J-WAVEで放送中の番組『SAPPORO BEER OTOAJITO』(ナビゲーター:クリス・ペプラー)。ビールを飲みながら、クリスとゲストが音楽談義を繰り広げる番組だ。
11月13日(金)のオンエアでは、キーボーディストでプロデューサーとして活躍するKan Sanoが登場。自身の音楽ルーツなどを語った。Sanoは11月25日(水)にアルバム『Susanna』をリリースする。
Sano:あのときはビックリしました。
クリス:Sanoくんの音楽は好きだし、あのときはアルバムをリリースした直後だったからライブで聴きたいなと思って。よかったですよ。
Sano:ありがとうございます。あのときのことをすごく覚えています。
クリス:金沢はいい街だよね。
金沢で育ったSanoに、クリスは「よく帰るんでしょ?」と問いかける。
Sano:毎年お正月とお盆は必ず帰っています。ライブもなにかしらやっていて、このあいだもライブを「金沢21世紀美術館」で開催して、最高でした。
クリス:僕がSanoくんのライブを観たときって、円形ステージで「みなさん360度お好きなところで」みたいな感じだったけど、今回もそうだったの?
Sano:今回はちゃんと席を用意して、椅子に座っていただきました。
クリス:故郷で毎年ライブをするっていうのはいいよね。
Sano:金沢は10代のころのライブ活動を始めた場所なので。
Sano:ミスチルを聴いていたら親が「ザ・ビートルズも聴いたら?」と勧めてくれて。初めての洋楽だったので最初はよくわからなかったです。『Come Together』という渋い曲から入るアルバム『アビイ・ロード』だったんです。「なんなんだ、これは」と思いながら、他にCDもなかったのでずっと聴いていたら「めちゃくちゃかっこいいな」と思えてきて。そこから中学3年間はひたすらビートルズでした。
クリス:ピアノはいつから弾き始めたの?
Sano:ピアノもほぼ同じ時期ですね。ビートルズみたいにピアノやギターを弾きながら歌うことに憧れて、自分で勝手に触り始めました。
Sano:高校生ぐらいになると、演奏志向というか「ピアノがうまくなりたいな」という気持ちも強くなって、そうするとジャズとかも聴くようになっていきました。そこからブラックミュージック、ジャズ、ソウル、ファンク、当時はネオソウルとか、そういうものも一気に聴き始めて「留学をしたいな」と思うようになりましたね。
クリス:ジャズの勉強は我流?
Sano:当時、近所のCDショップに行くと「ジャズの名盤カタログ」みたいなフリーペーパーで置いてあって、そこで紹介されていたマイルス・デイヴィス、ジョン・コルトレーン、ソニー・ロリンズ、ビル・エヴァンスを片っ端から聴いていって「これがジャズの世界なんだ」みたいな。最初は全然わからないんですけど、ずっと聴いていると「かっこいいな」と思って。
クリス:マイルス・デイヴィスのアルバム『ビッチェズ・ブリュー』を聴いてかっこいいと思った?
Sano:ぶっ飛びました。
クリス:俺も高校生のときに「こんなの聴いてる俺って絶対にかっこいいだろうな」と思って聴いたんだけど、全然わからなくてさ(笑)。でもSanoくんは『ビッチェズ・ブリュー』を最初に聴いたときにかっこいいと思ったんだ。
Sano:思いましたね。高校1年生の夏で、よく覚えているんです。
クリス:すごいな。
Sano:夏休みに部屋で、ヘッドホンで初めて聴いて「なんだ、この音楽は!」「わけがわからないけどかっこいい!」ってなりましたね。それはけっこう運命の分かれ道だったなと思います。
クリス:そこからスティーヴィー・ワンダーみたいな曲を弾いていたわけだ。
Sano:そのころスティーヴィーはもう聴いていたんですけど、『ビッチェズ・ブリュー』はいろいろなジャンルがごっちゃになっていて、わけがわからなかったです。当時はなんでも聴いていて、ジョン・ケージや武満 徹、ジョン・ゾーンといった現代音楽やアバンギャルドにも興味がありました。
クリス:15歳ぐらいで?
Sano:そうですね。
クリス:けっこうませてたんだね。
Sano:そうかもしれないです(笑)。だから周りにしゃべる人がいなくて、ひとりで黙々と聴いていました。
クリス:そうやって黙々と聴いて悶々としているわけじゃない? そのマインドは誰と共有していたの?
Sano:誰とも。パソコンがなくてネットもやっていなかったので、すごく孤独でしたよ。
クリス:じゃあ自分でこの趣味を開発していったんだ。
Sano:そうです。雑誌を買うお金もないので、CDショップだけが頼りでした。でも高校2、3年生ぐらいになると、地元の大学のジャズ研究会の人とバンドをやるようになって、そうすると先輩たちがどんどんといろいろなレコードを教えてくれるんです。趣味も自分と近いから、そこでようやく共有ができたという感じですね。「こんな世界があるんだ」っていう。
クリス:マイルスが『ビッチェズ・ブリュー』を作る理由も、「こいつら全然音楽をわかってないのに、なんでロックがすごく流行っていて、ものすごいお金を儲けているんだ。俺はこれだけ音楽を知っているのに……。じゃあ俺もこんなことをやろう」みたいな。そこでロックとのフュージョンをね。
Sano:「俺のほうができるはずだ」みたいなね。
クリス:そうそう。あれがすごく生々しくて。今をときめくミュージシャンはなんだかんだ言ってみんなマイルスだもんね。
Sano:新しい音楽、まだ誰も聴いたことがない音楽をクリエイトするのがアーティストだと思いますけど、そのヒントがマイルスにあるんじゃないかと思うんですよね。
クリス:マイルスがハービー・ハンコックに「Don't play the butter notes(バターノーツを弾くな)」って言ったのはどう思う?
Sano:真似がうまいですね(笑)。あれは僕も何かで読んだんですけど、本人は「バターノーツ」って言ってなくて。ハービーはその言葉を「当たり前のように弾いていた音を一回省いてみろ」みたいに解釈した。そうしたらハービーのプレイがすごいことになった。結果的にマイルスがすごいなということなんです。
11月20日(金)の『SAPPORO BEER OTOAJITO』でも、引き続きKan Sanoが登場する。放送は23時から。
11月13日(金)のオンエアでは、キーボーディストでプロデューサーとして活躍するKan Sanoが登場。自身の音楽ルーツなどを語った。Sanoは11月25日(水)にアルバム『Susanna』をリリースする。
『Susanna』収録曲の『DT pt.3』 [Official Music Video]
Sanoのルーツ「金沢」でのライブ
2019年に金沢で開かれたSanoのライブに、クリスは訪れていたという。Sano:あのときはビックリしました。
クリス:Sanoくんの音楽は好きだし、あのときはアルバムをリリースした直後だったからライブで聴きたいなと思って。よかったですよ。
Sano:ありがとうございます。あのときのことをすごく覚えています。
クリス:金沢はいい街だよね。
金沢で育ったSanoに、クリスは「よく帰るんでしょ?」と問いかける。
Sano:毎年お正月とお盆は必ず帰っています。ライブもなにかしらやっていて、このあいだもライブを「金沢21世紀美術館」で開催して、最高でした。
クリス:僕がSanoくんのライブを観たときって、円形ステージで「みなさん360度お好きなところで」みたいな感じだったけど、今回もそうだったの?
Sano:今回はちゃんと席を用意して、椅子に座っていただきました。
クリス:故郷で毎年ライブをするっていうのはいいよね。
Sano:金沢は10代のころのライブ活動を始めた場所なので。
ミスチルを買い、母のすすめでザ・ビートルズに出会った
Sanoが初めて購入した音楽は、Mr.Children(以下、ミスチル)の『innocent world』。11歳ごろだったという。Sano:ミスチルを聴いていたら親が「ザ・ビートルズも聴いたら?」と勧めてくれて。初めての洋楽だったので最初はよくわからなかったです。『Come Together』という渋い曲から入るアルバム『アビイ・ロード』だったんです。「なんなんだ、これは」と思いながら、他にCDもなかったのでずっと聴いていたら「めちゃくちゃかっこいいな」と思えてきて。そこから中学3年間はひたすらビートルズでした。
クリス:ピアノはいつから弾き始めたの?
Sano:ピアノもほぼ同じ時期ですね。ビートルズみたいにピアノやギターを弾きながら歌うことに憧れて、自分で勝手に触り始めました。
「わけがわからないけどかっこいい!」運命のアルバム
その後、Sanoは音楽の名門、バークリー音楽大学に入り、ピアノ専攻ジャズ作曲科を卒業。入学に至った経緯について語った。Sano:高校生ぐらいになると、演奏志向というか「ピアノがうまくなりたいな」という気持ちも強くなって、そうするとジャズとかも聴くようになっていきました。そこからブラックミュージック、ジャズ、ソウル、ファンク、当時はネオソウルとか、そういうものも一気に聴き始めて「留学をしたいな」と思うようになりましたね。
クリス:ジャズの勉強は我流?
Sano:当時、近所のCDショップに行くと「ジャズの名盤カタログ」みたいなフリーペーパーで置いてあって、そこで紹介されていたマイルス・デイヴィス、ジョン・コルトレーン、ソニー・ロリンズ、ビル・エヴァンスを片っ端から聴いていって「これがジャズの世界なんだ」みたいな。最初は全然わからないんですけど、ずっと聴いていると「かっこいいな」と思って。
クリス:マイルス・デイヴィスのアルバム『ビッチェズ・ブリュー』を聴いてかっこいいと思った?
Sano:ぶっ飛びました。
クリス:俺も高校生のときに「こんなの聴いてる俺って絶対にかっこいいだろうな」と思って聴いたんだけど、全然わからなくてさ(笑)。でもSanoくんは『ビッチェズ・ブリュー』を最初に聴いたときにかっこいいと思ったんだ。
Sano:思いましたね。高校1年生の夏で、よく覚えているんです。
クリス:すごいな。
Sano:夏休みに部屋で、ヘッドホンで初めて聴いて「なんだ、この音楽は!」「わけがわからないけどかっこいい!」ってなりましたね。それはけっこう運命の分かれ道だったなと思います。
クリス:そこからスティーヴィー・ワンダーみたいな曲を弾いていたわけだ。
Sano:そのころスティーヴィーはもう聴いていたんですけど、『ビッチェズ・ブリュー』はいろいろなジャンルがごっちゃになっていて、わけがわからなかったです。当時はなんでも聴いていて、ジョン・ケージや武満 徹、ジョン・ゾーンといった現代音楽やアバンギャルドにも興味がありました。
クリス:15歳ぐらいで?
Sano:そうですね。
クリス:けっこうませてたんだね。
Sano:そうかもしれないです(笑)。だから周りにしゃべる人がいなくて、ひとりで黙々と聴いていました。
クリス:そうやって黙々と聴いて悶々としているわけじゃない? そのマインドは誰と共有していたの?
Sano:誰とも。パソコンがなくてネットもやっていなかったので、すごく孤独でしたよ。
クリス:じゃあ自分でこの趣味を開発していったんだ。
Sano:そうです。雑誌を買うお金もないので、CDショップだけが頼りでした。でも高校2、3年生ぐらいになると、地元の大学のジャズ研究会の人とバンドをやるようになって、そうすると先輩たちがどんどんといろいろなレコードを教えてくれるんです。趣味も自分と近いから、そこでようやく共有ができたという感じですね。「こんな世界があるんだ」っていう。
マイルスは「誰も聴いたことがない音楽をクリエイトするヒント」がある
マイルスのことを非常に尊敬しているというSanoは、彼の音楽に向かう姿勢なども含めて深く影響を受けたと語る。ふたりはマイルスのドキュメンタリー映画『マイルス・デイヴィス:クールの誕生』の話題で盛り上がった。クリス:マイルスが『ビッチェズ・ブリュー』を作る理由も、「こいつら全然音楽をわかってないのに、なんでロックがすごく流行っていて、ものすごいお金を儲けているんだ。俺はこれだけ音楽を知っているのに……。じゃあ俺もこんなことをやろう」みたいな。そこでロックとのフュージョンをね。
Sano:「俺のほうができるはずだ」みたいなね。
クリス:そうそう。あれがすごく生々しくて。今をときめくミュージシャンはなんだかんだ言ってみんなマイルスだもんね。
Sano:新しい音楽、まだ誰も聴いたことがない音楽をクリエイトするのがアーティストだと思いますけど、そのヒントがマイルスにあるんじゃないかと思うんですよね。
クリス:マイルスがハービー・ハンコックに「Don't play the butter notes(バターノーツを弾くな)」って言ったのはどう思う?
Sano:真似がうまいですね(笑)。あれは僕も何かで読んだんですけど、本人は「バターノーツ」って言ってなくて。ハービーはその言葉を「当たり前のように弾いていた音を一回省いてみろ」みたいに解釈した。そうしたらハービーのプレイがすごいことになった。結果的にマイルスがすごいなということなんです。
11月20日(金)の『SAPPORO BEER OTOAJITO』でも、引き続きKan Sanoが登場する。放送は23時から。
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2020年11月20日28時59分まで
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番組情報
- SAPPORO BEER OTOAJITO
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毎週金曜23:00-23:30