SOIL & "PIMP" SESSIONSの社長が、ミュージシャンのロブ・ギャラガーと「音声の手紙」を綴り合った。
ロブ・ギャラガーが登場したのは、J-WAVEの新番組『BENTLEY BEST REGARDS』(ナビゲーター:SOIL & "PIMP" SESSIONS・社長)。ここでは初回放送となった4月1日(金)のオンエアをテキストで紹介する。
また同番組は、オンエアだけでなく、デジタル音声コンテンツとして提供・配信するサービス「SPINEAR」でも配信。SpotifyやApple Podcasts、Amazon Music、Google Podcastsでも楽しめる。エピソードは金曜日22時に更新。
・SPINEARで聞く
https://spinear.com/shows/best-regards/
社長:たぶんあれは20歳ぐらいのことだったと思います。ガリアーノの最後の解散ライブが東京でありました。そのライブを観て僕はバンドをやろうと決心したんです。それ以来ずっと彼の背中を追い続けています。
社長:やあ、ロブ。久しぶり。元気にしてるかな? 何年前のことか忘れたけど、ちょうどいまみたいな桜の季節に日本に来ていたよね。あのときの花見は忘れられない。代々木公園はとても寒くてまったく桜を見るどころじゃなかった。ロンドンに春の訪れを告げるものってなんなんだろう?
ロブ:親愛なる社長へ。元気です。ありがとう。もちろん代々木公園で桜を見ながら凍えたことは覚えているよ。とても幸せな時間だった。今週、近所の木々も目覚め始めたところ。角を曲がったところにある大きなりんごの木に花が咲いているんだけど、それが通常暖かくなってきたことを知らせてくれているんだ。僕は1年の中で春が一番好き。歌や映画では都市で季節を表現されるよね。パリの4月、秋のニューヨーク、冬はドゥブロブニクかな。でも春はどこにいてもいいエネルギーをもたらしてくれる。渡り鳥であるツバメの心を感じることができるシャーマンの話を読んでいるんだ。ツバメは南アフリカからサハラ砂漠を通り、ジブラルタルやイタリア、南ヨーロッパへと経線に沿って飛ぶんだ。そしてそこからノルウェーやスウェーデンまで春を追いかけて、氷の世界の境界線まで。僕の分まで「鍛高譚(たんたかたん)」(しそ焼酎)を飲んでくれよ。
社長:親愛なるロバート、返事をありがとう。大きなりんごの木に咲く花で春を感じる、それもいいな。確かにツバメは季節を追いかけていく鳥だから、彼らが世界中の街でどんな春の風景を見ているのか話を聞いてみたいね。
ロブ:この5カ月間、月曜日の午後に詩のワークショップをやっているんだ。世界中から集まった詩人たちが自分の作品を持ち寄り、他の参加者に評価してもらうんだ。僕はいままでこのようなことをしたことがなかったので、最初はとても緊張したよ。僕はいつも、詩はどこかからの小さな贈り物だと思っていた。その詩がどこからやって来たのか、問いたくなかったんだ。だけど言葉を学び、詩の可能性を知ることは大きな発見だった。そのこと自体が魔法のようなものだよ。音楽はアイデアを音にするもの、詩はアイデアを言葉にするものだと思うんだ。アメリカなら、ペイジュ・ルイスやカーヴェ・アクバル、イギリスでは、アンソニー・アナクサゴフとエミリー・ベリーの詩が好きなんだ。日本の現代の詩人でおすすめの人はいるかい? あとその人たちの詩はうまく英語に翻訳されている? 翻訳はまたまったく別のトピックとして話そう。元気ですごしていることを祈るよ。
社長:親愛なるロバート。ロブが紡ぐ言葉はこの手紙でさえ、それ自体が美しい絵画のようだね。たとえ黒いペンで書かれている文字でさえ、それが組み合わさり意味を持つことで、まるでゲルハルト・リヒターの絵のように幻想的で色鮮やかな世界へといざなってくれる。そんなロブの世界観を共有できるワークショップはとても面白そうだね。そこに集まる世界中の詩人の詩もぜひとも読んでみたいな。日本の現代の詩人で好きなのは、山崎円城さん。F.I.B JOURNALというポエトリージャズのバンドをやっていて、彼からも僕はとても大きな影響を受けている。実は前のSOILのアルバムにも参加してもらっているんだ。彼の詩は英語と日本語をミックスした独特なスタイルだから、まずはあえて翻訳せずにライブでその質感を味わってみてほしいな。
ボイスレターのやりとりを終え、社長は「言葉の壁を越えてボイスレターのやりとりで近況を伝える。アナログだけど体温のこもったこのやりとり、大切な何かを取り戻せそうです」と総括した。
『BENTLEY BEST REGARDS』では、イギリスと東京の声の往復書簡を紹介。社長と相手が音楽やカルチャー、サスティナビリティなど、気になっていることを音声の手紙に綴り合う。放送は毎週金曜日の22時から。
ロブ・ギャラガーが登場したのは、J-WAVEの新番組『BENTLEY BEST REGARDS』(ナビゲーター:SOIL & "PIMP" SESSIONS・社長)。ここでは初回放送となった4月1日(金)のオンエアをテキストで紹介する。
また同番組は、オンエアだけでなく、デジタル音声コンテンツとして提供・配信するサービス「SPINEAR」でも配信。SpotifyやApple Podcasts、Amazon Music、Google Podcastsでも楽しめる。エピソードは金曜日22時に更新。
・SPINEARで聞く
https://spinear.com/shows/best-regards/
バンドを始めるきっかけとなった人物
ロブ・ギャラガーは1990年代、アシッドジャズムーブメントの中心的グループだったガリアーノのリーダーである。その後もトゥ・バンクス・オブ・フォーやアール・ジンガーとして、そしてDJのジャイルス・ピーターソンのサイドMCとして、常に世界のクラブジャズシーンをけん引してきた。社長にとってロブ・ギャラガーは「まさに音楽を、そしてバンドを始めるきっかけになった人」だという。社長:たぶんあれは20歳ぐらいのことだったと思います。ガリアーノの最後の解散ライブが東京でありました。そのライブを観て僕はバンドをやろうと決心したんです。それ以来ずっと彼の背中を追い続けています。
寒空の下、桜を見た思い出
番組では、社長とロブの音声による手紙(ボイスレター)を紹介。まずはふたりが日本での思い出を振り返った。社長:やあ、ロブ。久しぶり。元気にしてるかな? 何年前のことか忘れたけど、ちょうどいまみたいな桜の季節に日本に来ていたよね。あのときの花見は忘れられない。代々木公園はとても寒くてまったく桜を見るどころじゃなかった。ロンドンに春の訪れを告げるものってなんなんだろう?
ロブ:親愛なる社長へ。元気です。ありがとう。もちろん代々木公園で桜を見ながら凍えたことは覚えているよ。とても幸せな時間だった。今週、近所の木々も目覚め始めたところ。角を曲がったところにある大きなりんごの木に花が咲いているんだけど、それが通常暖かくなってきたことを知らせてくれているんだ。僕は1年の中で春が一番好き。歌や映画では都市で季節を表現されるよね。パリの4月、秋のニューヨーク、冬はドゥブロブニクかな。でも春はどこにいてもいいエネルギーをもたらしてくれる。渡り鳥であるツバメの心を感じることができるシャーマンの話を読んでいるんだ。ツバメは南アフリカからサハラ砂漠を通り、ジブラルタルやイタリア、南ヨーロッパへと経線に沿って飛ぶんだ。そしてそこからノルウェーやスウェーデンまで春を追いかけて、氷の世界の境界線まで。僕の分まで「鍛高譚(たんたかたん)」(しそ焼酎)を飲んでくれよ。
社長:親愛なるロバート、返事をありがとう。大きなりんごの木に咲く花で春を感じる、それもいいな。確かにツバメは季節を追いかけていく鳥だから、彼らが世界中の街でどんな春の風景を見ているのか話を聞いてみたいね。
ワークショップで知った詩の可能性
続いて社長が「最近ロブはどんなふうにすごしてる?」と近況を尋ねると、ロブは最近新たなチャレンジをしていることを明かした。ロブ:この5カ月間、月曜日の午後に詩のワークショップをやっているんだ。世界中から集まった詩人たちが自分の作品を持ち寄り、他の参加者に評価してもらうんだ。僕はいままでこのようなことをしたことがなかったので、最初はとても緊張したよ。僕はいつも、詩はどこかからの小さな贈り物だと思っていた。その詩がどこからやって来たのか、問いたくなかったんだ。だけど言葉を学び、詩の可能性を知ることは大きな発見だった。そのこと自体が魔法のようなものだよ。音楽はアイデアを音にするもの、詩はアイデアを言葉にするものだと思うんだ。アメリカなら、ペイジュ・ルイスやカーヴェ・アクバル、イギリスでは、アンソニー・アナクサゴフとエミリー・ベリーの詩が好きなんだ。日本の現代の詩人でおすすめの人はいるかい? あとその人たちの詩はうまく英語に翻訳されている? 翻訳はまたまったく別のトピックとして話そう。元気ですごしていることを祈るよ。
社長:親愛なるロバート。ロブが紡ぐ言葉はこの手紙でさえ、それ自体が美しい絵画のようだね。たとえ黒いペンで書かれている文字でさえ、それが組み合わさり意味を持つことで、まるでゲルハルト・リヒターの絵のように幻想的で色鮮やかな世界へといざなってくれる。そんなロブの世界観を共有できるワークショップはとても面白そうだね。そこに集まる世界中の詩人の詩もぜひとも読んでみたいな。日本の現代の詩人で好きなのは、山崎円城さん。F.I.B JOURNALというポエトリージャズのバンドをやっていて、彼からも僕はとても大きな影響を受けている。実は前のSOILのアルバムにも参加してもらっているんだ。彼の詩は英語と日本語をミックスした独特なスタイルだから、まずはあえて翻訳せずにライブでその質感を味わってみてほしいな。
ボイスレターのやりとりを終え、社長は「言葉の壁を越えてボイスレターのやりとりで近況を伝える。アナログだけど体温のこもったこのやりとり、大切な何かを取り戻せそうです」と総括した。
『BENTLEY BEST REGARDS』では、イギリスと東京の声の往復書簡を紹介。社長と相手が音楽やカルチャー、サスティナビリティなど、気になっていることを音声の手紙に綴り合う。放送は毎週金曜日の22時から。
radikoで聴く
2022年4月8日28時59分まで
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番組情報
- BENTLEY BEST REGARDS
-
毎週金曜22:00-22:30