J-WAVEで放送中の番組『SAISON CARD TOKIO HOT 100』(ナビゲーター:クリス・ペプラー)。12月6日(日)のオンエアでは、シンガーソングライター・松任谷由実がゲストに登場。コロナ禍での過ごし方や最新アルバム『深海の街』の制作エピソードを語った。
松任谷:5月あたりまでは気持ちがすごく落ちていましたね。だけど「ミュージシャンであることを絶対に忘れないぞ」という思いもあり、そこから本格的なレコーディングに入っていきました。
クリス:レコーディングはリモートでしたか?
松任谷:幸いなことに、自宅で録音できたんですよ。なにせ、1つの家にアーティストとプロデューサーが住んでいますからね(笑)。こんなに整った環境はないですよ。だけど、それと同じだけ厳しい面もあります。家事もやらないといけないですしね(笑)。創作的にはとても恵まれていた環境だったと思います。
クリス:そうだったんですね。そういえば、外出自粛期間中は日本の古典文学を読み漁ったとお聞きしました。
松任谷:読み漁ると言っていいのかわからないですが、まずは『方丈記』を読みましたね。そのあとは『枕草子』や『徒然草』にも目を通しました。『方丈記』は日本が歴史上もっとも悲惨だった時代の話ですよね。あの時代を生き残った人々のおかげで我々がいるんだってことが、書籍を通して実感できたので、不思議な勇気を与えられました。
クリス:もともと古典がお好きなんですか?
松任谷:そうですね。歌手として、古典や外来語といった、さまざまな言葉を知りたいという気持ちが強いです。シンガーソングライターという職業は、何が役に立つかわからないんですよ。なので、「今まで続けてきたことが間違っていなかったんだ」ということに気付くことができましたね。
クリス:通算39枚目のアルバムになるんですね。すごいことですよ。今回のアルバムは、もともとは違うコンセプトで制作する予定だったそうですね。
松任谷:40年前である1980年12月1日は、『SURF&SNOW』というアルバムの発売日でもあったんですね。実はあのアルバムのジャケットにはね、「VOLUME ONE」ってなぜか書かれているんですよ。それでね、毎年冬にやっている苗場のリゾートライブ「SURF&SNOW in Naeba」も今回で40回目というタイミングなわけです。だから、アルバムを『SURF&SNOW VOLUME TWO』にしようかなと考えていたんです。だけど、コロナによってそのコンセプトは完全になくなってしまいました。なくなってしまったとはいえ、リゾートアルバムを作りたかったから、“脳内リゾート”にシフトして制作を進めました。『深海の街』というタイトルには、「どこへも行けなくても、心のなかは掘り進めることができる」というメッセージがあります。
クリス:なるほど。フィジカルではなくバーチャルな旅なんですね。リゾート要素は「旅」がキーワードとなって繋げてくれているんですね。
『深海の街』は、アルバムジャケットにも松任谷のメッセージが込められている。
松任谷:潜水服の男女が抱き合っているアルバムジャケットなんですが、この絵でコロナを表現しています。そして、ジャケットの男女のポーズは『SURF&SNOW』と同じなんですよ。
クリス:お互いに触れることができないことを表しているんですね。
松任谷:それでも、人は繋がりたい。「愛しか残らない~深い海の底で 僕たちは気づいたんだ」というのが、『深海の街』に込めたメッセージです。
クリス:切ないですね。
松任谷:だけどね、切ないっていう感情が人間的なんじゃないかな。
クリス:そうですね。特に2020年は、切なさとどう向き合って生きていくかがテーマだったように感じます。
「自分にとっての永久不滅のアイドルやヒロインは?」
松任谷:宗教的な答えになっちゃうな。聖母マリア様。自宅にフランスのルルドの泉を模したものがあって、そこにマリア様が飾ってあるんですよ。
「ユーミンの元気の源は?」
松任谷:やっぱり、人に会うことですかね。コロナ禍によって、それができないっていうのはつらかったです。家から一歩も出ない時期もありましたよ。
クリス:どれぐらいの期間ですか?
松任谷:レコーディングにも入ってしまったから、ゆうに3ヵ月は。
クリス:流行っていた、Zoomを使った飲み会はされましたか?
松任谷:まったくしませんでした。レギュラーのラジオ番組はリモートで収録していましたけどね。だけど、スタジオに行けるようになってからは「直接スタッフに会えるのって、やっぱりいいな」と感じましたね。
クリス:そうだったんですか。じゃあ、外出自粛期間中はご主人とずっと2人で過ごされていたんですね。
松任谷:そう。だから、レコーディングするしかなかったとも言えますね(笑)。
クリスに、このアルバムが自分にとってどんな存在かと問われると「一生、忘れない。どのアルバムも思い出はありますけど、死ぬときに、事細かにいろんなプロセスを思い出すと思います」と述べた。
2021年の9月からは、全国60公演に及ぶコンサートツアー「松任谷由実 コンサートツアー 深海の街」が予定されている。公演の詳細情報や、その他の最新情報は、松任谷由実の公式サイトをチェック。
『SAISON CARD TOKIO HOT 100では、J-WAVE全番組のオンエアチャート、インターネット投票、東京都内主要のCDショップのセールスチャート、ストリーミングを集計。J-WAVEのオフィシャルチャートとして、毎週100曲のオリジナルランキングをオンエアする。放送は毎週日曜日の13時から。
アルバム『深海の街』収録の『知らないどうし』
外出自粛期間中は、古典文学に触れて勇気をもらった
コロナ禍によって、人々の生活様式が大きく変化した2020年。松任谷はこの1年、改めて気付けたことがあったという。松任谷:5月あたりまでは気持ちがすごく落ちていましたね。だけど「ミュージシャンであることを絶対に忘れないぞ」という思いもあり、そこから本格的なレコーディングに入っていきました。
クリス:レコーディングはリモートでしたか?
松任谷:幸いなことに、自宅で録音できたんですよ。なにせ、1つの家にアーティストとプロデューサーが住んでいますからね(笑)。こんなに整った環境はないですよ。だけど、それと同じだけ厳しい面もあります。家事もやらないといけないですしね(笑)。創作的にはとても恵まれていた環境だったと思います。
クリス:そうだったんですね。そういえば、外出自粛期間中は日本の古典文学を読み漁ったとお聞きしました。
松任谷:読み漁ると言っていいのかわからないですが、まずは『方丈記』を読みましたね。そのあとは『枕草子』や『徒然草』にも目を通しました。『方丈記』は日本が歴史上もっとも悲惨だった時代の話ですよね。あの時代を生き残った人々のおかげで我々がいるんだってことが、書籍を通して実感できたので、不思議な勇気を与えられました。
クリス:もともと古典がお好きなんですか?
松任谷:そうですね。歌手として、古典や外来語といった、さまざまな言葉を知りたいという気持ちが強いです。シンガーソングライターという職業は、何が役に立つかわからないんですよ。なので、「今まで続けてきたことが間違っていなかったんだ」ということに気付くことができましたね。
「どこへも行けなくても、心のなかは掘り進めることができる」
松任谷はニューアルバム『深海の街』を12月1日(火)にリリースした。クリス:通算39枚目のアルバムになるんですね。すごいことですよ。今回のアルバムは、もともとは違うコンセプトで制作する予定だったそうですね。
松任谷:40年前である1980年12月1日は、『SURF&SNOW』というアルバムの発売日でもあったんですね。実はあのアルバムのジャケットにはね、「VOLUME ONE」ってなぜか書かれているんですよ。それでね、毎年冬にやっている苗場のリゾートライブ「SURF&SNOW in Naeba」も今回で40回目というタイミングなわけです。だから、アルバムを『SURF&SNOW VOLUME TWO』にしようかなと考えていたんです。だけど、コロナによってそのコンセプトは完全になくなってしまいました。なくなってしまったとはいえ、リゾートアルバムを作りたかったから、“脳内リゾート”にシフトして制作を進めました。『深海の街』というタイトルには、「どこへも行けなくても、心のなかは掘り進めることができる」というメッセージがあります。
クリス:なるほど。フィジカルではなくバーチャルな旅なんですね。リゾート要素は「旅」がキーワードとなって繋げてくれているんですね。
『深海の街』は、アルバムジャケットにも松任谷のメッセージが込められている。
12/1New Album「#深海の街 」発売を記念して、下記店舗にて、実際にジャケット撮影で使用した潜水服を展示いたします!
— 松任谷由実Staff (@YumingStaff) November 27, 2020
ぜひチェックしてみてくださいね!
【対象店舗】タワーレコード新宿店
7F上りエスカレーター正面催事スペース
【期間】2020年11月30日(月)開店~2020年12月14日(月) pic.twitter.com/DhphkObK1u
松任谷:潜水服の男女が抱き合っているアルバムジャケットなんですが、この絵でコロナを表現しています。そして、ジャケットの男女のポーズは『SURF&SNOW』と同じなんですよ。
クリス:お互いに触れることができないことを表しているんですね。
松任谷:それでも、人は繋がりたい。「愛しか残らない~深い海の底で 僕たちは気づいたんだ」というのが、『深海の街』に込めたメッセージです。
クリス:切ないですね。
松任谷:だけどね、切ないっていう感情が人間的なんじゃないかな。
クリス:そうですね。特に2020年は、切なさとどう向き合って生きていくかがテーマだったように感じます。
人と会うことが元気の源!
番組内では、松任谷由実の内面に迫るため、一問一答コーナーを実施した。「自分にとっての永久不滅のアイドルやヒロインは?」
松任谷:宗教的な答えになっちゃうな。聖母マリア様。自宅にフランスのルルドの泉を模したものがあって、そこにマリア様が飾ってあるんですよ。
「ユーミンの元気の源は?」
松任谷:やっぱり、人に会うことですかね。コロナ禍によって、それができないっていうのはつらかったです。家から一歩も出ない時期もありましたよ。
クリス:どれぐらいの期間ですか?
松任谷:レコーディングにも入ってしまったから、ゆうに3ヵ月は。
クリス:流行っていた、Zoomを使った飲み会はされましたか?
松任谷:まったくしませんでした。レギュラーのラジオ番組はリモートで収録していましたけどね。だけど、スタジオに行けるようになってからは「直接スタッフに会えるのって、やっぱりいいな」と感じましたね。
クリス:そうだったんですか。じゃあ、外出自粛期間中はご主人とずっと2人で過ごされていたんですね。
松任谷:そう。だから、レコーディングするしかなかったとも言えますね(笑)。
クリスに、このアルバムが自分にとってどんな存在かと問われると「一生、忘れない。どのアルバムも思い出はありますけど、死ぬときに、事細かにいろんなプロセスを思い出すと思います」と述べた。
2021年の9月からは、全国60公演に及ぶコンサートツアー「松任谷由実 コンサートツアー 深海の街」が予定されている。公演の詳細情報や、その他の最新情報は、松任谷由実の公式サイトをチェック。
『SAISON CARD TOKIO HOT 100では、J-WAVE全番組のオンエアチャート、インターネット投票、東京都内主要のCDショップのセールスチャート、ストリーミングを集計。J-WAVEのオフィシャルチャートとして、毎週100曲のオリジナルランキングをオンエアする。放送は毎週日曜日の13時から。
radikoで聴く
2020年12月13日28時59分まで
PC・スマホアプリ「radiko.jpプレミアム」(有料)なら、日本全国どこにいてもJ-WAVEが楽しめます。番組放送後1週間は「radiko.jpタイムフリー」機能で聴き直せます。
番組情報
- SAISON CARD TOKIO HOT 100
-
日曜13:00-16:54