【J-WAVE『SONAR MUSIC』から最新音楽情報をお届け】
J-WAVEで放送中の番組『SONAR MUSIC』(ナビゲーター:あっこゴリラ)では、毎回ゲストを迎え、様々なテーマを掘り下げていく。10月15日(木)のオンエアでは、映画、ドラマ、アニメといった映像作品で流れる音楽「劇伴」を中心に手がける作曲家の澤野弘之と、OKAMOTO'Sのオカモトショウがゲストとして登場。知られざるサウンドトラックの世界に迫った。
澤野:作曲自体は、CHAGE and ASKAの曲に憧れて歌ものから入ったんです。小室哲哉さんのような作曲家を目指していたんですけど、あるときジブリの音楽に触れて、そっち(サウンドトラック)の世界にすごく興味を持ったのがきっかけです。
あっこゴリラ:サウンドトラックを作る際、どういうことを意識されていますか?
澤野:僕が今まで携わってきた作品は、エンターテインメントものが多かったので、抑揚であったり、よりエンターテインメント性を強調できるような音楽を意識しています。
澤野さんを支持するクライアントからは、どのような依頼が集まってくるのだろうか。
澤野:壮大なオーケストラにパーカッションやシーケンスなどのリズムを融合させるハリウッド的なサウンドに僕が影響を受けていることもあり、そうしたアプローチによって、より迫力やエンターテインメント感を強調する音楽を求められることが多いです。あとは歌の楽曲も多用するので、劇中歌であったり、歌声を取り入れた楽曲を求められることも増えました。
あっこゴリラ:サウンドトラックを作る前に、作品ってどのくらい観ますか?
澤野:ものすごく細かく確認するというよりは、作品の全体的な世界観や物語などを絵コンテやシナリオ・デザインなどから把握する感じです。原作がある場合、ある程度読むこともあります。
ショウ:もちろん作品ごとに違うとはいえ、例えば“戦い”にしてもそんなに何個も何個も無限にアイデアって出てくるものなんですか?
澤野:やっぱりそれは一人の人間が作っているので、共通してくる部分は出てきちゃうと思います。でも、時代と共に流行る音楽も変わってくるので、そのとき流行っているサウンドを取り入れることで、ちょっと違う音に聴こえるっていうのもあると思います。
あっこゴリラ:なるほど~! おもしろい! ここまで話を聞いてきて、ショウくん的には劇場アニメ『HELLO WORLD』のサウンドトラックを制作したときと近いもの感じますか?
ショウ:俺らはシーンに合わせて全部作っていくスタイルだったんですよね。普通は選曲家が間に入るんですけど、今回はなしで直にやり取りしていこうって話だったんです。ちょっと特殊というか、『HELLO WORLD』は全然違いましたね。
あっこゴリラ:このサウンドトラックを手がけることになったきっかけは何だったんですか?
ショウ:監督や制作チームの中で、何か新しいことをしたいっていうのがあったみたいで。サントラもプロにお願いするんじゃなくて、そこに対しては初心者みたいな俺たちに声が掛かりました。きっといろいろと挑戦したかったんだと思います。
あっこゴリラ:豪華なメンバーが揃ってるけど、これはOKAMOTO'Sが選んだの?
ショウ:うん。選ぶ権限を与えてもらって、自分たちの信用できる人たちにオファーしました。
あっこゴリラ:1年くらいかけてサウンドトラック作ったってことだけど、出来上がった作品『HELLO WORLD』を観たときの感想はどうでした?
ショウ:不思議な気持ちでしたね。映画音楽に携わったことがなくて、絵コンテが出来上がる前から見てたんですけど、自分たちがアルバム作った感動とはまたちょっと違って、すごく不思議な感覚でした。映画作りにのめり込む人の気持ちがわかる気がしましたね。
■ハンス・ジマー
担当作品:『ダークナイト』『パイレーツ・オブ・カリビアン』『インセプション』など
澤野:ハリウッドを代表する作曲家です。リズムトラックやサウンドエフェクトなどを強調した、近年のハリウッドサウンドを作り出した作曲家であることと、常に楽曲の世界観やサウンドで前進しているところがすごいと思います。僕が追いかけている作曲家でもあります。
■ダニー・エルフマン
担当作品:『バットマン』『スパイダーマン』『レッド・ドラゴン』など
澤野:ハンス・ジマー同様にリズムトラックとオーケストラを組み合わせて常に面白いサウンドを作っていることと、メロディがない楽曲でもオーケストレーションやフレージングで強烈な印象を残せるのがすごいと毎回感じています。
■トレント・レズナー(ナイン・インチ・ネイルズ)
担当作品:『ウォッチメン』『ドラゴン・タトゥーの女』『ソーシャル・ネットワーク』など
澤野:エレクトロニックなサウンドを駆使して、常に奇抜でありながらも印象的な音楽を作っているところがすごいです。ロックバンドのアーティストだからこそ作れるサウンドトラックなのかなと思います。
■トーマス・ニューマン
担当作品:『セント・オブ・ウーマン/夢の香り』『ジョー・ブラックをよろしく』『パッセンジャー』など
澤野:メロディアスで感動的なオーケストラの楽曲も素晴らしいのですが、ミニマル的なアプローチで構築するサウンドにおいて、この人ならでは音を感じさせられます。
続いて、作品単位でおすすめのサウンドトラックを教えてもらった。
■『インターステラー』(ハンス・ジマー)
澤野:これは少し意味合いが変わるのですが、音楽単体(サウンドトラック)だけで聴くと淡々としていて全体的にそこまで印象に残らないのですが、映画を観るとどの楽曲もシーンに効果的に使われ、映画を観る前と観た後では楽曲への感情移入が大きく変わったことです。作品がサウンドに与える影響力を改めて感じた映画でした。
■『ミッション:インポッシブル』
オリジナル(『スパイ大作戦』):ラロ・シフリン
1996年:アダム・クレイトン、 ラリー・マレン・ジュニア
2000年:リンプ・ビズキット
澤野:単純に、今聴いてもカッコいいと思えるシンプルなフレーズで、原曲は5拍子ですが、Adam Clayton & Larry MullenやLimp Bizkitがやったような4拍子のバージョンが、よりこの曲に惹かれるきっかけになりました。
澤野:作品の世界観も重要ですが、僕自身はサウンドトラックが1つのオリジナルアルバムになるような、映画を観ていなくても音楽単体としても面白く感じることが出来るサウンドを大切にしています。
あっこゴリラ:最後に、ずばり澤野さんにとってサントラ作りとは?
澤野:作品をより感情的にしたり、抑揚をつける力になるための音楽だと思って僕らは制作しています。結果的に音楽側が作品に力をもらって視聴者に届いているのを常に感じています。お互いに共鳴し、作用するところにやりがいを感じています。
J-WAVEで放送中の番組『SONAR MUSIC』(ナビゲーター:あっこゴリラ)では、毎回ゲストを迎え、様々なテーマを掘り下げていく。10月15日(木)のオンエアでは、映画、ドラマ、アニメといった映像作品で流れる音楽「劇伴」を中心に手がける作曲家の澤野弘之と、OKAMOTO'Sのオカモトショウがゲストとして登場。知られざるサウンドトラックの世界に迫った。
劇伴ではエンタメ性の強調を意識
澤野は、映画、ドラマ、アニメなどの音楽を手がける一方で、アーティストへの楽曲提供・編曲など精力的に活動している。これまでに、『進撃の巨人』『機動戦士ガンダムNT』『機動戦士ガンダムUC』、ドラマ『医龍』、連続テレビ小説『まれ』など、数多くの作品のサウンドトラックを手掛けている。2014年春以降は、ボーカル楽曲に重点を置いたプロジェクト「SawanoHiroyuki[nZk]」も展開中だ。そんな澤野がサウンドトラックを作り始めたきっかけは何だったのか。澤野:作曲自体は、CHAGE and ASKAの曲に憧れて歌ものから入ったんです。小室哲哉さんのような作曲家を目指していたんですけど、あるときジブリの音楽に触れて、そっち(サウンドトラック)の世界にすごく興味を持ったのがきっかけです。
あっこゴリラ:サウンドトラックを作る際、どういうことを意識されていますか?
澤野:僕が今まで携わってきた作品は、エンターテインメントものが多かったので、抑揚であったり、よりエンターテインメント性を強調できるような音楽を意識しています。
澤野さんを支持するクライアントからは、どのような依頼が集まってくるのだろうか。
澤野:壮大なオーケストラにパーカッションやシーケンスなどのリズムを融合させるハリウッド的なサウンドに僕が影響を受けていることもあり、そうしたアプローチによって、より迫力やエンターテインメント感を強調する音楽を求められることが多いです。あとは歌の楽曲も多用するので、劇中歌であったり、歌声を取り入れた楽曲を求められることも増えました。
あっこゴリラ:サウンドトラックを作る前に、作品ってどのくらい観ますか?
澤野:ものすごく細かく確認するというよりは、作品の全体的な世界観や物語などを絵コンテやシナリオ・デザインなどから把握する感じです。原作がある場合、ある程度読むこともあります。
ショウ:もちろん作品ごとに違うとはいえ、例えば“戦い”にしてもそんなに何個も何個も無限にアイデアって出てくるものなんですか?
澤野:やっぱりそれは一人の人間が作っているので、共通してくる部分は出てきちゃうと思います。でも、時代と共に流行る音楽も変わってくるので、そのとき流行っているサウンドを取り入れることで、ちょっと違う音に聴こえるっていうのもあると思います。
あっこゴリラ:なるほど~! おもしろい! ここまで話を聞いてきて、ショウくん的には劇場アニメ『HELLO WORLD』のサウンドトラックを制作したときと近いもの感じますか?
ショウ:俺らはシーンに合わせて全部作っていくスタイルだったんですよね。普通は選曲家が間に入るんですけど、今回はなしで直にやり取りしていこうって話だったんです。ちょっと特殊というか、『HELLO WORLD』は全然違いましたね。
「出来上がった作品を観たときは不思議な感覚だった」
劇場アニメ『HELLO WORLD』のサウンドトラック制作について触れたショウ。同作ではOKAMOTO'Sがハブとなり、企画に賛同したOfficial髭男dism、Nulbarich、OBKR、Yaffle、STUTS、BRIAN SHINSEKAIらとともに音楽を手がけた。映画『HELLO WORLD(ハロー・ワールド)』予告
ショウ:監督や制作チームの中で、何か新しいことをしたいっていうのがあったみたいで。サントラもプロにお願いするんじゃなくて、そこに対しては初心者みたいな俺たちに声が掛かりました。きっといろいろと挑戦したかったんだと思います。
あっこゴリラ:豪華なメンバーが揃ってるけど、これはOKAMOTO'Sが選んだの?
ショウ:うん。選ぶ権限を与えてもらって、自分たちの信用できる人たちにオファーしました。
あっこゴリラ:1年くらいかけてサウンドトラック作ったってことだけど、出来上がった作品『HELLO WORLD』を観たときの感想はどうでした?
ショウ:不思議な気持ちでしたね。映画音楽に携わったことがなくて、絵コンテが出来上がる前から見てたんですけど、自分たちがアルバム作った感動とはまたちょっと違って、すごく不思議な感覚でした。映画作りにのめり込む人の気持ちがわかる気がしましたね。
映画「HELLO WORLD」/2027Soundトレーラー
近年のハリウッドサウンドを築いた劇伴作家は?
ここでサウンドトラックの制作に携わる澤野が、「すごい!」と思う劇伴作家やサントラ作品を、具体例を挙げながら紹介した。■ハンス・ジマー
担当作品:『ダークナイト』『パイレーツ・オブ・カリビアン』『インセプション』など
澤野:ハリウッドを代表する作曲家です。リズムトラックやサウンドエフェクトなどを強調した、近年のハリウッドサウンドを作り出した作曲家であることと、常に楽曲の世界観やサウンドで前進しているところがすごいと思います。僕が追いかけている作曲家でもあります。
『A Watchful Guardian』(『ダークナイト』より)
『パイレーツ・オブ・カリビアン』メドレー(Live)
『Time』(『インセプション』より)
担当作品:『バットマン』『スパイダーマン』『レッド・ドラゴン』など
澤野:ハンス・ジマー同様にリズムトラックとオーケストラを組み合わせて常に面白いサウンドを作っていることと、メロディがない楽曲でもオーケストレーションやフレージングで強烈な印象を残せるのがすごいと毎回感じています。
『バットマン』より
『スパイダーマン』より
『レッド・ドラゴン』より
担当作品:『ウォッチメン』『ドラゴン・タトゥーの女』『ソーシャル・ネットワーク』など
澤野:エレクトロニックなサウンドを駆使して、常に奇抜でありながらも印象的な音楽を作っているところがすごいです。ロックバンドのアーティストだからこそ作れるサウンドトラックなのかなと思います。
『ウォッチメン』エンドクレジット
『Immigrant Song』(『ドラゴン・タトゥーの女』より)
『In Motion』(『ソーシャル・ネットワーク』より)
担当作品:『セント・オブ・ウーマン/夢の香り』『ジョー・ブラックをよろしく』『パッセンジャー』など
澤野:メロディアスで感動的なオーケストラの楽曲も素晴らしいのですが、ミニマル的なアプローチで構築するサウンドにおいて、この人ならでは音を感じさせられます。
『セント・オブ・ウーマン/夢の香り』より
『Whisper of a Thrill』(『ジョー・ブラックをよろしく』より)
『Spacewalk』(『パッセンジャー』より)
■『インターステラー』(ハンス・ジマー)
『S.T.A.Y.』(『インターステラー』より)
■『ミッション:インポッシブル』
オリジナル(『スパイ大作戦』):ラロ・シフリン
1996年:アダム・クレイトン、 ラリー・マレン・ジュニア
2000年:リンプ・ビズキット
ラロ・シフリン版『ミッション:インポッシブル』
アダム・クレイトン、 ラリー・マレン・ジュニア版『ミッション:インポッシブル』
リンプ・ビズキット版『ミッション:インポッシブル』
サントラづくりで大事にしていること
おすすめの劇伴作家や作品を紹介した澤野が、サウンドトラック作りで大切にしていることは何なのだろうか。澤野:作品の世界観も重要ですが、僕自身はサウンドトラックが1つのオリジナルアルバムになるような、映画を観ていなくても音楽単体としても面白く感じることが出来るサウンドを大切にしています。
あっこゴリラ:最後に、ずばり澤野さんにとってサントラ作りとは?
澤野:作品をより感情的にしたり、抑揚をつける力になるための音楽だと思って僕らは制作しています。結果的に音楽側が作品に力をもらって視聴者に届いているのを常に感じています。お互いに共鳴し、作用するところにやりがいを感じています。
番組情報
- SONAR MUSIC
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月・火・水・木曜21:00-24:00