これから新たなスタートを切りたいと思っている人や、1歩踏み出そうとしている人、勇気が持てなくてあと1歩が踏み出せない人に向けて、いきものがかりがラジオを通じて元気とYELLを送る9時間のスペシャルプログラム『J-WAVE HOLIDAY SPECIAL YELL FROM IKIMONOGAKARI』8月10日(月・祝)にオンエアした。
ここでは、水野良樹がいきものがかりのミュージックビデオを数多く手掛ける映像ディレクターで映画監督の三木孝浩とリモート対談したパートをお届けする。
三木によると、「昨日数えてみたら、いきものがかりは12作品手掛けていました」とのこと。なかでも水野の印象に残っているのは、『夏空グラフィティ』のミュージックビデオ撮影だ。
水野:サイパンで撮影しましたよね。初めてのサイパンロケでした。三木さんが徳島出身ということで目の前で阿波踊りを踊ってくれて、それで大好きになっちゃって(笑)。それから何作も撮っていただきましたけど、三木さんの思い出に残っていることってありますか?
三木:『夏空グラフィティ』は自分にとっても思い出深い作品ですね。(吉岡)聖恵ちゃんが「まだTシャツとデニムのイメージを維持し続けたほうがいいんじゃないか」って話もありながら、初めて撮影でスカートを履いたんですよね。
水野:まだスカートがNGの頃ですね(笑)。そこからある意味でいろんなものが解禁されていき、僕らにとってもきっかけをいただいた作品になりましたね。
三木:撮影日数だと短距離走とマラソンくらいの違いはあるけど、観ている人の心を動かすエモーションみたいなものは共通しているので、モチベーションというか、作る意識はわりと近いと思います。
水野:三木さんは毎回、ミュージックビデオの撮影に素晴らしい絵コンテを用意されていますけど、どこから着想を得て描いているんですか?
三木:写真が多いかもしれないですね。写真集を見るのが好きなので、いろんな写真を見て、イメージとか光の感じとか構図とかがいいなと思ったら、それを覚えておいて映像に落とし込むことはやっているかもしれません。
水野:それが映画の撮影になると、役者の芝居の間合いとかも関わってきますよね。それって計算されていくものなんですか?
三木:もちろん現場にはある程度、計算していくんですけど、意外性というか予想もしなかった芝居が出てきたときのほうがグッときたりするので、映画はそういう面白さがありますね。
水野:なるほど。役者の芝居がいい意味で想像以上になる瞬間って、ワクワクするものですか。
三木:ワクワクしますね。それがミュージシャンにとってのライブと近いというか。CDを作ったときとはまた違ったエモーションがライブではあったりすると思うので、お客さんと作る空気でより新しいものが生まれる感じは、映画と近いような気がしますね。
水野は、三木のディレクションでミュージックビデオが変わる部分があったと振り返る。
水野:たとえば、『笑顔』の撮影では、いろんな人の表情をアップで撮りましたよね。そのときに三木さんが言葉巧みに笑顔を誘い出すというか(笑)。その意図がわかっちゃうとよくないじゃないですか。そこらへんで三木さんはコミュニケーションをすごくうまく取ってくれるんですよね。あと、完成したときの喜びがありますね。
三木:『笑顔』のミュージックビデオもすごく印象に残っていますね。さっき聖恵ちゃんの顔を見ましたけど、先日、結婚のニュースを聞いて本当にうれしくて。ここ最近で一番うれしかったくらいのニュースですね。
水野:これまで関わってくれた方々が親戚のおじちゃん・おばちゃんみたいになってて(笑)。
三木:本当にそういう感覚で、今まで人を笑顔にしたり幸せにしたりしてくれている聖恵ちゃん本人が幸せになってくれると、受け手としてこんなにうれしいことはないなって感じですね。
水野:なかなか映画館で映画を観ることができないなど、すごく困難な状況もありました。今後はどんなビジョンを描いていますか?
三木:やっぱり映画を作る以上は、大きなスクリーンで観てもらいたいという思いがあります。まだまだ映画館はソーシャルディスタンスを保ちながら鑑賞するようなかたちですけど、それでも映画館に足を運んでくださる人がけっこういますので、そういう人たちに向けて映画を作り続けて生きたいなと思っています。緊急事態宣言が出て映画館が開けられないときに、僕たちは完全リモートの環境で『リレー空想映画』という作品を作りました。
・『リレー空想映画』
http://www.stardust-directors.jp/relaykuusoueiga
三木:同じ事務所の北村匠海くんや中川大志くんなど役者のみんなで、勝手に台本を作って、それを最終的にはサウンドドラマにしたりしていて、映画館には行けないけど「こんな映画があったらいいな」って物語を空想ながらリレー形式で作りました。
水野:空想っていうのも、めちゃくちゃ面白いですね。予算とかも関係ないですからね(笑)。
三木:そうそう(笑)。
水野:でも、それがもしかしたら本当の映画として実現するかもしれないですよね。
三木は「こういう大変な状況だからこそ、エンタテインメントが必要」と語る。
三木:つらかったり苦しかったりする人の心に寄り添える作品を作っていきたいと思いますね。
水野:それこそ、外出自粛期間中は多くの人が自宅でたくさんの映画を観ていますよね。三木さんの作品もそうですけど、映画って公開されてからはずっと残っていろんな人が出会っていく。そう考えるとこの時期だけのものではないなって思いますね。
三木:僕もそう思いますね。
また、10月には映画『きみの瞳が問いかけている』も公開を控えている。
水野:連続していますが、体力は大丈夫ですか? 映画の制作ってタフじゃないとできないようなイメージなんですけど。
三木:現場ってすごく楽しいですよ。みんなでものを作るって本当に楽しいなって思いますね。水野(良樹)くんも一人で曲作りをするのは大変だけど、ライブのほうが楽しいって感じもあるんじゃないですか。
水野:わかります。
三木:みんなでステージを作り上げるってね。
水野:楽しいですよね。チームになるとね。
三木:自分だけの力だけでは及ばないところに、みんなとなら行けることが現場の魅力だと思います。
水野:僕たちもツアーなると思い出も残るし、終わったときの達成感がありますよね。
三木は自身の撮影現場には「楽しく・真面目に・テンポ良く」という3箇条があるのだとか。
三木:でも、第一は楽しむってことですよね。どんなスタッフでも全員が現場を楽しんでいないと、作った作品でお客さんを楽しませられないと思っているので、現場を楽しむことをスタッフができたらいいなと思っています。
水野:三木さんは、現場で笑顔じゃないときってないようなイメージですよね。
三木:なんとなく映画の現場ってピリピリしているようなイメージがあるけど、僕は怒鳴ったりするととかすごくイヤなので、そうならないようにしていますね。
水野:そういうことがチームの空気に現れているんでしょうね。
三木:現場の空気は作品に出ると思っているので。
水野:『YELL』と『じょいふる』のミュージックビデオの撮影は、同じロケ地で一日目に『YELL』を三木さんに撮ってもらって、次の日に『じょいふる』をスミスさんに撮ってもらったんですけど、『じょいふる』の撮影のときに三木さんが現場の掃除を一緒にやってくれたことをすごく覚えています(笑)。監督なのになんていい人なんだって(笑)。
三木:(笑)。現場は全員野球ですからね。
水野:そういうところが、ああいう作品を生み出しているんだなと感じます。
最後に、水野は三木に「また、いきものがかりの作品も撮ってほしい」と伝え、「ぜひ!」と固い約束を交わすふたりだった。
ここでは、水野良樹がいきものがかりのミュージックビデオを数多く手掛ける映像ディレクターで映画監督の三木孝浩とリモート対談したパートをお届けする。
『夏空グラフィティ』は思い出深い作品
三木はいきものがかりが2007年にリリースした6枚目のシングル『夏空グラフィティ』からはじまり、『帰りたくなったよ』『YELL』『ノスタルジア』など数多くのミュージックビデオを手掛けてきた。三木によると、「昨日数えてみたら、いきものがかりは12作品手掛けていました」とのこと。なかでも水野の印象に残っているのは、『夏空グラフィティ』のミュージックビデオ撮影だ。
水野:サイパンで撮影しましたよね。初めてのサイパンロケでした。三木さんが徳島出身ということで目の前で阿波踊りを踊ってくれて、それで大好きになっちゃって(笑)。それから何作も撮っていただきましたけど、三木さんの思い出に残っていることってありますか?
三木:『夏空グラフィティ』は自分にとっても思い出深い作品ですね。(吉岡)聖恵ちゃんが「まだTシャツとデニムのイメージを維持し続けたほうがいいんじゃないか」って話もありながら、初めて撮影でスカートを履いたんですよね。
水野:まだスカートがNGの頃ですね(笑)。そこからある意味でいろんなものが解禁されていき、僕らにとってもきっかけをいただいた作品になりましたね。
(504) それまでTシャツとジーンズという衣装にしばられていた吉岡も、「夏空グラフィティ」のミュージックビデオでは初めてスカートを履く。信じられるだろうか、その当時、吉岡がスカートを履くか履かないかで大人たちは本当に会議室で議論していたのだ。
— 水野良樹 (@mizunoyoshiki) March 27, 2016
映画とライブは似ている?
三木は、『ソラニン』や『アオハライド』など数多くの映画の監督も務めてきた。ミュージックビデオと映画は、監督としてどんな違いがあるのだろうか。三木:撮影日数だと短距離走とマラソンくらいの違いはあるけど、観ている人の心を動かすエモーションみたいなものは共通しているので、モチベーションというか、作る意識はわりと近いと思います。
水野:三木さんは毎回、ミュージックビデオの撮影に素晴らしい絵コンテを用意されていますけど、どこから着想を得て描いているんですか?
三木:写真が多いかもしれないですね。写真集を見るのが好きなので、いろんな写真を見て、イメージとか光の感じとか構図とかがいいなと思ったら、それを覚えておいて映像に落とし込むことはやっているかもしれません。
水野:それが映画の撮影になると、役者の芝居の間合いとかも関わってきますよね。それって計算されていくものなんですか?
三木:もちろん現場にはある程度、計算していくんですけど、意外性というか予想もしなかった芝居が出てきたときのほうがグッときたりするので、映画はそういう面白さがありますね。
水野:なるほど。役者の芝居がいい意味で想像以上になる瞬間って、ワクワクするものですか。
三木:ワクワクしますね。それがミュージシャンにとってのライブと近いというか。CDを作ったときとはまた違ったエモーションがライブではあったりすると思うので、お客さんと作る空気でより新しいものが生まれる感じは、映画と近いような気がしますね。
水野は、三木のディレクションでミュージックビデオが変わる部分があったと振り返る。
水野:たとえば、『笑顔』の撮影では、いろんな人の表情をアップで撮りましたよね。そのときに三木さんが言葉巧みに笑顔を誘い出すというか(笑)。その意図がわかっちゃうとよくないじゃないですか。そこらへんで三木さんはコミュニケーションをすごくうまく取ってくれるんですよね。あと、完成したときの喜びがありますね。
三木:『笑顔』のミュージックビデオもすごく印象に残っていますね。さっき聖恵ちゃんの顔を見ましたけど、先日、結婚のニュースを聞いて本当にうれしくて。ここ最近で一番うれしかったくらいのニュースですね。
水野:これまで関わってくれた方々が親戚のおじちゃん・おばちゃんみたいになってて(笑)。
三木:本当にそういう感覚で、今まで人を笑顔にしたり幸せにしたりしてくれている聖恵ちゃん本人が幸せになってくれると、受け手としてこんなにうれしいことはないなって感じですね。
大変な状況だからこそ、エンタテインメントが必要
続いて、コロナ禍におけるエンタテインメントの話題に。三木は外出自粛の期間、「ギリギリ撮影は終わっていたので、編集作業とか家でできることをやっていました」と言う。水野:なかなか映画館で映画を観ることができないなど、すごく困難な状況もありました。今後はどんなビジョンを描いていますか?
三木:やっぱり映画を作る以上は、大きなスクリーンで観てもらいたいという思いがあります。まだまだ映画館はソーシャルディスタンスを保ちながら鑑賞するようなかたちですけど、それでも映画館に足を運んでくださる人がけっこういますので、そういう人たちに向けて映画を作り続けて生きたいなと思っています。緊急事態宣言が出て映画館が開けられないときに、僕たちは完全リモートの環境で『リレー空想映画』という作品を作りました。
・『リレー空想映画』
http://www.stardust-directors.jp/relaykuusoueiga
三木:同じ事務所の北村匠海くんや中川大志くんなど役者のみんなで、勝手に台本を作って、それを最終的にはサウンドドラマにしたりしていて、映画館には行けないけど「こんな映画があったらいいな」って物語を空想ながらリレー形式で作りました。
水野:空想っていうのも、めちゃくちゃ面白いですね。予算とかも関係ないですからね(笑)。
三木:そうそう(笑)。
水野:でも、それがもしかしたら本当の映画として実現するかもしれないですよね。
三木は「こういう大変な状況だからこそ、エンタテインメントが必要」と語る。
三木:つらかったり苦しかったりする人の心に寄り添える作品を作っていきたいと思いますね。
水野:それこそ、外出自粛期間中は多くの人が自宅でたくさんの映画を観ていますよね。三木さんの作品もそうですけど、映画って公開されてからはずっと残っていろんな人が出会っていく。そう考えるとこの時期だけのものではないなって思いますね。
三木:僕もそう思いますね。
三木の撮影現場の3箇条「楽しく・真面目に・テンポ良く」
三木が監督を務める映画『思い、思われ、ふり、ふられ』が8月14日(金)に公開された。映画『思い、思われ、ふり、ふられ』予告
映画『きみの瞳が問いかけている』予告
三木:現場ってすごく楽しいですよ。みんなでものを作るって本当に楽しいなって思いますね。水野(良樹)くんも一人で曲作りをするのは大変だけど、ライブのほうが楽しいって感じもあるんじゃないですか。
水野:わかります。
三木:みんなでステージを作り上げるってね。
水野:楽しいですよね。チームになるとね。
三木:自分だけの力だけでは及ばないところに、みんなとなら行けることが現場の魅力だと思います。
水野:僕たちもツアーなると思い出も残るし、終わったときの達成感がありますよね。
三木は自身の撮影現場には「楽しく・真面目に・テンポ良く」という3箇条があるのだとか。
三木:でも、第一は楽しむってことですよね。どんなスタッフでも全員が現場を楽しんでいないと、作った作品でお客さんを楽しませられないと思っているので、現場を楽しむことをスタッフができたらいいなと思っています。
水野:三木さんは、現場で笑顔じゃないときってないようなイメージですよね。
三木:なんとなく映画の現場ってピリピリしているようなイメージがあるけど、僕は怒鳴ったりするととかすごくイヤなので、そうならないようにしていますね。
水野:そういうことがチームの空気に現れているんでしょうね。
三木:現場の空気は作品に出ると思っているので。
水野:『YELL』と『じょいふる』のミュージックビデオの撮影は、同じロケ地で一日目に『YELL』を三木さんに撮ってもらって、次の日に『じょいふる』をスミスさんに撮ってもらったんですけど、『じょいふる』の撮影のときに三木さんが現場の掃除を一緒にやってくれたことをすごく覚えています(笑)。監督なのになんていい人なんだって(笑)。
三木:(笑)。現場は全員野球ですからね。
水野:そういうところが、ああいう作品を生み出しているんだなと感じます。
最後に、水野は三木に「また、いきものがかりの作品も撮ってほしい」と伝え、「ぜひ!」と固い約束を交わすふたりだった。
番組情報
- J-WAVE HOLIDAY SPECIAL YELL FROM IKIMONOGAKARI
-
8月10日(月・祝)9:00-17:55