HYDEが明かす、ラルク解散の危機を乗り越えたメンバーとファンへの想い

J-WAVE(81.3FM)×「MUSIC FUN !」連動企画である、深夜の音楽座談プログラム『WOW MUSIC』。“すごい”音楽をつくるクリエイターが“WOW"と思ういい音楽とは? 毎月1人のクリエイターがマンスリープレゼンターとして登場し、ゲストとトークを繰り広げる。

1月のマンスリープレゼンターはTHE ORAL CIGARETTESの山中拓也。1月29日(金)のオンエアでは、ゲストにHYDEが登場。ここでは、カッコいい音楽を探した少年時代の思い出や、L'Arc〜en〜Ciel(略称:ラルク)メンバー、そしてファンへの想いを語った部分を紹介する。

「誰が最初にカッコいいバンドを見つけるか」競った学生時代

山中にとってHYDEは、「音楽を始めるきっかけになった」特別な存在だ。これまでふたりは対バンや、HYDE主宰のライブイベント「HALLOWEEN PARTY」などで共演していたが、「まさか対談できる日が来るなんて思ってもみなかった」と感激していた。

まずは、HYDEが音楽少年だった時代のエピソードを聞くことに。

山中:HYDEさんは学生時代にどんな音楽を聴いていましたか?
HYDE:その頃は時代の最先端の音楽を聴いているつもりだったけど、よくよく考えると「結局は流行りの音楽を聴いていたんだな」って後々思ったね。当時はイギリスの音楽が映像付きでめちゃくちゃ入ってきた時期で、誰が最初にカッコいいバンドを見つけるか、みたいな感じで競ってて。自分としては最先端のつもりだった。「次はこのバンドがカッコいいんじゃない」「いや、今度はハードロックだよ」みたいになっていくんだけど、今のミュージシャンの話とかを聞くと、みんなそういう流れに沿ってて、結局普通だった(笑)。
山中:でも音楽をやる人だからこそだと思いますけどね。学生時代に一緒に音楽を追った仲間がいたんですか?
HYDE:いたいた。みんなで一番カッコいい音楽を競って探してくるのが喜びというか、自慢するというかね。「このバンドどう?」って紹介して「カッコいいな、くそっ」って(笑)。
山中:あはは(笑)。
HYDE:当時、Depeche Modeっていうバンドがめちゃくちゃカッコよかったんだけど、それを初めて聴いたときの悔しさ。「見つけられた」みたいな(笑)。
山中:その仲間って今は何をしてるんですか?
HYDE:さっぱりわからない。音楽を競っていたやつらはわからないけど、中学生くらいの友だちとは仲がよくて。10人くらいかな。そいつらとの関係を切りたくないから、年に一度はなるべく地元に帰るようにして、みんなで酒を飲んだりして思い出話とかをするようにはしてる。
山中:めちゃくちゃ素敵ですね。中学時代の友だちも絶対にうれしいでしょうね。

Stingに影響を受けた『flower』

HYDEは影響を受けた1曲として、Sting『Englishman in New York』をあげる。

Sting - Englishman In New York (Official Music Video)

HYDE:ハードロックをめちゃくちゃ聴いてたけど、Stingも大好きで、ああいう静かな音楽も同時に聴いてたの。『Englishman in New York』は当時の自分の気持ちに寄り添っていたみたいで、めちゃくちゃ聴いた。

ラルク『flower』のリズムがハーフになる部分は、『Englishman in New York』でドラムだけになる箇所から影響を受けたのだという。

山中:マジで!? 初めて知りました。
HYDE:キャッチーな曲であるほど、途中にそういうフックを入れたいなと思って。『flower』はまさにそういう感じでパクってますね(笑)。パクったと思う人はいないと思うけど、僕の中では『Englishman in New York』のあの部分を付けたかったっていうね。
山中:HYDEさんのアーティスト活動を見てる僕からすると、影響された曲にこの曲が入ってるのはすごく意外でした。

バンドでは「4分の1でいよう」と努力していたけど…

今年、HYDEはソロ活動20周年、ラルクの活動30周年という節目を迎えた。バンドの中で「ずっと僕はバンドの4分の1だと思ってた」と語る。しかし、最近は心境に変化があったそうだ。

山中:僕はラルク(L'Arc〜en〜Ciel)のメンバー4人の空気感を見ていて、ちょうどいい距離感だなと、ファンとしてもずっと感じていました。だからこそ、ステージ上でメンバーが絡んだらうれしいみたいな感じで。バンド結成当時から今まで、気を付けてきたことってありますか?
HYDE:今は崩れてきたけど、ずっと僕はバンドの4分の1だと思ってたの。出過ぎてもダメだし、出なさ過ぎてもダメだし、4分の1であるべきなんじゃないかなって思ってた。ベースのtetsuyaさんがそういうことを言ってて、僕の中でそういうことは意識しとかなきゃいけないなと思ってた。なるべく4分の1でいようと努力してましたけど、ここ最近はあまり気にしてなくて、出せるものは出そうって思っているけど、最近までは4分の1って思っていました。
山中:へえ。
HYDE:当たり前のことだけど、アーティストは伸び伸びしないとダメだし、才能を止めるのはあんまりよくないなって思い出したね。ここ10年くらいで。自分の活かせるところは活かして、それぞれ目立つ部分と目立たない部分とか、それぞれ得意分野って違うじゃない。それぞれがやれることはやったほうがいいから。僕はちょっと目立ってしまうけど(笑)、最近、僕は僕で「これはこれでラルクだから」って思ってる。

ソロ活動が転機に。その後のラルクへも影響を与えた

2020年、THE ORAL CIGARETTESが活動10周年を迎えた。山中は、ラルクが結成10周年のときにどんな活動をしていたのかをメンバーと調べて、「(自分たちは)まだまだ全然足りない」と感じたと笑う。

HYDE:僕はラルクの10周年のときにソロ活動を始めたんですね。そこが自分にとって一番大きな転機だったのかもしれないね。それまではバンドにこだわってたけど、そこから一気に世界観が変わった。
山中:ソロ活動が、その後のラルクに影響したこともあるんですか?
HYDE:山ほどある。ラルクに対しての考え方も変わったね。
山中:どういうふうに変わったんですか?
HYDE:ソロ活動から20年あるからいろいろあるんだけど、最初はもうバンドがうんざりだった。自分がやりたいことがあったんで、この才能をつぶしたくないからソロ活動を始めたんだよね。それからソロでいろんな世界観を見てきて、おもしろいなと思っているのに、バンドに帰るとあんまりよくない雰囲気だったりして「バンドって意味あるのかな?」と思って一時期はバンドをやめようぜってなったんだけど。それでもなんだかんだで乗り越えてきて、そこから10年、20年と経つと逆の意味でリスペクトが始まる。
山中:それはメンバーに対して?
HYDE:そう。それぞれプロフェッショナルな人たちが集まってるから難しい人もいるけど、僕もソロだとリーダーになるからリーダーって大変なんだなって思って。そういう意味でバンドのリーダーのtetsuyaさんをリスペクトしたり、kenさんの作曲とかyukihiroさんのスペックの部分がすごいなって思ったり、自分に余裕が出てきたからかもしれないけど、30年経って、やっぱりすごいなって思えるようになりましたね。あのときに解散していたらこの感覚は得られなかったんだろうなと思う。

「ファンがいなかったらバンドはすぐ終わってましたね」



解散の危機を乗り越え、30年もラルク続けられた理由を、HYDEは「ファンがいたから」と答えた。

HYDE:ファンがいなかったら、バンドはすぐ終わってましたね。ファンとスタッフのラルクへの愛情が深いから、少々のことがあってもスタッフがなんとかしようとする。もちろんメンバーもやってはいたけど、その人たちのパワーとか、ファンの人たちがこれだけ愛情を注いでくれているのに、自分たちのちょっとしたことで無下にはできないなって。それが一番大きかったかな。それがなかったら無理だったかな。
山中:この言葉を聞いてくれているファンは歓喜ですよ。うれしいと思います。
HYDE:この30年間で解散するバンドって多かったけど、なんだかんだで再結成したりするじゃない。ファンがたくさんいるとその意味は大きくて、そのバンドにはそれだけパワーがあると僕は思う。だから再結成してでも、独特な空気感をもう一回味わいたいと思うんじゃないかな。
山中:HYDEさんが何年前かのMCで「L'Arc〜en〜Cielっていう大きな船にみんな乗ってくれて」って話していたときに、本当にその通りだなと思って。HYDEさんは、どんな大海原でもファンと一緒に乗り越えるって感覚がある人なんだろうなって思ってうれしかったですね。学生時代から聴いているアーティストってなかなかいないなかで、僕はL'Arc〜en〜CielとEminemはずっと聴き続けているので、今の言葉はいちファンとしてすごくうれしいです。
HYDE:ありがとうございます。

若い世代の頑張りが、HYDEの情熱を掻き立てる

コロナ禍で思うように活動ができない環境が続くなか、HYDEはどんな感情を抱いていたのだろうか。

HYDE:正直、2020年はテンションが下がったね。ここ数年でやれることをやりたいと思ってたけど、それが全部止まったので、やる気なくなったというかね。なるべくファンには前向きなことを言いたいけど、それすらも面倒くさいというか、「どうしようもないな、俺」みたいな感じで。でも、今年は前と同じようなライブができるかもれないと思いながら、前向きに曲は作ってはいるけど、だんだん「最低でも今年の夏までは無理だな」「秋からスタートしてもどこまでできるんだろう」「ライブハウスは無理だな」とか思ってくると、どんどんテンションが下がるよね。
山中:そうですね。
HYDE:自分のやりたかったことはアメリカのフェスとかに行くことだけど、アメリカなんかもっとダメじゃんとか思って。かと言って、このまま同じことをやっていていいのかなとか、ずっと堂々巡りを繰り返していて。でも、なるようにしかならないし、今の時代だからぜいたくも言えないからってあきらめたら、新型コロナじゃなく、コロナ禍でみんな死んでいっちゃうじゃん。だから諦めだけじゃなくて、みんなで生き抜いていかなくちゃって思ってる。

山中は、HYDEの音楽がコロナ禍で傷を負っているたくさんの人を励ますものに必ずなっている、と語る。

山中:僕はHYDEさんにどんどん曲をリリースしてほしいと思いますし、それが自分のやる気にも繋がるし、きっとどこかで働いている人も明日の活力になったりしていると思います。
HYDE:それはTHE ORAL CIGARETTESに任せるよ(笑)。逆に若い人がめちゃくちゃ頑張っている姿を見ると、俺も頑張らないとなって思える。(山中)拓也みたいな若い人がどんどん新しいことをやっていると「この野郎、カッコいいな」とか思いながら燃えるもん。だから僕は拓也に注目しています。
山中:めっちゃうれしいです。
HYDE:それを見て「俺も負けられない」と思うし、そういうのはいいと思うから、どんどんやってほしい。
山中:いつもHYDEさんに会ったときに励まされてしまうんですよね。1、2年前、ごはんに行かせてもらったときもすごく励まされたし、僕も頑張ろうと思えたので、これから先もどうぞよろしくお願いします。

番組では他にも、山中がHYDEの音楽制作に迫る場面もあった。radikoでは2021年2月5日28時59分まで再生可能。また、『MUSIC FUN !』のYouTubeページには、同番組のトーク動画のほか、ミュージシャンやプロデューサーによる音楽の話が数多く配信されている。

・『MUSIC FUN !』のYouTubeページ
https://www.youtube.com/c/musicfun_jp

2月から『WOW MUSIC』は、毎週土曜24時からのオンエアに変更。30分から1時間に拡大される。
radikoで聴く
2021年2月5日28時59分まで

PC・スマホアプリ「radiko.jpプレミアム」(有料)なら、日本全国どこにいてもJ-WAVEが楽しめます。番組放送後1週間は「radiko.jpタイムフリー」機能で聴き直せます。

番組情報
WOW MUSIC
毎週金曜
24:30-25:00

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