DEAN FUJIOKAが、ニューアルバム『Transmute』や、これまでの活動について語った。
トークを展開したのは、J-WAVEで放送中の番組『ROPPONGI PASSION PIT』(ナビゲーター:DEAN FUJIOKA/三原勇希)。ここでは12月4日(土)のオンエアをテキストで紹介する。
DEAN:今はアルバムの在り方がとても問われる時代だと思う。1曲で聴く、もしくはプレイリストで聴くほうが多い世の中になったから。自分もそうだし。だから「アルバムとしてひとつの作品集として並べる意味ってなんなんだろう?」と、けっこうシビアに考えて選曲して、かつこの曲順を最終的に採用した形になっています。
三原:アルバムとしての意味を考えるうえで、ボス(DEAN)が大切にしていきたいなと思ったのはどこでしたか?
DEAN:タイトルの“Transmute”は、変異していく、変化していく、爆発的な細胞レベルでの変化という意味。そういうお題を掲げたときに、どんな音の物語にしたらいいのか。大きなうねりのようなアルバムにしたかったんだよね。どうしても1曲1曲は全然BPMが違うし、使っているサウンドも違うし、もちろん歌詞も曲のタイトルも違うわけだから、それぞれがお互いにどういう位置関係にいるのかという組み合わせがすごく複雑にならざるを得ない。だけど、その複雑さにちゃんと意味を持たせられるかということだと思うんだよね。それで曲を通して聴いたときに、1曲1曲をただ順番で聴いただけじゃない、新しい情緒や気づき、なんとなく頭のなかで見える景色が生まれる。『Transmute』というタイトルに一番沿っていた曲の流れが、今の形だったんだよね。
DEAN:香水の匂いって意図してつけているじゃない? でも石鹸は純粋な無垢な匂いの象徴みたいなところがどこかにある気がしていて。
三原:香りって記憶とともフラッシュバックしたり、いろいろなものを連れてきますよね。ラストにこの曲があることに、すごく意味を感じました。
DEAN:ループにしたいなと思って。1曲目『Hiragana』から通しで聴いて、「ここで終わりじゃない」という形にしたかったんだよね。「初心忘れるべからず」みたいな感じで戻って、2週目で聴いたら必ず違う情感になる設計にしているのよ、実は。リピートって悪くいうとルーティン化してマンネリというか鈍くなっていっちゃうようなところがあると思うんだけど、リピートするからこそ熱がより増すとか理解が深まるとか、違った情緒が生まれるとか、そっちをすごく大切にしたいなと思って、この並びにしています。
番組では『Transmute』の16曲目に収録された『One Last Sweet Talk』をオンエア。同楽曲は、2016年に発表されたアルバム『Cycle』の収録曲『Sweet Talk』のニューバージョンで、大橋トリオがアレンジを務めている。
三原:もともとの『Sweet Talk』はもっとポップなアレンジだったと思いますけど、『One Last Sweet Talk』はさらに優しく、楽器の演奏が素敵なアレンジに変わっています。『Sweet Talk』の新バージョンを作ろうと思ったきっかけはなんだったんですか?
DEAN:この曲は自分のなかでひとつの可能性が生まれた瞬間でもあって。でも当時は惨敗。どちらかというと「これしかできなかった」みたいな、あまりポジティブな形ではなくて。
三原:そうだったんですね。
DEAN:三言語が混じっている、この曲が初めてそういうフォーマットの曲だったんだけど、そのあとにそういうフォーマットの曲を作ってきて、『Shelly』でやっと言語の切り替えを表現として、ちゃんとやる意味がある形にまで持っていけて。『Shelly』が初めて自分のなかでやっと手綱がとれた実感があって。でも結局、誰しも最初からなんでもできるわけじゃなくて、失敗というか、いろいろな反省も含めて1歩目があったからいまに繋がっているということも含め、もう一度最後の『Sweet Talk』を作ると。これで「まだこの曲をやりたい」と思って。ライブとかでこの曲の魅力を自分が表現しきれていないと思ったから、未来で一緒に歩んでいくためにお色直し。長いお付き合いができたらいいなという。
三原:ボスにとっても『History Maker』は特別な1曲ですか?
DEAN:実質、初めて日本で作った曲だったし、音楽活動を前に進める大きなきっかけを作ってくれた曲だから、この曲と出会わなかったら違ういまになっていただろうなと思うね。
三原:その曲が『Sweet Talk』と同様に今回ニューバージョンになっています。新しくしようとしたきっかけはなんだったんですか?
DEAN:これは簡単に言うと、3拍子を4拍子にしたかったという。
三原:へえ! そこなんですね。
DEAN:原曲はフィギュアスケートのパフォーマンスに合わせて優雅な舞いにハマるようなイメージで、でっかい会場でフィギュアスケーターのパフォーマンスを大勢のお客さんが観ているような、そこにかかるアンセムみたいなイメージで作って。4分の4拍子って楽譜で「c」って書くのよ。「common time(コモン・タイム)」って言うんだけど。実はこの曲、自分のなかでは『History Maker 2021』ではなくて、『History Maker c』なのね。
三原:なるほど。
DEAN:自分がライブで歌っていて4分の4拍子のほうがしっくりくるんだよね。過去のライブでそういうパターンを作って試したことがあって。クラブリミックスを作ってもらって、それをベースにバンドアレンジして4分の4拍子でパフォーマンスしたら「こっちのほうがいいな」と思って。楽曲としてはオリジナルもいいんだけど、パフォーマンスする側、ライブではこっちのほうがいいと思って作りました。
『History Maker 2021』のアレンジは、『ROPPONGI PASSION PIT』初の公開収録で弾き語りライブも披露したTHE CHARM PARKが担当した。
DEAN:CHARMさんの音楽って、すごく繊細というかミクロ。「京都の箱庭のなかに宇宙を作る」みたいなのがCHARMさんのスタイルだなと自分は勝手に解釈していて。『History Maker 2021』を作るとなったときにCHARMさんバッチリだなと思って。CHARMさんだったら自分のイメージと一緒にゴールまでたどり着けると確信してお願いしました。結果『History Maker c』の「c」はCHARMさんの「C」だったんじゃないかという(笑)。
DEAN:全国ツアー「DEAN FUJIOKA "Musical Transmute" Tour 2021」をやっていて、「Transmute」という言葉がすごく便利だなと思って。これまであったものに対して新しい働きかけをすることでTransmuteさせて、また違う価値を生み出すことができるという。そういう変異のさせ方が「ああ、Transmuteという言葉で表したかったことなんだな」と思って。物事って文脈があるから、過去の長い歴史のなかで生まれて作られてきたものを1歩前に進めるために、いま自分がここでTransmuteする。アルバム『Transmute』は、リリースの形も含めて世の中いろいろな聴き方ができるようになったから、いろいろな設計をして。この情熱を一言で表すと「自分をTransmuteさせる」という、この2021年においては「そこを越えられないとこの先に行けない」と覚悟を決めて、そこに情熱を傾けました。
『ROPPONGI PASSION PIT』は、東京・六本木に出現した、いろいろな人の“情熱”が集まり、重なり合い、さらに熱を増して燃え上がる秘密基地として、みんなの熱い思いを電波に乗せて発信。放送は毎週土曜の23時から。
トークを展開したのは、J-WAVEで放送中の番組『ROPPONGI PASSION PIT』(ナビゲーター:DEAN FUJIOKA/三原勇希)。ここでは12月4日(土)のオンエアをテキストで紹介する。
大きなうねりのようなアルバムにしたかった
DEANの2021年のアーティスト活動の集大成であるニューアルバム『Transmute』。同アルバムには、EP『Shelly』以降の楽曲を中心に構成された全18曲が収録されている。DEAN FUJIOKA New AL “Transmute” Trailer
三原:アルバムとしての意味を考えるうえで、ボス(DEAN)が大切にしていきたいなと思ったのはどこでしたか?
DEAN:タイトルの“Transmute”は、変異していく、変化していく、爆発的な細胞レベルでの変化という意味。そういうお題を掲げたときに、どんな音の物語にしたらいいのか。大きなうねりのようなアルバムにしたかったんだよね。どうしても1曲1曲は全然BPMが違うし、使っているサウンドも違うし、もちろん歌詞も曲のタイトルも違うわけだから、それぞれがお互いにどういう位置関係にいるのかという組み合わせがすごく複雑にならざるを得ない。だけど、その複雑さにちゃんと意味を持たせられるかということだと思うんだよね。それで曲を通して聴いたときに、1曲1曲をただ順番で聴いただけじゃない、新しい情緒や気づき、なんとなく頭のなかで見える景色が生まれる。『Transmute』というタイトルに一番沿っていた曲の流れが、今の形だったんだよね。
リピートするからこそ熱がより増す
『Transmute』の収録曲について、三原はまずアルバムのラストを飾る『Sekken』について話を聞く。DEAN:香水の匂いって意図してつけているじゃない? でも石鹸は純粋な無垢な匂いの象徴みたいなところがどこかにある気がしていて。
三原:香りって記憶とともフラッシュバックしたり、いろいろなものを連れてきますよね。ラストにこの曲があることに、すごく意味を感じました。
DEAN:ループにしたいなと思って。1曲目『Hiragana』から通しで聴いて、「ここで終わりじゃない」という形にしたかったんだよね。「初心忘れるべからず」みたいな感じで戻って、2週目で聴いたら必ず違う情感になる設計にしているのよ、実は。リピートって悪くいうとルーティン化してマンネリというか鈍くなっていっちゃうようなところがあると思うんだけど、リピートするからこそ熱がより増すとか理解が深まるとか、違った情緒が生まれるとか、そっちをすごく大切にしたいなと思って、この並びにしています。
番組では『Transmute』の16曲目に収録された『One Last Sweet Talk』をオンエア。同楽曲は、2016年に発表されたアルバム『Cycle』の収録曲『Sweet Talk』のニューバージョンで、大橋トリオがアレンジを務めている。
三原:もともとの『Sweet Talk』はもっとポップなアレンジだったと思いますけど、『One Last Sweet Talk』はさらに優しく、楽器の演奏が素敵なアレンジに変わっています。『Sweet Talk』の新バージョンを作ろうと思ったきっかけはなんだったんですか?
DEAN:この曲は自分のなかでひとつの可能性が生まれた瞬間でもあって。でも当時は惨敗。どちらかというと「これしかできなかった」みたいな、あまりポジティブな形ではなくて。
三原:そうだったんですね。
DEAN:三言語が混じっている、この曲が初めてそういうフォーマットの曲だったんだけど、そのあとにそういうフォーマットの曲を作ってきて、『Shelly』でやっと言語の切り替えを表現として、ちゃんとやる意味がある形にまで持っていけて。『Shelly』が初めて自分のなかでやっと手綱がとれた実感があって。でも結局、誰しも最初からなんでもできるわけじゃなくて、失敗というか、いろいろな反省も含めて1歩目があったからいまに繋がっているということも含め、もう一度最後の『Sweet Talk』を作ると。これで「まだこの曲をやりたい」と思って。ライブとかでこの曲の魅力を自分が表現しきれていないと思ったから、未来で一緒に歩んでいくためにお色直し。長いお付き合いができたらいいなという。
自身の分岐点となった楽曲『History Maker』のニューバージョン
続いては、『Transmute』の8曲目に収録された『History Maker 2021』について。オリジナル曲である『History Maker』は、2016年に発表されたアニメ『ユーリ!!! on ICE』(テレビ朝日系)の主題歌として世界的に注目を集め、Spotifyでは4000万再生を越える人気楽曲。三原:ボスにとっても『History Maker』は特別な1曲ですか?
DEAN:実質、初めて日本で作った曲だったし、音楽活動を前に進める大きなきっかけを作ってくれた曲だから、この曲と出会わなかったら違ういまになっていただろうなと思うね。
三原:その曲が『Sweet Talk』と同様に今回ニューバージョンになっています。新しくしようとしたきっかけはなんだったんですか?
DEAN:これは簡単に言うと、3拍子を4拍子にしたかったという。
三原:へえ! そこなんですね。
DEAN:原曲はフィギュアスケートのパフォーマンスに合わせて優雅な舞いにハマるようなイメージで、でっかい会場でフィギュアスケーターのパフォーマンスを大勢のお客さんが観ているような、そこにかかるアンセムみたいなイメージで作って。4分の4拍子って楽譜で「c」って書くのよ。「common time(コモン・タイム)」って言うんだけど。実はこの曲、自分のなかでは『History Maker 2021』ではなくて、『History Maker c』なのね。
三原:なるほど。
DEAN:自分がライブで歌っていて4分の4拍子のほうがしっくりくるんだよね。過去のライブでそういうパターンを作って試したことがあって。クラブリミックスを作ってもらって、それをベースにバンドアレンジして4分の4拍子でパフォーマンスしたら「こっちのほうがいいな」と思って。楽曲としてはオリジナルもいいんだけど、パフォーマンスする側、ライブではこっちのほうがいいと思って作りました。
『History Maker 2021』のアレンジは、『ROPPONGI PASSION PIT』初の公開収録で弾き語りライブも披露したTHE CHARM PARKが担当した。
DEAN:CHARMさんの音楽って、すごく繊細というかミクロ。「京都の箱庭のなかに宇宙を作る」みたいなのがCHARMさんのスタイルだなと自分は勝手に解釈していて。『History Maker 2021』を作るとなったときにCHARMさんバッチリだなと思って。CHARMさんだったら自分のイメージと一緒にゴールまでたどり着けると確信してお願いしました。結果『History Maker c』の「c」はCHARMさんの「C」だったんじゃないかという(笑)。
自身をTransmuteさせた1年
最後にDEANは、「2021年の音楽にかけてきた情熱を一言で表すと?」と訊かれ、「DEAN FUJIOKA Transmute」と答えた。DEAN:全国ツアー「DEAN FUJIOKA "Musical Transmute" Tour 2021」をやっていて、「Transmute」という言葉がすごく便利だなと思って。これまであったものに対して新しい働きかけをすることでTransmuteさせて、また違う価値を生み出すことができるという。そういう変異のさせ方が「ああ、Transmuteという言葉で表したかったことなんだな」と思って。物事って文脈があるから、過去の長い歴史のなかで生まれて作られてきたものを1歩前に進めるために、いま自分がここでTransmuteする。アルバム『Transmute』は、リリースの形も含めて世の中いろいろな聴き方ができるようになったから、いろいろな設計をして。この情熱を一言で表すと「自分をTransmuteさせる」という、この2021年においては「そこを越えられないとこの先に行けない」と覚悟を決めて、そこに情熱を傾けました。
『ROPPONGI PASSION PIT』は、東京・六本木に出現した、いろいろな人の“情熱”が集まり、重なり合い、さらに熱を増して燃え上がる秘密基地として、みんなの熱い思いを電波に乗せて発信。放送は毎週土曜の23時から。
radikoで聴く
2021年12月11日28時59分まで
PC・スマホアプリ「radiko.jpプレミアム」(有料)なら、日本全国どこにいてもJ-WAVEが楽しめます。番組放送後1週間は「radiko.jpタイムフリー」機能で聴き直せます。
番組情報
- ROPPONGI PASSION PIT
-
毎週土曜23:00-23:54