ラッパーのKEN THE 390がレジェンドHIP HOPアーティスト3組をピックアップし、その魅力を語った。
KEN THE 390が登場したのはJ-WAVEで放送中の番組『SONAR MUSIC』(ナビゲーター:あっこゴリラ)。番組では、毎回ゲストを迎え、様々なテーマを掘り下げていく。ここでは、「そんなに言うなら勉強してみる? HIP HOP編」をテーマにお届けした、6月7日(月)のオンエア内容をテキストで紹介する。
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あっこゴリラ:まず一組目のアーティストは?
KEN:「N.W.A」です!
あっこゴリラ:このN.W.Aは、HIP HOP界においてどんな存在なんですか?
KEN:N.W.Aは、ギャングスタラップを定着させたグループです。いま日本でもHIP HOPといわれると、けっこうハードな内容歌ってたりとかギャングスタなイメージあると思うんですけど、それを定着させたのはこの人たちなんですよね。
あっこゴリラ:なるほど~!
KEN:このグループは1988年に発売された『ストレイト・アウタ・コンプトン』でデビューしています。Dr.DreやIce Cubeなどがメンバーの西海岸を代表するグループです。
あっこゴリラ:N.W.Aは、どういう意味でHIP HOPの転換期になったんですか?
KEN:70年代に生まれたといわれているHIP-HOPは、もともとブロックパーティーでかかっていた音楽をHIP HOPって言うようになったので、パーティーミュージックのようなバイブスがある音楽なんです。
あっこゴリラ:うんうん。
KEN:その後、だんだんラップが流行っていく中で、社会的なことを歌ったり、メッセージ的なことを歌ったりとか増えてはいたんだけど、ポジティブバイブスみたいのがずっと根底にあったんです。さらに、当時HIP HOPっていうとNYだったんですけど、このN.W.AはLAのコンプトンという西海岸で結成されます。しかもこのコンプトンはめちゃめちゃ治安が悪くて、その治安の悪さを前面に押し出しまくってもうラジオやテレビではかけれないような内容を歌いまくっています。
あっこゴリラ:そのコンプトンはどんな感じの街なんですか?
KEN:全米の中でも犯罪率が最も高い都市の一つとして知られていて、特に殺人の発生率が高いとされています。
あっこゴリラ:ええ~!
KEN:そのほとんどがギャングの抗争によるものだといわれています。そういうところだから警察の取り締まりも異常に厳しくて、黒人の男性が何人かで歩いているだけで職質されるような、かなり過酷な状況です。そんな窮屈な世界での怒りというエネルギーを音楽に変えて歌ったのがN.W.Aです。その黒人音楽が大ヒットした、ここがすごいポイントだと思います。
あっこゴリラ:なるほど~。
KEN:ハードなことを歌えば歌うほど売れるみたいな状況がこのへんから出来始めてきます。
【N.W.A『Straight Outta Compton』を聴く】
KEN:2組目は、「De La Soul」です!
あっこゴリラ:このDe La Soul、HIP HOP界においてどんな存在なんですか?
KEN:De La Soulは、HIP HOPの中でも多様性を確立したグループだと思います。先ほど紹介したN.W.Aと同時期くらいに出てきたグループで、先ほどのN.W.Aが超不良だとしたら、De La Soulは完全に真逆です。
あっこゴリラ:へえ~!
KEN:不良的(マッチョ)なHIP HOPへのアンチテーゼとして現れた音楽性も高いグループとも言えます。悪くない人たちも「HIP HOPやっていいよね! 」っていう定義を作ってくれたグループです。
あっこゴリラ:おお~。
KEN:De La SoulからニュースクールHIP HOPと呼ばれるくらい新しい風だったんです。
あっこゴリラ:そうなってくるとDe La Soulが出てきたときは、めちゃめちゃ叩かれたりしたんですかね。
KEN:それが、けっこうユーモアとかが効いてて、叩かれたというよりはヨーロッパも含め歓迎されてるようなイメージがあったんじゃないかな。あと、サンプリングの方法にすごく特徴があって、ファンクだけでなく、ジャズや子供向けの教材からも持ってくるし、縦横無尽にいろんなところからサンプリングしてるんです。
あっこゴリラ:すごい!
KEN:コラージュアート的なサンプリングなど、そういう音楽性の新しさもあって認められたってところもあります。
あっこゴリラ:なるほど~。じゃあ、すごく大きな存在ですね。
KEN:そう! だから日本でもこのDe La Soulが出てきたことでやりやすくなった人いっぱいいると思う。
あっこゴリラ:絶対そう! 私だってそうだし。
KEN:俺もそう。「自分もHIP HOPやっていいんだ」って、ポジティブな気持ちになった人多いと思う。
あっこゴリラ:このDe La Soulのファッションの特徴はどんな感じだったんですか?
KEN:オーバーサイズの服は着てるんだけど、ゴールドチェーンはもちろんしてないし、眼鏡してる人もいたり、もっとオタク寄り。でもめちゃくちゃ音楽のセンス良いみたいな。それがおもしろかったりします。
【De La Soul『Me Myseif & I』を聴く】
KEN:3組目は、「Kanye West」です!
あっこゴリラ:これは、わかりますね~。カニエを選んだ理由は?
KEN:カニエは、時代を変えるサウンドメイカーなんじゃないかなと思います。もう超天才なんですよ。
あっこゴリラ:うんうん。この番組でもいろんな特集してますけど、やっぱりカニエの名前すごい出てきますね。
KEN:最近のイメージだとちょっとお騒がせみたいな感じですけど、本当に音楽がすごいんです。カニエがデビューした2004年頃は50centとかハスラーラップとかが全盛期で。
あっこゴリラ:へえ~。
KEN:カニエは本当にめちゃくちゃ普通のバックグラウンドなんですけど、それがDe La Soul同様に音楽性でのし上がっていくみたいな感じで出てきます。カニエは、社会的・経済的に困窮していたり、暴力のストーリーをもってなくても音楽とラップで“まだやれるぜ”っていうことを2004年に切り開いて、今の時代に繋がるスタイルを提示したんです。
あっこゴリラ:音楽的にはどのあたりがすごかったんですか?
KEN:カニエは、誰でも知っているような名曲を組み替えて、早回ししてサンプリングするっていうのが得意なんです。
あっこゴリラ:早回しのサンプリングって、カニエが最初だと言われてますよね。
KEN:そうそう。サンプリングの手法をさらに進化させたと思います。カニエがすごいのは、そういう新しい手法で出てきたんだけど、そこからもどんどんスタイルが変わっていくんだよね。それがまたおもしろい。
あっこゴリラ:確かに。
KEN:それからも、お母さんが亡くなったときにはそれまでとは違ってアルバムまるっと1枚そういう内容にしたり、“ラッパーってタフじゃないといけない”というイメージを覆します。今までのHIP HOPは自分を鼓舞するような内容が多かったけど、自分の弱みとか悲しみにフォーカスしたリリックを歌っていて、それが今のHIP HOPの、エモラップとかいわれているところのメインテーマになってるんじゃないかな。そのスタイルを最初にやったのが、カニエなんです。
あっこゴリラ:とにかく早いですよね。
KEN:そう。“カニエが新しいものを出すと時代が変わる! ”という感覚。ファッションで評価されているのも、やっぱり音楽の評価が大前提であるからだと思います。音楽が最先端で革新的だからこそ、まわりのものもそう見えてくるっていうのがあるのかなと思います。
【Kanye West『Say You Will』を聴く】
J-WAVE『SONAR MUSIC』は月~木の22:00-24:00にオンエア。
KEN THE 390が登場したのはJ-WAVEで放送中の番組『SONAR MUSIC』(ナビゲーター:あっこゴリラ)。番組では、毎回ゲストを迎え、様々なテーマを掘り下げていく。ここでは、「そんなに言うなら勉強してみる? HIP HOP編」をテーマにお届けした、6月7日(月)のオンエア内容をテキストで紹介する。
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ギャングスタラップを定着させたグループ「N.W.A」
KEN THE 390が選ぶ、3組のレジェンドHIP HOPアーティストのすごさとは? ずっと知りたいと思っていたけど、どこから学べばいいのかわからず、後回しにしていたレジェンドアーティストたちをぜひ一緒に勉強してみよう。あっこゴリラ:まず一組目のアーティストは?
KEN:「N.W.A」です!
あっこゴリラ:このN.W.Aは、HIP HOP界においてどんな存在なんですか?
KEN:N.W.Aは、ギャングスタラップを定着させたグループです。いま日本でもHIP HOPといわれると、けっこうハードな内容歌ってたりとかギャングスタなイメージあると思うんですけど、それを定着させたのはこの人たちなんですよね。
あっこゴリラ:なるほど~!
KEN:このグループは1988年に発売された『ストレイト・アウタ・コンプトン』でデビューしています。Dr.DreやIce Cubeなどがメンバーの西海岸を代表するグループです。
あっこゴリラ:N.W.Aは、どういう意味でHIP HOPの転換期になったんですか?
KEN:70年代に生まれたといわれているHIP-HOPは、もともとブロックパーティーでかかっていた音楽をHIP HOPって言うようになったので、パーティーミュージックのようなバイブスがある音楽なんです。
あっこゴリラ:うんうん。
KEN:その後、だんだんラップが流行っていく中で、社会的なことを歌ったり、メッセージ的なことを歌ったりとか増えてはいたんだけど、ポジティブバイブスみたいのがずっと根底にあったんです。さらに、当時HIP HOPっていうとNYだったんですけど、このN.W.AはLAのコンプトンという西海岸で結成されます。しかもこのコンプトンはめちゃめちゃ治安が悪くて、その治安の悪さを前面に押し出しまくってもうラジオやテレビではかけれないような内容を歌いまくっています。
あっこゴリラ:そのコンプトンはどんな感じの街なんですか?
KEN:全米の中でも犯罪率が最も高い都市の一つとして知られていて、特に殺人の発生率が高いとされています。
あっこゴリラ:ええ~!
KEN:そのほとんどがギャングの抗争によるものだといわれています。そういうところだから警察の取り締まりも異常に厳しくて、黒人の男性が何人かで歩いているだけで職質されるような、かなり過酷な状況です。そんな窮屈な世界での怒りというエネルギーを音楽に変えて歌ったのがN.W.Aです。その黒人音楽が大ヒットした、ここがすごいポイントだと思います。
あっこゴリラ:なるほど~。
KEN:ハードなことを歌えば歌うほど売れるみたいな状況がこのへんから出来始めてきます。
【N.W.A『Straight Outta Compton』を聴く】
HIP HOPの中でも多様性を確立したグループ「De La Soul」
続いて、2組目のアーティストを紹介してもらった。KEN:2組目は、「De La Soul」です!
あっこゴリラ:このDe La Soul、HIP HOP界においてどんな存在なんですか?
KEN:De La Soulは、HIP HOPの中でも多様性を確立したグループだと思います。先ほど紹介したN.W.Aと同時期くらいに出てきたグループで、先ほどのN.W.Aが超不良だとしたら、De La Soulは完全に真逆です。
あっこゴリラ:へえ~!
KEN:不良的(マッチョ)なHIP HOPへのアンチテーゼとして現れた音楽性も高いグループとも言えます。悪くない人たちも「HIP HOPやっていいよね! 」っていう定義を作ってくれたグループです。
あっこゴリラ:おお~。
KEN:De La SoulからニュースクールHIP HOPと呼ばれるくらい新しい風だったんです。
あっこゴリラ:そうなってくるとDe La Soulが出てきたときは、めちゃめちゃ叩かれたりしたんですかね。
KEN:それが、けっこうユーモアとかが効いてて、叩かれたというよりはヨーロッパも含め歓迎されてるようなイメージがあったんじゃないかな。あと、サンプリングの方法にすごく特徴があって、ファンクだけでなく、ジャズや子供向けの教材からも持ってくるし、縦横無尽にいろんなところからサンプリングしてるんです。
あっこゴリラ:すごい!
KEN:コラージュアート的なサンプリングなど、そういう音楽性の新しさもあって認められたってところもあります。
あっこゴリラ:なるほど~。じゃあ、すごく大きな存在ですね。
KEN:そう! だから日本でもこのDe La Soulが出てきたことでやりやすくなった人いっぱいいると思う。
あっこゴリラ:絶対そう! 私だってそうだし。
KEN:俺もそう。「自分もHIP HOPやっていいんだ」って、ポジティブな気持ちになった人多いと思う。
あっこゴリラ:このDe La Soulのファッションの特徴はどんな感じだったんですか?
KEN:オーバーサイズの服は着てるんだけど、ゴールドチェーンはもちろんしてないし、眼鏡してる人もいたり、もっとオタク寄り。でもめちゃくちゃ音楽のセンス良いみたいな。それがおもしろかったりします。
【De La Soul『Me Myseif & I』を聴く】
カニエが新しいものを出すと時代が変わる
特集最後となる3組目のアーティストを紹介。KEN:3組目は、「Kanye West」です!
あっこゴリラ:これは、わかりますね~。カニエを選んだ理由は?
KEN:カニエは、時代を変えるサウンドメイカーなんじゃないかなと思います。もう超天才なんですよ。
あっこゴリラ:うんうん。この番組でもいろんな特集してますけど、やっぱりカニエの名前すごい出てきますね。
KEN:最近のイメージだとちょっとお騒がせみたいな感じですけど、本当に音楽がすごいんです。カニエがデビューした2004年頃は50centとかハスラーラップとかが全盛期で。
あっこゴリラ:へえ~。
KEN:カニエは本当にめちゃくちゃ普通のバックグラウンドなんですけど、それがDe La Soul同様に音楽性でのし上がっていくみたいな感じで出てきます。カニエは、社会的・経済的に困窮していたり、暴力のストーリーをもってなくても音楽とラップで“まだやれるぜ”っていうことを2004年に切り開いて、今の時代に繋がるスタイルを提示したんです。
あっこゴリラ:音楽的にはどのあたりがすごかったんですか?
KEN:カニエは、誰でも知っているような名曲を組み替えて、早回ししてサンプリングするっていうのが得意なんです。
あっこゴリラ:早回しのサンプリングって、カニエが最初だと言われてますよね。
KEN:そうそう。サンプリングの手法をさらに進化させたと思います。カニエがすごいのは、そういう新しい手法で出てきたんだけど、そこからもどんどんスタイルが変わっていくんだよね。それがまたおもしろい。
あっこゴリラ:確かに。
KEN:それからも、お母さんが亡くなったときにはそれまでとは違ってアルバムまるっと1枚そういう内容にしたり、“ラッパーってタフじゃないといけない”というイメージを覆します。今までのHIP HOPは自分を鼓舞するような内容が多かったけど、自分の弱みとか悲しみにフォーカスしたリリックを歌っていて、それが今のHIP HOPの、エモラップとかいわれているところのメインテーマになってるんじゃないかな。そのスタイルを最初にやったのが、カニエなんです。
あっこゴリラ:とにかく早いですよね。
KEN:そう。“カニエが新しいものを出すと時代が変わる! ”という感覚。ファッションで評価されているのも、やっぱり音楽の評価が大前提であるからだと思います。音楽が最先端で革新的だからこそ、まわりのものもそう見えてくるっていうのがあるのかなと思います。
【Kanye West『Say You Will』を聴く】
J-WAVE『SONAR MUSIC』は月~木の22:00-24:00にオンエア。
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