J-WAVEで放送中の番組『~JK RADIO~ TOKYO UNITED』(ナビゲーター:ジョン・カビラ)のワンコーナー「FEATURE FOCUS」。11月27日(金)のオンエアでは、ドキュメンタリー映画『NETFLIX 世界征服の野望』を制作した映画監督ショーン・コーセンがゲストに登場。急成長する動画配信サービス運営会社「Netflix」について話を訊いた。
自由なクリエイティブの場を提供―Netflixと他企業の大きな違い
1997年に創業したNetflixは、当初郵便によるDVDレンタル事業を展開。その後、オンラインDVDレンタルサービス事業を経て、2007年からストリーミング配信サービス業に移行した。現在のNetflix有料会員数は全世界でおよそ1億8300万人とされ、他サービスの追随を許さない。そんなNetflixの裏側に迫ったドキュメンタリー作品『NETFLIX 世界征服の野望』が、12月11日(金)に公開を迎える。
『NETFLIX 世界征服の野望』予告編/2020年12月11日(金)より全国ロードショー
ドキュメンタリーでNetflixを掘り下げようと思ったきっかけは何だったのか。
ショーン:映画制作のきっかけは、書籍『NETFLIX コンテンツ帝国の野望:GAFAを超える最強IT企業』(新潮社)を読んだことです。Netflixのライバルだったビデオ・DVDレンタルチェーン店「ブロックバスター」との戦いを読んでいるうちに「これはおもしろい」と思いました。Netflixが巨大な企業になった過程に興味を持ったんです。
ジョン:調べていくうちにどんなことがわかりましたか?
ショーン:映画『タイタニック』を想像してみてください。あの映画で何が起こったか、みなさんイメージできるかと思います。しかしNetflixが通った道のりは、みなさんが想像するような道のりではありません。インターネット・バブルが弾けたとき、Netflixは大打撃を受けました。ところが、Netflixは見事に軌道修正しました。「コンテンツの魅力に注目した」という点に私は注目しました。
ショーン監督は他企業とNetflixを比較したうえで、Netflixの強みを説明する。
ショーン: Netflixはストリーミングマーケティングをはじめた最初の企業なんですね。だから、先駆者としてのメリットがあります。ディズニーも素晴らしい仕事をしており、ストリーミングプラットフォーム「Disney+」を新たに作りました。しかしディズニーは「Hulu」との提携もあり、権利が錯綜している部分があります。「Amazonプライム・ビデオ」には潤沢な資金がありますが、Amazonでドッグフードが売れたところで「Amazonプライム・ビデオ」の質が上がるかどうか。
ジョン:「Apple TV+」はどうですか?
ショーン:「Apple TV+」も十分な資金があります。ところが、ヒット作に恵まれていません。だから、今後の展開は少し難しいかもしれません。
良質な作品を生み出し続けるNetflixは、世界各国からさまざまなクリエイターを惹きつけている。「クリエイターに自由なクリエイティブの場を提供する」というイメージが定着していることが大きな要因だとショーンは述べる。
ショーン:たとえば『アイリッシュマン』(2019年/マーティン・スコセッシ監督)という作品がありますよね。この映画は膨大な予算と長過ぎる上映時間(3時間30分)がネックとなって、メジャーなハリウッドスタジオに断られてしまったんです。そこへ手を差し伸べたのがNetflixでした。そして『アイリッシュマン』は大ヒット作品となった。Netflixが勝利を手にしたわけです。Netflixは「どういったものを作りたいか」というビジョンを成就させてくれます。
『アイリッシュマン』予告編
ジョン:日本ではアニメや邦画もNetflixで配信しています。Netflixがローカライズに力を入れているのはなぜでしょう。
ショーン:『アベンジャーズ』のようなメガヒット作品は世界にいきますが、メガヒット作品以外にも、それぞれの国で受け入れられる作品があります。ハリウッドから来る作品が全て成功するというわけではないと、Netflixが証明しているのです。たとえばスペインのテレビドラマ『ペーパー・ハウス』は、Netflixを通して世界中でヒットしました。Netflixには各国の作品を波及させられるパワーがあります。
『ペーパー・ハウス』パート2予告編
今後のNetflix
最後にショーン監督が、今後のNetflixについて自身の考えを述べた。
ショーン:Netflixはハリウッドビジネスに多大な影響を与えていて、ものすごく資金があります。みなさんが子どもの頃はDVDを手に取る時代でしたが、今はストリーミングで自由に選択できるようになりました。「良質な作品を作る」ことを追求し続けるNetflixは、アメリカのみならず世界に視野を広げて今後も活躍すると思います。
『~JK RADIO~ TOKYO UNITED』のワンコーナー「FEATURE FOCUS」では、日本、そして世界で進行形のニュースの当事者、もしくはその事情通に話を聞く。放送は毎週金曜の7時15分頃から。
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