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韓国でも少子化が加速。その背景にある「生きづらさ」とは

2021年の成人の日は1月11日だった。日本の新成人は1月1日の時点で124万人と、前年と比べておよそ2万人の増加。とは言え、少子化には変わりない。

そんな日本よりも少子化が加速している国が韓国だ。その背景にある、社会の雰囲気とは。

『J-WAVE TOKYO MORNING RADIO』(ナビゲーター:別所哲也)のワンコーナー「KONICA MINOLTA GLOBAL SCALE」では、韓国・弘益大学教員である緒方義広さんに、韓国の深刻な人口減少問題について話を聞いた。オンエアは1月12日(火)。

韓国の少子化にある背景とは

韓国の2020年末時点での人口はおよそ5182万9000人で、前年比で2万人減少。1970年に統計を取り始めて以降、初めて減少に転じた。実はこれは韓国政府の予想よりも9年早い人口減少社会への突入であり、そのスピードが問題視されている。

そんな韓国の2020年の出生者数は過去最少で、およそ27万6000人。これは30年前と比較して6割近く減少したことになる。急速に進む韓国の少子化の背景を、緒方さんはこう語る。

緒方:韓国社会全般が非常に「生きにくい」と感じるものになってしまっています。出産をしても、「子どもをこの社会で生活させるのは申し訳ない」と親が感じるような社会。詳しく話すと非常に長くなりますが、韓国は学歴重視の社会で、それが大学受験の競争激化などに繋がっています。あまりにも激しい入試競争を防ぐために政府が入試制度に規制をかける……ということが昔からいたちごっこのように続いていますが、結局お金を持っている人が教育レベルの高い地域に住むことになる。すると、教育の問題が不動産の問題に変わってきます。そういったものが格差社会という形で認識され、「そんな社会で子どもを産むって幸せじゃないんじゃないか」と思えてしまう、というのが少子化の大きな背景になっていると言えます。

「制度」と「認識」の変化が、社会を変える

緒方さんは、ひとりの女性が生涯に産むと見込まれる子どもの数である「合計特殊出生率」にも言及した。

2019年の韓国の合計特殊出生率は0.92人。少子化が叫ばれる日本も1.36人で、他人事とは言えない状況だ。日本、韓国が抱える深刻な少子化問題への対策はあるのだろうか。

緒方:少子高齢化というのは日本でも大きな問題だと思うんですけど、韓国でも同じようにずっと指摘されてきた部分でもあります。政府も何もしなかったわけでありません。むしろ日本との比較でいうと積極的で、男性が休暇をとりやすくするとか、さまざまな制度を整備してきました。そして、実際に育児休暇を取る男性の比率というのは急激に増えてきています。しかしそれだけではまだ十分ではなかったのが現状だと思います。小手先の対策だけでは、もうどうしようもない。より根本的な問題として、対策が立てられなければいけないという印象です。政府は社会全体の制度を変えていかないといけない。さらにいうと、社会の認識が制度以上に進む必要があるんじゃないかと思います。

人々が安心して子どもを産み育てるため、日本も韓国も、社会の認識を変えるパラダイムシフトが求められている。
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2021年1月19日28時59分まで

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番組情報
J-WAVE TOKYO MORNING RADIO
月・火・水・木曜
6:00-9:00

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