J-WAVEで放送中の番組『~JK RADIO~TOKYO UNITED』(ナビゲーター:ジョン・カビラ)のワンコーナー「THE HIDDEN STORY」。2月28日(金)のオンエアでは、詩人・最果タヒが登場。詩を書き始めたきっかけや、詩に対する思いを語った。
■かつては言葉が苦手だった
最果は、詩集『夜空はいつでも最高密度の青色だ』(リトル・モア)が映画化されるなど、従来の“詩という文化のファン”以外からも注目を集めてきた詩人だ。昨年は、横浜美術館での個展も大きな話題を呼んだ。エッセイや小説の分野でも活躍しており、1月にはエッセイ集『「好き」の因数分解』(リトル・モア)を刊行。ミッフィーや、映画『風立ちぬ』、ドラマ『古畑任三郎』(フジテレビ)、BLANKEY JET CITY、マクドナルド「マックグリドル」など、48の“好き”について綴った一冊だ。
そんな最果が自らの言葉を発表し始めたのは、中学生の頃。「詩を書き始めようと思って書き始めたというより、最初の頃はネット上で誰のことも気にせずに文章を書ける場所がほしいなと思った」のだという。
最果:その頃はまだ中学生でしたが、人とお話をするときに相手が言ってほしいことを言ったり、空気を読むみたいなことが非常に怖くて、「言葉がすごく苦手だな」と思い始めていた時期だったんです。その頃に人の顔色を見て言葉を選ぶより、好きに書く場所が自然とほしくなりました。ブログで書いていた文章を見た人が「詩みたいだね」と言ったのがきっかけで「これは詩なのか」と思い始めました。
最果はこの頃に、3人組ロックバンド・BLANKEY JET CITYの曲に出会う。
最果:まわりの子たちの望んでいる言葉をしゃべるのがとても苦痛で、言葉に苦手意識があった時期にBLANKEYを聴いて、「言葉ってこんなにかっこいいんだ」ということを知りました。BLANKEYの歌詞は、知っている言葉なんだけど、見たことのない使われ方をしていました。今まで言葉は「こういうふうに使いましょう」と定義した意味合いや文脈で使うものだと思っていたんですが、それを無視して自分のなかでアップデートして使っていることに驚きました。最初に好きだったのは『冬のセーター』という曲で、歌詞の文脈が飛ぶんですよね。なぜ飛んでいるのかわからないけれど「説明がされないからこそわかる部分」みたいなものをすごく大事にしていると思いました。
■詩を書くときは、「感動させよう」と思うのではなく…
言葉への苦手意識を超えて詩人となった最果は今、言葉というものをどう捉えているのか。
最果:私は読む人の心を動かそうとか、読む人の心を代弁しようというのは、非常におこがましいことだなと思っています。人の気持ちってわからないじゃないですか。(学生時代も)クラスメイトの話がすべてはわからなくて、理解できるとはなかなか言えないなといつも思っていて。そういうこともあるせいで、言葉が苦手だと思っていたんです。だけど、書いていくうちにだんだんと「だからこそ言葉があるんじゃないか」と思うようになったんです。わかり合えないけれど、人というのは一緒にいるじゃないですか。「それでもお話がしたい」と思ったときに、言葉が存在するんだと思っています。わからないけれども、なにかが気になったり「もっと話したい」と思ったりしたときにある言葉のほうが、私は好きです。詩を書くときも、「みんなにわかってもらおう」「誰かを感動させよう」という気持ちを持つというよりは、自分自身にもわからないところまで言葉を飛翔させる、飛ばす感覚で書くことのほうがむしろ本質的だし、誰かに届くのではないかと思っています。
最果は3月13日に新刊『コンプレックス・プリズム』が発売予定。また、関西初個展「最果タヒ展 われわれはこの距離を守るべく生まれた、夜のために在る6等星なのです」の開催が控えている。6月17日から、京都・烏丸御池の京都文化博物館 別館ホールにて。活動の詳細は公式サイトやTwitterをチェック。
J-WAVE『~JK RADIO~ TOKYO UNITED』のワンコーナー「THE HIDDEN STORY」は、さまざまなフィールドで活躍する人物の裏側に迫る。放送は毎週金曜10時40分ごろから。
【この記事の放送回をradikoで聴く】(2020年3月6日28時59分まで)
PC・スマホアプリ「radiko.jpプレミアム」(有料)なら、日本全国どこにいてもJ-WAVEが楽しめます。番組放送後1週間は「radiko.jpタイムフリー」機能で聴き直せます。
【番組情報】
番組名:『~JK RADIO~TOKYO UNITED』
放送日時:毎週金曜 6時-11時30分
オフィシャルサイト: https://www.j-wave.co.jp/original/tokyounited/
■かつては言葉が苦手だった
最果は、詩集『夜空はいつでも最高密度の青色だ』(リトル・モア)が映画化されるなど、従来の“詩という文化のファン”以外からも注目を集めてきた詩人だ。昨年は、横浜美術館での個展も大きな話題を呼んだ。エッセイや小説の分野でも活躍しており、1月にはエッセイ集『「好き」の因数分解』(リトル・モア)を刊行。ミッフィーや、映画『風立ちぬ』、ドラマ『古畑任三郎』(フジテレビ)、BLANKEY JET CITY、マクドナルド「マックグリドル」など、48の“好き”について綴った一冊だ。
そんな最果が自らの言葉を発表し始めたのは、中学生の頃。「詩を書き始めようと思って書き始めたというより、最初の頃はネット上で誰のことも気にせずに文章を書ける場所がほしいなと思った」のだという。
最果:その頃はまだ中学生でしたが、人とお話をするときに相手が言ってほしいことを言ったり、空気を読むみたいなことが非常に怖くて、「言葉がすごく苦手だな」と思い始めていた時期だったんです。その頃に人の顔色を見て言葉を選ぶより、好きに書く場所が自然とほしくなりました。ブログで書いていた文章を見た人が「詩みたいだね」と言ったのがきっかけで「これは詩なのか」と思い始めました。
最果はこの頃に、3人組ロックバンド・BLANKEY JET CITYの曲に出会う。
最果:まわりの子たちの望んでいる言葉をしゃべるのがとても苦痛で、言葉に苦手意識があった時期にBLANKEYを聴いて、「言葉ってこんなにかっこいいんだ」ということを知りました。BLANKEYの歌詞は、知っている言葉なんだけど、見たことのない使われ方をしていました。今まで言葉は「こういうふうに使いましょう」と定義した意味合いや文脈で使うものだと思っていたんですが、それを無視して自分のなかでアップデートして使っていることに驚きました。最初に好きだったのは『冬のセーター』という曲で、歌詞の文脈が飛ぶんですよね。なぜ飛んでいるのかわからないけれど「説明がされないからこそわかる部分」みたいなものをすごく大事にしていると思いました。
■詩を書くときは、「感動させよう」と思うのではなく…
言葉への苦手意識を超えて詩人となった最果は今、言葉というものをどう捉えているのか。
最果:私は読む人の心を動かそうとか、読む人の心を代弁しようというのは、非常におこがましいことだなと思っています。人の気持ちってわからないじゃないですか。(学生時代も)クラスメイトの話がすべてはわからなくて、理解できるとはなかなか言えないなといつも思っていて。そういうこともあるせいで、言葉が苦手だと思っていたんです。だけど、書いていくうちにだんだんと「だからこそ言葉があるんじゃないか」と思うようになったんです。わかり合えないけれど、人というのは一緒にいるじゃないですか。「それでもお話がしたい」と思ったときに、言葉が存在するんだと思っています。わからないけれども、なにかが気になったり「もっと話したい」と思ったりしたときにある言葉のほうが、私は好きです。詩を書くときも、「みんなにわかってもらおう」「誰かを感動させよう」という気持ちを持つというよりは、自分自身にもわからないところまで言葉を飛翔させる、飛ばす感覚で書くことのほうがむしろ本質的だし、誰かに届くのではないかと思っています。
最果は3月13日に新刊『コンプレックス・プリズム』が発売予定。また、関西初個展「最果タヒ展 われわれはこの距離を守るべく生まれた、夜のために在る6等星なのです」の開催が控えている。6月17日から、京都・烏丸御池の京都文化博物館 別館ホールにて。活動の詳細は公式サイトやTwitterをチェック。
J-WAVE『~JK RADIO~ TOKYO UNITED』のワンコーナー「THE HIDDEN STORY」は、さまざまなフィールドで活躍する人物の裏側に迫る。放送は毎週金曜10時40分ごろから。
【この記事の放送回をradikoで聴く】(2020年3月6日28時59分まで)
PC・スマホアプリ「radiko.jpプレミアム」(有料)なら、日本全国どこにいてもJ-WAVEが楽しめます。番組放送後1週間は「radiko.jpタイムフリー」機能で聴き直せます。
【番組情報】
番組名:『~JK RADIO~TOKYO UNITED』
放送日時:毎週金曜 6時-11時30分
オフィシャルサイト: https://www.j-wave.co.jp/original/tokyounited/