女優・創作あーちすと のんが、国連広報センター所長の根本かおると対談。世界が取り組む「持続可能な開発目標(SDGs)」をテーマに、その活動の意義と世界が目指す「豊かな社会」について語り合った。
のんと根本が登場したのは、12月20日(日)放送のJ-WAVEのPodcast連動プログラム『INNOVATION WORLD ERA』のワンコーナー「FROM THE NEXT ERA」。のんは同番組の第3週目のマンスリーナビゲーターを務める。
このままだと2050年の海は、魚よりもプラスチックゴミのほうが多くなる
SDGsとは、国連サミットで2015年に定められた、2030年までに達成するために掲げられた持続可能な開発目標のこと。17のゴール・169のターゲットから構成されている。その背景には、「途上国の開発」と「地球環境の議論」という二つの流れがあるという。
根本:企業や市民社会、アーティストなど、みんなが自分にできることを探し、それを広げてスピードアップしていこうというのが今の段階です。最近始まったレジ袋の有料化が関係しているのが、目標14「海の豊かさを守ろう」です。海には年間800万トンのプラスチックゴミが流れ出ていて、その中にはレジ袋もあります。レジ袋の便利さに頼りすぎず、使う量を減らしてリサイクルを徹底しなければ、2050年には重さという意味で魚よりもプラスチックの方が多くなってしまうと予想されています。
のん:大変だ……。
根本:有害物質を多く含んだマイクロプラスチックという小さな破片を食べた魚を、私たちが食べることになります。私たちは、1週間でクレジットカード1枚分のプラスチックを食べているという試算もあるんですよ。
のん:1週間でですか!? 恐ろしい……。
根本:日本は、使い捨てプラスチック容器の1人当たりの消費量が、アメリカに次いで世界で二番目に多いんです。いろいろな形で使い捨てプラスチックの使用量を減らしていかなければいけません。
のん:レジ袋は、自分事にしていかなければいけないなとすごく思いました。
SDGs Peopleとして のんが取り組む「アップサイクル」
のんは、SDGsアクションを推進する官民連携プロジェクト「ジャパンSDGsアクション」が選ぶ、SDGs Peopleの第一号に選出。日々の生活の中で「アップサイクル」の考え方を取り入れている。
「アップサイクル」とは、もともとの形状や特徴などを活かしつつ、不要だと思うものを捨てずに新しいアイディアを加えることで別のモノに生まれ変わらせること。コロナ禍をきっかけに、海外でも「アップサイクル」を取り入れる人が増えているという。
根本:実は新型コロナウイルス感染拡大の影響で、家庭用ミシンの売上がすごく伸びているそうです。
のん:あ、マスクですかね?
根本:マスク作りもありますし、のんさんのように、着なくなった洋服を繋ぎ合わせて新しいモノに作り替えるアップサイクルをやっている人もいるかもしれません。どうやらイギリスでも、ミシンがすごく売れているみたいなんです。
のん:そうなんですか! 同じ現象が起こっているんですね。それがSDGsに繋がっていくと考えると、うれしい変化ですよね。これから私もSDGs Peopleとして自覚を持って頑張っていかなきゃと思いました。
これからはSDGsに関心の高い若い世代がメインの消費者に
根本は、のんようなミレニアル世代やその下のZ世代がSDGsに高い関心を持っていることを指摘。今では学校教育のカリキュラムにSDGsのトピックが入ってきたことで、SDGs世代が生まれているそうだ。
根本:子どもたちが学校で学ぶ上では、地域や家庭の課題に目を向け、それを世界や地球の問題に繋げるように学んでいます。また世論調査を見ていても、SDGsを知っている世代の割合は10代や20代の世代が大人世代よりもずっと高いんです。
のん:そうか。それは教育に組み込まれているからですよね。
根本:はい。また、昔のような高度成長期の考え方ではなく、「長く続けていくにはどうするべきか」という低成長期の考え方に変わってきました。そうすると、私たちのような世代の価値観と若い人たちの価値観はまるで違いますよね。
根本によると、とある世論調査では大学生におけるSDGsの認知度は5割程度。特に女子は、就職活動の際に企業がSDGsに取り組んでいることを重視する傾向が高いという。また、物を買うときの基準として、その企業が環境課題や社会問題、SDGsに取り組むことを判断基準に入れる人も徐々に増えてきているという。
根本:これから若い人たちが消費者のど真ん中にくると、消費者全体の価値観も変わって、企業側もSDGsに取り組むことが死活問題になると思います。世の中に変えていくのは若いい人です。のんさんはリーダーですよ!
のん:そうですね、SDGs Peopleですからね! 担っていかないとなと思いました。
根本:世界でも、「気候変動問題にもっと目を向けてください」とリーダーたちに訴えているのは、スウェーデンの グレタ・トゥーンベリさんほか、若い人ばかりです。彼らのエネルギーや問題意識や声が政治のリーダーたちを動かして、地球がよりよくなる政策実現に繋がっています。日本でもこういう動きがもっと増えていけばいいなと思います。
自分の興味のあることから、地球環境に目を向けることが大切
教育などを通じて、若い世代の間でSDGsの認知度が高くなっている。その一方で、興味はあってもなかなかSDGsに関する行動を起こせない人もいるのも事実だ。のんは「そういう子たちがもっと取り組みやすく、自分事になっていけばいいなと思いました」と感想を述べる。
根本:誰しも自分が関心を持っていることや、大切にしていることがありますよね。たとえば、私は料理に興味があるのですが、その地域で採れた食材を積極的に使って食べきることをモットーにしているので、うちのフードロスはすごく少ないんです。のんさんなら洋服のアップサイクルがありますよね。みなさんにもこだわりのポイントがあると思うので、そこを出発点にして世界のことに目を向けてもらえればいいなと思います。
根本は最後に「地球環境問題は過去の世代のツケを若者やこれから生まれてくる人たちが背負ってしまうことになる。だから、せめて現役世代はきちんとした政策を示さないと責任を果たしたことにならない」と強く主張した。
番組は、J-WAVEのポッドキャストサービス「SPINEAR」でも聴くことができる。
・SPINEAR
https://spinear.com/shows/innovation-world-era/
『INNOVATION WORLD ERA』では、各界のイノベーターが週替りでナビゲート。第1週目はライゾマティクスの真鍋大度、第2週目はASIAN KUNG-FU GENERATION・後藤正文、第3週目は女優で創作あーちすとの「のん」、第4週目はクリエイティブディレクター・小橋賢児。放送は毎週日曜日23時から。
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