DEAN FUJIOKAが聞く! 宇宙船の船内着を手がけたファッションデザイナー・芦田多恵の挑戦

J-WAVEで放送中の番組『ROPPONGI PASSION PIT』(ナビゲーター:DEAN FUJIOKA/三原勇希)。5月16日(土)のオンエアでは、ファッションデザイナーの芦田多恵がリモート出演。新しいことに次々とチャレンジする芦田の情熱を掘り下げた。

■ブランド歴史に甘えないために…メンズラインを立ち上げた経緯

芦田は、父である世界的デザイナー・芦田 淳が創業した、今年56周年を迎えるメゾン「ジュン アシダ」を受け継ぎ、自身のブランド「タエ アシダ」のデザインとともに、全体のクリエイティブディレクションを手掛けるファッションデザイナー。1991年にコレクションデビューし、2012年には自身の名を冠した「タエ アシダ コレクション」を発表。同年秋、第54回日本ファッション・エディターズ・クラブ特別賞を受賞した。

そんな「タエ アシダ」は2019年、ブランド初となるメンズラインをスタートさせた。芦田と歌舞伎を一緒に観に行った仲であるDEANは、「メンズはどのような経緯で始まったのか」と芦田に訊いた。

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つい先日、#ディーンフジオカ さんのラジオ番組”ROPPONGI PASSION PIT” にリモート出演致しました。 この様な最中に、ファッションデザイナーとして今の気持ちなどをお話しする機会を頂き、また直後から多くの皆様より「パワーをもらった」「バッキバキの情熱に感動した」など大きな反響を頂戴し、私に取りましても力強い励みとなりました。 ありがとうございました!  さて、Look 17です。 ラジオでもお話しした#メンズライン から、シワ加工のキルテッドポリエステル×レザー の#ブルゾン と今年のラッキーカラーでもあるイエローのナイロン #ダブルジャージー の前ジップのシャツとヴィスコース のパンツの#コーディネーション 。 袖にはちょっとロックな#刺繍 が施されています。  このスタイル、ネイビー男子へのファンタジー。 クリーンだけど随所に遊び心。 クールな顔をして着こなされちゃったら、女子は絶対に心を奪われること間違いなし! …と想像しながら、私も女子全開で楽しく#デザイン させて頂いております(笑)。  私のメンズウエアーは全部レディースと同じ素材で製作します。 だからメンズの皆様にとっても、ちょっぴり未知との遭遇な部分もあると思いますが、着心地は保証致します!  #taeashida 2020-2021 #awcollection Look 17 #quiltedpolyester x #leather #blousonjacket and #yellow nylon #doublejersey #frontzip #shirt viscose #naivyblue pants #coordination  #embroidery on #leathersleeve    #inspiration  #fashiondesign  #textiledesign  #doubleamplitude  #taeashidamens   #タエアシダ  2020-2021 #秋冬コレクション  #ファッションデザイン  #テキスタイルデザイン  #二重振幅     尚、”ROPPONGI PASSION PIT”は Radiko タイムフリーで5月23日までお聴き頂けます。

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芦田:2019年は会社の創立55周年。洋服を作る上では歴史も技術もあります。しかし、それゆえに生じる弊害や「なんでも作ることができる」というおごりが、自分やみんなの中にできあがっていることに気がつきました。自分としても会社としても、学びの姿勢や人から教えてもらわなければいけない状況が生まれるので、やったことのないことに着手することの必要性をすごく感じたんです。だから会社としても経験値のない分野にあえて飛び込みました。突然のようにある日「メンズやります!」とスタッフの前で宣言をしたんです。
DEAN:へ~!
芦田:みんなビックリ仰天。メンズの作り方なんて誰も答えを持っていないから「私もわからないけれどもみんなで考えよう」という感じでした。火事場の馬鹿力じゃないですけど、それぞれが考えてくれて勉強も努力もして、2019年3月に発表できたんです。
DEAN:あえて快適なゾーンから飛び出ることで、新しい成長を掴んだんですね。
芦田:そうですね。やってよかったとすごく思いました。怖がって手を出さないのは、安全な道を歩いているみたいだけど、挑戦してなにかを発見して初めて他のことにも相乗効果があるとよくわかりました。


■優しく、ときに厳しく後押ししてくれた父



芦田は両親ともにファッションデザイナーという、ファッション一家に生まれた。ファッションデザイナーを志した時期は覚えておらず、「生まれてみたらそういう環境にいたので、家業を継いだだけ」と淡々と語る。しかし、その経緯には意外なストーリーがあった。

芦田:アメリカの大学でファッションの技術を学んでから日本に帰国した頃、「自分はいろいろできる」という自信があったので、(父の会社とは)違うところに就職して自分で形にしてから家業を継ぐ流れを計画していました。しかし、帰国してみたら雇ってくれるところがなかったんです。芦田という名前なのでわかってしまうんですね。芦田 淳の娘で、しかも経験のない小娘でしたから、面倒くさいというのもあったでしょう。最終的には半年間の就活を経て、父から会社に誘われました(笑)。私は抵抗があったんですが、どこも雇ってくれないし、自分としては力が有り余っていたので入社しました。

半ば仕方なく「ジュン アシダ」に入社した芦田だったが、父にはとても感謝しているそうだ。

芦田:父が「アメリカで学んだならやってみろ」と言ってくれて、いろいろなことをやらせてくれました。それは本当に感謝しています。入社して1年くらいで、私が父の会社で仕事していることを知った雑誌社の方が、私に同年代の女の子に問いかける連載ページを作ってくださいました。そこで私の名前が初めて外に出て、連載も半年間の予定が延びるなど人気が出ました。そのときに父が「自分の名前で人様に発することをしているなら、きちんとデビューしないとおかしい。次のシーズンにデビューしなさい」と、いきなりライオンの親が子どもを崖から突き落とすように言われて(笑)。それでデビューしたんです。


■宇宙船の船内服をデザイン。機能性と“らしさ”の両立に苦心

芦田は2010年には、以前から交流のあった宇宙飛行士・山崎直子がスペースシャトル内で着用する船内服をデザインした。ファッションデザイナーが宇宙船内服をデザインしたのは世界初のことだった。

芦田:まだ山崎さんがシャトルに搭乗することが決まっていないときから「私が宇宙に行くときにはぜひ洋服をデザインしてね」と言われていたんです。私としては夢の中の話と思っていたら、あるとき彼女から「宇宙に行くことが決まったのでデザインしてほしい」とメールがきました。
DEAN:僕も仕事で宇宙服を着たことがありますが、すごく機能性を求められますよね。
芦田:私は宇宙服ではなく、船内服のシャツやパンツをデザインしたのですが、それでもやっぱり実用性のための条件がものすごくいろいろありましたね。宇宙は無重力なので、体だけでなく内臓も浮いて体型が変わるんです。よく絵で描かれる火星人の姿は一理ありまして、もちろんそこまでにはなりませんが、宇宙に行くにつれて体の上部がむくむ状態になるそうです。ウエストは細くなるので、地球ではピッタリでも宇宙では(服が)大きくなるため、アジャスト(調整)が必要でした。また、ポケットに入れたものが全部出てしまうので、マジックテープをつけなければいけない。とにかくいろいろな条件があったので、デザインをなくすデザインをしなければなりませんでした。
DEAN:ミニマリズムですね。
芦田:でも、山崎さんらしさの表現や私が作った意味も必要になると思いましたので、デザインをしないデザインとの戦いでした。ちょっとしたアクセントをつけたデザインを盛り込むと、途中のチェックですべて却下されてしまう(笑)。本当に難しいデザインでした。

芦田は試行錯誤の上、宇宙船内服を完成させた。しかし、「他に持っていくべき重要なものがあれば、もしかしたら船内服は宇宙に持っていけないかもしれません」と言われたのだとか。

三原:そんな~!
DEAN:せっかく作ったのに。
芦田:半ば諦めていたところ、山崎さんが宇宙に出られたという記事が新聞の一面に出ていました。そこには、山崎さんが私の作った船内服を着て無重力の中で宙返りをしている写真が写っていました。「持っていってくださったんだ!」とすごく感激したことを覚えています。


■ファッションはどんなときでも人に希望や夢を与える

新型コロナウイルスの影響で、毎年春と秋に国内外のブランドが新作ファッションを発表する「東京コレクション」は中止となり、ほとんどのブランドが新作を発表する機会を失った。芦田は「今はファッションの存在意義をすごく感じている」と語り、2011年東日本大震災当時を振り返った。

芦田:震災は今と状況こそ違うんですが、当時は「被災した方々にとってファッションってどういうものなんだろう」と、ファッションの必要性や自分がやっていることの無力さ、意味をすごく考えました。あるとき仮設住宅に何かお送りしようと思い、欲しいものを訊いたら「きれいなファッションが見たい。いつかこういうおしゃれを楽しんで外に出かけるという復興の希望になる」と言っていただいたんです。私はこんなときに華やかなファッションをお見せするなんて人の気持ちを逆なですると思っていたので、「そんなことでお役に立てるんだ!」と目から鱗でした。だから、今もおしゃれをして外に出かけられない状況だけれども、ファッションってどんなときでも人に希望や夢を与えられると実感しているところです。

最後に芦田は「情熱とは、確信を持って全身全霊で戦うこと」と語った。

芦田:モノを作る仕事はすごく感覚的なので、正解がないところで常に探りながら仕事をしています。だから、確信が自分の中にないとゴールが見えません。ただ、DEANさんも音楽を作っていらっしゃるときはそうだと思うんですが、自分の中で確信があると、そこに向かってまっしぐらに進めます。その確信がどこから生まれるかはわからないんだけど、あるとき「これだ!」と思うことがあるんです。それを見つけたら突き進むしかなくて、それを形にするまでは手段を選ばず絶対に到達するという気持ちでモノを作りたいといつも思っています。そういう行為が一言で「情熱」というのかなと思います。
DEAN:いや~、知ってたけど、やっぱり多恵さん、バッキバキですね(笑)。


■「今に活きてる」と語る、DEANの挑戦

芦田の話を聞き終えたDEANは、自分自身の挑戦について振り返った。

DEAN:モデルをしてたときは言葉がどうこうって感じなかったけど、演技の仕事をするようになって、最初が広東語の作品だったからすごく大変だった。台湾に移ったら北京語に切り替わって。いま思うとすごく大変だったね。自分が生まれた国じゃないところで現地の言葉を使って、現地の人たちに混じって現地の通貨を稼ぐって、けっこう難易度が高いのよ。いま考えるとよくやったなと思うよね(笑)。でも「違うな」と思ってやってきたことも、いま考えると、すごく活きてるなと思う。

『ROPPONGI PASSION PIT』は、東京・六本木に出現した、いろいろな人の“情熱”が集まり、重なり合い、さらに熱を増して燃え上がる秘密基地として、みんなの熱い思いを電波に乗せて発信。放送は毎週土曜23時から。

【この記事の放送回をradikoで聴く】(2020年5月23日28時59分まで)
PC・スマホアプリ「radiko.jpプレミアム」(有料)なら、日本全国どこにいてもJ-WAVEが楽しめます。番組放送後1週間は「radiko.jpタイムフリー」機能で聴き直せます。

【番組情報】
番組名:『ROPPONGI PASSION PIT』
放送日時:毎週日曜 23時-23時54分
オフィシャルサイト: https://www.j-wave.co.jp/original/passionpit/

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