J-WAVEがいま注目するさまざまなトピックをお届けする日曜夜の番組『J-WAVE SELECTION』。毎月第3日曜は、震災復興プログラム『Hitachi Systems HEART TO HEART』(ナビゲーター:GAKU-MC)をお届けしている。
6月21日(日)のオンエアでは、作家で演出家の鴻上尚史がゲストに登場。「音楽・舞台のライブの灯を消すな」をテーマに新型コロナウイルス感染症における劇団・音楽界の影響やこれからについてトークを展開した。
今回のオンエアは新型コロナウイルスの感染予防を鑑み、鴻上とのスタジオトークおよび取材はリモートで行われた。
■できるだけ生であることにこだわりたい
今回、GAKU-MCは東京都・墨田区を拠点に活動する劇団「シアターキューブリック」の女優で広報担当の奥山静香さんを取材した。
「シアターキューブリック」は4月の開催予定で長い時間をかけ準備してきた劇団結成20周年記念公演『幸せな孤独な薔薇』を延期。自分たちの表現の場を失っただけではなく、アルバイト先も失って経済的にも苦境に陥っている劇団員たちが愛してやまない演劇の魅力について熱く語る。
GAKU-MC:まず、舞台の魅力を教えて下さい。
奥山:私は舞台を総合芸術だと思っています。俳優の演技もそうですが、スタッフワーク、照明、音響、劇場に来られるお客さまなどが一体になってはじめて生まれる芸術だと思っているので、そこが一番の魅力ですね。
GAKU-MC:新型コロナウイルス感染症(以下「新型コロナ」)の影響で公演が中止になったと劇団のメンバーに伝えた時はどんな様子でしたか?
奥山:お客さまはもちろん、自分たち(劇団)がキャストやスタッフを守れなくなるので、ごめんなさいと言わなきゃいけないことがつらかったですね。お新型コロナがこの先どうなるか全く予想がつかなくて、それによってみなさんが不安になってしまい、劇場にお客さまが来られない可能性が高くなりました。世論の影響もあって、みなさんが楽しめない状況で作品を発表することはよくないのではないかということで、中止の話をせざるを得なかった状況です。
新型コロナの影響により劇場で公演ができないため、劇団は公演を映像で配信するなどの動きもあった。
奥山:映像でいろいろなことを試していくことはすごくいいことだと思います。過去の映像を配信したり、新しく映像を作り配信したり、そういう動きもたくさんあると思うんですけど、「シアターキューブリック」としてはできるだけ生であることにこだわりたいという思いがあります。お客さまと一緒に生まれるものの大きさを強く感じています。
GAKU-MC:よくわかります。そうですよね。
奥山:演じている側もお客さまからのエネルギーがあってはじめて生まれる感動などもあると思うので、舞台芸術として、そこは追求していきたいと思っています。
奥山さんはリスナーに向けて「生で観られる環境に早くなったらいいなと思います。そのときは演劇を生で楽しんでいただけたら」とメッセージを送った。
奥山さんの話を聞き、鴻上は「今、演劇界の人々はリモート演劇など映像で発信していることは素敵なことだけど、その内容がどんどん面白くなると演劇じゃなくて映画になるのではないか」と話し「演劇が演劇たらしめるものはライブ、その場で出会うことだ」と強調。
2009年に公演の鴻上の舞台『僕たちの好きだった革命』に役者として出演したGAKU-MCも、演劇には生でしか味わえない魅力があると鴻上に同調した。
■ライブハウス「ファンダンゴ」に取材。奇跡に触れ合える場になれば
続いて、GAKU-MCは大阪・堺市にあるライブハウス「ファンダンゴ」の店長・村上隆彦さんを取材。昨年7月まで大阪・十三にあった「ファンダンゴ」は、ウルフルズをはじめ、多くの有名バンドやミュージシャンが拠点にしていた場所としても知られる伝説のライブハウス。新型コロナ発生後も変わらないライブハウスの役割について訊いた。
GAKU-MC:村上さんにとってライブハウスはどういう場所だと思いますか?
村上:お客さんも新たな面白い人間に会える場所であり、自分自身の感情を一番さらけ出せる場所でもあると思います。
GAKU-MC:激しく鳴り響く音楽のなか、泣きながら飛び跳ねている子たちもいますしね。僕もライブハウスで歌っているときって、生きてるぜって感じになりますからね。
村上:同じアーティストでも日によってお客さんが毎回変わるし、その時の時代背景などが重なってその日一日の奇跡になる。その奇跡的な非日常を、もっともっといろんな人が日常として触れ合える場所になればいいなと思います。
今後、新型コロナによって音楽業界にどのような影響があるのだろうか。
村上:ライブハウスもそうですけど、アーティストも辛抱時ですね。オンラインで発信する新たなかたちも見えるし、この場所でしか味わえない熱狂感が復活したときには大爆発すると思います。そのときに、音楽だけじゃなくていろんな文化が混ざり合う場所になればいいと思っています。
GAKU-MC:ライブハウスはいつも一期一会の奇跡が起こる場所だと思っています。これから「ファンダンゴ」が思い描いていることを教えて下さい。
村上:完全にこのウイルスがゼロになってライブハウスに200人、300人も入れていいよという状況はすぐにはこないと思うので、そこは新型コロナと向き合ってウイルスをゼロにしていく行動もとりつつ、自分自身が何よりしっかりしていないといけない。負けたらこの場所もアーティストも来られるお客さんも終わってしまうので、ここからもっとつらい時期になるかもしれないけど、僕ら自身やライブハウスが「あなたたちを応援する場所ですよ」と発信していきたいですね。
村上さんの話から鴻上は「劇場もライブハウスも予想を超えたことがあるからこそ、みんなが集まる」と思いを述べる。
鴻上:そういった意味ではとても貴重で守らなくてはいけない場所だと思います。
GAKU-MC:ライブハウスも感情が動く代表的な場所ですからね。
鴻上:本当にそう思います。演劇業界とか音楽業界が自粛要請から休業補償を求めたときに、「好きなことをやっているんだから、自業自得だよ」という声もかなり多くて、それはやっぱり演劇界としてもすごくショックでした。普段からここは大切な場所で、実は生きていくうえでは欠かせないものなのだとちゃんと伝えていかなくてはいけない。それは活動でも伝えるし、こういう場でも伝えなきゃいけないとすごく思いました。
最後に、鴻上は、劇場は人が非日常と出会う場所だと話し、「自分の日常を見つめ直したりもできる、いろいろな機能がある場所」とその重要さを語る。
GAKU-MC:その舞台の火を消さないために、今は何が必要だと思いますか?
鴻上:新型コロナは日々状況が変わっているのでどうなるかわからない。緊急事態宣言の解除の時には客席は50パーセント以下にしなさいという指導があったりしました。それだと興業は成立しないので、いろんな方法を考えながらなんとか上演できる方法を探りたいと思います。
GAKU-MCは番組を振り返りながら、音楽・演劇関係の人たちに向けて、「共に止まらずに自分の信じた道を進みながら、発信し続けていきましょう」と呼びかけた。
番組では他にも、自粛ポリスから張り紙を張られても「誰かを勇気づけたい」と前を向く東京・高円寺の「お茶の間ダイニングカフェ&ライブ小屋☆いちよん」店主・村田裕昭さんの取材を紹介する場面もあった。
また、オンエア当日に行われた「100万人のキャンドルナイト」にちなみ、GAKU-MCがキャンドルナイトを推奨する一曲『take it slow』を弾き語りで披露した。
【GAKU-MCの弾き語りをradikoで聴く】(2020年6月28日28時59分まで)
鴻上が5月に上梓した一冊『鴻上尚史のもっとほがらか人生相談 息苦しい「世間」を楽に生きる処方箋』(朝日新聞出版)もぜひ手に取ってみてほしい。
【この記事の放送回をradikoで聴く】(2020年6月28日28時59分まで)
PC・スマホアプリ「radiko.jpプレミアム」(有料)なら、日本全国どこにいてもJ-WAVEが楽しめます。番組放送後1週間は「radiko.jpタイムフリー」機能で聴き直せます。
【番組情報】
番組名:『Hitachi Systems HEART TO HEART』
放送日時:毎月第3日曜 22時-22時54分
オフィシャルサイト:https://www.j-wave.co.jp/special/hearttoheart/
6月21日(日)のオンエアでは、作家で演出家の鴻上尚史がゲストに登場。「音楽・舞台のライブの灯を消すな」をテーマに新型コロナウイルス感染症における劇団・音楽界の影響やこれからについてトークを展開した。
今回のオンエアは新型コロナウイルスの感染予防を鑑み、鴻上とのスタジオトークおよび取材はリモートで行われた。
■できるだけ生であることにこだわりたい
今回、GAKU-MCは東京都・墨田区を拠点に活動する劇団「シアターキューブリック」の女優で広報担当の奥山静香さんを取材した。
「シアターキューブリック」は4月の開催予定で長い時間をかけ準備してきた劇団結成20周年記念公演『幸せな孤独な薔薇』を延期。自分たちの表現の場を失っただけではなく、アルバイト先も失って経済的にも苦境に陥っている劇団員たちが愛してやまない演劇の魅力について熱く語る。
GAKU-MC:まず、舞台の魅力を教えて下さい。
奥山:私は舞台を総合芸術だと思っています。俳優の演技もそうですが、スタッフワーク、照明、音響、劇場に来られるお客さまなどが一体になってはじめて生まれる芸術だと思っているので、そこが一番の魅力ですね。
GAKU-MC:新型コロナウイルス感染症(以下「新型コロナ」)の影響で公演が中止になったと劇団のメンバーに伝えた時はどんな様子でしたか?
奥山:お客さまはもちろん、自分たち(劇団)がキャストやスタッフを守れなくなるので、ごめんなさいと言わなきゃいけないことがつらかったですね。お新型コロナがこの先どうなるか全く予想がつかなくて、それによってみなさんが不安になってしまい、劇場にお客さまが来られない可能性が高くなりました。世論の影響もあって、みなさんが楽しめない状況で作品を発表することはよくないのではないかということで、中止の話をせざるを得なかった状況です。
新型コロナの影響により劇場で公演ができないため、劇団は公演を映像で配信するなどの動きもあった。
奥山:映像でいろいろなことを試していくことはすごくいいことだと思います。過去の映像を配信したり、新しく映像を作り配信したり、そういう動きもたくさんあると思うんですけど、「シアターキューブリック」としてはできるだけ生であることにこだわりたいという思いがあります。お客さまと一緒に生まれるものの大きさを強く感じています。
GAKU-MC:よくわかります。そうですよね。
奥山:演じている側もお客さまからのエネルギーがあってはじめて生まれる感動などもあると思うので、舞台芸術として、そこは追求していきたいと思っています。
奥山さんはリスナーに向けて「生で観られる環境に早くなったらいいなと思います。そのときは演劇を生で楽しんでいただけたら」とメッセージを送った。
奥山さんの話を聞き、鴻上は「今、演劇界の人々はリモート演劇など映像で発信していることは素敵なことだけど、その内容がどんどん面白くなると演劇じゃなくて映画になるのではないか」と話し「演劇が演劇たらしめるものはライブ、その場で出会うことだ」と強調。
2009年に公演の鴻上の舞台『僕たちの好きだった革命』に役者として出演したGAKU-MCも、演劇には生でしか味わえない魅力があると鴻上に同調した。
■ライブハウス「ファンダンゴ」に取材。奇跡に触れ合える場になれば
続いて、GAKU-MCは大阪・堺市にあるライブハウス「ファンダンゴ」の店長・村上隆彦さんを取材。昨年7月まで大阪・十三にあった「ファンダンゴ」は、ウルフルズをはじめ、多くの有名バンドやミュージシャンが拠点にしていた場所としても知られる伝説のライブハウス。新型コロナ発生後も変わらないライブハウスの役割について訊いた。
GAKU-MC:村上さんにとってライブハウスはどういう場所だと思いますか?
村上:お客さんも新たな面白い人間に会える場所であり、自分自身の感情を一番さらけ出せる場所でもあると思います。
GAKU-MC:激しく鳴り響く音楽のなか、泣きながら飛び跳ねている子たちもいますしね。僕もライブハウスで歌っているときって、生きてるぜって感じになりますからね。
村上:同じアーティストでも日によってお客さんが毎回変わるし、その時の時代背景などが重なってその日一日の奇跡になる。その奇跡的な非日常を、もっともっといろんな人が日常として触れ合える場所になればいいなと思います。
今後、新型コロナによって音楽業界にどのような影響があるのだろうか。
村上:ライブハウスもそうですけど、アーティストも辛抱時ですね。オンラインで発信する新たなかたちも見えるし、この場所でしか味わえない熱狂感が復活したときには大爆発すると思います。そのときに、音楽だけじゃなくていろんな文化が混ざり合う場所になればいいと思っています。
GAKU-MC:ライブハウスはいつも一期一会の奇跡が起こる場所だと思っています。これから「ファンダンゴ」が思い描いていることを教えて下さい。
村上:完全にこのウイルスがゼロになってライブハウスに200人、300人も入れていいよという状況はすぐにはこないと思うので、そこは新型コロナと向き合ってウイルスをゼロにしていく行動もとりつつ、自分自身が何よりしっかりしていないといけない。負けたらこの場所もアーティストも来られるお客さんも終わってしまうので、ここからもっとつらい時期になるかもしれないけど、僕ら自身やライブハウスが「あなたたちを応援する場所ですよ」と発信していきたいですね。
村上さんの話から鴻上は「劇場もライブハウスも予想を超えたことがあるからこそ、みんなが集まる」と思いを述べる。
鴻上:そういった意味ではとても貴重で守らなくてはいけない場所だと思います。
GAKU-MC:ライブハウスも感情が動く代表的な場所ですからね。
鴻上:本当にそう思います。演劇業界とか音楽業界が自粛要請から休業補償を求めたときに、「好きなことをやっているんだから、自業自得だよ」という声もかなり多くて、それはやっぱり演劇界としてもすごくショックでした。普段からここは大切な場所で、実は生きていくうえでは欠かせないものなのだとちゃんと伝えていかなくてはいけない。それは活動でも伝えるし、こういう場でも伝えなきゃいけないとすごく思いました。
最後に、鴻上は、劇場は人が非日常と出会う場所だと話し、「自分の日常を見つめ直したりもできる、いろいろな機能がある場所」とその重要さを語る。
GAKU-MC:その舞台の火を消さないために、今は何が必要だと思いますか?
鴻上:新型コロナは日々状況が変わっているのでどうなるかわからない。緊急事態宣言の解除の時には客席は50パーセント以下にしなさいという指導があったりしました。それだと興業は成立しないので、いろんな方法を考えながらなんとか上演できる方法を探りたいと思います。
GAKU-MCは番組を振り返りながら、音楽・演劇関係の人たちに向けて、「共に止まらずに自分の信じた道を進みながら、発信し続けていきましょう」と呼びかけた。
番組では他にも、自粛ポリスから張り紙を張られても「誰かを勇気づけたい」と前を向く東京・高円寺の「お茶の間ダイニングカフェ&ライブ小屋☆いちよん」店主・村田裕昭さんの取材を紹介する場面もあった。
また、オンエア当日に行われた「100万人のキャンドルナイト」にちなみ、GAKU-MCがキャンドルナイトを推奨する一曲『take it slow』を弾き語りで披露した。
【GAKU-MCの弾き語りをradikoで聴く】(2020年6月28日28時59分まで)
鴻上が5月に上梓した一冊『鴻上尚史のもっとほがらか人生相談 息苦しい「世間」を楽に生きる処方箋』(朝日新聞出版)もぜひ手に取ってみてほしい。
【この記事の放送回をradikoで聴く】(2020年6月28日28時59分まで)
PC・スマホアプリ「radiko.jpプレミアム」(有料)なら、日本全国どこにいてもJ-WAVEが楽しめます。番組放送後1週間は「radiko.jpタイムフリー」機能で聴き直せます。
【番組情報】
番組名:『Hitachi Systems HEART TO HEART』
放送日時:毎月第3日曜 22時-22時54分
オフィシャルサイト:https://www.j-wave.co.jp/special/hearttoheart/