J-WAVEで放送中の番組『~JK RADIO~ TOKYO UNITED』(ナビゲーター:ジョン・カビラ)のワンコーナー「THE HIDDEN STORY」。4月12日(金)のオンエアでは、映画『スパイダーマン:スパイダーバース』の制作に携わった日本人アニメーター・園田大也さんの活動の裏側に迫りました。
■子どもの頃から夢はハリウッドで映画を作ること
園田さんは熊本県出身。小学生の頃、『トイ・ストーリー』シリーズや『モンスターズ・インク』シリーズを観て、「CGを使う仕事に就きたい」と考えるようになりました。大学卒業後、ゲームの制作会社でアニメーションを作っていましたが、子どもの頃に思い描いていた「ハリウッドで映画を作りたい」という夢へ向け、一歩踏み出す決断をします。
フィリピンとカナダの語学学校で英語を学んだあと、映画の世界へアプローチをはじめました。
園田:語学学校を卒業するタイミングでいろいろな映画会社やアニメーションスタジオに自分の作品と履歴書を送って、ひとつのスタジオから興味があると声をかけられ、そのままそこに採用されました。そのスタジオで映像系のアニメーションを教えてもらっていましたが、ワーキングホリデービザが切れて就労ビザをもらわないと働けない状況になってしまいました。就労ビザはある程度大きな会社ではないと出せないこともあり、今いるソニー・ピクチャーズ・イメージワークスに応募しました。
応募すると、「すぐに来てくれ」と返事をもらったそうです。
園田:(応募の)メールを送った2時間後くらいに「いつ来れる?」という返信がきました。ちょうど、映画『コウノトリ大作戦!』の締め切り間近で人が必要な時期だったようで、応募のタイミングがよかったんだと思います。そこで採用されました。
■1週間に4秒のアニメーションしか作れない
ソニー・ピクチャーズ・イメージワークスでの最初の仕事となった映画『コウノトリ大作戦!』。園田さんはこの作品にどのように関わったのでしょうか。
園田:アニメーターのチームは、一番上にアニメーション・スーパーバイザーがいて、その下に5人から7人くらいのリード・アニメーターがいます。このリード・アニメーターがそれぞれにチームを組み、そこに何人かのアニメーターがつきます。僕は1人のリード・アニメーターから「ここのカットを担当してほしい」というふうに仕事をもらい、そこのアニメーションを制作しました。
1人のアニメーターがアニメーションを作れるのは、1本の映画でおよそ1分から2分だと園田さんは話します。
園田:1週間に多くて4秒くらいしかアニメーションを作ることができません。映画のシーンの1秒は、およそ24枚の絵で構成されているので、制作には非常に時間もかかるし気を使います。
その後、園田さんは映画『絵文字の国のジーン』の制作に参加、そして遂に『スパイダーマン:スパイダーバース』への参加が決まります。
園田:配属を決めるアーティスト・マネージャーに呼ばれ、「次は『スパイダーマン:スパイダーバース』のプロジェクトに行ってほしい」と言われました。ソニーは自分の担当プロジェクト以外のプロジェクトも見られるんですけど、『スパイダーマン:スパイダーバース』は初期からカッコよくて、みんなこの作品に携わりたいと言っていました。『スパイダーマン:スパイダーバース』のプロジェクトが見られるウェブページに、僕がコツコツ作っていた自主制作の作品が参考動画としてあがっていたので「もしかしたらチームに入れるかもしれない」と期待をしていました。実際に声がかかったときは本当にうれしかったです。
■何もない状態から生み出すことの苦しみ
映画『スパイダーマン:スパイダーバース』における園田さんの仕事はどのような内容だったのでしょうか。
園田:最初は実際に映画で使うシークエンス(カットのひとまとまり)の絵コンテがあがってきていたので、それに基づいてアニメーションを作っていました。この映画の主人公マイルス・モラレスが墓地でピーター・パーカーと出会うシーンでした。このシーンが映画で最初に作られたアニメーションでした。はじめに作るシーンは、アニメーションのスタイルやキャラクターの表情などが定まっていなかったりするので大変なんです。制作の後半になると今まで作ったものがあるので、それを参考にすればいいんですけど、最初は何もない状態から作らなくてはいけないので大変でした。
今回の作品づくりで園田さんが特に印象深かったシーンについて、教えてくれました。
園田:印象に残っているのは、最初の予告映像のアニメーションです。マイルスがタクシーを飛び越えて、2Dの絵を挟んで、また3Dの絵に戻るシーンなんですけど、けっこう大変でした。そのシーンは夜で、マイルスのスパイダーマンのスーツも黒なので、いかにマイルスが動いているように見せるか。そして、最初の予告映像だったので、マイルスの顔や胸のマークがちゃんと見えるように気を使いながらやっていました。
■僕が携る作品で、アニメーターを目指してくれたらうれしい
およそ180人のアニメーターが参加した映画『スパイダーマン:スパイダーバース』。園田さんは1年4カ月にわたって制作に携わりました。この作品は、第91回アカデミー賞で長編アニメーション映画賞を受賞しました。
園田:受賞できてすごくうれしかったです。ソニーとしても長編アニメーション賞ははじめての受賞でした。会社の大きなキッチンを開放してみんなが集まっていて。実際に受賞した瞬間はめちゃくちゃ盛り上がって、楽しかったですね。
最後に、自身の仕事を通して伝えたいメッセージを訊きました。
園田:これからも時間を忘れて観て楽しんでもらえる作品を作りたいと思いますし、そういう作品に携わりたいと思っています。自分がそうだったように、僕が制作に携わった映画でアニメーターになりたいとか、映画を作りたいと思ってもらえたらさらにうれしいです。
園田さんは現在、今夏公開予定の映画『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』の制作にも参加しています。こちらの作品もぜひ注目してみてください。
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【番組情報】
番組名:『~JK RADIO~ TOKYO UNITED』
放送日時:毎週金曜 6時-11時30分
オフィシャルサイト:https://www.j-wave.co.jp/original/tokyounited/
■子どもの頃から夢はハリウッドで映画を作ること
園田さんは熊本県出身。小学生の頃、『トイ・ストーリー』シリーズや『モンスターズ・インク』シリーズを観て、「CGを使う仕事に就きたい」と考えるようになりました。大学卒業後、ゲームの制作会社でアニメーションを作っていましたが、子どもの頃に思い描いていた「ハリウッドで映画を作りたい」という夢へ向け、一歩踏み出す決断をします。
フィリピンとカナダの語学学校で英語を学んだあと、映画の世界へアプローチをはじめました。
園田:語学学校を卒業するタイミングでいろいろな映画会社やアニメーションスタジオに自分の作品と履歴書を送って、ひとつのスタジオから興味があると声をかけられ、そのままそこに採用されました。そのスタジオで映像系のアニメーションを教えてもらっていましたが、ワーキングホリデービザが切れて就労ビザをもらわないと働けない状況になってしまいました。就労ビザはある程度大きな会社ではないと出せないこともあり、今いるソニー・ピクチャーズ・イメージワークスに応募しました。
応募すると、「すぐに来てくれ」と返事をもらったそうです。
園田:(応募の)メールを送った2時間後くらいに「いつ来れる?」という返信がきました。ちょうど、映画『コウノトリ大作戦!』の締め切り間近で人が必要な時期だったようで、応募のタイミングがよかったんだと思います。そこで採用されました。
■1週間に4秒のアニメーションしか作れない
ソニー・ピクチャーズ・イメージワークスでの最初の仕事となった映画『コウノトリ大作戦!』。園田さんはこの作品にどのように関わったのでしょうか。
園田:アニメーターのチームは、一番上にアニメーション・スーパーバイザーがいて、その下に5人から7人くらいのリード・アニメーターがいます。このリード・アニメーターがそれぞれにチームを組み、そこに何人かのアニメーターがつきます。僕は1人のリード・アニメーターから「ここのカットを担当してほしい」というふうに仕事をもらい、そこのアニメーションを制作しました。
1人のアニメーターがアニメーションを作れるのは、1本の映画でおよそ1分から2分だと園田さんは話します。
園田:1週間に多くて4秒くらいしかアニメーションを作ることができません。映画のシーンの1秒は、およそ24枚の絵で構成されているので、制作には非常に時間もかかるし気を使います。
その後、園田さんは映画『絵文字の国のジーン』の制作に参加、そして遂に『スパイダーマン:スパイダーバース』への参加が決まります。
園田:配属を決めるアーティスト・マネージャーに呼ばれ、「次は『スパイダーマン:スパイダーバース』のプロジェクトに行ってほしい」と言われました。ソニーは自分の担当プロジェクト以外のプロジェクトも見られるんですけど、『スパイダーマン:スパイダーバース』は初期からカッコよくて、みんなこの作品に携わりたいと言っていました。『スパイダーマン:スパイダーバース』のプロジェクトが見られるウェブページに、僕がコツコツ作っていた自主制作の作品が参考動画としてあがっていたので「もしかしたらチームに入れるかもしれない」と期待をしていました。実際に声がかかったときは本当にうれしかったです。
■何もない状態から生み出すことの苦しみ
映画『スパイダーマン:スパイダーバース』における園田さんの仕事はどのような内容だったのでしょうか。
園田:最初は実際に映画で使うシークエンス(カットのひとまとまり)の絵コンテがあがってきていたので、それに基づいてアニメーションを作っていました。この映画の主人公マイルス・モラレスが墓地でピーター・パーカーと出会うシーンでした。このシーンが映画で最初に作られたアニメーションでした。はじめに作るシーンは、アニメーションのスタイルやキャラクターの表情などが定まっていなかったりするので大変なんです。制作の後半になると今まで作ったものがあるので、それを参考にすればいいんですけど、最初は何もない状態から作らなくてはいけないので大変でした。
今回の作品づくりで園田さんが特に印象深かったシーンについて、教えてくれました。
園田:印象に残っているのは、最初の予告映像のアニメーションです。マイルスがタクシーを飛び越えて、2Dの絵を挟んで、また3Dの絵に戻るシーンなんですけど、けっこう大変でした。そのシーンは夜で、マイルスのスパイダーマンのスーツも黒なので、いかにマイルスが動いているように見せるか。そして、最初の予告映像だったので、マイルスの顔や胸のマークがちゃんと見えるように気を使いながらやっていました。
Enter a universe where more than one wears the mask. Watch the Spider-Man: Into The Spider-Verse trailer now, in theaters next Christmas. #SpiderVerse pic.twitter.com/yYz2fwqrK6
— Spider-Man: Into The Spider-Verse (@SpiderVerse) 2017年12月9日
■僕が携る作品で、アニメーターを目指してくれたらうれしい
およそ180人のアニメーターが参加した映画『スパイダーマン:スパイダーバース』。園田さんは1年4カ月にわたって制作に携わりました。この作品は、第91回アカデミー賞で長編アニメーション映画賞を受賞しました。
園田:受賞できてすごくうれしかったです。ソニーとしても長編アニメーション賞ははじめての受賞でした。会社の大きなキッチンを開放してみんなが集まっていて。実際に受賞した瞬間はめちゃくちゃ盛り上がって、楽しかったですね。
最後に、自身の仕事を通して伝えたいメッセージを訊きました。
園田:これからも時間を忘れて観て楽しんでもらえる作品を作りたいと思いますし、そういう作品に携わりたいと思っています。自分がそうだったように、僕が制作に携わった映画でアニメーターになりたいとか、映画を作りたいと思ってもらえたらさらにうれしいです。
園田さんは現在、今夏公開予定の映画『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』の制作にも参加しています。こちらの作品もぜひ注目してみてください。
日本版予告解禁#スパイダーマン の <ホーム>ニューヨークから、舞台はヨーロッパへ。
— 映画『スパイダーマン』公式 (@SpidermanfilmJP) 2019年2月21日
ピーターは親友のネッドやMJたちと夏休みにヨーロッパへ
しかし、ピーターの前に突如ニック・フューリー現れる
フューリーが現れた理由とは
そして対峙する新たな敵とはpic.twitter.com/x924wTaTbf
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【番組情報】
番組名:『~JK RADIO~ TOKYO UNITED』
放送日時:毎週金曜 6時-11時30分
オフィシャルサイト:https://www.j-wave.co.jp/original/tokyounited/