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誰でも大谷翔平の気分が味わえる? 内閣府が主導する「ムーンショット目標」とは

内閣府の掲げる「ムーンショット型研究開発制度」。内閣府のサイトによると、ムーンショットとは<破壊的イノベーションの創出を目指し、従来技術の延長にない、より大胆な発想に基づく挑戦的な研究開発>のことだとか。具体的にはどういったものなのか、国際大学GLOCOMで客員教授を務める林雅之さんがクイズ形式で解説した。

林さんが登場したのは『STEP ONE』のワンコーナー「SAISON CARD ON THE EDGE」(ナビゲーター:サッシャ、ノイハウス萌菜)。ここでは1月24日(月)のオンエア内容をテキストで紹介する。

ムーンショット目標の由来は?

『STEP ONE』では1月24日~27日まで、「これからの時代に押さえておきたいキーワードをテスト形式で学んでいく」という企画を実施した。24日はIT分野として、林さんが監修・解説した「ムーンショット」にまつわる3つの問題を紹介した。

第1問:内閣府が掲げるムーンショット目標の「ムーンショット」とは、何に由来して命名されたか?

1.皆既月食撮影計画
2.月面人類着陸計画
3.月面研究施設建設計画

正解は2の「月面人類着陸計画」。

林:アメリカのケネディ大統領が1960年代に、「人類を月へ運ぶぞ」とロケットを打ち上げることを出したアポロ計画が命名の由来となっています。当時、人類を月面着陸させることはかなり難しい挑戦だったのですが、これを有言実行したことから、いろいろ困難を伴うものの野心的な夢のある計画がムーンショットと呼ばれるようになりました。
サッシャ:日本として、月面にいくと?
林:そういうスタンスとして、政府としても大規模プロジェクトとしてまさに取り組んでいます。
サッシャ:楽しみですね。実現できそうですか?
林:2050年という長期スパンになっていますので、皆さんで頑張って実現していけるんじゃないかなと思っています。

9つの目標に含まれるのは?

続いて出題したのは、ムーンショット目標で掲げられている9つの目標に関する問題だ。

第2問:ムーンショット目標は2040年から2050年まで、9つの目標が設定されている。9つのうちに含まれている目標はどれか?

1.ドラえもんのような人と共生するロボットの実現
2.地球と宇宙を結ぶ、宇宙エレベーターの実現
3.ガンダムのような巨大戦闘ロボットの実現

正解は1の、「ドラえもんのような人と共生するロボットの実現」だという。

林:目標のなかに「ドラえもん」という言葉は入っていませんが、9つの目標の3番目として、「人と共生するロボットの実現」と書かれています。たとえば2050年までに人類が違和感を持たない、人と同等以上な身体能力を持って、人生に寄り添って一緒に成長するAIロボットを開発するといった目標設定もしています。

サッシャ:これは、どういう使い方が想定されるんですか? たとえばお年寄りの介護ロボットとかいろいろ考えられると思うんですけど。

林:まさに介護ロボットもそうですし、工場もそうですし、究極の姿としてはドラえもんに近い存在、ドラえもんに近づいていけるかですが、身近なところとしてはいろいろなところにAIロボットが入ってくるかなと思います。

サッシャ:開発の必要性はどこにあるんですか?

林:膨大なデータがあったりするので、中小企業ではドラえもんのような考えるロボットを作っていかなければならないんですね。あと、最近のAIは自然言語処理や画像認識など、いろいろな機能がバラバラになっているんですけど、これをうまく統合して、より人間に近いAIロボットを開発するということが重要になってきているかなと思います。

サッシャ:個々の技術は接していますもんね。スマートスピーカーとか、特定の言語をいったときだけ反応するじゃないですか。だから全部の会話を恐らく聞き取っているのに、自分に自分に命令されたときだけ反応するっていうのはもうすでに認識できているってことですよね。

林:そうですね。最終的には自立的に考えて行動するAIロボットが究極の姿になるかなと思っています。

サッシャ:断片を繋ぎ合わせていくと、ドラえもんができあがっていくと。

何が実現できるのか?

最終問題は、目標実現で可能になる事柄についてだ。

第3問:ムーンショット目標の1番目が実現すると、どのようなことができるようになるか。

1.誰でも大谷翔平の気分を味わうことができる
2.誰でも自分の分身を持つことができる
3.誰でも自由自在にものを動かす超能力者になれる

3問目の正解は、なんと1~3のすべてだという。

林:2050年までという考え方になると、すべて実現できるかなと思っています。たとえば1つ目の「誰でも大谷翔平の気分を味わえる」というのは、大谷翔平のバットにセンサーをつけて、バーチャルな空間でバッティングの感覚を味わうというのもありますし、あとは分身型のロボットを使って160キロの球を投げるとか、身体拡張ということで、人間にいろいろな機械をつけて、ホームランを打てるような形にするとか。いろいろな形が考えられるんじゃないかなと思っています。

サッシャ:たとえば人工筋肉のようなスーツみたいなのを着て、ホームランを打てるような筋肉になって、というのも味わうこともできるし、センサーバットみたいなものを持って振ると、同じようなしびれがくるとか。すごい、何にでもなれちゃうわけですね。

2の「誰でも自分の分身を持つことができる」という内容に関しても、林さんは具体例を説明してくれた。

林:最近流行りの仮想サイバー空間で自分の分身をもって、コミュニケーションを取ることもでき、そこからいろいろなビジネスや取り組みが出てくるかなと思っています。
サッシャ:もうすでにサイバー空間上で、VRゴーグルをつけてお買い物をできるなどは、始まっていますよね。

林:そうですね。徐々に始まりつつあるんですけど、よりビジネスが高度になっていく。たとえばデジタル資産を使って取引をするとか、作品を展示するといったものが、より現実に近い形になり、いろいろな取引やビジネス社会が生まれてくるんじゃないかなと思っています。最終的にはVRゴーグルをつけなくても、メガネをつけるような形でそのメタバース空間を体験できるようになっていくんじゃないかと。

サッシャも非常に興味を持っていた、3番目の「誰でも自由自在にものを動かす超能力者になれる」という項目について、林さんは次のように解説する。

林:脳波を使ってコンピュータとつなげていくということで、たとえばドアやカーテンを開けよう、テレビをつけよう、車のエンジンをかけようといった形で、いろんな作業が遠隔でできるようになっていくということが、身体の拡張、身体の制約開放でできるんじゃないかなと思っています

サッシャ:何かを埋め込むんですか?

林:チップを埋め込みます。難しい言葉だとブレインマシンインターフェースという形で、取り込んでいくことができるかなと思っています。

サッシャ:こわくないんですか?

林:ちょっとこわいので、それ以外のテクノロジー的にも解決策が検討されていくと思います。

サッシャ:スマートスピーカーのようにいちいち言葉で説明しなくても、「カーテン開け」と思うと、開くと。これを合わせると、ムーンショット計画が行われる2040年から50年には、どんな時代がやってくるんですか?

林:いままではリアルな生活っていうのが普通の世界だったんですけど、分身を持ってバーチャルな世界にもいろんなコミュニケーションとかビジネスチャンスを取っていくというような動きになっていくかなと思います。たとえばリアルの世界だとテレビなどの、いろいろなものの資産を持っているんですけど、将来的にはデジタルで取り引きをするということで、2つの空間をうまく活用していくような動きになっていくんじゃないかなと思っています。

サッシャ:めっちゃいいマトリックスってことですね(笑)。

林:あとはドラえもんっていろいろな道具があるんですけど、そういったものをどんどん実現に近づけていく。人間拡張で空を自由に飛べるなど、人間の身体が解放されていくということもできていくんじゃないかなと思っています。

サッシャ:想像を絶するんですけど、楽しみになってまいりました。

J-WAVE『STEP ONE』のワンコーナー「SAISON CARD ON THE EDGE」では、毎回ニューノーマル時代のさまざまなエッジにフォーカスする。放送は月曜~木曜の10時10分ごろから。
radikoで聴く
2022年1月31日28時59分まで

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番組情報
STEP ONE
月・火・水・木曜
9:00-13:00

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