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ドトールコーヒーショップの選曲はなぜ音楽ファンを魅了する? 店内BGMのこだわりに迫る

ドトールコーヒーショップの選曲はなぜ音楽ファンを魅了する? 店内BGMのこだわりに迫る

J-WAVEで放送中の番組『SONAR MUSIC』(ナビゲーター:あっこゴリラ)。番組では、毎回ゲストを迎え、様々なテーマを掘り下げていく。

2月16日(火)のオンエアでは、アーティストの蓮沼執太と「サウンド・スタイリスト」の大河内康晴がゲストに登場。「あなたが知らない店内音楽の秘密!〜BGMに命をかける者たち〜!」をテーマにお届け。

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空間の音楽制作で蓮沼が一番意識していること

コンビニで、スーパーで、カフェで、洋服屋さんで、私たちが生活の中で訪れる、あらゆる場所で鳴っている音楽。もはや無音の場所の方が少ないのではないだろうか。そこで流れる店内BGMは、ただ適当に流行っている曲を流しているわけではない。空間デザインの一つとして、専門家が徹底的にセレクトしたプレイリストやそのお店のためだけに作られたオリジナル楽曲なんてこともある。

今回番組では、そんな店内音楽にあらゆる角度から迫った。ゲストには、資生堂の店内BGMを作成したアーティストの蓮沼執太が登場。

蓮沼は、資生堂の店内BGMを始め、G8のカフェ、GINZAソニーパーク「Silence Park」、ニュウマン新宿クリスマスキャンペーン、そして、2016年のゴールデンウィークには、六本木ヒルズで流れる音楽の制作や写真展の会場で流れるものなど、これまでに様々な空間のBGMを作成している。

あっこゴリラ:最初にこういう仕事が来はじめたのはいつ頃だったんですか?
蓮沼:10年前くらいですかね。最初、僕自身の音楽はインストが多かったんです。それをお店とかでかけていただいてたりしてたので、そういうところから始まったんじゃないかなって思っています。
あっこゴリラ:店舗など空間の音楽制作は、客層、天候、時間帯などで聴こえ方が変わると思うんですが、どのようにイメージを膨らませて作っていくんですか?
蓮沼:そこに来る人も日々体調も違うし、コンディションも違うと思うんですよね。音って目に見えないものなので、なんとなく“ここに来るとこういう雰囲気あるよね”みたいな、そういう雰囲気作りみたいなものは一番意識してますね。
あっこゴリラ:感情的な部分は入れないとか、そういうルールはあったりしますか?
蓮沼:そうですね。あまり物語を作らないというか、完璧にしないようにちょっと何か足りないくらいの感じを意識しています。伝わるかな(笑)。
あっこゴリラ:わかります。密度がすごいものだとそっちに耳がもっていかれちゃいますもんね。蓮沼さんは、2018年にオープンした銀座の「SHISEIDO THE STORE」で1〜4階の全フロアの店内音楽を制作してるんですよね。各フロアでテイストを変えていったとのことですが、どういう風に変えていったんですか?
蓮沼:テイストも違いますし、ズレてるんですよね。要は、それぞれの音楽が別々に鳴ってて、お客さんも当然動いているので、移動していくと音が変わっていくような。でもモチーフは一つで、あとは違う楽器でっていうような感じになっています。でも一聴すると、どこが一緒なのっていうくらい変わっていたりします。

【蓮沼執太『Music for SHISEIDO THE STORE』を聴く】

あっこゴリラ:これまでで一番大変だった店内BGMってありますか?
蓮沼:これも銀座の資生堂で、実はAIで作ったBGMがあって、僕の作曲のプロセスを学習させて、AIによってBGMが常々変わっていくというもので、大変だったというよりも初めてのことだったので苦労しました。
あっこゴリラ:へえ~! そんなこともできるんですね。蓮沼さんご自身も作られてるから、他の店内BGMって気になります?
蓮沼:やっぱり気になっちゃいますね。
あっこゴリラ:特にいいな~って思うものはありましたか?
蓮沼:いいなっていうより、例えば、蕎麦屋さんとかでジャズとかかかってて、それに店員さんの声とかいろんな音が混じってると、いいな~って思ったりするので、場所っていうよりそういう雰囲気が好きですね。
あっこゴリラ:確かに蕎麦屋にジャズありますね。ちなみにアーティストやキュレーターが、1週間毎に「Ginza Sony Park」の店内BGMをセレクトしていた企画にも以前参加されていましたが、蓮沼さんがBGMをセレクトする時には、どんなことを意識しますか?
蓮沼:この企画は、僕だけじゃなくたくさんのミュージシャンやアーティストが参加してたんですけど、この時はかっこいい音楽をひたすら並べていく感じで意識してやっていきましたね。

店内BGMのプロフェッショナル「サウンド・スタイリスト」とは

ここからは、店内BGMの専門家、空間にフィットしたBGMをセレクトする職業「サウンド・スタイリスト」であり、株式会社サウンドクチュール代表取締役を務める大河内康晴さんが登場。

大河内さんは、「サウンド・スタイリスト」として日比谷にあるTOYOTAレクサスのカフェ、バーミキュラ ヴィレッジ渋谷、ミヤシタパークのホテル「シークエンス」など、数々の商業施設のサウンドディレクションを手掛けている。そして、昨年末より、Ace Hotel Kyoto、八芳園と業務提携し、ブライダルのサウンドデザインも担当するなど、まさに店内BGMのプロフェッショナルである。

あっこゴリラ:「サウンド・スタイリスト」という職業は、昔からある仕事なんですか?
大河内:いや、元々なくて、僕が名乗り始めました。というか、友達に相談して付けてもらったって感じです。
あっこゴリラ:そうなんですね。ちなみに、サウンド・スタイリストになる以前はどのようなお仕事を?
大河内:アニメ『ポケットモンスター』の制作にいました。世界中の子供たちにどう感情移入してもらうか、どのシーンにどういうBGMを付けるか、そういうことをやってました。
あっこゴリラ:じゃあ、もうそこから始まっていたんですね。その後、「サウンド・スタイリスト」を名乗り始めるまでの経緯はどんな感じだったんですか?
大河内:たまたま友人にインテリアショップやアパレルショップ、レストランなど「ライフスタイル」に関わる仕事をしている人が多く、彼らの店内BGMのセレクトを手伝う仕事を始める中で名称が欲しいなと思い、「サウンド・スタイリスト」と名乗り始めました。
あっこゴリラ:音楽をセレクトすることもあるし、自分で作ることもあるんですか?
大河内:はい。どちらもあります。
あっこゴリラ:具体的にはどんな仕事なんですか?
大河内:店舗やイベント会場の空間、ブランディング、ターゲット層など、全てにフィットする音楽をセレクトしたり、DJと音響の中間といった感じですね。

【Domenique Doumont『Arrival』を聴く】

あっこゴリラ:BGMって、売り上げに関わったりするものなんですか?
大河内:的確なBGMをセレクトしたことによって、実際の売上が上がったという声をいただきますね。例えば、ランチとかだったら回転率を上げるために早めのBPMにしたりすると、スタッフがせわしなく歩いていても足音が目立なかったりかっこ良く見えたりします。
あっこゴリラ:確かに! BPM早いと長居できないですもん。
大河内:そうですよね。逆に、夜とかお酒を飲むようなお店では、重低音にするとお腹に響いて、その周波数が低いことで喉が渇いてくるんです。それでお酒のオーダーが増えたりします。
あっこゴリラ:ええ~! おもしろい! だからクラブってあんなに喉渇くんだ。あはははは。蓮沼さんもテンポ感や周波数は気にしますか?
蓮沼:もちろん気にしますけど、そんな重低音が喉を渇かせるなんて、もうBGMに操られてるんだなって思いますね。これからは気にしてみよう(笑)。
あっこゴリラ:あはははは! BGMってすごい力を持ってるんですね。大河内さんが、これまでに最も印象的だったオーダーって何ですか?
大河内:いっぱいありますね。それこそ周波数の話でいくと、最近表参道にある美容クリニックのサウンドデザインをしたんですけど、美容クリニックに来た時ってやっぱり少し不安だったりしますよね。その不安を和らげてくれるような周波数帯をカウンセリングルームに入れて、さらにオペが終わった後の部屋にはDNAの修復に効くような周波数を入れたりして、BGMのかっこ良さと音の周波数のエビデンスの両方を掛け合わせるようなサウンドデザインをしました。その仕事は楽しかったですね。
あっこゴリラ:すごく計算して作られてるんですね。おもしろい! 蓮沼さん、何か共通する部分ってありましたか?
蓮沼:やっぱり空間を彩る要素なんでもちろん共通する部分もありましたけど、僕は論理的には考えず作っていたので、大河内さんの話を聞いて低音を取り入れていこうかなって思いました。

【蓮沼執太フィル『HOLIDAY feat. 塩塚モエカ』を聴く】

ドトールコーヒーショップの店内BGMの裏側に迫る

ここからは、音楽ファンが一目置くというドトールコーヒーショップの店内BGMの裏側を掘り下げて紹介。数年前からネットを中心に「ドトールの選曲が良い!」と話題になっているが、いったいそこにはどんな秘密があるのか。今回、ドトールコーヒーショップの選曲を担当している「USEN-NEXT GROUP」のUSEN制作部の遠藤さん、選曲担当の本多さんに話を伺った。

まずは、いつからドトールコーヒーショップの選曲をしているのか訊いてみた。

遠藤:ドトールコーヒー様のBGMを担当したのは2011年からです。メンバーは私を入れて4名で、ワールドミュージック、ポップス、AOR、フュージョン、ジャズなど、それぞれのジャンルが得意なメンバーで構成しています。営業時間が朝7時から夜9時までだと、一日でだいたい230~250曲くらい、時間帯ごとにセレクトした曲をシャッフルして流しています。BGMの更新は、月に2回、25%ぐらいを入れ替えて放送しています。ドトールコーヒーショップには、「ドトール、のち、はれやか。」というキャッチコピーがあるので、それを意識して選曲しています。また、ドトールコーヒー様より「朝と昼のメニューの切替えのタイミングでもBGMに変化を付けたい。午後、夕方、夜などの時間帯によって来店されるお客様の層に変化がある」とのお話があったので、一日の5つの時間帯に分けてそれぞれに合わせた選曲をしています。

続いて、具体的に時間帯によってどんな曲をセレクトしているか教えてもらった。

・7時~「Morning Café Compilation」
本多:爽やかなイメージでフレッシュな空間を意識して選曲しています。世界中のカフェミュージックから良質な音楽を流しています。
例) Alan Hampton『Change Your Mind』など

・11時~「Café Bossa Compilation」
本多:ブランチタイムを明るく陽気に演出するような動きのあるボサノヴァやソフトロックを選んでいます。
例) Harpers Bizzarre『Speak Low』など

・14時~「Afternoon Café Compilation」
本多:ポップス、ジャズ、ワールドミュージックなどでリラックスした雰囲気にしつつ、前後の時間帯の繋ぎとなるような選曲を意識しています。
例) Petra Haden & Bill Frisell『Yellow』など

・17時~「New Adult Contemporary」
本多:クールなサンセットというイメージで、客層も意識しつつ、夕暮れ時に似合うスムースジャズやフュージョンを選んでいます。
例) Azymuth『Aurora』など

・19時~「AOR」
本多:大人が楽しいというイメージで、80年代のAORナンバーを始め、レアトラックをセレクトしています。ロックを基調にジャズやソウル、フォーク、ブラジリアンなどの要素を取り入れています。
例) Donald Fagen『I.G.Y.』(『The Nightfly』より)

最後に、BGMの大切さについてどう考えているのか伺った。

遠藤:音楽は空間演出やお店のイメージだけではなく、そこにいるお客様やお店のスタッフの気分にも作用するものなので、BGMは欠かせないものだと考えます。仕事が忙しい現代人にとって、「ほっ」と一息入れる時間も大切です。知らないうちにスマホから目を離し、店で流れるBGMに自然と耳を傾けていた、という場所や空間を作るお手伝い、現在のドトールコーヒー様のキャッチコピーである「ドトール、のち、はれやか。」という気持ちになっていただければと思いながら選曲しています。

【Grazyna Auguscik『So Reminding Me』を聴く】

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