J-WAVEで放送中の番組『SONAR MUSIC』(ナビゲーター:あっこゴリラ)。番組では、毎回ゲストを迎え、様々なテーマを掘り下げていく。
ここではw-inds.の橘慶太をゲストに迎え、「サブスク時代における音楽の作り方」をテーマにお届けした回をテキストで紹介する。オンエア日は3月8日(月)。
【SONAR MUSICは番組公式LINEでも情報発信中! 登録はコチラ】
ゲストには、w-inds.の橘慶太が登場。ダンスボーカルユニット、w-inds.のメンバーでありながら、2017年ごろからは橘のセルフプロデュースにより作詞/作曲/編曲も手掛けている。
あっこゴリラ:橘さんは作詞/作曲/編曲だけではなく、トラックダウンやミックスまでも自身で手掛けているとか。
橘:そうなんです。もう好きになっちゃって……。
あっこゴリラ:これね、ミュージシャンでもたまにいるけど、相当探求している人じゃないとなかなかの沼ですからね。いつぐらいからそこまで音楽を深く追求するようになったんですか?
橘:自分で曲を作り始めたのが2013年くらいなので、深くなっていったのはそのくらいからですかね。それから音楽の聴き方がかなり変わりました。
あっこゴリラ:なるほど~。そのころは日本でも音楽サブスクがスタートした時期でもありますが、橘さんはどんな感じで音楽をディグってるんですか?
橘:サブスクのチャートは基本的にチェックしますね。あとは、世界のいろんな国のチャートも聴いたりしてます。
あっこゴリラ:国によってまた違ったりするからおもしろいですよね。今までサブスクのチャートを見ていいな~と思った曲はありますか?
橘:断トツで、ブルーノ・マーズとアンダーソン・パークによるユニットシルク・ソニックの『Leave the Door Open』です。
【Silk Sonic『Leave the Door Open』を聴く】
あっこゴリラ:この曲の気に入ってるポイントは?
橘:もうポイントがあり過ぎてどこから話せばいいかわかんないんですけど、まず2021年にこのモータウンサウンドというか、キラキラしたR&B調で。細かいことをいうとあえて音圧を下げてるところ。ほかのサブスクとかで聴き比べてもらうとわかりやすいんですけど、あえてその時代の音圧で勝負している。わざとそういうことをしているのがすごく好きですね。
あっこゴリラ:うんうん。
橘:あとは、モータウンサウンドだけどサビに落とすっていうちゃんと今っぽいところも掴んでるのが、トータル的にすごいなって思います。本当に感動しました。
あっこゴリラ:先ほど、各国のチャートを聴いてるって話がありましたが、その国ならではのヒットする音楽や傾向とかはどう感じてますか?
橘:例えば、その国のアーティストのバラードナンバーとかはどこでも絶対売れてる曲があるし、その国のディーヴァとかすごく歌い上げる方とかはやっぱりどの国にもいて、一緒なんだな~って印象ですね。
あっこゴリラ:各国ありますよね。最近の音楽トレンドはどう感じてますか?
橘:世界的に見ても、歌ものが増えてきたと思います。歌の良さを引き出すミックスやアレンジが多いですし、あとチャーチミュージックもすごく増えてきたなって感じます。
あっこゴリラ:私、すごく気になってたんですけど、そもそも橘さんの音楽的ルーツってどんなものなんですか?
橘:実は母親がDJで、父親がダンサーだったんですよ。
あっこゴリラ:ええ~!
橘:なので、昔から“とにかく洋楽しか聴くな”みたいな感じで育てられて(笑)。
あっこゴリラ:あはははは!
橘:そんな母親が自分で作ったミックスのカセットテープを聴かせるわけですよ。いろんなアーティストが入ってたんですけど、その中でも僕が一番気に入ってたのがEARTH WIND & FIREです。
橘:きっかけは、2013年のソロアルバムです。そのときはトラックメイカーの方たちと曲を作っていったんですが、自分の頭の中で鳴っているものを100%表現することが難しくて。トラックメイカーの方に口で伝えるにもなんて言ったらいいかわからないし。まずそれがきっかけでちょっと勉強した方がいいな~ってところから入って、もうずぶずぶにハマってしまいました(笑)。
あっこゴリラ:伝えるのって難しいですよね。“なんか違う”しか言えないみたいな。
橘:そうそう(笑)。だから80%くらいでOKしちゃう自分が出てきたときに、やっぱり自分の頭の中の100%を形にしてみたいなって思ったんですよね。
あっこゴリラ:トラックダウンやミックスまで自分でやる人ってなかなかいないと思うんですが、なぜそこまでやろうと思ったんですか?
橘:いろんな理由があるんですけど、例えばコンペとかで楽曲を選ぶときに、海外からのトラックって、ほぼミックス済み、もはやマスタリングまで済んでるぐらいのトラックがくるんですよね。でも日本のトラックはアレンジやミックスがされていない状態のことが多くて。
あっこゴリラ:うんうん。
橘:そのときの自分は、アレンジやミックスが済んでるか済んでないかなんてわからなかったから、パって聴いたときに純粋に海外のトラックの方が音がいいなと思って選んじゃうことが多かったんです。そんな中で自分で曲を作って人に聴かせるってなったときに、ミックスして音が良くないと勝てないなって思ったんです。
あっこゴリラ:なるほど~。
橘:自分のトラックがかっこ良く聴こえるくらいのミックスはできるようになりたいなって思ったところからどんどん深みにハマってしまい、エンジニアぐらいのことまでするようになっちゃいました(笑)。
あっこゴリラ:w-inds.の楽曲は海外のサウンドも積極的に取り入れてるということですが、日本と海外において受け入れられる音楽も違うと思うんですが、そのバランス感はどうしてるんですか?
橘:これは僕もずっと悩んでて、ついメンタリストのDaiGoさんに相談したら「中途半端が一番良くないよ」と言われて、その言葉にハッとして。もう次から振り切ってやろうって気持ちですね。あはははは。
あっこゴリラ:じゃあ、これまではわりとバランスを考えながらやられてたんですか?
橘:そうですね。最近の曲はバランスを考えながらやった曲もありますね。本当はゴリゴリのトラップとかやりたいなとか思ってたんですけど、そのときはなかなか踏み出せなかった自分がいましたね。
あっこゴリラ:やってほし~い! めっちゃ聴きたいです! 2021年楽しみにしております。それではここで、w-inds.の「間をとったアレンジの曲」と「振り切ったアレンジの曲」の違いを聴き比べしたいと思いますが、まずは「振り切ったアレンジの曲」は?
橘:『We Don't Need To Talk Anymore』です。
【w-inds.『We Don't Need To Talk Anymore』を聴く】
あっこゴリラ:これまでのw-inds.ファンは、これを聴いたときどんな反応だったんですか?
橘:けっこうリアクションが良くて。というのも僕たちw-inds.は、計算的に少しずつ変わっていってるところがあって。
あっこゴリラ:グラデーションがあったんですね。
橘:そうなんです。突然変わるとあれなんで、実は地味に少しずつ変えていってたんで、この曲が出てときもわりとすごく気に入っていただけた感じはありましたね。
あっこゴリラ:J-POP至上主義みたいのってけっこう根強かったりするじゃないですか。そこを徐々にグラデーションして、音楽の幅を広げていくってマジでかっこ良すぎます。この曲のどのあたりが振り切ったと思います?
橘:やっぱりJ-POPでサビが上がらないって、この時代ほぼなくて。しかもサビでほぼ歌わずにボーカルを加工してサウンドにするっていうのは、日本で誰もやってなかったっていうか受け入れられなかったら怖いし、本当にレコード会社の方もよくOKしてくれたなって思います。
あっこゴリラ:橘さんは小さい頃から洋楽を聴いてこられたからそういう部分をフラット考えられたのかもしれないですね。続いて、「間をとったアレンジの曲」を教えてください。
橘:『Beautiful Now』という楽曲です。
【w-inds.『Beautiful Now』を聴く】
あっこゴリラ:この曲、個人的にはゴリゴリに攻めてるように聴こえちゃうんですけど。
橘:本当ですか? あはははは。
あっこゴリラ:めちゃかっこいい。この曲のどのへんが間をとったんですか?
橘:僕、ここ最近基本的にサビ落としてたんですけど、とにかくサビを落とさなかった自分に対して大人になったなって思います。
あっこゴリラ:あはははは! 確かに、サビ落ちてはいないですよね。
橘:僕の中で、コロナ禍のこういう状況で暗くなっている世界に対して攻めた曲というよりは、やっぱり今は明るくなるような曲が作りたいなって思って。自分の好きなサウンドというよりは、光になるような曲が自分のやりたいことと今の時代の間をとったアレンジの曲なのかなって思います。
J-WAVE『SONAR MUSIC』は月~木の22:00-24:00にオンエア。
ここではw-inds.の橘慶太をゲストに迎え、「サブスク時代における音楽の作り方」をテーマにお届けした回をテキストで紹介する。オンエア日は3月8日(月)。
【SONAR MUSICは番組公式LINEでも情報発信中! 登録はコチラ】
曲を作り始めてから音楽の聴き方が変わった
今、音楽好きのほとんどの人が利用しているSpotifyやApple musicなどの音楽サブスクリプションサービス。その隆盛によって、曲の構成や曲の配置なども変化している。番組では、サブスク時代において音楽がどの様に変化したのかを特集。ゲストには、w-inds.の橘慶太が登場。ダンスボーカルユニット、w-inds.のメンバーでありながら、2017年ごろからは橘のセルフプロデュースにより作詞/作曲/編曲も手掛けている。
あっこゴリラ:橘さんは作詞/作曲/編曲だけではなく、トラックダウンやミックスまでも自身で手掛けているとか。
橘:そうなんです。もう好きになっちゃって……。
あっこゴリラ:これね、ミュージシャンでもたまにいるけど、相当探求している人じゃないとなかなかの沼ですからね。いつぐらいからそこまで音楽を深く追求するようになったんですか?
橘:自分で曲を作り始めたのが2013年くらいなので、深くなっていったのはそのくらいからですかね。それから音楽の聴き方がかなり変わりました。
あっこゴリラ:なるほど~。そのころは日本でも音楽サブスクがスタートした時期でもありますが、橘さんはどんな感じで音楽をディグってるんですか?
橘:サブスクのチャートは基本的にチェックしますね。あとは、世界のいろんな国のチャートも聴いたりしてます。
あっこゴリラ:国によってまた違ったりするからおもしろいですよね。今までサブスクのチャートを見ていいな~と思った曲はありますか?
橘:断トツで、ブルーノ・マーズとアンダーソン・パークによるユニットシルク・ソニックの『Leave the Door Open』です。
【Silk Sonic『Leave the Door Open』を聴く】
あっこゴリラ:この曲の気に入ってるポイントは?
橘:もうポイントがあり過ぎてどこから話せばいいかわかんないんですけど、まず2021年にこのモータウンサウンドというか、キラキラしたR&B調で。細かいことをいうとあえて音圧を下げてるところ。ほかのサブスクとかで聴き比べてもらうとわかりやすいんですけど、あえてその時代の音圧で勝負している。わざとそういうことをしているのがすごく好きですね。
あっこゴリラ:うんうん。
橘:あとは、モータウンサウンドだけどサビに落とすっていうちゃんと今っぽいところも掴んでるのが、トータル的にすごいなって思います。本当に感動しました。
あっこゴリラ:先ほど、各国のチャートを聴いてるって話がありましたが、その国ならではのヒットする音楽や傾向とかはどう感じてますか?
橘:例えば、その国のアーティストのバラードナンバーとかはどこでも絶対売れてる曲があるし、その国のディーヴァとかすごく歌い上げる方とかはやっぱりどの国にもいて、一緒なんだな~って印象ですね。
あっこゴリラ:各国ありますよね。最近の音楽トレンドはどう感じてますか?
橘:世界的に見ても、歌ものが増えてきたと思います。歌の良さを引き出すミックスやアレンジが多いですし、あとチャーチミュージックもすごく増えてきたなって感じます。
あっこゴリラ:私、すごく気になってたんですけど、そもそも橘さんの音楽的ルーツってどんなものなんですか?
橘:実は母親がDJで、父親がダンサーだったんですよ。
あっこゴリラ:ええ~!
橘:なので、昔から“とにかく洋楽しか聴くな”みたいな感じで育てられて(笑)。
あっこゴリラ:あはははは!
橘:そんな母親が自分で作ったミックスのカセットテープを聴かせるわけですよ。いろんなアーティストが入ってたんですけど、その中でも僕が一番気に入ってたのがEARTH WIND & FIREです。
きっかけは、2013年のソロアルバム
作詞/作曲/編曲だけでなくトラックダウンやミックスまで自身で行っている橘。2013年ごろからセルフプロデュースを始めたが、何がきっかけだったのだろうか。橘:きっかけは、2013年のソロアルバムです。そのときはトラックメイカーの方たちと曲を作っていったんですが、自分の頭の中で鳴っているものを100%表現することが難しくて。トラックメイカーの方に口で伝えるにもなんて言ったらいいかわからないし。まずそれがきっかけでちょっと勉強した方がいいな~ってところから入って、もうずぶずぶにハマってしまいました(笑)。
あっこゴリラ:伝えるのって難しいですよね。“なんか違う”しか言えないみたいな。
橘:そうそう(笑)。だから80%くらいでOKしちゃう自分が出てきたときに、やっぱり自分の頭の中の100%を形にしてみたいなって思ったんですよね。
あっこゴリラ:トラックダウンやミックスまで自分でやる人ってなかなかいないと思うんですが、なぜそこまでやろうと思ったんですか?
橘:いろんな理由があるんですけど、例えばコンペとかで楽曲を選ぶときに、海外からのトラックって、ほぼミックス済み、もはやマスタリングまで済んでるぐらいのトラックがくるんですよね。でも日本のトラックはアレンジやミックスがされていない状態のことが多くて。
あっこゴリラ:うんうん。
橘:そのときの自分は、アレンジやミックスが済んでるか済んでないかなんてわからなかったから、パって聴いたときに純粋に海外のトラックの方が音がいいなと思って選んじゃうことが多かったんです。そんな中で自分で曲を作って人に聴かせるってなったときに、ミックスして音が良くないと勝てないなって思ったんです。
あっこゴリラ:なるほど~。
橘:自分のトラックがかっこ良く聴こえるくらいのミックスはできるようになりたいなって思ったところからどんどん深みにハマってしまい、エンジニアぐらいのことまでするようになっちゃいました(笑)。
w-inds.は計算的に少しずつ変わっていってる
ここからは、サブスク時代におけるw-inds.の楽曲の変化について訊いた。あっこゴリラ:w-inds.の楽曲は海外のサウンドも積極的に取り入れてるということですが、日本と海外において受け入れられる音楽も違うと思うんですが、そのバランス感はどうしてるんですか?
橘:これは僕もずっと悩んでて、ついメンタリストのDaiGoさんに相談したら「中途半端が一番良くないよ」と言われて、その言葉にハッとして。もう次から振り切ってやろうって気持ちですね。あはははは。
あっこゴリラ:じゃあ、これまではわりとバランスを考えながらやられてたんですか?
橘:そうですね。最近の曲はバランスを考えながらやった曲もありますね。本当はゴリゴリのトラップとかやりたいなとか思ってたんですけど、そのときはなかなか踏み出せなかった自分がいましたね。
あっこゴリラ:やってほし~い! めっちゃ聴きたいです! 2021年楽しみにしております。それではここで、w-inds.の「間をとったアレンジの曲」と「振り切ったアレンジの曲」の違いを聴き比べしたいと思いますが、まずは「振り切ったアレンジの曲」は?
橘:『We Don't Need To Talk Anymore』です。
【w-inds.『We Don't Need To Talk Anymore』を聴く】
あっこゴリラ:これまでのw-inds.ファンは、これを聴いたときどんな反応だったんですか?
橘:けっこうリアクションが良くて。というのも僕たちw-inds.は、計算的に少しずつ変わっていってるところがあって。
あっこゴリラ:グラデーションがあったんですね。
橘:そうなんです。突然変わるとあれなんで、実は地味に少しずつ変えていってたんで、この曲が出てときもわりとすごく気に入っていただけた感じはありましたね。
あっこゴリラ:J-POP至上主義みたいのってけっこう根強かったりするじゃないですか。そこを徐々にグラデーションして、音楽の幅を広げていくってマジでかっこ良すぎます。この曲のどのあたりが振り切ったと思います?
橘:やっぱりJ-POPでサビが上がらないって、この時代ほぼなくて。しかもサビでほぼ歌わずにボーカルを加工してサウンドにするっていうのは、日本で誰もやってなかったっていうか受け入れられなかったら怖いし、本当にレコード会社の方もよくOKしてくれたなって思います。
あっこゴリラ:橘さんは小さい頃から洋楽を聴いてこられたからそういう部分をフラット考えられたのかもしれないですね。続いて、「間をとったアレンジの曲」を教えてください。
橘:『Beautiful Now』という楽曲です。
【w-inds.『Beautiful Now』を聴く】
あっこゴリラ:この曲、個人的にはゴリゴリに攻めてるように聴こえちゃうんですけど。
橘:本当ですか? あはははは。
あっこゴリラ:めちゃかっこいい。この曲のどのへんが間をとったんですか?
橘:僕、ここ最近基本的にサビ落としてたんですけど、とにかくサビを落とさなかった自分に対して大人になったなって思います。
あっこゴリラ:あはははは! 確かに、サビ落ちてはいないですよね。
橘:僕の中で、コロナ禍のこういう状況で暗くなっている世界に対して攻めた曲というよりは、やっぱり今は明るくなるような曲が作りたいなって思って。自分の好きなサウンドというよりは、光になるような曲が自分のやりたいことと今の時代の間をとったアレンジの曲なのかなって思います。
J-WAVE『SONAR MUSIC』は月~木の22:00-24:00にオンエア。
この記事の続きを読むには、
以下から登録/ログインをしてください。