【エジプトの音楽事情】「女性がエンジニアになって何が悪い!」 社会へのメッセージを発するヒップホップ

J-WAVEで放送中の番組『SONAR MUSIC』(ナビゲーター:あっこゴリラ)。音楽プロデューサー、CD・レコードショップのバイヤー、ライブハウスのスタッフ、音楽評論家、海外在住の音楽ライターなどなど、様々なジャンルの音楽好きが日替わりでヤバい音を紹介する「GEEK OUT」のコーナー。

8月21日(水)は、エジプトの首都・カイロ在住の奥西元太さんが、現地の音楽事情を語った。


(奥西元太さん)


■エジプトでは社会問題を扱ったロックやヒップホップが人気に

奥西さんがアラビア語を勉強するためにエジプトで暮らしている。現在で2年、あと1年は住む予定だと語った。

奥西:エジプトの公用語は何語かご存知ですか?
あっこゴリラ:わからない! でも奥西さんがアラビア語を学んでいるということは......? 奥西:そうです、アラビア語です。エジプトでは2010年代以降、アラビア語でロックやラップをやるというムーブメントがきているんですよ。それまでもそういう音楽をやっている人はいたけれど、活躍の場がなかった。でも、2010年代以降はインターネットの普及によって、若いミュージシャンがYoutubeなどで音楽を届けられるようになったんです。それまでメインストリームで流行っているのはポップスばかりで、音楽シーンはやや閉鎖的だったので、広がりを見せました。
あっこゴリラ:へえ!
奥西:とくに2010年から2012年にかけて起きた「アラブの春」と呼ばれる民衆運動を機に、社会問題を扱ったメッセージ性の強いロックやラップが広く聴かれるようになりました。
あっこゴリラ:すごくいいことですね。今まで閉鎖的だったわけだから。カルチャーが始まるときってすごい爆発力ですよね。
奥西:はい、すごくおもしろいです。

奥西さんは、エジプトの若者の間で人気があるという男性ラッパー・Zap Tharwatの「Nour feat. Amina Khalil」を紹介。Zap Tharwatは社会問題を扱う曲を作っており、この曲は「女性がエンジニアをやって何が悪いんだ」というメッセージを発している。エジプトでは、エンジニアのような特定の技術職は男性の仕事という固定概念が強く、女性の社会進出を阻む原因になっているという。



あっこゴリラ:アメリカの文化の模倣という感じではなく、エジプトの楽器が使われていますよね?
奥西:はい。ウードという、アラブの弦楽器が使われています。日本でいうビワのような楽器ですね。繊細で表情豊かな音が出ます。見た目もコロコロしててかわいいんです。
あっこゴリラ:国の楽器を使い、国の問題を発しているというのが、すごくいいですね。世界中のヒップホップが知りたくなっちゃう。アラビア語のラップもカッコいいですね。
奥西:アラビア語のラップはパレスチナでも盛んです。アラビア語は、子音を重視する言語なので、ラップと相性がいいと思います。
あっこゴリラ:なるほど! 生まれるべくして生まれたという感じですね。

奥西さんが運営するTwitter「アラブ音楽bot」も要チェック!

【番組情報】
番組名:『SONAR MUSIC』
放送日時:月・火・水・木曜 21時−24時
オフィシャルサイト:https://www.j-wave.co.jp/original/sonarmusic/

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