津波で体育館の屋根が3秒でなくなった…藤巻亮太、東日本大震災の被災地を訪ねる

J-WAVEがいま注目するさまざまなトピックをお届けする日曜夜の番組『J-WAVE SELECTION』。毎月第3日曜は、震災復興プログラム『Hitachi Systems HEART TO HEART』(ナビゲーター:藤巻亮太)をお届けしています。4月21日(日)のオンエアでは、4月から1年間、この番組のナビゲーターを務める藤巻亮太が、時間の経過とともに風化されていく震災の記憶を語り継ぐ活動を取材しました。


■津波被害の状況を保存した施設へ

藤巻は、今年3月10日に宮城県気仙沼市に開館した東日本大震災を伝える施設「気仙沼市東日本大震災遺構・伝承館」を訪れました。まず最初に伝承館で画像や映像を観たあと、震災以降の宮城県気仙沼向洋高校旧校舎を見学。その後、伝承館に戻るというコースでした。

伝承館では、2011年3月11日に津波が気仙沼を飲み込む記録映像を観て、非常にショッキングだったと語る藤巻。その後、伝承館館長の佐藤克美さんの案内のもと、宮城県気仙沼向洋高校の旧校舎跡に移動し、藤巻は津波の威力を目の当たりにすることになりました。

この校舎の3階では、ぺしゃんこになったロッカーや、津波で流されて教室に流れ込んだ車が無造作に残されていました。

藤巻:津波被害の状況をほぼそのまま保存した校舎に残されていたのは、車だけはありません。近くにあった水産加工工場の冷蔵庫や住宅の残骸など、学校にはあり得ないものが散乱していました。



続いて、震災時に校舎に残った約50人が非難した校舎の屋上へと移動。そこから見える体育館跡について佐藤さんはこう語ります。

佐藤:先生方の証言によると、体育館の屋根が3秒でなくなったそうです。先生はこの屋上からすがるような思いで、その光景を見ていたと話していました。

震災から8年、ようやく公開がはじまった気仙沼市唯一の震災遺構。保存が決まった理由は、この学校の生徒約170人が内陸に避難して無事だったということでした。

佐藤:震災以降、気仙沼市で残す場所を決めるときに、普通は地元の方々が「学校はちょっと」となってしまうところを、「ここは誰も亡くなっていない場所であり、170人全員が避難して防災意識の強い学校だった」という理由でこの場所が残されることになりました。
藤巻:伝承館で当時の津波の映像を観て、そのあとこの学校の中を歩くことによって、どこまでも当事者にはなれないけれど、それでもみなさん強烈なショックを受けると思います。この施設自体にすごく強いメッセージがあると感じました。教訓などいろいろなものを感じてもらう意味で、一度気仙沼を訪れて、この施設を訪れることにすごく深い意味があると感じました。


■震災遺構でこの国に生きる心構えができる

伝承館の取材を振り返り、当時の記憶がよみがえってきたと藤巻。

藤巻:地震が多く、海に囲まれている日本に暮らしている以上、この先も私たちは地震や津波の被害を考えなくてはいけません。そのときに、震災を経験したことがない人こそ、震災遺構を訪れたほうがいいと感じました。なぜならこの場所は「津波でここまで水がきた、そして水がこのくらいの破壊力をもっていた」と肌で感じられるから。映像や被害を受けた校舎を見ることで、私たちが今後震災があったときに何かの助けになる可能性があると感じました。広島には原爆ドームがあります。原爆ドームがあることで、私たちはあの戦争のことを忘れない、そして繰り返してはいけないという思いを新たにするのだと思いますが、震災遺構を見ること、体験することでこれからこの国に生きる心構えができるのかなと思いました。

藤巻はその後も、南三陸町にある「南三陸 ホテル観洋」が行う、震災の記憶を“語り部”が語りながら、街の被災の様子や現状をガイドする「語り部バス」や、児童・教師、合わせて84人が犠牲となった石巻市立大川小学校で奇跡的に助かった生徒などを取材、その様子がオンエアされました。



初取材を終えた藤巻は番組の最後に、「被災された方、一人ひとりに大切な物語がある」と振り返りました。

藤巻:「被災地」や「被災者」という言葉は、ひとつの記号だと思うんです。その言葉があるからみんなが問題意識を持てるのだけど、「被災者」とひとくくりにできない一人ひとりの思いがそこにある。その思いをこれから1年かけて、この番組を通して聞いていくことで、今の時代を生きるみなさんに大切なメッセージを届けたいと思います。

これから1年、藤巻とともに、震災後の未来についてぜひ一緒に考えてみてください。

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【番組情報】
番組名:『Hitachi Systems HEART TO HEART』
放送日時:毎月第3日曜 22時-22時54分
オフィシャルサイト:https://www.j-wave.co.jp/special/hearttoheart/

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