしながら、「環境問題ってここまで切迫しているんだ」とそこで初めて気付いたんです。そこから自分でもいろいろと調べていくうちに、人間が出すCO2のせいで、人間以外の動植物が100万種類も絶滅の危機に追いやられていることを知りました。「人間って身勝手だな」と思ったところから、大きな社会問題だった環境問題が、急に“自分事”に変わった感覚になりました。
小野:日本で一番CO2の排出量の多い部門は、エネルギー転換部門、つまり火力発電なんですね。火力発電で物を燃やすことによるCO2排出量が多いことがわかったので、まずはインパクトのある電力業界に参入して、物を燃やすところを自然エネルギーに変えていけたらなと思い、「ハチドリ電力」を立ち上げました。
長谷川:火力発電の問題って日本だけの話なんですか? 世界的に見てもそうなんでしょうか?
小野:日本はすごく火力発電に頼っている国なので、一番CO2を出している要因になっていますね。
長谷川:なるほど。どういった流れで電力会社を立ち上げることができたのでしょうか?
小野:環境問題に対して自分ができることを探したんですけど、本質的に解決できるものが見つからなかったんですね。これからどんどん酷くなっていくことはわかっているのに、何をすればいいかわからないってすごく怖い事態だなって思ったんです。その恐怖心から、「選択肢がないなら自分で作ろう」と思ってこの事業を始めようと決めました。ただ、電力のことは元々やりたかったことではないし、勉強してきたわけでもなかったので、とにかく業界の方に「こういうことがやりたいです」とお話を聞いていただきました。アドバイスをもらって勉強をして、というゼロベースからのスタートでした。
長谷川:エネルギーに注目されていなかった時期に行動されるのって大変だったのでは?
小野:専門知識が必要だし、業界のルールみたいなものがすごくあるんですよ。今も勉強中なんですけども、本当に大変でした。
長谷川:ルールや法律が環境問題解決の壁になることってありますよね。
小野:そうですね。国の方向性も大きく関係してくるのですが、消費者から変わっていく動きは作れるなと思って、この事業をやっています。
小野:たくさんあるんですけども、一番に挙げるのならば「エネルギー自給率の低さ」かなと私は思っています。資源がない日本でエネルギー自給率を高めていくには、やっぱり自然エネルギーを増やしていくことはマストだなと思っているんです。しかし、日本は2020年のデータで約22パーセントしか自然エネルギーの割合がないんですね。
長谷川:厳しい数字ですね。
小野:諸外国と比べてもかなり低い数字に留まっています。
長谷川:他国はだいたいどれぐらいの割合なんでしょうか?
小野:ブラジルやスウェーデンだと80パーセントを超えています。
長谷川:へええ!
小野:次に、カナダ、デンマーク、ポルトガル、ドイツが続いていますが、それでも40パーセントは超えています。そのなかで22パーセントはすごく低いですよね。
長谷川:比較してみるとわかりやすいですね。今、エネルギー問題って注目されている話題だと思うんですね。ウクライナで起きていることも踏まえて、さまざまなものの価格が高騰していますけども、解決策はどういったところにあるとお考えでしょうか?
小野:エネルギー自給率の話で何が問題かというと、発電燃料の多くを輸入に依存していることなんですよ。まさにウクライナ情勢の影響を大きく受けています。国内の発電量で一番多いLNG(液化天然ガス)はロシアがたくさん輸出をしていたものだったので、それがストップしたことで国際価格が高騰しています。
長谷川:なるほど。
小野:日本も影響を受けており、電力の価格が高騰しています。エネルギー自給率が低くて輸入に依存している状態が課題だと思っているので、環境問題に限らず、こういった国際情勢に左右されないためにも、自給自足の観点はもっと取り入れるべきだと思います。
長谷川:そんななか、国民が取り組めることって何だと思いますか?
小野:私は「消費は投票」だと思っているんですね。どんなものを選択するかは、どんな未来を作っていくかに直結しているなとすごく感じています。目の前のできることを、自分の意思を持って選択していくことが作りたい未来を作る上で大切だなと思っています。自然エネルギーを選ぶ人が増えたら、「供給する側も自然エネルギーをもっと作らないと」というマインドになってくるので、そういった行動変容を起こしていくのが私たちのできることかなと思います。
『START LINE』のワンコーナー「AWESOME COLORS」では、自分らしく輝くあの人のストーリーをお届け。放送は毎週金曜日の18時10分から。
小野さんが登場したのは、J-WAVEで放送中の番組『START LINE』(ナビゲーター:長谷川ミラ)のワンコーナー「AWESOME COLORS」。ここでは、6月3日(金)のオンエアをテキストで紹介する。
環境問題と向き合うことになったきっかけは?
小野さんは、地球に優しい、CO2ゼロの自然エネルギーを供給する「ハチドリ電力」の代表を務め、環境問題に向き合っている。まず小野さんから、環境問題を意識したきっかけについて話を聞いた。小野:最初は環境問題より、社会問題全般に興味を持ちました。最初のきっかけは、大学生の夏休みにバックパッカーをしたことでした。たまたま仲のいい先輩も海外にいたので合流することになったのですが、その方がたまたまボーダレス・ジャパンの内定者だったんですね。ミャンマーとバングラデシュに事業があり、そちらを見学することになりました。
長谷川:すごい!
小野:当時、ソーシャルビジネスや社会問題ってまったく知らない領域だったんですが、ミャンマーで女性起業家の方と知り合ったんですね。日本で生活をしていたら絶対に出会わないような方でした。ミャンマーの地元の方々のために、自分の人生を懸けて社会問題を解決しようしている人がいることに衝撃を受けました。今まで私が行動する軸は「面白そうかどうか」だけだったんですけども、そこからだんだんと「誰のために・何のためになるのか」が自然と軸になっていきました。
長谷川:「誰のため・何のため」は、普通だったらなかなか考えられないことだと思いますよ。
小野:逆に考えないと気持ち悪くなっちゃったんですよね(笑)。
長谷川:素敵。
小野:でも、そのときはまだ環境問題にはたどり着いていませんでした。
小野さんは、スウェーデンの環境活動家であるグレタ・トゥーンベリさんの活動に感銘を受け、環境問題に向き合うようになったそうだ。
小野:恥ずかしながら、「環境問題ってここまで切迫しているんだ」とそこで初めて気付いたんです。そこから自分でもいろいろと調べていくうちに、人間が出すCO2のせいで、人間以外の動植物が100万種類も絶滅の危機に追いやられていることを知りました。「人間って身勝手だな」と思ったところから、大きな社会問題だった環境問題が、急に“自分事”に変わった感覚になりました。
CO2排出量を減らすために電力業界に参入
環境問題に向き合うことを決意した小野さんは、電力業界に参入した経緯を説明した。小野:日本で一番CO2の排出量の多い部門は、エネルギー転換部門、つまり火力発電なんですね。火力発電で物を燃やすことによるCO2排出量が多いことがわかったので、まずはインパクトのある電力業界に参入して、物を燃やすところを自然エネルギーに変えていけたらなと思い、「ハチドリ電力」を立ち上げました。
長谷川:火力発電の問題って日本だけの話なんですか? 世界的に見てもそうなんでしょうか?
小野:日本はすごく火力発電に頼っている国なので、一番CO2を出している要因になっていますね。
長谷川:なるほど。どういった流れで電力会社を立ち上げることができたのでしょうか?
小野:環境問題に対して自分ができることを探したんですけど、本質的に解決できるものが見つからなかったんですね。これからどんどん酷くなっていくことはわかっているのに、何をすればいいかわからないってすごく怖い事態だなって思ったんです。その恐怖心から、「選択肢がないなら自分で作ろう」と思ってこの事業を始めようと決めました。ただ、電力のことは元々やりたかったことではないし、勉強してきたわけでもなかったので、とにかく業界の方に「こういうことがやりたいです」とお話を聞いていただきました。アドバイスをもらって勉強をして、というゼロベースからのスタートでした。
長谷川:エネルギーに注目されていなかった時期に行動されるのって大変だったのでは?
小野:専門知識が必要だし、業界のルールみたいなものがすごくあるんですよ。今も勉強中なんですけども、本当に大変でした。
長谷川:ルールや法律が環境問題解決の壁になることってありますよね。
小野:そうですね。国の方向性も大きく関係してくるのですが、消費者から変わっていく動きは作れるなと思って、この事業をやっています。
「エネルギー自給率の低さ」を改善するために
日本が抱えるエネルギー問題の課題は、どういったものがあるのだろう?小野:たくさんあるんですけども、一番に挙げるのならば「エネルギー自給率の低さ」かなと私は思っています。資源がない日本でエネルギー自給率を高めていくには、やっぱり自然エネルギーを増やしていくことはマストだなと思っているんです。しかし、日本は2020年のデータで約22パーセントしか自然エネルギーの割合がないんですね。
長谷川:厳しい数字ですね。
小野:諸外国と比べてもかなり低い数字に留まっています。
長谷川:他国はだいたいどれぐらいの割合なんでしょうか?
小野:ブラジルやスウェーデンだと80パーセントを超えています。
長谷川:へええ!
小野:次に、カナダ、デンマーク、ポルトガル、ドイツが続いていますが、それでも40パーセントは超えています。そのなかで22パーセントはすごく低いですよね。
長谷川:比較してみるとわかりやすいですね。今、エネルギー問題って注目されている話題だと思うんですね。ウクライナで起きていることも踏まえて、さまざまなものの価格が高騰していますけども、解決策はどういったところにあるとお考えでしょうか?
小野:エネルギー自給率の話で何が問題かというと、発電燃料の多くを輸入に依存していることなんですよ。まさにウクライナ情勢の影響を大きく受けています。国内の発電量で一番多いLNG(液化天然ガス)はロシアがたくさん輸出をしていたものだったので、それがストップしたことで国際価格が高騰しています。
長谷川:なるほど。
小野:日本も影響を受けており、電力の価格が高騰しています。エネルギー自給率が低くて輸入に依存している状態が課題だと思っているので、環境問題に限らず、こういった国際情勢に左右されないためにも、自給自足の観点はもっと取り入れるべきだと思います。
長谷川:そんななか、国民が取り組めることって何だと思いますか?
小野:私は「消費は投票」だと思っているんですね。どんなものを選択するかは、どんな未来を作っていくかに直結しているなとすごく感じています。目の前のできることを、自分の意思を持って選択していくことが作りたい未来を作る上で大切だなと思っています。自然エネルギーを選ぶ人が増えたら、「供給する側も自然エネルギーをもっと作らないと」というマインドになってくるので、そういった行動変容を起こしていくのが私たちのできることかなと思います。
『START LINE』のワンコーナー「AWESOME COLORS」では、自分らしく輝くあの人のストーリーをお届け。放送は毎週金曜日の18時10分から。
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