俳優と農業を両立! 工藤阿須加が農業にのめり込むようになったきっかけは?

工藤阿須加が俳優業と両立している農業の魅力を語った。

工藤がゲストとして登場したのは、J-WAVEが9月20日(月・祝)にオンエアした特別番組『J-WAVE HOLIDAY SPECIAL Epson presents KEY TO SUSTAINABLE LIFE』(ナビゲーター:長谷川ミラ、グローバー)。自然と心の豊かさについてリスナーと共に考え、未来に繋がるメッセージとサステナブルで豊かな生活のヒントをお送りする9時間のプログラムだ。

俳優業と農業を両立

1991年生まれの工藤は、8月に30歳の誕生日を迎えた。映画『悪の教典』『ちょっと今から仕事やめてくる』、連続テレビ小説『あさが来た』『なつぞら』、大河ドラマ『八重の桜』など多くの話題作に出演。さらに9月23日(木)に公開した映画『総理の夫』にも出演している。

映画『総理の夫』予告編

長谷川:工藤さんは俳優業と農業を両立されていますよね。
グローバー:時間をどうつくっているのか、どうしてハマったのか教えてください。
工藤:たまに休みがあるときは日帰りでもいいから行くようにしています。2~3週間行けないときにはきょうだいにお願いして、草刈りだったり必要最低限な手伝いをしてもらったりして進めています。
グローバー:どこに通っているのですか?
工藤:山梨県の長坂のほうです。「井上農園」という農園があるんですけれど、そこの井上さんの畑の一画を研修生として任せていただいています。
グローバー:これはかなりの本気度です。
工藤:いえいえ(笑)。
グローバー:研修ですからね。ちょっとリフレッシュにというよりは、とことんハマっているんですね。
工藤:小さいころから食や野菜に対してすごく興味がありまして。自分でもまずプレイヤーとしてやってみようと思って、今年の3月から本格的にやり始めました。

幼少期は体が弱かったという工藤。母親や母方の祖母が食事などで強い体を手に入れられるように努めてくれたそう。

工藤:それで体が強くなったという経験もあって。人が口にするものの重要さというのを小さいながらにすごく感じていました。父がスポーツをしていたので(※工藤の父親は元プロ野球投手で、現在は福岡ソフトバンクホークス監督の工藤公康)、仕事柄体に気を付けていて、いろいろな農園の方と知り合う機会が多かったんです。いろいろな話を訊いていくうちに「自分もなにか手伝えることがあるんじゃないか」と、興味を持ちました。

自分と向き合い「いますぐ始めるべき」と決意

かつては農業大学にも通っていた工藤。本格的に農業を始めたのは、コロナ禍で2020年の4月から5月末まで、エンターテイメント業界が完全に止まってしまったことがきっかけになったそう。

工藤:そのときにすごく自分について考える時間が多くて。「俺はいま、なにをすべきなんだろう?」と考えたときに、農業をやりたいと思いました。もちろん役者の仕事が第一ではあるのですが、「時間が余裕にできたら」とか考えていたら、なにも進むことができないと思って。30歳から始めるのと40歳から始めるのでは説得力も違いますし、その分の経験値も変わるので、これは無理してでもいますぐ始めるべきだと思ったんです。18歳のころからいろいろ考えてきたものがやっと動き始めたという感じです。
長谷川:いろいろな運命の巡り合わせがありますね。
グローバー:いま話をしている工藤さんの目が輝いていますね。
工藤:(笑)。
グローバー:始めてみたら、もう喜びでいっぱいですか?
工藤:厳しい現実も目の当たりにすることもあるのですが、自分で土に触れて、自分で植えたものがあまり手を加えずに自然の力で育っているのを見たときに、自然の力の偉大さを感じます。「自分たちがここで農業をやっている」ということではなくて「やらせてもらっているんだ」という感覚です。
グローバー:どういう感覚ですか?
工藤:僕がいまお世話になっているところは、山や川の自然が豊かなところなんです。そこを人間が開拓して、もともとの土地や水の新鮮さなどエネルギーをもらって、僕らが食べるものを育てていると感じるんです。虫もたくさんいるんですが、その虫がいないと受粉できないので、自然と切っても切れない関係性があります。
グローバー:みんな大切な役割がそこにあるんだ。
工藤:はい。そこに僕たちがいさせてもらって、やらせてもらっている。自然に生かされているという感覚になって、これはこの環境を大事にしていかなきゃいけないと最初の収穫のときに感じました。

農業を始めたからこそ知ったこと

工藤が最初に育てたのは桃のように甘いという赤カブの「もものすけ」で、収穫したものをほかの人に食べてもらい「おいしい」と言ってもらったことに農業の喜びを感じたという。ほかにも実際に農業を始めたからこそ体験できた出来事について語った。

工藤:ちょうどいま8月にトウモロコシの収穫を終えて、冬野菜の準備で防虫対策もして、あとはできあがるのを待つだけです。
グローバー:赤カブもそうですけど、畑でそのまま食べられる味わいと感動、気持ちというのはやった人しか感じられませんね。
工藤:そうですね、農家だからこそできる食べ方とか。
グローバー:それ訊きたい、どんなの?
工藤: 8月に生トウモロコシの「味来(みらい)」というのを収穫したときに、もがずに皮だけむいてそのままむさぼる食べ方を教えてもらいました。
グローバー:え? トウモロコシを手元に寄せないんですか? 生えてるまま?
工藤:はい。生トウモロコシなのでそのまま食べられるんです。本当に生のもの、大地のものをそのまま食べられるという。
グローバー:根も張った状態ですよね。それを「ちょっといただきます」と。どんな味なんですか?
工藤:正直言うと「大地を感じる」と思いながらも、食べやすさでいえば採ったほうがいいです(笑)。
長谷川・グローバー:(笑)。
長谷川:でもその体験が農業をやっている特権ですよね。そのままかぶりつくなんてできないですから。

現在はダイコン3種類、ホウレンソウ、春菊などを育てているという工藤だが、「次の野菜をどういう風に進めていくのがベストか」というのは「井上農園」の井上さんと連絡を取り合いながら慎重に決めているそう。

工藤:僕自身は役者をやりながらなので品種や数をあまり多くしすぎても、行けなかったときに野菜や土、周りの農家さんに対しても迷惑かかったりするので、自分が手入れできる範囲内の数でやっています。
長谷川:具体的にはどういう迷惑がかかるんでしょうか。
工藤:枯れるだけならいいんですが、その野菜が病気をしてほかの野菜にうつる可能性があるんです。
グローバー:なるほどね。
工藤:手入れや土の管理だったり、あとは雑草の管理をしていないとほかの農家さんにも迷惑がかかってしまいます。雑草も虫がたまる原因にもなりますし、草を刈らないと風通しが悪くなります。湿気に弱いものが基本的に多いので、そういうことも考えながらやらないといけないんです。広大な土地のど真ん中で自分だけがやっているなら迷惑がかかりませんが、山梨は農家さんがたくさんいますし「一区画が自分のところ」ときれいな正方形で区切っているわけではなく、パズルのように自分の土地と誰かの土地が重なっている場合もあるんです。
長谷川・グローバー:へー!
工藤:1メートル半先はほかの方の土地、ということもあります。
グローバー:みんなで大切にする畑なんだ。
工藤:みんなで守るべきものは守るということが大事だなとは痛感しています。「相手に迷惑をかけない」というところがまず大事かなと思います。
番組情報
J-WAVE HOLIDAY SPECIAL Epson presents KEY TO SUSTAINABLE LIFE
2021年9月20日(月・祝)
9:00-17:55

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