J-WAVEで放送中の番組『INNOVATION WORLD』(ナビゲーター:川田十夢)。1月18日(金)のオンエアでは、DOKI DOKI, INC. CEOの井口尊仁さんが登場。井口さんが開発したアプリ「セカイカメラ」や、ARの未来について訊きました。
■「セカイカメラ」開発当時はARを知らなかった
AR(拡張現実)の一時代の代名詞となった「セカイカメラ」を開発した井口さん。「セカイカメラ」とは、スマートフォンのカメラで世界をかざすと、さまざまな人が考えていることが可視化されるスマートフォンアプリです。
井口:「セカイカメラ」を開発した当時、ARというコンセプトは知りませんでした。頭の中にあった「空間にスマートフォンをかざすと、デジタルのタグが浮かぶ」というイメージをただ具現化しただけで、「ARをやろう」と思ったことは1度もありません。
当時、井口さんは東急ハンズで透けたiPhoneをプラバンで作り、それにポストイットを貼って、「セカイカメラ」のイメージを膨らませていったと教えてくれました。
■「人間とマシンとマシン」が対話する世界
ARが担ってきたものが、XR (クロス・リアリティ/AR、 MR、SR、VRなどの先端技術の総称)として各分野で求められている今の世界を、井口さんはどう捉えているのでしょうか。
井口:XRと言われる世界に狭苦しさを感じています。けっきょく僕たちは、スティーブ・ジョブズとビル・ゲイツの手のひらで踊らされているところがあると思います。Apple II、Windows、iOSもそうだしね。もともと、これらはアラン・ケイが提唱したダイナブックの考え方がオリジナルにあるんです。
1960年代から70年代にかけて、アラン・ケイがゼロックス社の研究所で考えたダイナブックは、オブジェクト指向言語、Windowsシステム、マウス、コンピュータ、ネットワーキングなどのベースにあります。それを実現したものが、マッキントッシュ、それから発展したiPhoneやiPad、Wi-Fi、ハイパーテキストなどがある、と井口さんは説明します。
井口:それらは全てダイナブックからきているじゃないですか。その狭苦しさ、限界があると思います。その理由は、人間とコンピュータが対話する関係が相変わらずなんですよね。
川田:UI(ユーザーインターフェイス)とかUX(ユーザーエクスペリエンス)が変わっているだけですからね。
井口:ライフスタイルとしてはそうですよね。その限界を考えたときに、クラウド型、AI(人工知能)、モビリティが当たり前になった今、僕らができることがふたつあると考えます。ひとつは、「人間とマシン」だけではなく、「人間とマシンとマシン」という対話の関係が、すごく重要になってくると思っています。
井口さんは、ARのチャットボットアプリ「レプリカ」を例に話を続けます。
井口:「レプリカ」って自分のコピーを作るって意味なんですけど、これを使ってお互い付き合わせることができますよね。「レプリカ」と「レプリカ」がネゴシエーションしたりコミュニティしたりインビテーションしたり。
川田:(笑)。
井口:今までは、コンピュータというスクリーンやインターネットなどと、どうつながって対話するかをやってきたわけじゃないですか。それがパーソナルコンピュータであり、インターネットですよね。でも、これからはAIが知能、場合によってはモビリティとか、ロボットになるとアクセサビリティとか、いろいろフィジカルな力を得てきます。たとえば、川田さんが使う自動運転車に名前を付けて会話をすることによって、川田さんの持っている知識、スキル、クセを教え込む。そうすると、他の人が川田さんの車とインタラクトする可能性がある。その車に乗ったら川田さんらしいもてなしを車から受けられるとか。
川田:すごくおもしろいですね。でもこれ、どれだけみなさんに伝わるかわからないけど(笑)。「人間として、この人とは合いそうにないな」と思っていた人でも、その人の特徴などをインストールした猫型ロボットなら、すごく人気が出たりする。
井口:すごく受けるかもしれないし、モテるかもしれないよね。
この内容の発展系として、もうひとつの考えを井口さんはこう話します。
井口:今まで僕らはロボットと対話するときに、ロボットの性能を上げようとかコストを下げようとか、かっこよくしよう、かわいくしようなどと考えてきたけど、これからはロボットがロボットと連携を試みて、一緒に働く機会がでてくると思っています。対ロボットの関係の先に、ロボットやドローンや自動運転なども含めた、マシンのネットワークが生まれてくるのではないでしょうか。
最後に、井口さんが「魂のこもった曲」として選んだ、海外ドラマ『シリコンバレー』のエンディングソングテーマでもあるAlabama Shakesの『Sound & Color』をオンエアしました。
井口さんの話を聞きながら、何度も「おもしろい!」とリアクションする川田。井口さんの考える未来が訪れる日が楽しみですね。
【この記事の放送回をradikoで聴く】
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【番組情報】
番組名:『INNOVATION WORLD』
放送日時:毎週金曜日22時-22時55分
オフィシャルサイト:https://www.j-wave.co.jp/original/innovationworld/
■「セカイカメラ」開発当時はARを知らなかった
AR(拡張現実)の一時代の代名詞となった「セカイカメラ」を開発した井口さん。「セカイカメラ」とは、スマートフォンのカメラで世界をかざすと、さまざまな人が考えていることが可視化されるスマートフォンアプリです。
井口:「セカイカメラ」を開発した当時、ARというコンセプトは知りませんでした。頭の中にあった「空間にスマートフォンをかざすと、デジタルのタグが浮かぶ」というイメージをただ具現化しただけで、「ARをやろう」と思ったことは1度もありません。
当時、井口さんは東急ハンズで透けたiPhoneをプラバンで作り、それにポストイットを貼って、「セカイカメラ」のイメージを膨らませていったと教えてくれました。
■「人間とマシンとマシン」が対話する世界
ARが担ってきたものが、XR (クロス・リアリティ/AR、 MR、SR、VRなどの先端技術の総称)として各分野で求められている今の世界を、井口さんはどう捉えているのでしょうか。
井口:XRと言われる世界に狭苦しさを感じています。けっきょく僕たちは、スティーブ・ジョブズとビル・ゲイツの手のひらで踊らされているところがあると思います。Apple II、Windows、iOSもそうだしね。もともと、これらはアラン・ケイが提唱したダイナブックの考え方がオリジナルにあるんです。
1960年代から70年代にかけて、アラン・ケイがゼロックス社の研究所で考えたダイナブックは、オブジェクト指向言語、Windowsシステム、マウス、コンピュータ、ネットワーキングなどのベースにあります。それを実現したものが、マッキントッシュ、それから発展したiPhoneやiPad、Wi-Fi、ハイパーテキストなどがある、と井口さんは説明します。
井口:それらは全てダイナブックからきているじゃないですか。その狭苦しさ、限界があると思います。その理由は、人間とコンピュータが対話する関係が相変わらずなんですよね。
川田:UI(ユーザーインターフェイス)とかUX(ユーザーエクスペリエンス)が変わっているだけですからね。
井口:ライフスタイルとしてはそうですよね。その限界を考えたときに、クラウド型、AI(人工知能)、モビリティが当たり前になった今、僕らができることがふたつあると考えます。ひとつは、「人間とマシン」だけではなく、「人間とマシンとマシン」という対話の関係が、すごく重要になってくると思っています。
井口さんは、ARのチャットボットアプリ「レプリカ」を例に話を続けます。
井口:「レプリカ」って自分のコピーを作るって意味なんですけど、これを使ってお互い付き合わせることができますよね。「レプリカ」と「レプリカ」がネゴシエーションしたりコミュニティしたりインビテーションしたり。
川田:(笑)。
井口:今までは、コンピュータというスクリーンやインターネットなどと、どうつながって対話するかをやってきたわけじゃないですか。それがパーソナルコンピュータであり、インターネットですよね。でも、これからはAIが知能、場合によってはモビリティとか、ロボットになるとアクセサビリティとか、いろいろフィジカルな力を得てきます。たとえば、川田さんが使う自動運転車に名前を付けて会話をすることによって、川田さんの持っている知識、スキル、クセを教え込む。そうすると、他の人が川田さんの車とインタラクトする可能性がある。その車に乗ったら川田さんらしいもてなしを車から受けられるとか。
川田:すごくおもしろいですね。でもこれ、どれだけみなさんに伝わるかわからないけど(笑)。「人間として、この人とは合いそうにないな」と思っていた人でも、その人の特徴などをインストールした猫型ロボットなら、すごく人気が出たりする。
井口:すごく受けるかもしれないし、モテるかもしれないよね。
この内容の発展系として、もうひとつの考えを井口さんはこう話します。
井口:今まで僕らはロボットと対話するときに、ロボットの性能を上げようとかコストを下げようとか、かっこよくしよう、かわいくしようなどと考えてきたけど、これからはロボットがロボットと連携を試みて、一緒に働く機会がでてくると思っています。対ロボットの関係の先に、ロボットやドローンや自動運転なども含めた、マシンのネットワークが生まれてくるのではないでしょうか。
最後に、井口さんが「魂のこもった曲」として選んだ、海外ドラマ『シリコンバレー』のエンディングソングテーマでもあるAlabama Shakesの『Sound & Color』をオンエアしました。
井口さんの話を聞きながら、何度も「おもしろい!」とリアクションする川田。井口さんの考える未来が訪れる日が楽しみですね。
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【番組情報】
番組名:『INNOVATION WORLD』
放送日時:毎週金曜日22時-22時55分
オフィシャルサイト:https://www.j-wave.co.jp/original/innovationworld/