お笑い芸人で漫画家の矢部太郎が、6月17日に発売された新著『ぼくのお父さん』新潮社)について語った。
矢部が登場したのは、J-WAVEで放送中の番組『START LINE』(ナビゲーター:長谷川ミラ)のワンコーナー「CITROËN AWESOME COLORS」。ここでは、7月2日(金)のオンエアをテキストで紹介する。
長谷川:どうしてお父さまをテーマに漫画を描こうと思ったんですか?
矢部:『大家さんと僕』の次に「なにを描こうかな?」と考えました。大家さんは「今まで会ったことのないすてきで不思議な人だな」という、そういう出会いを描いたんです。それで僕が初めて出会った不思議な人はもしかしたらお父さんで、そのお父さんは漫画になるんじゃないかなと。そうしたらお父さんからも「次は『お父さんと僕』を描きなよ」と言われて。そんなこと言っちゃうようなユニークな人なので描いてみました。
長谷川:聞いたところによると、いろいろな芸人さんから「俺を描いてよ!」って言われたそうですね。
矢部:そうですね(笑)。まあ冗談だと思うんですけれど。そのなかで一番僕のお父さんの本気度が高かったです。
長谷川:お父さまは本気で描いてもらいたかったんですね(笑)。漫画を読むとかなりユニークなお父さまですが、矢部さんから見るとどんな方ですか?
矢部:絵本作家だったんですけど、絵本以外のものも、とにかくずっと絵を描いていて。家でごはんを食べるとなったらおかずの絵を描いて、おかずが冷めちゃったり。
長谷川:本のなかにもそんなエピソードがありました。
矢部:たぶん、番組にお父さんがゲストに来たら、長谷川さんを描きながら出演していると思います(笑)。
長谷川:おかずが冷めても描き続けていて、でもお母さまが「早く食べなさい!」という感じでもなく、そこも含めてお父さんの存在を受け入れているというか、その家族感もすごくすてきだと思います。
矢部は「お父さんがお父さんでいられたのは、やっぱりお母さんがいてくれたからだなと思う」「そういうことも描きたいと思った」という。
長谷川:お父さまの印象は、子どものころの印象と変わりましたか?
矢部:全然変わらないです。お母さんが外で働いていたので、お父さんは家にいて友だちみたいに遊んでくれていたんです。そのころのままなんですよね。子どものまま、みたいな。もうそのころお父さんは大人だったはずなんですけど。だから「僕だけ大人になっちゃったな」みたいな感じがします。
矢部:(「太郎ノート」は)全部で40、50冊ぐらいあります。
長谷川:えー!
矢部:それを参考にしていて、これが原作みたいな感じですね。でも実は「太郎ノート」は3冊だけで、あとは「お姉ちゃんノート」みたいな感じなんです。
長谷川:お姉さんもいらっしゃるんですよね。
矢部:そうなんです。だからお姉ちゃんのほうが多くて絵もすごくうまくて、それを見たときはちょっとショックだったんですけど(笑)。でもそっちは僕が生まれる前から描いてあるから、見たことのない自分を知るようで面白かったです。
長谷川:どうですか? 自分がいなかったときの様子を絵日記で描かれているというのは。
矢部:「新キャラ登場!」みたいな感じで、矢部家に太郎くんが出てくるんですよ。みんなが歓迎してくれている感じはうれしかったですね。
長谷川:なかなか感じることはないですからね。
矢部:そんな角度から自分を見ることはないですよね(笑)。新鮮な体験でした。
矢部:僕はお父さんのダメなところをいっぱい描いたんですけれど、お父さんは「こんな理想のお父さんみたいに描かないでよ」って(笑)。
長谷川:でも私も読んでいて、お父さんのダメなところという印象はあまりなかったです。
矢部:あら、本当ですか?
長谷川:イジワルな感じはまったくしなかったです。
矢部:ダメなところというか、変なところ、ユニークなところ。
長谷川:お父さまは「こんなによく描いてくれてありがとう」と?
矢部:言ってました。
長谷川:お父さまも面白かったんじゃないですかね。
矢部:そうかもしれないですね。「太郎がすごく成長したなと思った」と言ってました。「お父さんは変わってないな」ってお父さんも言ってました(笑)。
長谷川:お父さまもそう思っていたんですね(笑)。写真アルバムとはまた違う、矢部家ならではの、ぜいたくな思い出の1冊ですよね。
矢部:面と向かっては言えないけど、描くことで言えること、描けることがあったなと思います。
矢部:お笑いが好きで始めたんです。職業にするとかは全然思ってなくて、ライブに出るようになって、気づいたら吉本興業に入っていたという感じで。お父さんが好きなことをしていると思ったから、自分も好きなことができたらいいなとどこかで思っていたかもしれないですね。
長谷川:そこで芸人として活動されていた矢部さんが、改めて漫画を描き始めたきっかけはなんだったのでしょうか。
矢部:『大家さんと僕』で描いた大家さんと喫茶店でお茶をしていたんです。そうしたら知り合いだった漫画原作者の倉科 遼先生が通りかかって「おばあちゃんとお茶して仲いいね」みたいなことを言われて、「いや、大家さんなんです」って言ったら「面白いから作品にしたら」と言ってくださって。それで出版社さんとかもどんどん紹介してくださったんです。
長谷川:えー! じゃあたまたま漫画家の先生が大家さんとお茶しているときに通りかかったから。すごい縁ですね。なかなか漫画家の先生がたまたま通ることはないと思います。
矢部:それがもし小説家の先生だったら小説を書いていたかも? まあ、書けなかったかな。
矢部の最新情報は、Twitterまで。
『START LINE』のワンコーナー「CITROËN AWESOME COLORS」では、自分らしく輝くあの人のストーリーをお届け。放送は毎週金曜日の18時10分から。
矢部が登場したのは、J-WAVEで放送中の番組『START LINE』(ナビゲーター:長谷川ミラ)のワンコーナー「CITROËN AWESOME COLORS」。ここでは、7月2日(金)のオンエアをテキストで紹介する。
本人から猛プッシュ「次は『お父さんと僕』を描きなよ」
早くも重版が決定した『ぼくのお父さん』を読んだ長谷川は「とにかく心が優しくなる」と感想を矢部に伝えた。大ベストセラー『大家さんと僕』(新潮社)シリーズ以来の新作となる『ぼくのお父さん』は、矢部の父で絵本作家のやべみつのりとのエピソードが描かれている。祝重版!
— 矢部太郎『ぼくのお父さん』『大家さんと僕』公式 (@ooyasantoboku) June 23, 2021
発売早々増刷がかかった記念に、矢部さんが特別イラストを描いて下さいました。たろうくんのもじもじっぷりがたまらなくキュートです。
引き続き応援して頂けたら嬉しいです。よろしくお願いいたします。#ぼくのお父さん #矢部太郎https://t.co/O0iCqRHZ6n pic.twitter.com/QnVkuJ3Juk
長谷川:どうしてお父さまをテーマに漫画を描こうと思ったんですか?
矢部:『大家さんと僕』の次に「なにを描こうかな?」と考えました。大家さんは「今まで会ったことのないすてきで不思議な人だな」という、そういう出会いを描いたんです。それで僕が初めて出会った不思議な人はもしかしたらお父さんで、そのお父さんは漫画になるんじゃないかなと。そうしたらお父さんからも「次は『お父さんと僕』を描きなよ」と言われて。そんなこと言っちゃうようなユニークな人なので描いてみました。
長谷川:聞いたところによると、いろいろな芸人さんから「俺を描いてよ!」って言われたそうですね。
矢部:そうですね(笑)。まあ冗談だと思うんですけれど。そのなかで一番僕のお父さんの本気度が高かったです。
長谷川:お父さまは本気で描いてもらいたかったんですね(笑)。漫画を読むとかなりユニークなお父さまですが、矢部さんから見るとどんな方ですか?
矢部:絵本作家だったんですけど、絵本以外のものも、とにかくずっと絵を描いていて。家でごはんを食べるとなったらおかずの絵を描いて、おかずが冷めちゃったり。
長谷川:本のなかにもそんなエピソードがありました。
矢部:たぶん、番組にお父さんがゲストに来たら、長谷川さんを描きながら出演していると思います(笑)。
長谷川:おかずが冷めても描き続けていて、でもお母さまが「早く食べなさい!」という感じでもなく、そこも含めてお父さんの存在を受け入れているというか、その家族感もすごくすてきだと思います。
矢部は「お父さんがお父さんでいられたのは、やっぱりお母さんがいてくれたからだなと思う」「そういうことも描きたいと思った」という。
長谷川:お父さまの印象は、子どものころの印象と変わりましたか?
矢部:全然変わらないです。お母さんが外で働いていたので、お父さんは家にいて友だちみたいに遊んでくれていたんです。そのころのままなんですよね。子どものまま、みたいな。もうそのころお父さんは大人だったはずなんですけど。だから「僕だけ大人になっちゃったな」みたいな感じがします。
原作は父が描いた「太郎ノート」
『ぼくのお父さん』を描くにあたって参考にしたのは、父・やべみつのりによる矢部の成長を記録した「太郎ノート」だという。矢部:(「太郎ノート」は)全部で40、50冊ぐらいあります。
長谷川:えー!
矢部:それを参考にしていて、これが原作みたいな感じですね。でも実は「太郎ノート」は3冊だけで、あとは「お姉ちゃんノート」みたいな感じなんです。
長谷川:お姉さんもいらっしゃるんですよね。
矢部:そうなんです。だからお姉ちゃんのほうが多くて絵もすごくうまくて、それを見たときはちょっとショックだったんですけど(笑)。でもそっちは僕が生まれる前から描いてあるから、見たことのない自分を知るようで面白かったです。
長谷川:どうですか? 自分がいなかったときの様子を絵日記で描かれているというのは。
矢部:「新キャラ登場!」みたいな感じで、矢部家に太郎くんが出てくるんですよ。みんなが歓迎してくれている感じはうれしかったですね。
長谷川:なかなか感じることはないですからね。
矢部:そんな角度から自分を見ることはないですよね(笑)。新鮮な体験でした。
父の反応「太郎がすごく成長したなと思った。お父さんは…」
『ぼくのお父さん』に対する父の反応は予想外で、矢部は驚いたという。矢部:僕はお父さんのダメなところをいっぱい描いたんですけれど、お父さんは「こんな理想のお父さんみたいに描かないでよ」って(笑)。
長谷川:でも私も読んでいて、お父さんのダメなところという印象はあまりなかったです。
矢部:あら、本当ですか?
長谷川:イジワルな感じはまったくしなかったです。
矢部:ダメなところというか、変なところ、ユニークなところ。
長谷川:お父さまは「こんなによく描いてくれてありがとう」と?
矢部:言ってました。
長谷川:お父さまも面白かったんじゃないですかね。
矢部:そうかもしれないですね。「太郎がすごく成長したなと思った」と言ってました。「お父さんは変わってないな」ってお父さんも言ってました(笑)。
長谷川:お父さまもそう思っていたんですね(笑)。写真アルバムとはまた違う、矢部家ならではの、ぜいたくな思い出の1冊ですよね。
矢部:面と向かっては言えないけど、描くことで言えること、描けることがあったなと思います。
トントン拍子で漫画家デビュー。驚きのエピソード
矢部は中学生の頃に漫画家になりたいと思ったものの、高校時代の同級生だった入江慎也とお笑いコンビ「カラテカ」を結成する。矢部:お笑いが好きで始めたんです。職業にするとかは全然思ってなくて、ライブに出るようになって、気づいたら吉本興業に入っていたという感じで。お父さんが好きなことをしていると思ったから、自分も好きなことができたらいいなとどこかで思っていたかもしれないですね。
長谷川:そこで芸人として活動されていた矢部さんが、改めて漫画を描き始めたきっかけはなんだったのでしょうか。
矢部:『大家さんと僕』で描いた大家さんと喫茶店でお茶をしていたんです。そうしたら知り合いだった漫画原作者の倉科 遼先生が通りかかって「おばあちゃんとお茶して仲いいね」みたいなことを言われて、「いや、大家さんなんです」って言ったら「面白いから作品にしたら」と言ってくださって。それで出版社さんとかもどんどん紹介してくださったんです。
長谷川:えー! じゃあたまたま漫画家の先生が大家さんとお茶しているときに通りかかったから。すごい縁ですね。なかなか漫画家の先生がたまたま通ることはないと思います。
矢部:それがもし小説家の先生だったら小説を書いていたかも? まあ、書けなかったかな。
矢部の最新情報は、Twitterまで。
『START LINE』のワンコーナー「CITROËN AWESOME COLORS」では、自分らしく輝くあの人のストーリーをお届け。放送は毎週金曜日の18時10分から。
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