ARは災害にどう役立つ? AR三兄弟が学生に講義

 J-WAVEで放送中の番組『INNOVATION WORLD』(ナビゲーター:川田十夢)。「KYOCERA TECHNOLOGY COLLEGE」のコーナーでは、各ジャンルの第一線で活躍するイノベーターたちを講師に招き学生向けの講義を実施している。11月15日(金)放送回では、ARの枠を超え、様々な分野で活躍しているAR三兄弟(川田十夢、高木伸二、佐渡島庸平)が講師を務めた講義の第三回目を放送した。


【この記事の放送回をradikoで聴く】(2019年11月21日28時59分まで)

■災害が起こるたびに研究者として思うこと

 この講義の三回目の放送としてのテーマは「ARが進む未来」。先日も台風で甚大な被害が発生したが、そのたびに研究者として自分たちが何かできたんじゃないか、と悔しい思いをしているとAR三兄弟は語った。

AR三兄弟:どのような分野で今後ARが役に立つのか、ARの可能性ということをお話するときに考えるんですが、台風であったり、地震であったり、そういったものに立ち向かう技術ということで自分たちに何かできないかといつも思うんです。研究者なら、そういうときに悔しい思いを一度は感じたことがあると思う。
 僕がやってきたARとはプロセスの省略や余白を作り出すことでもあるし、経験の受け渡しでもあると思っていて、例えば、津波が来ることがわかってて、どこに逃げれば助かるのかっていうのを場所ごとに計算することができて、それを住人に伝える仕組みを作っていれば助かった命もあるかもしれないんですよ。
 通信インフラについても僕は何回も悔しい思いをしていて、通信の偉い人に話を聞いたんですが、緊急時に使える帯域を持っていて重要情報を流せるようになっているそうなんです。でもじゃあ何を流すのかとか、有識者の準備がまだ十分ではないのかな、と。
 先ほどARは経験の受け渡しだと言いましたが、例えば地質学者が緊急時にこれまでの経験から判定した雪崩が起きやすい地域なんかを携帯電話にすぐ送信するとか、そういう技術をARで作っていくことができないかなと思ってるんです。


■「さみしい」気持ちをARで物に宿す

 ここで、現在4年生で卒業間近の女子大生からこんな質問が飛び出した。

学生:個人的にお別れが辛くて落ち込んでいます。来春卒業して就職するんですけど、小さいころからお別れするのがすごく辛くて泣いて眠れなかったりしていました。高校を卒業して大学生になった時には、別れが辛くてもいざ大学に通ってみると楽しい、最高! という風になっていたので、今回もたぶん会社に入社したら楽しくなると思うんですが、今はさみしいという気持ちが強くて。テクノロジー的には、この「さみしい」という感情はどうなるのですか?

AR三兄弟:いい質問ですね。たまに三兄弟でも、泣かせるコンテンツ作ってみようかっていう話は出てくるんですけど、やっぱ面白い方に振れちゃうことが多くて、すごく難しいと思ってます。
 僕が考える「さみしい」は、収める場所がない気持ちのことだと思っています。点から点に移動する時に、収納する場所がない感情が「さみしい」なのではないかと。実は、3、4年前に物に記憶を覚えさせるという作品を作ったことがあって、それは物に寄せ書きみたいにメッセージを記憶させて、その人の名前をかざすとその人のメッセージが出てくるようなものでした。だからやればできるんですけど、照れちゃって(笑)。
 例えば小さくなって着られなくなった子どもの服に、それを着ていた時の親御さんの記憶を残すとか、そういう現実と記憶と物を結びつけるということがARで実現可能なんです。いつか必要になった時に世の中にそれを出そうと思っています。

 授業の模様は、J-WAVEのYouTubeチャンネルでも公開中。ぜひチェックしてみてください!

【この記事の放送回をradikoで聴く】(2019年11月21日28時59分まで)
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【番組情報】
番組名:「INNOVATION WORLD」
放送日時:毎週金曜 20時00分-22時00分
オフィシャルサイト:https://www.j-wave.co.jp/original/innovationworld/

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