漫画ソムリエの兎来栄寿さんが、「2022年上半期に発売された注目の漫画」を4つ紹介した。
兎来さんが出演したのは、J-WAVEで放送中の番組『ALL GOOD FRIDAY』(ナビゲーター:LiLiCo・稲葉 友)のワンコーナー「TOKYO SAVVY」。オンエアは6月3日(金)。
兎来:こちらは『週刊少年ジャンプ』(集英社)で大好評連載中の作品です。内容としては、父親が噺家の女の子が主人公でして、自身も落語の道を極めていこうと邁進していくストーリーになっています。小中学生がメインの読者層である『週刊少年ジャンプ』に、あえての落語をテーマに据えるのはすごく挑戦的だなと思いました。
LiLiCo:なるほど。
兎来:『ヒカルの碁』(集英社)という囲碁の漫画があったんですけども、あれと同じように、馴染みのないテーマでもグイグイと読者を掴んで離さない魅力がある作品です。落語を知らない人でも楽しめますよ。落語の世界に詳しくなれるという楽しさがまずありますし、『週刊少年ジャンプ』らしい、才能のある主人公が試練に立ち向かって壁を乗り越えて成長していく王道のよさをすごく感じます。絵柄もすっきりしていて読みやすいんですよ。
LiLiCo:本当だ!
兎来:老若男女問わずおすすめしたい作品です。
稲葉:落語も『週刊少年ジャンプ』も好きなので、この本は買わせていただきました。単行本の帯に『ONE PIECE』(集英社)の作者の尾田栄一郎さんのコメントが入っているんですよ。より期待度が高まりますよね。
LiLiCo:なんで落語の話が読者の心を掴むんですか?
兎来:作品のテンポがすごくいいんですよ。一話ごとにストーリーがギュッと詰まっていて、読んでいて飽きません。読む手が止まらない魅力がありますね。
LiLiCo:落語家の方が読んでも面白い?
兎来:はい。本家の方も褒めているぐらい、落語のシーンがちゃんと描かれているんですよ。
稲葉:実際に見たら面白いだろうなっていう迫力があるんですよね。
兎来:SNSで作品が盛大にバズった、公開後即100万PVを超えた『大好きな妻だった』が収録された7篇の短編集です。
稲葉:へええ!
兎来:『大好きな妻だった』は、最愛の妻がガンで余命半年になってしまって……という物語なんですけども、本当に多くの方がこの話を読んで涙したという、素晴らしい作品です。作者の武田登竜門という方は、『BADDUCKS』(双葉社)という長編漫画を2022年1月に刊行したんですけども、それまで漫画を描いたことがなかったそうなんですよ。
【外部リンク】「大好きな妻だった」掲載ページ(webアクション)
LiLiCo:ええ!?
兎来:でも、ものすごく高い画力と構成力をお持ちなんですよね。2022年にぜひ注目していただきたい新鋭漫画家です。
稲葉:今、画像を見させてもらっているんですけども、本当に漫画を描いたことがないんですか?
兎来:「こんなに描けるの?」って感じですよね(笑)。美大とかにも通われていなかったそうですよ。
LiLiCo:このうまさで!?
兎来:「授業中に落書きをしていました」と作者は言っていたんですけども(笑)。
LiLiCo:すごい才能。
稲葉:変わったタイトルの漫画ですね。
兎来:「危険地帯に行けば行くほどなぜかおいしいものがある」という真理に気付いてしまった作者が、ときに命の危険を感じながらも極上のグルメを求めて世界中を旅する漫画です。
LiLiCo:へええ!
兎来:聞いたことがない食べ物や調理法、輸入物とはまったく別のおいしさがあるものなどが出てきます。東京にいると、けっこう世界中のおいしいものが食べられるじゃないですか。
LiLiCo:そうですよね。
兎来:でも東京で育った僕でも聞いたことがないような料理が出てくるんですよ。グルメだけではなく、旅の魅力や情緒にも溢れています。いろいろな国に行ってさまざまな文化や思想に触れることを、すごく魅力的に描いた作品ですね。
LiLiCo:物語は国に着いたところから始まるんですか?
兎来:いろんなパターンがありますね。最初からお店に着いているケースもあります。
稲葉:タイトルが秀逸ですよね。「鍋」と「弾丸」って言葉の組み合わせで、料理と過酷な環境がうまいこと混ざっていると感じました。
兎来:過酷なんですけど、絵はすごくかわいらしいんですよね。隠された設定があるんですけども、それはぜひ読んで確かめてください。
稲葉:買いました。もう早く読みたいです。
兎来:読んだら絶対おなかが空くので、空腹時には気をつけてください。
兎来:保険レディである主人公の「もなか」と、少し癖のある夫の「のぼる」との絶妙な夫婦関係を中心にして、周りの人たちを絡めて描かれる“群像人間ドラマ”になっています。
LiLiCo:すごいね。
兎来:作者の安堂ミキオさんは前作に『はたらくすすむ』(講談社)という、妻を亡くした男性が風俗店のボーイになるという設定の漫画を描いているんですけども、実はそちらと繋がっている部分があるんですよ。よかったらそちらも合わせて読んでいただきたいです。どちらの作品も、とにかく人間の描写が素晴らしいですね。人間のきれいな部分と汚い部分って分かれていなくて、グラデーションのように存在していることを表現しています。別々の人間同士なので、夫婦であっても完全に理解し合うことはできない、でもわかり合える部分を縁(よすが)にして互いに歩み寄っていく。読んでいて胸が温かくなるドラマがたくさん描かれている作品なので、ぜひ読んでいただきたいですね。
LiLiCo:夫婦間がギクシャクしている人がこの漫画を読めば、パートナーに対して優しくなれますか?
兎来:そうですね。そういう方にもぜひ読んでいただきたいです。
『ALL GOOD FRIDAY』のワンコーナー「TOKYO SAVVY」では、新しい東京、まだ知らない東京をプレゼンテーションする。オンエアは15時30分頃から。
兎来さんが出演したのは、J-WAVEで放送中の番組『ALL GOOD FRIDAY』(ナビゲーター:LiLiCo・稲葉 友)のワンコーナー「TOKYO SAVVY」。オンエアは6月3日(金)。
少年誌で“落語”をテーマにした漫画を連載
1:『あかね噺』(集英社)兎来:こちらは『週刊少年ジャンプ』(集英社)で大好評連載中の作品です。内容としては、父親が噺家の女の子が主人公でして、自身も落語の道を極めていこうと邁進していくストーリーになっています。小中学生がメインの読者層である『週刊少年ジャンプ』に、あえての落語をテーマに据えるのはすごく挑戦的だなと思いました。
LiLiCo:なるほど。
兎来:『ヒカルの碁』(集英社)という囲碁の漫画があったんですけども、あれと同じように、馴染みのないテーマでもグイグイと読者を掴んで離さない魅力がある作品です。落語を知らない人でも楽しめますよ。落語の世界に詳しくなれるという楽しさがまずありますし、『週刊少年ジャンプ』らしい、才能のある主人公が試練に立ち向かって壁を乗り越えて成長していく王道のよさをすごく感じます。絵柄もすっきりしていて読みやすいんですよ。
LiLiCo:本当だ!
兎来:老若男女問わずおすすめしたい作品です。
稲葉:落語も『週刊少年ジャンプ』も好きなので、この本は買わせていただきました。単行本の帯に『ONE PIECE』(集英社)の作者の尾田栄一郎さんのコメントが入っているんですよ。より期待度が高まりますよね。
LiLiCo:なんで落語の話が読者の心を掴むんですか?
兎来:作品のテンポがすごくいいんですよ。一話ごとにストーリーがギュッと詰まっていて、読んでいて飽きません。読む手が止まらない魅力がありますね。
LiLiCo:落語家の方が読んでも面白い?
兎来:はい。本家の方も褒めているぐらい、落語のシーンがちゃんと描かれているんですよ。
稲葉:実際に見たら面白いだろうなっていう迫力があるんですよね。
卓越した才能を持った作者が描く短編集
2:『あと一歩、そばに来て』(KADOKAWA)兎来:SNSで作品が盛大にバズった、公開後即100万PVを超えた『大好きな妻だった』が収録された7篇の短編集です。
稲葉:へええ!
兎来:『大好きな妻だった』は、最愛の妻がガンで余命半年になってしまって……という物語なんですけども、本当に多くの方がこの話を読んで涙したという、素晴らしい作品です。作者の武田登竜門という方は、『BADDUCKS』(双葉社)という長編漫画を2022年1月に刊行したんですけども、それまで漫画を描いたことがなかったそうなんですよ。
【外部リンク】「大好きな妻だった」掲載ページ(webアクション)
LiLiCo:ええ!?
兎来:でも、ものすごく高い画力と構成力をお持ちなんですよね。2022年にぜひ注目していただきたい新鋭漫画家です。
稲葉:今、画像を見させてもらっているんですけども、本当に漫画を描いたことがないんですか?
兎来:「こんなに描けるの?」って感じですよね(笑)。美大とかにも通われていなかったそうですよ。
LiLiCo:このうまさで!?
兎来:「授業中に落書きをしていました」と作者は言っていたんですけども(笑)。
LiLiCo:すごい才能。
命の危機を感じながら絶品グルメを堪能
3:『鍋に弾丸を受けながら』(KADOKAWA)稲葉:変わったタイトルの漫画ですね。
兎来:「危険地帯に行けば行くほどなぜかおいしいものがある」という真理に気付いてしまった作者が、ときに命の危険を感じながらも極上のグルメを求めて世界中を旅する漫画です。
LiLiCo:へええ!
兎来:聞いたことがない食べ物や調理法、輸入物とはまったく別のおいしさがあるものなどが出てきます。東京にいると、けっこう世界中のおいしいものが食べられるじゃないですか。
LiLiCo:そうですよね。
兎来:でも東京で育った僕でも聞いたことがないような料理が出てくるんですよ。グルメだけではなく、旅の魅力や情緒にも溢れています。いろいろな国に行ってさまざまな文化や思想に触れることを、すごく魅力的に描いた作品ですね。
LiLiCo:物語は国に着いたところから始まるんですか?
兎来:いろんなパターンがありますね。最初からお店に着いているケースもあります。
稲葉:タイトルが秀逸ですよね。「鍋」と「弾丸」って言葉の組み合わせで、料理と過酷な環境がうまいこと混ざっていると感じました。
兎来:過酷なんですけど、絵はすごくかわいらしいんですよね。隠された設定があるんですけども、それはぜひ読んで確かめてください。
稲葉:買いました。もう早く読みたいです。
兎来:読んだら絶対おなかが空くので、空腹時には気をつけてください。
感情の機微を鮮明に描いた作品
4:『おつれあい』(ジーオーティー)兎来:保険レディである主人公の「もなか」と、少し癖のある夫の「のぼる」との絶妙な夫婦関係を中心にして、周りの人たちを絡めて描かれる“群像人間ドラマ”になっています。
LiLiCo:すごいね。
兎来:作者の安堂ミキオさんは前作に『はたらくすすむ』(講談社)という、妻を亡くした男性が風俗店のボーイになるという設定の漫画を描いているんですけども、実はそちらと繋がっている部分があるんですよ。よかったらそちらも合わせて読んでいただきたいです。どちらの作品も、とにかく人間の描写が素晴らしいですね。人間のきれいな部分と汚い部分って分かれていなくて、グラデーションのように存在していることを表現しています。別々の人間同士なので、夫婦であっても完全に理解し合うことはできない、でもわかり合える部分を縁(よすが)にして互いに歩み寄っていく。読んでいて胸が温かくなるドラマがたくさん描かれている作品なので、ぜひ読んでいただきたいですね。
LiLiCo:夫婦間がギクシャクしている人がこの漫画を読めば、パートナーに対して優しくなれますか?
兎来:そうですね。そういう方にもぜひ読んでいただきたいです。
『ALL GOOD FRIDAY』のワンコーナー「TOKYO SAVVY」では、新しい東京、まだ知らない東京をプレゼンテーションする。オンエアは15時30分頃から。
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2022年6月10日28時59分まで
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番組情報
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