J-WAVEで放送中の番組『ROPPONGI PASSION PIT』(ナビゲーター:DEAN FUJIOKA/三原勇希)。各界で活躍する情熱を持ったゲストを迎えて、「好き」や「情熱」をテーマにトークを展開。
4月17日(土)の放送では、冨田ラボが登場。プロデュース業に興味を持ったきっかけや単独名義で初めてプロデュースしたキリンジとの思い出、さらに新曲『MAP for LOVE』について語った。
冨田がプロデュース業に興味を持ったのは高校時代。家でギターや鍵盤を弾いているとき、個々の楽器よりもそれぞれの楽器を演奏して組み合わせ、ひとつの曲になったときにすごくワクワクしたと振り返る。
冨田:それから「演奏するだけじゃなくて、それを組み立てて曲みたいにしていくのが僕はいちばん好きなんじゃないか」と思って。スピーカーから構築されたこの音楽を作る仕事はなんだろうと。自分がカッコいいなと思ったレコードに、たとえば「produced by Arif Mardin」と書いてあったとしたら、アリフ・マーディンのプロデュースしたものはどれもカッコいいなって。シンガーが変わっても共通する音の表情があって。レコードにはアレンジャーの名前も載っているじゃないですか。「アレンジャーを統括してプロデュースすると、シンガーが誰であっても僕の好きな世界を作ることができるんだ」「プロデューサーはそういう仕事なんだ」と。それは高校卒業するくらいでしたね。
とはいえ、実際にどうやってプロデューサーになるのかがわからなかった冨田は、最初は演奏の仕事をして、そこから見よう見まねで曲のアレンジをするようになり、プロデュースをするようになったという。
冨田:今考えると特殊なんですけど、キリンジは2人とも詞も曲も書くシンガーソングライターなんです。2人とも同等に書くのでメインコンポーザーがいないんですよね。だから最近、「初めて手掛けたアーティストがまれな組み合わせで、普通ではないフォームのコンビだったんだな」と思いました。たとえばバンドをプロデュースするのとも全然違うんです。バンドだと、ドラムやベースがいて、彼らは自身がコンポーザーではない限り、自分のプレイが終わったら、あとは休み時間みたいな感じでニコニコしているんです(笑)。
DEAN::あはは(笑)
冨田:でもコンポーザーとかシンガーとか作詞者は、最後までずっと一緒に作業をやる。それがバンドプロデュースの主なかたちではあるけど、キリンジの場合は2人ともギターなんですよ。
三原:そしてご兄弟ですしね。
冨田:そう。兄弟だから歯に衣着せずにものを言い合ったりするじゃないですか。そんななかで2人と作業するから、今考えるとちょっとおもしろい作業でしたね。キリンジ以外で、そういうやり方をやったことはないし。
DEAN:まさに麒麟児だったわけですね。
キリンジの楽曲のなかでも2000年リリースの『エイリアンズ』は今でも多くのアーティストにカバーされる名曲となった。
三原:当時、どういった反響がありましたか?
冨田:その頃はSNSがないから、ダイレクトな反響は正直今ほどわからなくて。そんな環境の違いもあるし、2000年はキリンジの作業だけでもすごく忙しかったんです。アルバムを作るに際して、「今年は勝負をかけよう」ってメーカーもなっていて、先行してシングルを3枚連続でリリースして、アルバムを作るまでにツアーも入っていたと思うので、みんなヘトヘトで(笑)。僕は『エイリアンズ』はいい曲だと思っていたけど、アルバムの制作中でしょ。だから、いい曲ができたって言って喜んでいる暇はないわけです。このアルバムをベストな状態にしようという作業がずっと続いていたわけで。今、『エイリアンズ』は評価を受けていてよかったとは思うけど、当時の反響は自分ではあまり実感できなかったですね。
冨田:本当であればリハーサルがあって、彼らアーティストの本番があって、次々に出て歌うというステージをやろうと思っていたんだけど、残念ながら中止になってしまったから、すごく残念で。もちろん今もコロナ禍は続いていますけど、当時はもっと情報がなくて、「こんな状況で何ができるかな」と思うじゃないですか。音楽家やエンターテインメントに関わるものとして。ましてやイベントがなくなって、彼らと一緒にすることができないと。でも僕は彼らのスケジュールは押さえていたわけですよね。そしてコロナ禍のために、彼らも他の活動ができていない。それで声を掛けてみたんです。
冨田は「冨田ラボステージ」に出演予定だったアーティストに、医療従事者のためにチャリティーで曲を作りたいと提案。全てのアーティストが賛同した。
『MAP for LOVE』は、坂本真綾、長岡亮介(ペトロールズ)、長塚健斗(WONK)、Naz、bird、藤原さくら、堀込泰行、吉田沙良(モノンクル)、Ryohu(KANDYTOWN)がボーカルで参加。プロデュース、作曲、編曲は冨田ラボ、作詞を角田隆太(モノンクル)、ラップパートをRyohuが担当。各アーティストのボーカルデータを受け取った冨田が自宅スタジオでミックスまで手掛け、ラジオ特番のオンエアに間に合うよう、わずか数日間で完成させたそうだ。
冨田:たぶん発案してから1週間くらいで、完パケで。
DEAN:ヤバいですね。
冨田:本当に自分でも信じられないですよ。
DEAN:どうやったらそれが可能になるんですか?
冨田:パッションだと思うんです。最初に医療従事者に対してチャリティーで曲を作ろうという話が出たときにAメロが浮かんで。でも特番のオンエアまでに間に合わせるのは難しいかもとみんなで言ってたの。じゃあ、最悪そこでオンエアできなかったとしても、医療従事者を応援したい気持ちは変わらないから完成させればいいし、とにかく始めようというふうに言いました。
冨田:作詞したモノンクルの角田(隆太)さんとは、いつもより多くやりとりをしたかもしれないですね。
DEAN:時間は短いけどやりとりは多かったわけですね。
三原:なぜ、このタイミングで『MAP for LOVE』をリリースしたいと思ったんですか?
冨田:当時、すごい勢いで作ってできあがったんだけど、音楽的にもすごく満足のいくものになったんです。シンガーたちのパフォーマンスも素晴らしくて、リリースしてほしいという声がすごく多かったんですね。僕も、音楽家としても彼らのパフォーマンスを届けるという意味でも、このままにしちゃうのはもったいないなって気持ちがあったので。曲を作って1年経って、先ほどDEANさんがおっしゃってたけど、「あとで聴いてどうなのか」っていう部分ももちろんクリアしていたと思ったので、やはりこれはリリースすべきだなと考えました。
番組でオンエアした『MAP for LOVE』を聴いたDEANは、「ミュージカルを観ているようでした」と表現。「目を閉じて聴いていたら、そこにストーリーがあって、動作があって」と感想を述べた。
今年の「TOKYO M.A.P.S」は、これまでの屋外ライブのスタイルを変更。新たな試みとして、J-WAVEのオンエアと六本木ヒルズ内での音声ARで「TOKYO M.A.P.S SPIN-OFF」を開催。このオーガナイザーを冨田が務める。4月29日(木・祝)9時~17時55分には、『J-WAVE GOLDEN WEEK SPECIAL TOKYO M.A.P.S SPIN-OFF ~TOMITA LAB EDITION~』をオンエア。冨田ラボと藤田琢己がナビゲーターを担当する。
番組では、冨田ラボのプロデュース作品をはじめ、自身がおすすめする楽曲や関わったアーティストの楽曲、最近注目している楽曲など、「TOKYO M.A.P.S」ならではの音楽の世界を9時間にわたってお届けする予定だ。
冨田:情熱と言うと、対象にパッと燃え上がって、それは逆に言うとすぐにしぼんでしまうこともイメージされると思うんですよね。実際にそういった美しさもあると思うんだけど、キャリアを重ねてくると、自分が本当に情熱を感じているものに対しては、ずっと同じくらいの温度で情熱を注ぐことができるなって感じるようになったんです。だから、ずっと愛情を注げるとか、そういった情熱こそが自分にとって必要な情熱だし、その対象が自分にとって大事なものなのかなと思います。
冨田ラボの最新情報は、公式サイトまたは、Twitterまで。
『ROPPONGI PASSION PIT』は、東京・六本木に出現した、いろいろな人の“情熱”が集まり、重なり合い、さらに熱を増して燃え上がる秘密基地として、みんなの熱い思いを電波に乗せて発信。放送は毎週土曜の23時から。
4月17日(土)の放送では、冨田ラボが登場。プロデュース業に興味を持ったきっかけや単独名義で初めてプロデュースしたキリンジとの思い出、さらに新曲『MAP for LOVE』について語った。
「プロデューサー」の存在を知った高校時代
音楽家、音楽プロデューサーの冨田は、これまで冨田ラボ名義で6枚のアルバムを発表。音楽プロデューサーとしても、キリンジ、MISIA、平井 堅、中島美嘉など数多くのアーティストにそれぞれの新境地となるような楽曲を提供。音楽業界を中心に、耳の肥えた音楽ファンに圧倒的な支持を得る、ポップス界のマエストロだ。冨田がプロデュース業に興味を持ったのは高校時代。家でギターや鍵盤を弾いているとき、個々の楽器よりもそれぞれの楽器を演奏して組み合わせ、ひとつの曲になったときにすごくワクワクしたと振り返る。
冨田:それから「演奏するだけじゃなくて、それを組み立てて曲みたいにしていくのが僕はいちばん好きなんじゃないか」と思って。スピーカーから構築されたこの音楽を作る仕事はなんだろうと。自分がカッコいいなと思ったレコードに、たとえば「produced by Arif Mardin」と書いてあったとしたら、アリフ・マーディンのプロデュースしたものはどれもカッコいいなって。シンガーが変わっても共通する音の表情があって。レコードにはアレンジャーの名前も載っているじゃないですか。「アレンジャーを統括してプロデュースすると、シンガーが誰であっても僕の好きな世界を作ることができるんだ」「プロデューサーはそういう仕事なんだ」と。それは高校卒業するくらいでしたね。
とはいえ、実際にどうやってプロデューサーになるのかがわからなかった冨田は、最初は演奏の仕事をして、そこから見よう見まねで曲のアレンジをするようになり、プロデュースをするようになったという。
キリンジのプロデュースを「特殊」と振り返る理由
冨田が単独名義で初めてプロデュースしたのが、1997年にデビューしたキリンジだった。冨田:今考えると特殊なんですけど、キリンジは2人とも詞も曲も書くシンガーソングライターなんです。2人とも同等に書くのでメインコンポーザーがいないんですよね。だから最近、「初めて手掛けたアーティストがまれな組み合わせで、普通ではないフォームのコンビだったんだな」と思いました。たとえばバンドをプロデュースするのとも全然違うんです。バンドだと、ドラムやベースがいて、彼らは自身がコンポーザーではない限り、自分のプレイが終わったら、あとは休み時間みたいな感じでニコニコしているんです(笑)。
DEAN::あはは(笑)
冨田:でもコンポーザーとかシンガーとか作詞者は、最後までずっと一緒に作業をやる。それがバンドプロデュースの主なかたちではあるけど、キリンジの場合は2人ともギターなんですよ。
三原:そしてご兄弟ですしね。
冨田:そう。兄弟だから歯に衣着せずにものを言い合ったりするじゃないですか。そんななかで2人と作業するから、今考えるとちょっとおもしろい作業でしたね。キリンジ以外で、そういうやり方をやったことはないし。
DEAN:まさに麒麟児だったわけですね。
キリンジの楽曲のなかでも2000年リリースの『エイリアンズ』は今でも多くのアーティストにカバーされる名曲となった。
キリンジ - エイリアンズ
冨田:その頃はSNSがないから、ダイレクトな反響は正直今ほどわからなくて。そんな環境の違いもあるし、2000年はキリンジの作業だけでもすごく忙しかったんです。アルバムを作るに際して、「今年は勝負をかけよう」ってメーカーもなっていて、先行してシングルを3枚連続でリリースして、アルバムを作るまでにツアーも入っていたと思うので、みんなヘトヘトで(笑)。僕は『エイリアンズ』はいい曲だと思っていたけど、アルバムの制作中でしょ。だから、いい曲ができたって言って喜んでいる暇はないわけです。このアルバムをベストな状態にしようという作業がずっと続いていたわけで。今、『エイリアンズ』は評価を受けていてよかったとは思うけど、当時の反響は自分ではあまり実感できなかったですね。
発案して1週間くらいで完成…情熱が生んだ曲『MAP for LOVE』
2020年、冨田はJ-WAVEと六本木ヒルズによるライブイベント「J-WAVE & Roppongi Hills present TOKYO M.A.P.S~TOMITA LAB EDITION」のオーガナイザーだったが、残念ながら社会情勢を鑑みて開催中止となった。しかし冨田は、同イベントの「冨田ラボステージ」に出演予定だったアーティストたちと共にリモートワークで『MAP for LOVE』を制作した。冨田:本当であればリハーサルがあって、彼らアーティストの本番があって、次々に出て歌うというステージをやろうと思っていたんだけど、残念ながら中止になってしまったから、すごく残念で。もちろん今もコロナ禍は続いていますけど、当時はもっと情報がなくて、「こんな状況で何ができるかな」と思うじゃないですか。音楽家やエンターテインメントに関わるものとして。ましてやイベントがなくなって、彼らと一緒にすることができないと。でも僕は彼らのスケジュールは押さえていたわけですよね。そしてコロナ禍のために、彼らも他の活動ができていない。それで声を掛けてみたんです。
冨田は「冨田ラボステージ」に出演予定だったアーティストに、医療従事者のためにチャリティーで曲を作りたいと提案。全てのアーティストが賛同した。
『MAP for LOVE』は、坂本真綾、長岡亮介(ペトロールズ)、長塚健斗(WONK)、Naz、bird、藤原さくら、堀込泰行、吉田沙良(モノンクル)、Ryohu(KANDYTOWN)がボーカルで参加。プロデュース、作曲、編曲は冨田ラボ、作詞を角田隆太(モノンクル)、ラップパートをRyohuが担当。各アーティストのボーカルデータを受け取った冨田が自宅スタジオでミックスまで手掛け、ラジオ特番のオンエアに間に合うよう、わずか数日間で完成させたそうだ。
冨田:たぶん発案してから1週間くらいで、完パケで。
DEAN:ヤバいですね。
冨田:本当に自分でも信じられないですよ。
DEAN:どうやったらそれが可能になるんですか?
冨田:パッションだと思うんです。最初に医療従事者に対してチャリティーで曲を作ろうという話が出たときにAメロが浮かんで。でも特番のオンエアまでに間に合わせるのは難しいかもとみんなで言ってたの。じゃあ、最悪そこでオンエアできなかったとしても、医療従事者を応援したい気持ちは変わらないから完成させればいいし、とにかく始めようというふうに言いました。
『MAP for LOVE』は、その場限りで終わらせるつもりはなかった
DEANは『MAP for LOVE』の制作内容を聞いて、「こういった(何かを目的とした)曲は制作時にパッと燃え上がるかもしないけれど、5年後、10年後と時間が経ったときにどうなるかという客観性も重要になる」と話し、冨田はDEANに共感しつつ「この曲は、その場限りで終わらせるつもりはなかった」と語った。冨田:作詞したモノンクルの角田(隆太)さんとは、いつもより多くやりとりをしたかもしれないですね。
DEAN:時間は短いけどやりとりは多かったわけですね。
三原:なぜ、このタイミングで『MAP for LOVE』をリリースしたいと思ったんですか?
冨田:当時、すごい勢いで作ってできあがったんだけど、音楽的にもすごく満足のいくものになったんです。シンガーたちのパフォーマンスも素晴らしくて、リリースしてほしいという声がすごく多かったんですね。僕も、音楽家としても彼らのパフォーマンスを届けるという意味でも、このままにしちゃうのはもったいないなって気持ちがあったので。曲を作って1年経って、先ほどDEANさんがおっしゃってたけど、「あとで聴いてどうなのか」っていう部分ももちろんクリアしていたと思ったので、やはりこれはリリースすべきだなと考えました。
番組でオンエアした『MAP for LOVE』を聴いたDEANは、「ミュージカルを観ているようでした」と表現。「目を閉じて聴いていたら、そこにストーリーがあって、動作があって」と感想を述べた。
今年の「TOKYO M.A.P.S」は、これまでの屋外ライブのスタイルを変更。新たな試みとして、J-WAVEのオンエアと六本木ヒルズ内での音声ARで「TOKYO M.A.P.S SPIN-OFF」を開催。このオーガナイザーを冨田が務める。4月29日(木・祝)9時~17時55分には、『J-WAVE GOLDEN WEEK SPECIAL TOKYO M.A.P.S SPIN-OFF ~TOMITA LAB EDITION~』をオンエア。冨田ラボと藤田琢己がナビゲーターを担当する。
番組では、冨田ラボのプロデュース作品をはじめ、自身がおすすめする楽曲や関わったアーティストの楽曲、最近注目している楽曲など、「TOKYO M.A.P.S」ならではの音楽の世界を9時間にわたってお届けする予定だ。
継続できる情熱が本当の情熱
この番組では毎回ゲストに、自分が思う「情熱」とはなにかを訊く。冨田は「継続できる情熱が本当の情熱だ」と答えた。冨田:情熱と言うと、対象にパッと燃え上がって、それは逆に言うとすぐにしぼんでしまうこともイメージされると思うんですよね。実際にそういった美しさもあると思うんだけど、キャリアを重ねてくると、自分が本当に情熱を感じているものに対しては、ずっと同じくらいの温度で情熱を注ぐことができるなって感じるようになったんです。だから、ずっと愛情を注げるとか、そういった情熱こそが自分にとって必要な情熱だし、その対象が自分にとって大事なものなのかなと思います。
冨田ラボの最新情報は、公式サイトまたは、Twitterまで。
『ROPPONGI PASSION PIT』は、東京・六本木に出現した、いろいろな人の“情熱”が集まり、重なり合い、さらに熱を増して燃え上がる秘密基地として、みんなの熱い思いを電波に乗せて発信。放送は毎週土曜の23時から。
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2021年4月24日28時59分まで
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番組情報
- ROPPONGI PASSION PIT
-
毎週土曜23:00-23:54