J-WAVEでオンエア中の『~JK RADIO~ TOKYO UNITED』(ナビゲーター:ジョン・カビラ)のワンコーナー「ECC FEATURE FOCUS」。2月15日(金)のオンエアでは、アメリカのポピュラー音楽やポップカルチャーに詳しい、慶應義塾大学教授の大和田俊之さんが「第61回グラミー賞授賞式」について解説しました。
■マイノリティへのメッセージが明確
現地時間2019年2月10日にロサンゼルスのステープルズ・センターで開催された「第61回グラミー賞授賞式」。今年の授賞式について、大和田さんは「メッセージがハッキリとした授賞式だった」と振り返ります。
カビラ:“女性賛歌”でしたね。
大和田:そうですね。去年、グラミーの会長ニール・ポートナウが「女性はステップアップすべきだ」と言って、だいぶ批判されました。それに応えるように、ホストにアリシア・キーズ、オープニングにカミラ・カベロ、ヒスパニック、ラティーノ系のアーティストをフィーチャーして、全体としてマイノリティの起用が重要なテーマだったと思います。
オープニングトークのあとには、レディー・ガガ、ジェニファー・ロペス、ジェイダ・ピンケット=スミス、ミシェル・オバマと、4人の女性が登場し、大きな話題となりました。オバマさんの登壇は、現地にいたカビラも知らされていなかったサプライズだったと明かします。
カビラ:構成表を渡されるんですけど「MO」と書いてあって、スタッフで「MO」を検索したりしました。まさか「ミシェル・オバマ」さんとは、一番ビックリでした。
大和田:あれが一番盛り上がってましたよね。拍手が鳴り止まなくて。
カビラ:明らかに、トランプ大統領のベースを構成するみなさんではない人が、会場に多くいたという感じでしたよね。
■ヒスパニック系アーティスト起用の意味
大和田さんは、特にオープニングに注目していたと話します。カミラ・カベロ『Havana』にフィーチャーされているYoung Thug、リッキー・マーティン、J. バルヴィン、さらにキューバ出身トランペッターのアルトゥーロ・サンドヴァルがフィーチャーされました。
大和田:プエルトリコ系で“キング・オブ・ラテン・ポップ”のリッキー・マーティンは、のちにゲイであることをカミングアウトしています。カーディ・Bにフィーチャーされたりして、伸び盛りのコロンビア出身のシンガー、J. バルヴィンなど、ラテン・ポップの新旧スターがオープニングにフィーチャーされていました。カビラさんが「演出がミュージカル『ウエスト・サイド・ストーリー』を彷彿とさせる」と言ってましたが、あの話はプエルトリコ系アメリカ人非行グループ「シャーク」とポーランド系アメリカ人非行グループ「ジェッツ」の抗争の話ですから、「シャーク」側からみた『ウエスト・サイド・ストーリー』としてのグラミー賞というメッセージが、明確に出ていたと思います。
前例があまりない、ラテンアーティストの大フィーチャー。ステージ演出で登場した新聞の見出しには「壁ではなく橋を架けろ」と、ヒスパニック系との分断を進めるトランプ政権に対するグラミー側からの力強いメッセージが掲げられました。
■日本人クリエイターの活躍も!
さらに、チャイルディッシュ・ガンビーノ『This Is America』が、「年間最優秀楽曲賞」と「年間最優秀レコード賞」の主要2部門を獲得しました。
大和田:あれは驚きましたが、メッセージ性の強い授賞式の印象からすると、納得の受賞という感じがします。
カビラ:ヒップホップが双方獲るというのは初めてで、うねりを感じますね。
大和田:昨年5月に『This Is America』のミュージックビデオが公開されて騒がれていたので、大学のあらゆる授業でビデオを使って解説しました。背景として黒人コミュニティに対する暴力が描かれていて、前のほうで子どもとチャイルディッシュ・ガンビーノが踊っている2層構造が印象的ですよね。
【動画】チャイルディッシュ・ガンビーノ『This Is America』はコチラ
このミュージックビデオでは、アメリカ在住の日本人映像作家ヒロ・ムライさんが関わっています。ヒロ・ムライさんは、ドナルド・グローヴァー(チャイルディッシュ・ガンビーノは、音楽活動を行うときの名義)が主演を務める話題のドラマ『アトランタ』の監督も務めており、「今後、目が離せないクリエイター」だと、大和田さんは話しました。
今後のアメリカ音楽界の動きについても、「アジア系の台頭に注目」と大和田さん。ラテン系アーティストや女性アーティストにフォーカスした今年のグラミー賞から、アメリカ音楽界における、さらなるマイノリティの台頭が期待できそうです。
【この記事の放送回をradikoで聴く】
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【番組情報】
番組名:『〜JK RADIO〜TOKYO UNITED』
放送日時:毎週金曜 6時-11時30分
オフィシャルサイト:https://www.j-wave.co.jp/original/tokyounited/
■マイノリティへのメッセージが明確
現地時間2019年2月10日にロサンゼルスのステープルズ・センターで開催された「第61回グラミー賞授賞式」。今年の授賞式について、大和田さんは「メッセージがハッキリとした授賞式だった」と振り返ります。
カビラ:“女性賛歌”でしたね。
大和田:そうですね。去年、グラミーの会長ニール・ポートナウが「女性はステップアップすべきだ」と言って、だいぶ批判されました。それに応えるように、ホストにアリシア・キーズ、オープニングにカミラ・カベロ、ヒスパニック、ラティーノ系のアーティストをフィーチャーして、全体としてマイノリティの起用が重要なテーマだったと思います。
オープニングトークのあとには、レディー・ガガ、ジェニファー・ロペス、ジェイダ・ピンケット=スミス、ミシェル・オバマと、4人の女性が登場し、大きな話題となりました。オバマさんの登壇は、現地にいたカビラも知らされていなかったサプライズだったと明かします。
カビラ:構成表を渡されるんですけど「MO」と書いてあって、スタッフで「MO」を検索したりしました。まさか「ミシェル・オバマ」さんとは、一番ビックリでした。
大和田:あれが一番盛り上がってましたよね。拍手が鳴り止まなくて。
カビラ:明らかに、トランプ大統領のベースを構成するみなさんではない人が、会場に多くいたという感じでしたよね。
■ヒスパニック系アーティスト起用の意味
大和田さんは、特にオープニングに注目していたと話します。カミラ・カベロ『Havana』にフィーチャーされているYoung Thug、リッキー・マーティン、J. バルヴィン、さらにキューバ出身トランペッターのアルトゥーロ・サンドヴァルがフィーチャーされました。
大和田:プエルトリコ系で“キング・オブ・ラテン・ポップ”のリッキー・マーティンは、のちにゲイであることをカミングアウトしています。カーディ・Bにフィーチャーされたりして、伸び盛りのコロンビア出身のシンガー、J. バルヴィンなど、ラテン・ポップの新旧スターがオープニングにフィーチャーされていました。カビラさんが「演出がミュージカル『ウエスト・サイド・ストーリー』を彷彿とさせる」と言ってましたが、あの話はプエルトリコ系アメリカ人非行グループ「シャーク」とポーランド系アメリカ人非行グループ「ジェッツ」の抗争の話ですから、「シャーク」側からみた『ウエスト・サイド・ストーリー』としてのグラミー賞というメッセージが、明確に出ていたと思います。
前例があまりない、ラテンアーティストの大フィーチャー。ステージ演出で登場した新聞の見出しには「壁ではなく橋を架けろ」と、ヒスパニック系との分断を進めるトランプ政権に対するグラミー側からの力強いメッセージが掲げられました。
■日本人クリエイターの活躍も!
さらに、チャイルディッシュ・ガンビーノ『This Is America』が、「年間最優秀楽曲賞」と「年間最優秀レコード賞」の主要2部門を獲得しました。
大和田:あれは驚きましたが、メッセージ性の強い授賞式の印象からすると、納得の受賞という感じがします。
カビラ:ヒップホップが双方獲るというのは初めてで、うねりを感じますね。
大和田:昨年5月に『This Is America』のミュージックビデオが公開されて騒がれていたので、大学のあらゆる授業でビデオを使って解説しました。背景として黒人コミュニティに対する暴力が描かれていて、前のほうで子どもとチャイルディッシュ・ガンビーノが踊っている2層構造が印象的ですよね。
【動画】チャイルディッシュ・ガンビーノ『This Is America』はコチラ
このミュージックビデオでは、アメリカ在住の日本人映像作家ヒロ・ムライさんが関わっています。ヒロ・ムライさんは、ドナルド・グローヴァー(チャイルディッシュ・ガンビーノは、音楽活動を行うときの名義)が主演を務める話題のドラマ『アトランタ』の監督も務めており、「今後、目が離せないクリエイター」だと、大和田さんは話しました。
今後のアメリカ音楽界の動きについても、「アジア系の台頭に注目」と大和田さん。ラテン系アーティストや女性アーティストにフォーカスした今年のグラミー賞から、アメリカ音楽界における、さらなるマイノリティの台頭が期待できそうです。
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番組名:『〜JK RADIO〜TOKYO UNITED』
放送日時:毎週金曜 6時-11時30分
オフィシャルサイト:https://www.j-wave.co.jp/original/tokyounited/