野村訓市がウェス・アンダーソン監督の新作映画『フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊』を語った。
野村が同作を語ったのは、自身がナビゲーターを務める番組『TUDOR TRAVELLING WITHOUT MOVING』。ここでは、2月13日(日)オンエアの内容をテキストで紹介する。
<あらすじ>
物語の舞台は、20世紀フランスの架空の街にある「フレンチ・ディスパッチ」誌の編集部。米国新聞社の支社が発行する雑誌で、アメリカ生まれの名物編集長が集めた一癖も二癖もある才能豊かな記者たちが活躍。国際問題からアート、ファッションから美食に至るまで深く斬り込んだ唯一無二の記事で人気を獲得している。
ところが、編集長が仕事中に心臓まひで急死、彼の遺言によって廃刊が決まる。果たして、何が飛び出すか分からない編集長の追悼号にして最終号の、思いがけないほどおかしく、思いがけないほど泣ける、その全貌とは──?
サーチライト・ピクチャーズ公式サイトより。
野村:この映画はウェスの10作目となります。いろいろな雑誌などでも書いているんですけど、本当にウェス節全開、それでいて新しい要素もあって面白いのでぜひリスナーのみなさんも機会があれば観ていただきたいです。海外に行きたいな、そしてその街をほっつき歩きたいなという欲求をズキズキと刺激する映画です。
野村:この映画の脚本はウェスが映画『犬ヶ島』の公開で来日しているときに、ホテルでカタカタとラップトップに打ち込んでいましたから、2018年にスタートしました。2018年と言えば『犬ヶ島』の公開に合わせて1月から4月まではなんだかんだとプロモーションで世界中を飛び回っていました。自分の人生でこんなことは2度ないだろうと思いましたし、本当に楽しかったんですけれども、自分の仕事をする時間はほぼなし。プロモーション活動というは初めてやって知ったんですけど、制作の契約をしたときに込みになっていて。もちろん旅費とかそういうのは全部カバーしてもらえるんですが、そこでお金がもらえるわけではありません。「これはマズいな」と思いつつ、5月にはウェスが来日して一緒に国内旅行などもしてしまい、「6月からちゃんと働かないと本当にマズいぞ」というときにウェスから連絡がきました。
「そりゃいいに決まってますし、頭の中は一瞬で僕の大好きな『紅の豚』の世界に染まった」と振り返った野村だが、当時は別の仕事の予定が詰まっていたという。
野村:そのころ僕はバンコクでデザインしたレコードバーの仕事がありまして、〆切が7月末だったんですね。恐る恐る一緒に内装する友だちに「ちょっと7月にイタリアに2、3週間行かなきゃいけないかもしれないんだけど、大丈夫かな?」と聞いてみました。すると彼はものすごい真顔で「それって内装絡みの仕事だよね? バンコクのその知り合いとイタリアで会うってことなんだよね?」と。そう言われたので「いや、全然関係なくってまた映画なんだけどさ」と言うと「別にいいけどさ、バンコクは訓の知り合いの仕事でしょ? はっきり言って間に合わないよ」。そう言われたら断るしかありません。ウェスには「申し訳ないけど行けない」と言いました。彼らたちとは違う、こちらは時給で働く働きマンですから、そんなに自由に2、3週間パッといなくなるというのはできません。ただ断ったときにものすごく嫌な予感がしていました。「もしかしたら、いやきっとこの次作は傑作になってしまうんじゃないか」と。
『TUDOR TRAVELLING WITHOUT MOVING』では「動かない旅」をキーワードに、旅の話と旅の記憶からあふれだる音楽をお届け。放送は毎週日曜日の20時から。
2022年1月28日(金)全国公開
配給:ウォルト・ディズニー・ジャパン
(C)2021 20th Century Studios. All rights reserved.
公式サイト:https://searchlightpictures.jp/movie/french_dispatch.html
野村が同作を語ったのは、自身がナビゲーターを務める番組『TUDOR TRAVELLING WITHOUT MOVING』。ここでは、2月13日(日)オンエアの内容をテキストで紹介する。
架空の町にある雑誌編集部の物語
野村はウェス・アンダーソン監督の前作『犬ヶ島』に声優として参加し、友人関係でもあるのだとか。まずは『フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊』を観た感想を語った。<あらすじ>
物語の舞台は、20世紀フランスの架空の街にある「フレンチ・ディスパッチ」誌の編集部。米国新聞社の支社が発行する雑誌で、アメリカ生まれの名物編集長が集めた一癖も二癖もある才能豊かな記者たちが活躍。国際問題からアート、ファッションから美食に至るまで深く斬り込んだ唯一無二の記事で人気を獲得している。
ところが、編集長が仕事中に心臓まひで急死、彼の遺言によって廃刊が決まる。果たして、何が飛び出すか分からない編集長の追悼号にして最終号の、思いがけないほどおかしく、思いがけないほど泣ける、その全貌とは──?
サーチライト・ピクチャーズ公式サイトより。
野村:この映画はウェスの10作目となります。いろいろな雑誌などでも書いているんですけど、本当にウェス節全開、それでいて新しい要素もあって面白いのでぜひリスナーのみなさんも機会があれば観ていただきたいです。海外に行きたいな、そしてその街をほっつき歩きたいなという欲求をズキズキと刺激する映画です。
『フレンチ・ディスパッチ』は自身最大の後悔
野村は今回、『フレンチ・ディスパッチ』への誘いを受けながらも参加することができなかったそうで、非常に後悔をしているのだとか。野村:この映画の脚本はウェスが映画『犬ヶ島』の公開で来日しているときに、ホテルでカタカタとラップトップに打ち込んでいましたから、2018年にスタートしました。2018年と言えば『犬ヶ島』の公開に合わせて1月から4月まではなんだかんだとプロモーションで世界中を飛び回っていました。自分の人生でこんなことは2度ないだろうと思いましたし、本当に楽しかったんですけれども、自分の仕事をする時間はほぼなし。プロモーション活動というは初めてやって知ったんですけど、制作の契約をしたときに込みになっていて。もちろん旅費とかそういうのは全部カバーしてもらえるんですが、そこでお金がもらえるわけではありません。「これはマズいな」と思いつつ、5月にはウェスが来日して一緒に国内旅行などもしてしまい、「6月からちゃんと働かないと本当にマズいぞ」というときにウェスから連絡がきました。
届いた1通のメール
監督から届いた1通のメール。いつも通りの短い文章で、内容は「次の映画の脚本づくりをやるから、7月にイタリアにおいでよ。脚本を書くロマン・コッポラやジェイソン・シュワルツマンも一緒に船に乗りながらやるよ」というものだったという。「そりゃいいに決まってますし、頭の中は一瞬で僕の大好きな『紅の豚』の世界に染まった」と振り返った野村だが、当時は別の仕事の予定が詰まっていたという。
野村:そのころ僕はバンコクでデザインしたレコードバーの仕事がありまして、〆切が7月末だったんですね。恐る恐る一緒に内装する友だちに「ちょっと7月にイタリアに2、3週間行かなきゃいけないかもしれないんだけど、大丈夫かな?」と聞いてみました。すると彼はものすごい真顔で「それって内装絡みの仕事だよね? バンコクのその知り合いとイタリアで会うってことなんだよね?」と。そう言われたので「いや、全然関係なくってまた映画なんだけどさ」と言うと「別にいいけどさ、バンコクは訓の知り合いの仕事でしょ? はっきり言って間に合わないよ」。そう言われたら断るしかありません。ウェスには「申し訳ないけど行けない」と言いました。彼らたちとは違う、こちらは時給で働く働きマンですから、そんなに自由に2、3週間パッといなくなるというのはできません。ただ断ったときにものすごく嫌な予感がしていました。「もしかしたら、いやきっとこの次作は傑作になってしまうんじゃないか」と。
『TUDOR TRAVELLING WITHOUT MOVING』では「動かない旅」をキーワードに、旅の話と旅の記憶からあふれだる音楽をお届け。放送は毎週日曜日の20時から。
作品情報
『フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊』2022年1月28日(金)全国公開
配給:ウォルト・ディズニー・ジャパン
(C)2021 20th Century Studios. All rights reserved.
公式サイト:https://searchlightpictures.jp/movie/french_dispatch.html
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2022年2月20日28時59分まで
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番組情報
- TUDOR TRAVELLING WITHOUT MOVING
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毎週日曜20:00-20:54