6月24日公開の映画『神は見返りを求める』は、『ヒメアノ〜ル』『空白』などで知られる𠮷田恵輔監督が“YouTuber”を題材に作り上げた超問題作。見返りを求めてダークサイドに堕ちていく主人公・田母神をムロツヨシ、恩を仇で返してしまうYouTuberのゆりちゃんを岸井ゆきのが演じる。そのゆりちゃんをバズらせるきっかけを与える重要人物として登場するのが、吉村界人演じる人気YouTuberのチョレイ。チョレイはゆりちゃんが憧れるカリスマYouTuberであり、彼女の人生と運命を激変させていくキャラクターだ。吉村にとって初の吉田組参加。“自由”があったという吉田組の撮影現場を振り返るとともに、尾崎豊好きな自身のプライベートな姿も教えてくれた。
吉田監督の現場には“自由”がありました。まず僕ら俳優に対して「とりあえずやってみて」と自由にやらせて、それを吉田監督は一通り見て「なるほどね、おもしろいね」と採用してくれる。いざ本番になると、僕らが出したものをうまく取り入れながらも、そこに吉田監督自身のビジョンをプラス。世の中の監督を2つに分類するならば、俳優を自分のビジョンにはめ込んでいくタイプと俳優にゆだねる二通りのタイプがあると思うんです。その点、吉田監督のスタイルはその2つのハイブリット版。ひょうひょうとしていながらも、実はものすごく深く考えていらっしゃって……。「強い方だな」と思いました。
吉田監督が生み出す作品はシリアスでダークな側面もありますが、同時にユーモアや滑稽な笑いも共存しています。僕自身は、あの場面に犬のフンが出てくることに対して何の疑問も湧きませんでした。それどころか「おもしろいじゃん！」と。これが𠮷田ワールドなのかと納得しました。
演じる上では、自分の行動や発言に対して無秩序に無責任にやろうと考えていました。大人って言葉を発するときにはきちんと考えた上で発言するものだと思いますが、チョレイの場合はそうではないと感じたので、まるで今思いついて口から出てきたかのような喋り方でセリフを言おうと意識しました。その場のノリというか、頭で考えて固め過ぎずに、それこそ先ほど言ったように“自由”に演じた気がします。
萎縮がないというか、僕は昔からNGを出すことが多くて。監督にしょっちゅう怒られているような俳優です。だから緊張とか不安とかを感じている場合じゃないというか……。出演作品についてもえり好みせず、基本的にそのとき来たものを引き受けるという感じです。僕なんかが選ぶなんておこがましい。選んでいただく立場ですから。
──謙虚！ 各作品での醸し出す雰囲気からもっとパンキッシュなマインドをお持ちの方だと勘違いしていました。本当にスミマセン！
いやいや（笑）。俳優としての自己評価も100点満点中4点くらいで、この4点という感覚はこの仕事を始めたときから全然変わっていません。いまだに俳優業は自分には向いていないと思うし、かといって「ほかに何ができるのか？」と考えると、やはり俳優以外の選択肢はないと実感するので、ただただ粛々とやらせていただいているだけです。俳優業は僕の人生の中で唯一長続きしていること。それもあってか、最近は「なぜ続けているのか？」と自問自答することが増えました。
俳優の仕事は待ち時間も多いんです。そこで何をしようかと考えたときに、暇つぶしとして日記のようなものを書き始めたのがきっかけです。内容的には愚痴めいたことだったり、そこにユーモアも織り交ぜたりして。最初のスタートは歌詞を書くという意識はありませんでした。Twitterをやっていない僕の、ある意味でのTwitterの長いバージョンみたいなイメージ。自分の気持ちを自分の言葉で文字にするのは好きで、それをやるようになってからは自分自身のことを深く知れたような気がします。
音楽はジャンルを問わずによく聴きます。例えばレッチリ（レッド・ホット・チリ・ペッパーズ）とか、オフスプ（オフスプリング）も聴いていたし、尾崎とかも……。
──尾崎とは、尾崎豊ですか!?
そうです、尾崎豊です。もちろんリアルタイム世代ではないですが、中学か高校くらいに友達から教えてもらって聴くようになりました。最初に聴いたのは確か『17歳の地図』。当時はMDで聴いていました。尾崎の歌は全部好きで『ダンスホール』に『シェリー』、あと『Scrambling Rock'n'Roll』はものすごくハマって何度もリピートしています。特にラストライブで歌う尾崎の姿は「ヤバっ！」と思うくらいカッコいいです。カラオケではよく友だちにリクエストされて『シェリー』を歌います。下手ですけど……。
特定の曲というよりは、そのときそのときに自分の中で流行っているものがあります。最近だとラッパーのケンドリック・ラマ―を聴いて気持ちをアゲることが多いかもしれません。曲調もリリックもカッコいいお気に入りのアーティストの一人です。
（取材・文：石井隼人）
シリアスとユーモアが共存する「吉田監督ワールド」
──昨年の『BLUE/ブルー』『空白』に続いて、吉田監督はまたまた傑作を放ちました！ 吉田監督の現場はどのような雰囲気でしたか？吉田監督の現場には“自由”がありました。まず僕ら俳優に対して「とりあえずやってみて」と自由にやらせて、それを吉田監督は一通り見て「なるほどね、おもしろいね」と採用してくれる。いざ本番になると、僕らが出したものをうまく取り入れながらも、そこに吉田監督自身のビジョンをプラス。世の中の監督を2つに分類するならば、俳優を自分のビジョンにはめ込んでいくタイプと俳優にゆだねる二通りのタイプがあると思うんです。その点、吉田監督のスタイルはその2つのハイブリット版。ひょうひょうとしていながらも、実はものすごく深く考えていらっしゃって……。「強い方だな」と思いました。
映画『神は見返りを求める』場面写真
吉田監督が生み出す作品はシリアスでダークな側面もありますが、同時にユーモアや滑稽な笑いも共存しています。僕自身は、あの場面に犬のフンが出てくることに対して何の疑問も湧きませんでした。それどころか「おもしろいじゃん！」と。これが𠮷田ワールドなのかと納得しました。
演じる上では、自分の行動や発言に対して無秩序に無責任にやろうと考えていました。大人って言葉を発するときにはきちんと考えた上で発言するものだと思いますが、チョレイの場合はそうではないと感じたので、まるで今思いついて口から出てきたかのような喋り方でセリフを言おうと意識しました。その場のノリというか、頭で考えて固め過ぎずに、それこそ先ほど言ったように“自由”に演じた気がします。
自己評価は100点満点中4点？俳優業に謙虚な姿勢で向き合う
──吉村さんの演技には毎回“萎縮”がないと感じます。常に画面上で堂々としているような印象で緊張していなさそうですよね？萎縮がないというか、僕は昔からNGを出すことが多くて。監督にしょっちゅう怒られているような俳優です。だから緊張とか不安とかを感じている場合じゃないというか……。出演作品についてもえり好みせず、基本的にそのとき来たものを引き受けるという感じです。僕なんかが選ぶなんておこがましい。選んでいただく立場ですから。
──謙虚！ 各作品での醸し出す雰囲気からもっとパンキッシュなマインドをお持ちの方だと勘違いしていました。本当にスミマセン！
いやいや（笑）。俳優としての自己評価も100点満点中4点くらいで、この4点という感覚はこの仕事を始めたときから全然変わっていません。いまだに俳優業は自分には向いていないと思うし、かといって「ほかに何ができるのか？」と考えると、やはり俳優以外の選択肢はないと実感するので、ただただ粛々とやらせていただいているだけです。俳優業は僕の人生の中で唯一長続きしていること。それもあってか、最近は「なぜ続けているのか？」と自問自答することが増えました。
俳優の仕事は待ち時間も多いんです。そこで何をしようかと考えたときに、暇つぶしとして日記のようなものを書き始めたのがきっかけです。内容的には愚痴めいたことだったり、そこにユーモアも織り交ぜたりして。最初のスタートは歌詞を書くという意識はありませんでした。Twitterをやっていない僕の、ある意味でのTwitterの長いバージョンみたいなイメージ。自分の気持ちを自分の言葉で文字にするのは好きで、それをやるようになってからは自分自身のことを深く知れたような気がします。
尾崎豊が好き。カラオケで歌うのは？
──そうなると音楽もお好きですか!?音楽はジャンルを問わずによく聴きます。例えばレッチリ（レッド・ホット・チリ・ペッパーズ）とか、オフスプ（オフスプリング）も聴いていたし、尾崎とかも……。
──尾崎とは、尾崎豊ですか!?
そうです、尾崎豊です。もちろんリアルタイム世代ではないですが、中学か高校くらいに友達から教えてもらって聴くようになりました。最初に聴いたのは確か『17歳の地図』。当時はMDで聴いていました。尾崎の歌は全部好きで『ダンスホール』に『シェリー』、あと『Scrambling Rock'n'Roll』はものすごくハマって何度もリピートしています。特にラストライブで歌う尾崎の姿は「ヤバっ！」と思うくらいカッコいいです。カラオケではよく友だちにリクエストされて『シェリー』を歌います。下手ですけど……。
特定の曲というよりは、そのときそのときに自分の中で流行っているものがあります。最近だとラッパーのケンドリック・ラマ―を聴いて気持ちをアゲることが多いかもしれません。曲調もリリックもカッコいいお気に入りのアーティストの一人です。
（取材・文：石井隼人）